愚兄、女子会の話題になる
ほとんどクトゥーさんの出ない大人しい回です。
「何いい年したおっさんが女のこ泣かしてるんですか。」
ぬっとクトゥーがいつの間にか戻ってきていた。
「ああ、私が泣かしたことになるのか。」
「いや、流石に冗談ですよ。解体終わったんで見てもらって良いですか。」
「はいはい、また商談か。」
「商人なんだからうれしいことでしょう。」
「お前らとの商談はしばらく控えたかった。」
ぶつぶつと言いながらドゥエンスはクトゥーの後についていった。
「そこの3人娘。手伝ってもらって良いかしら。」
ジュティがどうしていいかわからなくなっていた3人を呼ぶ。
「テーブルと椅子外に出して頂戴今日は人数がいるし天気が良いから外で食べようって。あ、その前に今晩の宿どうするつもりでいる? 宿屋なら村に一件あったわよ。」
「そうか、それはいいことを聞いた私は宿に手続きをしてくるから二人は手伝っててもらって良いか。」
「了解です。」
「わかりました。」
そう言ってミロイは村の中へと足を進める。クスヒオとヌラッグはその場に残りジュティの手伝いを始めた。
「あの~ジュティさん。」
「何?」
「お聞きしたいことがあるんですけど。」
「良いわよ。」
テーブルの準備を終え椅子に座って休む3人。クスヒオが恐る恐る声を出した。
「クトゥルさんとはどういった関係なんですか。」
「クトゥーは私の先生よ。」
「え。」
「あっちはただの旅仲間だとしか思っていないと思うけど。」
「先生なのに敬語じゃないんですか。」
「クトゥーが取れって言ってきたからね。だから取ってるけど私にとってはまだまだ学ぶことの多い先生ね。言われなかった上下関係がというか上に立つのが嫌いなんだと思うわよ。」
「確かにいらないって言ってました。」
「昔の私じゃヒジェの首ちょんぱなんて出来なかったわよ。」
「え、クトゥルって剣使えるの。」
予想外の答えの連続に思わず身を乗り出す。
「使えないわよ。」
「え、それじゃあ。」
「クトゥーは天才だからね。自分じゃ出来ないのに人に教えるのは上手い。根本的なことをしっかり理解しているんだと思うわ。彼に筋力と魔力が備わったらきっと誰よりも強くなるでしょうね。」
「クトゥルさん魔力無いんですか。」
今まで静かに聞いていたヌラッグが驚きの声を上げる。
「ええ、全く無いらしいわ。0よ0。」
「この世界にそんな人が。」
「特別なんでしょうね。筋力と魔力を失っている代わりに頭脳と目がとても良いからね。」
「「目?」」
「あれ、体験するタイミングなかった? クトゥーは凄く目がいいのよ。」
「知りませんでした。」
「随分と楽しそうだ。私も混ぜてくれ。」
ミロイが帰ってきてクスヒオの隣の席に座った。
「お帰り。ちゃんと取れた? うちじゃ流石に四人分の寝具は無いわよ。」
「大丈夫だ。お心遣い感謝する。」
ジュティが手を上げながらミロイを迎える。
「それで、何の話だったんだ。」
「クトゥルの目が良いって話が終わったところ。」
「そうなのか。」
「そういえばもう一つ聞きたいことあったんだ。」
クスヒオが思い出したかのように話題を振る。
「ジュティさん。男の方と旅をするって大丈夫なんですか?」
ジュティは腕を組んで考える。とても難しい顔をしてうなり声を上げ、俯く。
「まあ、クトゥーは特殊だけど基本的には大丈夫じゃないかしら。」
三人の顔を見て答える。
「もちろんあなた達の話も聞いているわ。誰もが誰もヤる目的でいる訳ではないわよ。まあ、男が信用なら無いのは分かるけど全員が行動力があるわけじゃない。ちゃんと守ってくれるような男だっているわ。現にあの二人からは守られたし手も出されなかったでしょ。」
「確かに、そうですけど。」
煮えきれない返答をクスヒオはする。
