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始まり

ラブコメ練習用に書きました

 俺は度肝を抜かれた。

 目の前には、この世に存在していいレベルを遙かに超えているような、美しい和風の少女が立っていたのだ。

 そしてこちらに向かって一言目を口にする。

「こんにちは、旦那様。 すごく会いたかった」


 時は高校二年の新学年が始まって間もない春の季節。

 受験でひぃひぃ言わなくてもいいし、仲の良い人や好きな人、恋人なんかも出来ていたりして気が緩みがちな時期。

 そんな時期の賑わってる朝の教室の中、俺は睡眠不足で机に突っ伏していた。

「はぁ、結局寝れなかった。 あれが頭から離れないし、急になんなんだよ」

 そう、あの後、俺のことを旦那様と呼ぶ美少女はそれでは、と頬に口づけを残して去って行ったのだ。

 ……説明の一つもなしに。

 そのせいで昨晩は全く寝られずに朝を迎えてしまったのだ。

 未だに頭に残っているし、ずっと気になっている。

 いきなり旦那様と呼ばれ、キスもされて……しかも圧倒的和風美少女に。

 それに、会ったこある気もするんだよなぁ 

 寝不足で全く働いていない頭で唸りながら考え込んでいると、視界の端に人影が映り込んだ。

「おうおう!どうしたんだよ、祐介。こんな朝っぱらから変なオーラ放ってよぉ」

「いや、何でも無い。 そんなことより相変わらず元気だな、俺にも少しその健康さを分けてくれ」

 すると、がたいの良い男。

 もとい、(みや)西(にし)(きり)(つぐ)はにひっと笑顔を浮かべて絡んでくる。

「いいだろ? 分けれるもんなら分けてやりてぇぜ! にしてもなんか悩みか?」

「まぁな、実は――」

 俺――城島祐介は昨日の出来事をとりあえず話してみた。

 まぁ、口は緩くないし義理堅い性格だから言いふらされる心配も無いだろうしな。

「――って事があって、めちゃくちゃ混乱してて、それで寝れなくてこの状態って訳だ」

「ほう? その子はそんなにかわいかったのか……おまえってモテたっけ??」

「モテてねぇから悩んでんだろ!!」

 霧継の言葉はいちいち心を抉ってくる。

 性格も温厚だし良いやつだけど、こういう何気なく人を言葉でぶん殴ってくる。

 ここさえ直せばなぁ。

「確かにな。 まぁ、でもいいじゃねぇか。おまえにもついに春が訪れたんだ!」

「でも、怖くないか? 急に好意をを向けられて。 それは良いけど、いきなり旦那様だぞ? ましてや俺と絶対に釣り合わなそうな超絶美少女……」

「明日にはおまえ、どこかに連れ去られてそうだな!」

 本当にありそうだからぞっとする。

 顔から冷や汗がしたたり落ちてくる。

 その位俺は怖い、タスケテ。

「やめろ! 普通に怖い!」

 そんな風に軽口たたき合ってると、女性教師が入ってきた。

 見知らぬ教師だな、新任だろうけどやけに美人だなぁ。

「席に着けお前ら! ホームルームだ!」

 なかなかに豪快そうな口調でホームル―ムを告げて、また口を開いた。

「初めまして。私は(しの)(のめ)(あや)()。今日からこのクラスの担任の担当だ! よろしくな」

 クラスはざわつく、少し前に担当がほかにいたのだ。

 あの先生はどうしたんだろうか、多分みんな同じ事を考えてるだろうな。

 東雲先生は察しが良いのか、予想していたのか、疑問に対して口を開く。

「前任の先生はぶっ倒れて学校をやめた。原因は家庭内ストレスと仕事の疲れだそうだ。そんなこともあって私は急遽ほかの学校から移ってきたという訳だ。」

 うわぁ……前の先生不憫すぎる。

 そういえば顔色も悪かったし、かなり顔が疲れていたっけなぁ。

「あと、今日から新しい生徒がこのクラスに加わる。いいぞ、入ってこい」

 この人初っぱなから転校生も背負わされるのかよ……かわいそう。

 そんな同情の念を抱きながらも開いたドアを見つめる。

「げっ……」

 入ってきたやつには見覚えがあった。

 ていうか、はっきりとその見た目は頭の中に焼き付いていた。

「おい、お前あいつのこと知ってるのか? っていうか、もしかして……さっきの話のやつってあいつか?」

「そうだよ、あれが急に俺のことを旦那扱いしてきた美少女……なんちゅう偶然だよほんと……。」

 まさに彼女は昨日の美少女であった。

 制服姿なのに学生らしさを感じれないくらいに、スタイルも良いし顔も良いし。

 何よりオーラが違うなオーラが。

 しかもなんかこっちに視線向けてきてる気がするし……助けて。

「よし転校生、自己紹介だ」

 無駄の感じない美しい動きで転校生は自分の名前を黒板に書いてゆく。

 めっちゃ達筆で正直読めない! 

 もう少し読みやすく書いてくれ!! 

彼女は名前を書き終え、こちら側へと体を向ける。

 その仕草さえもとてもきれいだ。

「私の名前は(ゆき)(ぞの)(はく)です。今日からこの学校でお世話になりますので、どうかよろしくお願いいたします」

 その後もとても澄んだ綺麗な声で淡々と自己紹介を続けていく。

 しかし彼女はこちらにチラリと視線を送ってきた。

 いやな予感がする……

「――です。あと最後に、私は祐介様の許嫁でございます。これで自己紹介を終わらせていただきいま――」

「「ええええぇぇぇぇぇええぇぇぇえ!!!??」」

 まさかのいやな予感を的中させ、俺を含むクラスの全員が驚きすぎて叫びをあげたとさ。


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