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愚兄と呼ばれた男の自由な旅  作者: おこめi)
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愚兄と謎の生物

新しい仲間を入れます。

 夕方になり二人は暗くなる前にテントを建て今日の寝床を準備していた。

 石で囲い拾ってきた枯れ木をくべていた。簡易的なかまどを作り火をおこそうとしてクトゥーが止まる。


「ジュティ、火の魔法を使ってくれないか。」

「使えないわよ。」

「ああ、そういえばジュティが何の魔法を使えるか聞いていなかったな。」

「風と強化辺りかな。」

「それじゃ火の魔法覚えないか。」

「覚える。」

「まず魔力の動かし方はわかるな。その魔力を燃えやすいものへ想像を変えていくんだ。そしてその中に空気を酸素を取り込むようにして熱をくわえ放出する。」


 手を添えてクトゥーの言葉に合わせて魔法を想像していく。目をつむり魔力への意識を集中し放出するの合図で目を開き放出した。

 拳程度の火の玉が勢いよくかまどに飛んで行き積み上げたい石を飛ばしながら火をつけた。

 魔力の扱い方を知っていても初めての魔法でここまでの威力が出るとは思っていなかった。


「おお、すげぇ。良い魔力持ってるじゃん。剣一筋じゃなくても良いんじゃねぇか。はっはっは。」


 笑いながらクトゥーは近辺で採取した食べられる野草とヨンディの干し肉を細かくして水を張ったなべに入れて火にかけ、スープを作っている。

 イーワイでは、ヨンディの乳や肉を食べるように丁寧に育てていたり研究したりと食への探究心が強い国でもある。それはヨンディだけに留まらず様々な可能性を見出す国としても有名であった。


「ヨンディの干し肉のスープとパンで良いよな。」


 反応が無いので固まってるジュティに近づく。


「どうした?あまりにも簡単に出たから拍子抜けしたのか?使えなくとも教えることが出来るんだよ俺は。」

「いや、それもそうなんだけど初めて使ったのに思っていた以上の威力が出て驚いていたの。」

「そうか?こんなもんじゃないか。」

「絶対に違う。」


 初めての魔法というと本当にしょぼいところから徐々に徐々にスキルアップしていくのが普通だと思っていた。風魔法であれば微風びふうから始まり、火の魔法であればマッチ程度の火しかつかないと聞いていたし体験してきていた。

 しかし、教えに身を任せて発動したらえらいことになった。


(私は今とんでもなく凄い人と旅をしているんじゃないか。)

「なあ、氷魔法とか覚えないか保存食も良いけどやっぱり長旅でちゃんとした飯は食いたいよな。ああ、でもその前にやっぱヨンディと荷車かな。ジュティはどう思う。」

「え、あ、ああ、そうだね。素材運びとかもあるしまずはその辺をしっかりしないとね。」


 突然話しを振られ驚きながら答える。ジュティが考え事をしている間もクトゥーはずっとスープに手をかけていた。


「ヨンディと荷車ってどの位するんだ?」

「そうだなぁ。人でも引けるくらいの小さいのが大体30万ギューツくらいで、ヨンディのものになると300万ギューツくらいはするかな。住めるものになると1000万ギューツ以上はするわね。プラス移動用のヨンディで大体200万ギューツくらいかかるわね。」

「高いな。退職金とか援助金っていくらだったんだ。」

「何年もいたわけじゃないから退職金は5万ギューツくらいね援助金で100万ギューツほど貰ってるわ。私の貯金と合わせて200万ギューツって所ね。昨日の3万は生活費として別で持つことにしたわ。クトゥーはいくらあるの。」

「5,732ギューツ。」

「この間の3,000ギューツを考えても町の子供レベルね。」

「父、母共に全然くれないしこのかばんと錫杖もやっとの思いで作ったからね。猫かぶり時代だと文句も言えないしな。スープ出来たぞ。」


 深い器によそいジュティに渡す。熱さに気をつけながらスープを飲む。


「美味しい。」

「それは良かった。うん美味い。」


 干したヨンディの肉から旨みがしっかりと出てきていて、つんできた野草の香もバランスよく整っていていいアクセントになる。


「とりあえず、当面の目標は2000万ギューツをためて荷車を持つところからかな。」

「そうね。それが良いと思うわ。」

「儲け話どっかに転がってないかな。」

「山賊のお親分なら荷車の一つや二つ持ってるんじゃない。」

「馬鹿か足が着かないようにばらして売ってるだろう。」

「それもそうね。」


 ガサっ、バム、パキパキ。


 音がしたほうに二人は向いた。食器を置き立ち上がって錫杖と剣に手をかける。


「人?山賊かしら。」

「どうだろうな足音はでかいように感じるけど。」


 その音はどんどんと近づき影が見えてくる。

 そしてその姿を見せる。


「がぅうぅう。」


 敵意のない弱弱しい声を出してその生物は出てきた。

 ドラゴンのようなどっしりとした足だがものすごい短足、ずんぐりとした胴体、しかし肌はごつごつして硬そうである、腕はかなり短く人間の二の腕分くらいだ。顔はドラゴンのように前に出ているが丸みを帯びていて、頭が角かと思うくらい長くとがっている、そしてくりんとしたかわいらしい目をしている。


(ドラゴン?にしては見たことない奴だな。こんなずんぐりむっくりのドラゴンがいるのか?まず第一に尻尾が無い、切られたって訳でもなさそうだし元から無いようだ。そして何より。)

「ちっさ。」


 クトゥーと同じくらいの身長であった。


「ねぇ、見たことあるこんな生物?」

「いや、無い。本でも見たことが無いな。」

「変わった生物よね小さいし何かかわいいわね。」


 不思議そうに見ているとよくわからない生物は首をかしげた。しかし、目は二人と違う方を見ていた。


「ん?これが食いたいのか。」


 スープを指してクトゥーが聞く。


「ぐぅぁあぅ。」


 満面の笑みで頷く。


(匂いにつられてきたのか?)


