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新中学生達の期末考査実施生活

 週末、期末考査の範囲をひととおり復習し、いよいよ期末考査当日。

「早乙女君なら大丈夫だと思うけど、ケアレスミスしないようしっかり見直ししてね?」

「はい、もちろんです。誤字脱字しないよう何度も確認するつもりです。」

「ならいいわ。それじゃあこれから問題用紙、解答用紙を配るわ。準備はいい?」

「ええ。」

 私は保健室の先生監視の元、期末考査を始めました。

(・・・やはり、私だけ別室なのですね。)

 どうして私は未だにカンニングしたと思われているのでしょう?本当、カンニングなんて一度もしたことがないと言うのに。

(はぁ。)

 内心落ち込みつつも、私は期末考査に集中して取り組みました。


 同時刻。

 別の教室で桜井綾、風間洋子、神田真紀、太田清志の4人も期末試験を受けていた。

(嘘でしょう!?こんなことって・・・!?)

(流石は早乙女君。ここまで合っているなんて・・・。)

(早乙女君、凄過ぎない?)

(早乙女が出してくれた問題のおかげで、テストの問題が楽々だぜ!)

 その4人は、テストの問題を見てそれぞれ驚いていた。

 何故かと言うと、テストの問題が、早乙女優が解かせた問題と酷似していたからである。そのおかげで、ほとんどがテスト問題に苦戦している中、4人だけがスラスラと問題を解けている状況である。

(早乙女君のおかげで、解ける!)

(ありがとう、早乙女君。)

(凄い・・・凄い!)

(・・・なんかテスト問題、簡単過ぎないか?)

 それぞれの感想を持って、期末考査は終わろうとしていた。


(・・・こんな感じ、ですかね。)

 私は一通り問題を解き終え、三回ほど見直しをし、間違いがないことを確認しました。これなら出しても問題ないでしょう。

「先生、出来ました。」

 私はテストを先生に見せ、提出しようとしました。

「!?本当に、いいのね?」

「?ええ。今の私が出来る最善を尽くしたと思います。」

「・・・そう。ならいいわ。」

 先生は私の解答用紙を見て何か言いたそうにしていましたが、気のせいでしょう。

「それでは先生、私はこれで失礼します。」

「・・・本当はまだまだ学校にいなくちゃいけないのだけど、用があるのね?」

「はい。」

 これから自宅に戻り、出勤準備をしてから出勤し、仕事をしなくてはなりません。

(最近、期末考査が近いという事で、仕事がおざなりになっていたと思います。)

 先日、期末考査の関係で仕事を休んでしまいましたしね。その分

 頑張りませんと。

「・・・ならもう止めないわ。用事、しっかりね。」

「・・・用事について聞かないのですか?」

 私はふと、気になっていたことを聞いてみました。

 私の気になっていた事とは、私の用事の件です。

 私は仕事の事だと分かっているのですが、先生は、私の言う用事が仕事だと分かっていません。それどころか、詳細に話していません。

 なので、私が用事と称して遊んでいる可能性だってあります。まぁ私はそんなこと一切していないのですが。

「・・・聞いて欲しいの?そして、聞いていいの?」

 保健室の先生は、私の質問に対して、質問で返してきました。

 私は少し考えましたが、保健室の質問に答えます。

「いえ、出来ればこのまま聞かないでほしいです。」

 そういえば、細かいことを詮索してくれないことに関してお礼を言っておいた方がよろしいですね。

「そして、私の事情を細かく詮索しないでくれてありがとうございます。」

 私は保健室の先生に対して頭を下げます。

「!?早乙女君!!??どうして頭を下げているの!?とにかく頭を上げて!」

 私は保健室の先生の言葉に従い、頭を上げます。

「・・・とにかく、他の人はどうか分からないけど、私は早乙女君、あなたの事情を細かく詮索するつもりはないわ。あなたにも、誰にも言えないような事情、あるのでしょう?」

「はい。」

 誰にも言えないような事情。確かにあります。

(そもそも、赤の他人にペラペラ話すようなことでもないですし、話したところで信用してもらえるかどうか・・・。)

「だから聞かないようにしているわ。聞かれたくないことを事前に察知して、なるべくその話題に触れないよう話していく。これが大人よ。」

「そう、ですか・・・。」

 この気遣い、ありがたいです。流石は大人、ですね。

「それでは、私はこれで失礼します。本日はありがとうございました。」

 私は保健室の先生に向けて軽く頭を下げてから、保健室を後にしました。


 早乙女優が保健室を退室した後、

「誰にも言えないような事情、ねぇ。」

 保健室の先生である寺田は、早乙女優から受け取った解答用紙を見る。

「一体、どんな事情を抱えたら、こんな解答をするのかしらね。」

 その解答用紙は、名前以外、どの問題にも解答していなかった。

「まさか、早乙女君にこんな弱点があったなんてね。確かこのテスト、作った本人曰く、復習しなくても誰でも簡単に満点がとれるようなテストだって聞いたのだけど・・・。」

 寺田は体育の解答用紙に記載している問題の内容を読み取る。

(サッカーの1チームのプレイ人数とか、ゴールにボールを入れる行為って・・・これ、簡単過ぎない?サッカーは1チーム11人って常識だし、ゴールにボールを入れる行為って、シュートのことよね?これが分からなかったというの!?)

 寺田は改めて早乙女優の解答用紙を見る。

(やっぱり、何度見ても空白ね。これだと0点確実よ。)

 しかし、早乙女優の真っ白な解答用紙に寺田が何か書き加えるわけにはいかない。

(そんなことしたら、早乙女君がカンニングしたことになってしまうわ。だからこのまま出すしかない。けど・・・、)

 こんな解答を普通に提出していいのだろうか。

(それに・・・、)

 寺田はもう一枚、音楽の期末考査の解答用紙を見てみる。その解答用紙も体育の解答用紙同様、名前以外空欄で真っ白であった。

(まさか体育だけでなく音楽まで・・・。見る限りだと、このテストの問題もとても簡単なのにどうして・・・?)

 寺田にとって、早乙女優の知識の偏りに気付いたテストとなった。


 テスト後、学校中にある噂が飛び交った。

 その噂は、今までカンニングしてきた男は、カンニングしないと常識問題ですら分からない馬鹿男、というものだった。その噂は生徒だけでなく先生にも知られ、早乙女優はほとんどの生徒、先生からより嫌悪される存在となっていった。

 その一方で、国語、数学、社会、理科、英語の5科目を満点で突破した4人の生徒がいた。その4人は同級生達から、どうして満点を取ることが出来たのか、満点を取る秘訣について教えてくれとせがまれた。そのせがみに対し、多少言葉の違いはあったものの、4人はこう答えた。

“絶対教えない。”

 と。

 こうして、期末考査は終わった。

次回予告

『小さな会社員の夏祭屋台相談生活』

 小さな会社員、早乙女優の元に商店街の会長から電話が来る。

 電話の内容は、夏祭りの屋台に関する打ち合わせがしたい、というものだった。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

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