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会社員達の西瓜堪能生活

 8月もそろそろ終わろうとしているこの頃。私はというと、

「ふぅー。やはり暑いですね。」

 朝から草むしりをしていた。

 9月目前とはいえ、まだまだ暑さが厳しいこの頃。なので私はこの早朝に草むしりをしている。鎌を持ち、軍手を手にはめ、雑草をむしり取っているのだが、

「雑草を刈っている優君も素敵♪」

 …何故か横に、菊池先輩がいた。誰にも言わずに草むしりを始めたにも関わらず、何故か菊池先輩は途中からやってきて、

「優君!草むしり手伝うわ!」

 と、軍手やごみ袋を持ってやってきたのだ。ほんと、何故私が草むしりをしていることに気付いたんでしょうか?確かに、カーテンを開けて外を見れば気付くかもしれませんが、まだ早朝。みんな寝ていてもおかしくない時間帯のはずです。なのにどうして…?

「…そういえば優君。そろそろ学校が始まるわね。」

「そう、ですね。」

 一瞬、体の動きが停止してしまったが、それでも草むしりを続行する。

「学校は楽しい?」

「…大変、ためになっております。」

 この受け答えで、菊池先輩はおそらく、いや、確実に気付いたでしょう。

 私が、学校生活を楽しんでいないことに。ですが、これ以上の言い方は思いつきませんでした。私の言葉足らずが原因でしょうが、菊池先輩に心配をかけないためです。きづいていなければいいのですが…。

「…そう。」

 多分、気付いているのでしょう。声が急に暗くなりましたし。

「あ、そういえばこの前、スマホに着信あったじゃない?」

「着信?あ、あの夏祭りの日のことですか?」

 おそらく、私に気を使っての話題なのでしょう。さすがは大人、というところでしょうか。

「そう。あの後、結局色々はぐらかされて聞けなかったわよね。だから聞いておきたくて。」

「あれはしお…、」

 スマホを見ている途中で、

「そろそろ朝食の用意を始めないといけませんね。」

「?あら、そうね。」

 菊池先輩も自身が身に付けている時計で時刻を確認したのか、納得してくれた。そもそも、平日にわざわざ草むしりを手伝わなくても良かったのに。ほんと、菊池先輩は優しい先輩ですね。

「今日は夏野菜カレーです。目が覚める様、少し辛口に作りました。」

「うん、うん。」

 と言いつつ、菊池先輩は私に優しい眼差しを向け、

「それじゃあ、手を洗ってから、一緒に用意しましょうね。」

「はい。」

 その後、

「どうしようもなかったら、私を頼ってね?」

 その言葉の意味が分かった私は、

「ありがとうございます。」

 そう返すことしか出来なかった。

「ふあぁ~。さ~て今日もってお前ら、その恰好は一体?」

「常日頃酒と男女の関係になっているあんたなんかじゃ一生分からないわよ。」

「酒と肉体関係なんかこれっぽちもねぇよ!」

 今日も菊池先輩と工藤先輩のやりとりが聞こえる。

 さて、これからもがんばりましょうか。


 そして、仕事が終わり、

「今日の夕飯はどうするかな。」

 夕飯に使う食材を探し、商店街を回っていた。そこに、

「おや?もしかしなくとも優ちゃんじゃないかい?」

「おお!優か!」

 この一声で私の存在を知られてしまい、「こっちにおいで。安くしておくよ。」と手招きされてしまう。私はその誘惑を拒否ることが出来ず、全部の店を回った。そのおかげで、多くの食材をべらぼーな値段で買うことが出来たが、

「かなり激安とはいえ、こんな大きなスイカ、どうしましょうか?」

 夏、というか売れ残った大きなスイカを買ってしまった。それも2玉。デザートで食べられるとはいえ、皮はどうやって食べましょうか。

「やはり、あれしかありませんね。」

 皮の食べ方に少し悩みつつ、

「ただいま戻りました。」

 と、自宅に帰ったような挨拶を交わす。

(と言ってもこの時間は誰も…、)

「お、優?おかえり。」

「工藤先輩!?こんな時間に…、」

「…お邪魔しています。」

「こ、こんばんは。」

 橘先輩と桐谷先輩がいた。どうして?

「今日はここで飲み会をしようと思ってな。それでだ、」

 工藤先輩は急に真剣な顔つきになる。

「りょ、料理を試みたのだが、結果、」

 と、工藤先輩は台所を指差し、

「…人様にだせないようなものを生み出してしまった。スマン!」

 台所を見てみると、

(何ですかこれ?)

 皿の上には、よく分からない何かがあった。

「まるでダークマターね。」

 菊池先輩の容赦ない一言に、

「う!?」

 工藤先輩の心に突き刺さってしまったようであった。せっかく私が何も言わずにいたのに、菊池先輩は相変わらずです。これも愛情の一種、なのでしょうか?

「それじゃあ、夕飯の用意をしますね。おつまみは…これをどうぞ。」

 レンジで軽く温めた野菜炒めを出す。

「お、おう。なんかすまんな。」

「いえ。気にしないでください。困った時はお互い様ですから。」

「そ、それじゃあ改めて乾杯!」

「「乾杯。」」

 こうして、工藤先輩、橘先輩、桐谷先輩の計3人の飲み会が、

「お、面白そうなこと、やろうとしているのか?」

「私も一緒に混ざっていい?」

 始まらなかった。

 その後、台所にも手伝いの人が何人か来てくれて、3人の飲み会が参加人数二桁を超える宴会となっていた。ご飯もきちんとだせましたし、おもてなしもできたみたいでよかったです。

 その後、

「片づけは俺一人でやるよ!だから、な?」

「え、ですが…?」

「やらせてください。俺を立てると思ってお願いします。」

 と言われたので、片づけをお願いした。橘先輩と桐谷先輩も帰っていきました。本日の

 8月末の宴会は、こうして幕を閉じた。

 スイカの皮のキンピラは、後日の弁当に入れておくとしましょう。

次回予告

『会社員達の大企画人員選定生活』

 9月が始まり、アルド商事との合同プロジェクトに参加する人員が発表される。発表されればエリート街道まっしぐら、出世確実となる。そんな将来有望な人材の選定が終わり、社内で発表される。その裏には、人々の気持ちが水面を漂っている。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

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