 クトゥーはスープをよそい謎の生物の前に出す。生物は器用に食器を持ち座るような体勢になり頭を下げて食べた。何度もおかわりを求められほぼ全てのスープを飲んだ。


「ぐわぁぁう。」


 うれしそうに鳴いた。


「おい質問するぞお前はどっから来たんだ。」


 振り返り来た方向を指差す。


(言葉は理解しているのか。)


「これからどこに行くんだ?」

「ぐぅぅうあ。」


 空を見上げながら難しそうな声を出す。


「当ては無いんだな。」

「がう。」


 力強く頷く。


「俺達と来るか。」

「がっ。」


 パッと目を見開いてうれしそうに頷いた。

 そして、クトゥーに近づき頬ずりをしてきた。


「うれしいようだな。でもちょっとごつごつして痛いかな。」


 一通り、終わるとジュティに近づき頭を下げた。


「これからよろしくね。」


 ジュティは優しく頭を撫でた。


「勝手に決めてしまったがよかったか。」

「うん、ペットみたいなものでしょう。手つけられないほど大きくないし。」

「身長が同じくらいだからその言い方はちょっとくるものがあるな。」


 ジュティがクトゥーを見て固まり言いづらそうに口を開く。


「・・・M?」

「違うわ、そういうくるものじゃない。」


 食事を終え方付けをしたところで火を囲み二人と一匹は座っている。


「さて、こいつの名前を決めないとな。何か名前はあるのか?」

「ぐぅうぉう。」


 残念そうに首を横に振る。


「見たことも無いから種類もわからないしな。」

「そうね。めんどくさいし私とクトゥーの名前を取ってクティとかで良いんじゃない。」

「ジュティとクティってなんか似過ぎて区別つきづらくないか?」

「んじゃあ、後半(こうはん)濁ってクディってのはどう。」

「クディか、どうだクディで良いか。」

「があぅあぐぁ。」


 うれしそうに頷く。


「よし決定クディね。よろしくクディ。」

「ぐぁあ。」


 ジュティとクディが楽しそうに笑う。


「さてジュティ、見張りはどうする先に寝るか後に寝るか。」

「先に寝て良いかしら。ちょっと疲れたわ。」

「構わん。クディも寝て良いぞ。」

「ぐうぅあ。」


 不安そうな目でクトゥーのほうを見るクディ。クトゥーはその目を見て考える。


「大丈夫よこう見えてクトゥーは結構強いのよ。」

「まあ、実戦ならな。実戦でも強いとは言い切れないがな。」


 アームレスリング等の純粋な力だけの試合では誰よりも弱いそんなことはクトゥーも自覚している。弱く見えるのは知っている。

 クトゥーはクディに向きなおし近づく。そっと腕を回し告げる。


「安心しろクディ俺達はお前を置いて行きはしないよ。だからゆっくり眠りな。朝起きて誰かがいる喜びを教えてやるよ。」

「がぅ。」


 優しく返事をしてクディは横になった。


「んじゃ私も寝るわ、ゆっくりさせてもらうわよ、何かあったら遠慮なく起こして。交代は3時間くらいで良いかしら。」

「ああ。」

「んじゃ起こしてね。」


 朝になり、ジュティがばたばたとテントから出てきて錫杖を抱えてて座ってる。クトゥーの(もと)に来た。


「朝じゃないの。」

「朝だな。朝日が輝かしいすっきりとした良い朝だ。」

「交代はどうしたの。」

「落ち着け、俺もちゃんと寝たから。」


 肩を押さえじっとにらみつけるジュティ。こんなにも攻められると思っていなかったクトゥーは押され気味だ。


「こうやって、周囲を探りながら寝る訓練もしてきたんだ、もともと、一人旅の予定だったから。気にしないでくれ。」


 クトゥーは錫杖をアンテナのように見立て説明する。


「わかったわ、信じるわよ。でも無理はしないでね。」

「了解。でもよく考えてみろ、もし昼間限界で寝てしまったときに一番運びやすいのは俺だろ、だから、結構理にかなってるんだよ。」

「それもそうね。いまじゃクディもいるし、クディの頭にでも乗せれば良いか。」

「がうぅ。」


 いつの間にか横に来ていたクディが任せろと言わんばかりに反応した。


「クディも起きたか、それじゃあ朝ごはんにするか。」


少し間が空いてしまいました。動物系キャラの登場です。もう一人くらい仲間を入れたいと考えていますがまだ少し先になると思います。考えているだけでキャラも参入シナリオも全然できてないのでやめるかもしれません。

少々、あらずじとシナリオに差異が出てきたので少し変えました。そんなに大きく変えてないので気にしなくて全然いいです。

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