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私、自分の作った小説に転生致しました。〈改稿版〉

作者: 郁嶋稚早

以前短編にしたものを少し長くしてみました。また、それにともない一部話を変えています。


楽しんでいただければ幸いです。

 (わたくし)の名前はサーシャ・エレミアス。公爵令嬢でございます。


 容姿端麗、文武両道の社交界で話題の少女ですわ。


 お母様譲りの黒髪、お父様と同じ緑色の目。


 将来、美女となることは約束されていると言っても過言ではありません。



 そんな私は高い身分ではありますが、元を辿れば日本の平々凡々な庶民でした。



 何故このようなことになってしまったのかというと、そう私は最近流行りの、異世界にしかも悪役令嬢に転生してしまったからであります。


 ただよくある乙女ゲームに転生したのではなく、自分の妄想をかき集めた、今思えばこの世に出すことも憚られる駄文を恋愛小説としてネットに投稿していたのです。


 しかも、完結まで終わらず途中で飽きてしまい書くのを辞めたのです。





 私が高校生の時、一時期小説を書くことに嵌りましたの。


 最初の頃は、友達に見てもらって満足していたのですが、友達は私の下手な文章を褒めてしまうという過ちを犯してしまい、調子に乗った高校生の私はそのまま推敲もすることなく、ネットに投稿してしまったのです。


 飽きて辞めてしまってから現在に至るまでの私は、小説を書いていた記憶なんて物は無くなっておりますからいきなり転生して気づいた時は羞恥心で死にかけましたわ。








 本当は…言いたくはないのですけど、私がいかに酷い小説を書いていたのかご説明致しますわ。その方が分かりやすいでしょうし。





 主人公は、伯爵令嬢のルビア・レミリア。


 よくあるピンクの髪にルビーのように赤くぱっちりとした目。


 いつも天真爛漫で笑えば、周りに花が咲き誇るよう…!遅く出来た子供ということもあってか、両親は蝶よ花よと育てられたため人を疑うことを知らない純粋な子。





 痛い、痛いですわ!


 ヒロインちゃんの設定が痛いですわ!おかげで、私の心も痛くなりましたわよ!


 ですが、なんとここまではまだ序の口なのです。


 言ってはアレなのですが、よく見るような設定ですわ。違う所があるとしたら、庶子ではないということかしら?




 そう…この話の酷い所は必ずしも悪役令嬢が必要ではないと言うこと!すなわち、あれ、このキャラなんでいるの?状態だったのです。


 悪役令嬢がいらない(イコール)身分違いの恋や試練と言った諸々の苦難が無ければ物語としての面白さのかけらもないのです!



 私の小説もどきの話は取り敢えずここまでにしておきましょう。…べっ、別に私がこれ以上思い出すのが嫌だという訳ではございませんわ!


 …こほん、気を取り直して。









 今現在私は、5歳でございます。


 転生したことに気づいたのは3歳の頃。


 俺様王子こと第3王子のシグナーノ・アルへミリー様に出会った瞬間のことでした。


 シグナーノはヒロインちゃんの本命のお相手。


 常に冷静で膨大の魔力を宿しているイケメン。銀髪で、青い瞳。


 …ただ、性格に難有り。



 ヒロインちゃんには、初対面から優しいのに周りの人間にはただの暴君。破壊神の如く、気に入らないことがあれば魔法を使い、脅すという悪魔。


 高校生の私よ、不思議でしょうがないですわ!


 なぜこのような男を生み出したのか!萌える要素が容姿しかないとは、どこのドM…いけないですわね。


 興奮しているせいか、いつもより話が脱線しがちですわね。





 そうそう、膨大な情報を思い出した私の脳みそは受け止めることが出来ず急に倒れた私に、周りはパニックに状態になってしまいました。


 倒れてしまったこともあり、私に決まりかけていた婚約の件も水に流れていきました。



 私の考えたストーリー通りにシグナーノの婚約者にならなくて済み、これで安心か、と私は思えません。そもそも私の考えた小説で悪役令嬢として全く活躍していませんでしたもの。悪役なんて些細な事ですわ。




 それよりも、そんなことで喜んでいる場合ではないのです。


 私の考えた小説の話は、本当にご都合主義で溢れかえっていたのですから。


 何よりも辛いことは、いまいち困難もなく二人がくっついてしまい私は断罪されてしまう事。辛いものを見させられるだけでなく、おまけ程度に断罪させられるなんて…。



 あぁ…思い出すだけでも恥ずかしいというのに、私が考えたストーリーを身をもって歩まなければならない苦痛。


 辛いですわ。






 そう…ですわね。ある意味、この転生をラッキーだったと考えるべきかもしれませんわ。


 恥ずかしいストーリーを変えていく、いいきっかけではありませんか。



 何、私は一応伏線や裏設定も知っているのです。あの恥ずかしいストーリーを今の私が変えていけばまだ、見るに耐えれるものになるのではないかと…。最悪、悪役令嬢としての勤めを果たし、物語を盛り上げていきたいですわ。


 不安があるとしたら、シグナーノとヒロインちゃんがくっついた後、隣国の王子でも出そうと考えていた事ですわね…。



 まぁ、出そうとして飽きてしまいましたけど。




 転生した私が、自分の小説の世界を面白くするために暗躍する。



 あら、悪役令嬢になりきらないのですかって?それは、最悪の場合ですわ。だいたい、私は既にシグナーノの婚約者ではないのですから。



 しかも、ヒロインちゃんたち小説の主要メンバーと関わってしまうともれなく私は大火傷を負ってしまいますわ。それを回避するためにも、悪役令嬢には出来る限りならないようにし、面白くするためだけに暗躍する。


 これは案外いい考えでないのかしら?















 それから10年が経ちました。


 私は、15歳になりましたわ。想像通り、絶世の美女になりましたの。


 あれから私は、本当に頑張りましたわ。



 ヒロインちゃんは伯爵生まれということもありよくパーティーで会いますの。仲良くなってはいけないし、かと言って避ければありもしない噂が立ってしまう。



 丁度いい距離感が難しかったですわね。



 勿論のことシグナーノは、目ざとくヒロインちゃんを見つけてちょっかいをかけ始めるのです。


 本当…私の目の前でそんなことをしないで下さいまし。




 …思わず私がここ10年で育てあげた我が家の暗殺部隊を送りつけてしまいそうですわ。


 えっ?どうしてそんなことをしたのかって?


 …そんなの最悪な場合を想定しているだけですわ。



 あら、私としたことが…はしたないですわね。




 この10年邪魔したかいがあったのか、無事2人は困難を乗り越え周りに祝福されながら婚約を結びましたの。


 どんな困難だったのかは秘密ですわ。


 これで晴れて私は自由の身に。


 2人もくっついたことだし、私もこれからこの世界を楽しもうとした矢先のことです。奴と出会ったのは。



 そう…私の考えただけで出していなかった隣国の王子に、目をつけられてしまったなんて嘘に決まっていつでしょう。


 あら、近づいてこないでくださる?私、今鳥肌が凄くて…。



 えっ、何?私が暗躍をしていたのを知っている?私が、恋のキューピットですって?





 そんなの…ありえませんわ。



 あら、いつのまに私の手を握っていらっしゃるの?





 取り敢えず、私の手を離してくださる?

読んで下さりありがとうございます!


評価、感想、ブックマークをしていただけると泣いて喜びます。



作者としては、かなり主人公のキャラが気にいっています笑

他にもファンタジーを書いているので、お時間があれば是非。



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