「まあ、クトゥーは筋力がほぼ無いから誰かを拘束するなんてことは出来ないから対象にはならないかもしれないけどフゼスリとも一晩過ごしたんでしょ。」
「ああ、いえ、フゼスリさんは。」
とても言い辛そうにする3人。その様子にジュティも首をかしげる。
「どうしたの?」
「あの、とても言い辛いんですけどフゼスリさんに性欲は無いんです。」
「何それ。本人の話? 信じられないわね。」
「いえ、私達は残念ながら信じられるんだ。」
ミロイが口を挟み信頼を得ようとする。
「ミロイさんまで。何か証拠でもあるの?」
「ああ。」
そう言って少し赤面してミロイは少し黙る。
「その…子孫を残すためのものがついていないんだ。」
「…。」
「えーっと全部じゃない。その…赤ちゃんを作るためのものを作れないというか。なんというか。ああ、去勢されてるとでも言うのか。」
「ああ、玉が無いのね。竿だけあって玉が無い。」
口ごもる3人を前に堂々とジュティは言う。
「へー成程。珍しいわね。へー。」
そう言ってどんどんとジュティのトーンが小さくなっていく。
3人は赤面して俯いている。
「みんなごめん用事が出来たわ。すぐ戻るからちょっと待っててもらっていいかしら。」
「あ、ああ構わないぞ。私達は答えてもらっている立場だしな。」
「ありがとうごめんね。」
そう言って立ち上がり、ジュティは小屋の入口へとダッシュで入った。扉は閉まらずに開けっ放しの状態になる。
「フゼスリ。ちょっと何で逃げるのよ。」
「何かとても嫌な予感を感じたからだ。近寄るでない。」
開けっ放しの扉から近くにいた3人には声だけが聞こえる。
「ええい。ちょっと下を脱いでもらうだけだから大人しく捕まれ。」
「それを聞いて大人しく出来るわけなかろう。」
「違う違う性的な目じゃない好奇心だから知的好奇心だから。」
「危ないので騒ぐんなら外でやってください!!」
セミコの怒号と共に静かになる。
「あの子達にはすぐに見せたのに何で私には見せてくれないわけ。」
「易々と見せるものでは無い。あの時は信用を得るために仕方なくだ。殿方ならまだしも女子に簡単には見せん。それになんか目がマジで怖かった。」
「ちょっとぐらいいいじゃないの。」
「あ、ちょ。」
「おお、本当に無いのね。子供の頃の師匠以来だからあれだけど確かにこれは違和感凄いわね。」
「まさかジュティ殿がこんなにも痴女であったとは。」
「失礼ね。私はまだ処女よ。さっきも言ったでしょ、これは知的好奇心よ珍獣を見てる感じね。」
「人間扱いですらなくなるのか。」
「面白いもの見させてもらったわありがとう。」
「なんとも受け取りづらいお礼だ。」
そして入口からジュティが出てくる。満足した顔で3人の前に座る。3人は苦笑いで迎える。
「いやぁ珍しいもの見れたわ。えーっとそうなると旅での話は出来ないわね。
道場時代の話だけど全員が全員襲おうとしているわけじゃないと感じたわよ。それに早い話男より強くなればいいのよ。」
自信満々にそう答える。
参考にならない答えに3人は少し肩を落とす。
「もしくは抱かれてもいいって男と旅をすればいいんじゃないかしら。」
立ちながらそんな台詞を言い去ろうとするジュティ。
「それって。」
「さあ、どうでしょうね。私じゃ参考にならないんだったらセミちゃんに聞いてみたらあなた達と同じような体験しているしね。」
そう言ってジュティは小屋の裏へといってしまった。
「なんだろうか。あの人にはいろんな面で敵いそうに無いな。」
「私達とんでもないパーティと知り合っちゃったんじゃないですか。」
「そうかもしれないですね。」
3人はぐてりとテーブルに体を預けた。
次回もほのぼの回になりそうです。次々回もそんな感じになるかもしれません。進展しなさすぎかもしれないですね。
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