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助演男優賞・助演女優賞

作者: 睦鬼

「考えすぎ」と言われた。

「死にたいの?」と言われた。

「楽しいの?」と言われた。

「感情はあるの?」と言われた。


考えすぎ? …確かにね。

死にたいか? …まぁね。

楽しいか? …いいや。

感情? …どうかな。


 感情があるかのようにその場その場で考えて、いつもいつも作ってる。気持ち悪い。そんな事をしないと生きていけないなんてどうやら僕は心底人間であることに向いてないらしい。そんなことを思いながら飛んだ。


…これは、比喩だ。


 自分には、空を自由に舞うことができる才能があると思っていた。だがしかし、私は鳥だ。空を飛ぶことができるのは才能があるからではない。そのように生まれてきただけで、特別でも何でもない。


 自分だけが特別で、天高く舞い踊ることが許されたわけではない。誰もができることを、誰にもできないと錯覚し、落ちた。


落ちて、墜ちて、堕ちた。どこまでも。

果てしなく。終わりはない。ひたすら続く悪夢のように。

そして、人に認知もされない蟻のようにぐしゃっとつぶされて死んだ。


…これは比喩だ。私の話でも、僕の話でも、彼女のものでも彼の話でもない。ただの例え話。嘘。偽り。


————


彼女かれに何があったかは知らないということになっている。

私が知る限り、(かのじょ)の体に傷は残らなかった。

心には残った。

彼女かれはよく笑っていた。

目にはいつの日か光が灯らなくなった。


常に人の望む姿に、人の望む言葉を、人の望む感情で。(かのじょ)は俳優。この世界で人々の望む姿で“彼女かれ”を演じる。

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