理由
この話はいわゆるターニングポイントになっています。
文字数少なくてごめんね
その日、学校も終わり家族そろっての食事の場でとりあえず思っていることを徐々にぶつけていく。
「母さん、父さん。いきなり許嫁ってどういうことだよ!! 俺の意思はガン無視か!」
「ごめんなさいねぇ、でも小さい頃なんかすごく仲良しだったしいいかなぁって思っちゃったのよ~」
母さんは、まるで俺と白が幼馴染かのように話し始める。
その話を聞きながら厳しそうな父(中身はめちゃくちゃ柔らかい人だけどな。両親とも俺と妹のことすごく溺愛してくれてるし)はうんうんと頷いている。
ちなみに、妹は箸が完全に止まっている。
まるで魂が抜けているかのように微動だにしない。
それも仕方ない、さすがに兄が学生の身ながらいきなり結婚を約束された相手が居るというんだ、俺だったら倒れる。
ん、でも。
俺と彼女は仲が良かった?
「なぁ、母さん。仲良かったっていった? 俺、全く身に覚えがないんだけど。 少なくともあんな可愛い女の子はいなかった気が……」
「あら、覚えてないの?幼稚園の時仲良かったじゃない。あの頃は白ちゃんも男勝りでわんぱくだったわねぇ。懐かしいっ!」
「そうだな、祐介は女の子からモテモテだったけどいっつも白ちゃんと遊んでたしな。にしても、まさか覚えていないとは……」
お、思い出した! あいつ女の子だったのか……。
昔は一人称も僕だったし、全く気が付かなかった。
まぁでも、大分昔のことだし仕方ない事なのかもしれないな。
それに、許婚になったのも白の父さんとウチの父さんの会社が仲良いから理由はわからなくもない。
どうせ酒飲んでて盛り上がって約束して、その後思い出して色々話し合ったんだろう。
俺に全く話が伝わってなかったけどな!
「思い出した、まさか女の子なんて思ってなかった……。ていうか、父さんは白のお父さんと仲いいんだから絶対知ってたろ! なんで黙ってんだよ!」
思ったより困惑してる俺の様子を見て、父さんは少しいたずらな笑みを浮かべた。
気持ち悪い。
「教えない方が喜ぶんじゃないかなと思ったんだよ」
「思ったんだよ……じゃなくて! 俺としてはいってほし――」
「お兄ちゃん!! 許嫁ってどういうことよぉ! お兄ちゃんのこと独り占めしたいのに!!」
さっきまで放心状態だった妹――城島羽衣がいつの間にか意識を取り戻しており、割り込んできた。
「お前、これだけ話してたのになにも聞いてなかったのかよ!」
「しかたないじゃん! 大好きなお兄ちゃんが婿とか大事件だよ!!」
妹は大変なブラコンだ。
昔から可愛い可愛いって面倒見たりしてたら、いつの間にかブラコン妹ができあがってしまっていた。
でも、可愛いからオッケーです!
「とりあえず落ち着け羽衣。正直に言うと俺もさっき事態を知ったからな。上手く纏めて伝えられる気がしないから父さん母さんに聞いてくれ」
俺は思考回路オーバーヒート寸前なので部屋に戻ることにする。
「そういうことだから、俺は部屋に戻るよ」
その後も羽衣は色々ぎゃあぎゃあ叫んでいたが、俺は逃げるように部屋まで退散した。
色々有りすぎて今日は疲れた……。
頭から布団に向かって飛び込んだ俺は、普段使っているガラケーではなく、いつもサブとして使っている充電していたスマホの方を手に取り電源をつけた。
すると、見知らぬアカウントから友達申請とチャットが届いていた。
アカウントの主は――――雪園白だった。
「どうせ、母さんあたりが連絡先を教えたんだろうなぁ」
そうぼやきながら、申請を許可しお気に入りのユーザーに加えて、俺はそのまま寝ることにした。
本当に今日は疲れた…………でも、悪い日ではなかったかな。
その後、通知音が鳴った気がしたが眠いし、起きてから見ることにする。
そのメッセージがまためんどくさいことを起こすことを俺は知らなかった。
次から文字数増えるから勘弁してつかぁさい