嵐の前の静けさ
いちゃいちゃが始まりました。
この話はタイトルの通りです
スマホの目覚ましが鳴っている。
いつもならここで二度寝するところだが、今日は白とのデートの約束がある為寝るわけには行かない。
行き先は白にお任せしてるし、まだ教えてくれないのもあってか、楽しみで昨日の夜からかなりドキドキしている。
服装はこれでいいんだろうか、念のためお金を下ろしていくか?
眠い頭で着替えながらぼんやりと考えていた。
待ち合わせは最寄り駅の改札前。
俺と白は家が割と近いらしく最寄り駅も近かった。
まぁ、俺はチャリ通で白は車なので、通学中にばったり会うこともないわけだが。
俺は余裕もって目覚ましをかけていたのでかなりゆっくり出来る。
そういえばあの後、柚木からメッセージが来ていて、「諦めません!」と何やら宣言してきたので、「見ただろ、俺と白は突然許嫁になった間柄だがラブラブなんだ諦めろ」と送り返すと、なんかイラッとするあっかんべーした顔文字を送ってきていた。
正直まだ何か企んでそうだし注意しないとなと思いながら、リビングに降りていき卵かけ御飯を貪る。 使った調味料はポン酢、胡椒、山椒だ。
割とこれがおいしい。
っと、そんなことはどうでも良い。
天気予報をチェックしたり身支度をテキパキと調えていく。
ワックスをつけるでもなく、何かおしゃれな人がやるような事も無いので、手間はかからない。
身支度調えてるときも、心は高鳴りっぱなしだ。
正直すごく楽しみで、昨日もなかなか寝付けずに困っていたくらいだ。
リア充軍団は小学生のようだと嘲笑うかもしれないが、俺にとっては今までの出来事と比べられない位に楽しみだった。
なんせ彼女いない歴年齢の童貞男だし、クラスで話す程度の友達こそいるが、一緒に遊びに行ったりするやつはいない。
家にいるのも妄想ばかりで頭がお花畑になりかけていたので、早めに出て頭を冷やしながらゆっくり向かうことにした。
自然も適度にあり、落ち着いた雰囲気の住宅街をのんびり歩く。
風が少し吹いていて、とても気持ちが良い。
「にしても、もう少しおしゃれしても良かったかな。ちょっと地味にも程がある気がする」
Tシャツにジーンズ。
シャツの上には無地のパーカー。
今頃、やっぱり別のにしたら良かったか、と少し後悔してきてる。
でも俺、ほとんど服を持ってないし、選びよう無いんだけどな。
まぁ、白は気にしないと思うけど、ちょっとでも釣り合う男になりたい。
背格好なんかは普通だし、顔は普通より少し良いかなって程度だし、なんで好かれているかは未だにわかっていない。
ほんと何でだろうな。
独り言を頭の中でブツブツと唱えながらスタスタと歩いて行く。
駅までそこまで遠くもないが、ぼーっとしながら歩いているとあっという間だった。
さすがに早く着きすぎたかと思ったが、すぐ白も着いたようで、結果オーライではあったかな。
楽しみだったのは俺だけではなかったらしい。
「おはよ――!?」
挨拶しようとして振り向いた俺の目の前には、ツバが広めの帽子をかぶり、白いワンピースを着た白がいた。
すごく似合っている。
可愛すぎてドキドキが止まらない。
制服だと目立たなかったからか、気がついていなかったがすごくスタイルがいいし、全体的に細身でもある。
かといって病的な細さではなく、しっかりトレーニングか何かをしているのかきゅっと引き締まっている。
と、とりあえず! どこかで聞いた情報によると、こういうときは服装を褒めると良いらしい。
「すごい似合ってる……あぁ、かわいい」
ちょっと心の声漏れた。
「そ、そうでしょうか……ありがとうございます!」
褒められた白は真っ赤になり、もじもじとしていた。
そんな仕草も、俺の心にぐっとくる。
癪だけど、ちょっとだけ親たちに感謝をしてしまう。
「うふふ。それじゃ、行きましょう!」
そう言うと白は俺の手をぎゅっと握って、引っ張って導いてくれる。
あぁ、幸せってこういうことを言うんだなぁ。
手の繋ぎ方もちゃっかりと恋人つなぎだ。
もうすでに来て良かったなぁなんて思ってしまっている。
みんなもこんなこと起きたら嬉しいだろ?
だが、行き先が気になる、未だに教えてもらってないし、聞いちゃうか。
「ところで、出かけるのは良いけど何処に行くんだ?」
すると、俺の唇に白くてすらっとした人差し指を当てられる。
「それは、まだ秘密ですよっ!」
いたずらな笑みを浮かべて、「ふふふっ」と笑う。
今日は朝からドキドキしっぱなしだ、心臓が破裂してしまいそうなくらい。
どこぞの父親の表情と区分は同じはずだが雲泥の差だ。
でも、行き先はあくまで着いてからのお楽しみのようだし、深追いはしないでおくことにする。
「それじゃ、楽しみにしておくよ」
「期待しててくださいねっ」
そのまま俺らは電車……ではなくロマンスカーに乗り込んだ。
割と遠目のところに行くらしい。
車内は綺麗でゆったりとした雰囲気だ。
荷物、財布と携帯しかないんだけど大丈夫かな……
あと、乗り込むときに一瞬視線を感じたけど、気のせいだろう。
気のせいだと信じたい。
うひょー!!!