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自粛2日目 自炊

 2日目の朝が来た。


「あーーーーよく寝た」


 広いベッドの上で身体を大きく伸ばす。

 昨日の夕方くらいから寝てたわけだから、たぶん半日以上寝てる。時計とかないから正確にはわからんけども。


「さて」


 私はキッチンらしきところに行くと、近くの棚を漁ってみる。

 起きたばかりで喉が渇いていたからだ。

 いくつか戸棚を開けてみると、たくさんの食材が入った棚があった。

 開けた瞬間、ひんやりとした空気が頬をくすぐる。これ冷蔵庫だ。

 見ると、コンロのようなものや、オーブン等、一通りのものが揃っている。

 材質は違うが、基本的に現代のキッチンとほとんど遜色ないレベルに充実している。

 全部、魔法かなんかで動くようになっているのだろうか。便利だなぁ。おい。

 私は冷蔵庫から、水の入った瓶を取り出す。

 軽く詰められたコルク栓を指の力で引き抜くと、グビグビと中身を飲み干した。

 レモンで香りづけされてるようで、スッと喉を通ってくる。美味い。

 空き瓶をそのままキッチンに置くと、私は踵を返した。

 そして、再びベッドへとダイブ。


「おやすみなさい」

『また、寝るんですか!?』


 王女再び。

 ここプライベートとかないんかな。まあ、別に見られても全然構わんけど。


「だって、やることないし」

『いや、色々ありますよ。きっと!』

「ない」


 断言すると、むぐぐと王女は歯ぎしりした。


『あ、ほら、お腹とか空きません?』

「あー、うん、空いた」

『部屋の前に朝食を用意して持ってこさせても良いのですが、時間もありますし、自炊しませんか?』

「自炊ねぇ」

『自粛が始まってから、王族でも自炊をする人が増えたんですよ』

「そうなんだ」

 

 王族が自炊とかなかなかシュールな光景だが、まあ、やることないんだろうな。


『食材は魔法の冷蔵庫に自動補充されますので、お好きなものをどうぞ』


 元いた世界では基本、朝食は抜く生活してたから最悪食べなくてもいいんだけど、まあ、やることないしなぁ。

 一人暮らしだったので、米炊いたりとかそれくらいのことはしてたけど、おかずはもっぱらスーパーやコンビニの総菜だった。

 この機会にちょっと料理に挑戦してみるのもいいか。


「んじゃ、作る」

『よい心がけです』


 とはいったものの何を作るかだ。

 さっき冷蔵庫を開けたところ野菜や卵、肉、魚あたりは完備されていた。

 改めて近くの棚を開けると、香辛料や調味料はそろっている。

 棚にはパンもいくつか種類があるし、驚いたことに、しっかりと米もある。この世界でも米食文化はあるみたい。

 かえって選択肢が多すぎて悩むな。

 あ、そういえば、せっかくファンタジー世界だし、作ってみたいものがある。

 子どもの頃見たアニメ映画の中に、めちゃくちゃおいしそうなパンが出てきた。

 それを再現してみよう。

 

 必要なものを集める。

 食パン、卵、マヨネーズ、チーズ、塩コショウ。うん、全部ある。

 まずは食パンを適当な厚さに切る。

 そして、パンの上に薄切りのチーズをのせた。これだけでもチーズトーストの出来上がりだけども、今日はスペシャルだ。

 食パンの縁の部分をマヨネーズでデコレート。周囲に囲いができたところで、その真ん中に卵を割りいれた。

 オレンジ色の黄身があらこんにちは。

 最後に塩コショウをひとふり。


「よし」

『おおっ、なんだかおいしそうですね!』

「だしょ」


 トースターはないので、オーブンで焼く。

 今回は火加減を女王が魔法で遠隔操作してくれるらしい。

 200度で10分、とお願いする。

 そして、10分後。


「これは……」


 良い感じに焼けたのではないだろうか。

 卵はとろりと半熟で、チーズとマヨネーズは溶け合って、焼き色もしっかりついている。

 食欲をそそるにおいも素晴らしい。  

 インスタ上げたいレベル。

 コップに注いだ牛乳と一緒にテーブルに並べると、いよいよ華やかな昼食だ。


「いただきます」


 アニメに倣って豪快にかぶりつく。


「……美味い」


 マヨネーズとチーズが絡み合って、なんとも言えない濃厚さ。その上、トロリとした卵の触感も素晴らしい。

 これは魔性の味だ。カロリーくっそ高そうだけど。


『じゅるり……私も作ろう(ボソ)』


 案外自炊も悪くないかも。

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