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新中学生達から小さな会社員への期末考査相談生活

 暑さが徐々にこの日本に訪れ始めるこの頃。ですが、私達社会人に暑さ寒さは関係ありません。きちんと出勤し、仕事をしなくてはなりません。中にはリモートワークで、家にいながら仕事も出来るのですが、私個人の意見として、こうして先輩方一人一人の顔を直接見る事が出来るので、今は会社に出勤し、共に仕事をしていきたいものです。

(会社に行けば、家で冷房を付けなくて済みますからね。)

 ・・・別に、会社に行けば電気代がある程度浮くから会社で仕事している、なんてことは思っていませんからね?

 本当ですよ?

「あ~あ。こんな暑いと、ビールが飲みたくなるな~。早く仕事を終わらせて、家に帰って一杯やりたところだぜ。」

 そう言い、工藤先輩は手をコップの形に寄せ、口元で傾ける。さしずめ、ビールを飲んでいる雰囲気でも味わっているのでしょうか。

「まったく。あの酒馬鹿は、酒を飲むことしか考えていないのかね。」

 工藤先輩の言葉に、菊地先輩は呆れていました。

(私も、工藤先輩には出来るだけお酒を控えてもらいたいです。)

 お酒そのものが悪い、なんて言うつもりはありませんが、飲み過ぎると毒になりえますからね。そして、工藤先輩は飲み過ぎる節があります。特にこの季節は、暑いという理由でお酒を大量に摂取します。

(大人になると、どうしてもお酒を飲みたくなるものなのでしょうか?)

 成長するにつれ、味覚が変化すると聞きます。となると、大人になるとお酒が美味しく感じ、お酒が飲みたくなる性格に変化するのですかね。私にはよく分かりませんが。

「ん?」

 いきなり着信がきましたね。誰からでしょう?

(この着信、もしかして・・・?)

 私は離席してから少し移動し、電話に出ました。

「もしもし?」

「もしもし?私だけど分かる?」

「・・・保健室の先生、で合っていますか?」

「正解よ。」

「それで、どのような用で電話をかけてきたのでしょうか?」

「今日はね・・・、」


 時と場所は変わる。

「洋子、そろそろ早乙女君から勉強、教わらない?」

 桜井綾は風間洋子に提案する。

「・・・そうね。そろそろ期末も近いし、追い込みをかけたいところね。」

 桜井綾の提案に、風間洋子は乗る。

「それじゃあまず、真紀ちゃんと太田君に声かけて早乙女君を・・・、」

「ん?どうしたの、綾?」

「早乙女君って今日、休んでいたよね?」

「今日どころか、先月、ほとんど来ていなかったけどね。それがどうかしたの?」

「どうやって早乙女君と話をしようかなぁって。やっぱり保健室しかないのかな?出来れば直接会って話したいなぁって思ったんだけど・・・。」

「う~ん・・・。無理じゃないかしら?早乙女君、滅多に来ないから。もしかしたらこのまま期末テストまで学校に来ない、なんてこともあり得るんじゃないかしら?」

「あり得そうだね。それじゃあ保健室に行こう!洋子、一緒に行ってくれる?」

「もちろん。私も早乙女君から勉強を教わって、期末テストでいい点数をとりたいもの。」

 こうして、桜井綾と風間洋子は、保健室の先生と接触する為、保健室に向かう。

「おお。風間に桜井じゃねぇか。こんなところでどうしたんだ?え?早乙女に勉強を見てもらえるようお願いするのか?それじゃあ俺も一緒に行ってお願いするか。今回の期末もいい点数取って新しいゲームソフトを・・・。」

「あ、綾ちゃんに洋子ちゃん!こんなところでどうしたの?・・・え?早乙女君に勉強を教えてもらえるようお願いするって!?私も行く!期末でいい点数とって新しい服を・・・。」

(なんか太田君と真紀ちゃん・・・。)

(思考が似てきているような気がするんだけど、気のせいかしら?)

 太田清志と神田真紀の思考が似ているような気がしたものの、桜井綾と風間洋子はそれほど気にせず、4人で保健室に向かう。

「いら・・・どうしたの?」

 保健室の先生は、4人が急に来訪したことで少し驚いたものの、すぐに平静を取り戻し、4人に話しかける。

「早乙女君に用があるんですけど・・・、」

 こう桜井綾が話を始める。

「なるほど。それで私に会いに来たのね。」

 保健室の先生のこの言葉に、桜井綾は首を上下に振る。

「了解。と言っても最近あの子、学校に来ていないから、私も近況は知らないのよね。今から電話をかけてみるから、ちょっと待ってて。」

「「「「はい。」」」」

 保健室の先生は、早乙女優の電話にかける。

「もしもし?私だけど分かる?・・・そうよ。それじゃあ用がある子に電話、代わるわね。はい。」

 保健室の先生は、自身の携帯を桜井綾に渡す。

「ありがとうございます。」

 桜井綾は保健室の先生から携帯を受け取り、電話越しに話しかける。

「も、もしもし?早乙女君?」

 桜井綾は不安そうな声で話しかける。

「あのね、早乙女君に勉強を教えて欲しいなって思っているんだけど・・・いい?」

 桜井綾のお願いに周囲の人達は、早乙女優がどう返答してくるのかを静かに待つ。

「ほんと!?・・・うん?うんうん。うん、分かった。・・・え?」

 桜井綾はここで、保健室の先生を見る。桜井綾の視線で、私に何か用があると悟った保健室の先生は無言で頷く。

「それじゃあ代わるね。」

 桜井綾から携帯を受け取った保健室の先生は、自身の携帯を耳に近づける。

「もしもし?どうしたの?・・・うん、うん。」

 保健室の先生は、電話先の早乙女優から話を聞く。

「「「「????」」」」

 途中、保健室の先生は桜井綾達をチラチラ見る。

「分かったわ。持ってこさせるようにすればいいのね。OK。ちゃんと伝えておくわ。それで今週の金曜日に・・・そう。それでこの子達の成績が良くなるなら別にいわ。私に強制させる権利なんてないもの。それじゃあまた近いうちに。」

 保健室の先生は電話を切る。

「それで、どうだったんだ?」

 待ちきれなかったのか、太田清志は保健室の先生に聞く。

「それは、桜井さんから聞いた方がいいんじゃないかしら?」

 保健室の先生の言葉で、視線が桜井綾に集中する。

「それで、どうなんだ?」

 太田清志は桜井綾に質問する。

「・・・OK、だって!」

 桜井綾の嬉しそうな顔に、

「よ、良かった~。」

「これで期末テストは安泰ね。」

「ふふふ。これで新しい服を買ってもらえる・・・。」

「へへ。これで新しいゲームソフトが買ってもらえる・・・。」

 それぞれ安堵の表情を見せる。なかには、自身の欲を言葉にし、欲に忠実な表情をしている者もいた。

「それで、早乙女君から伝言をもらったのだけど、言っていいかしら?」

「「「「????はい。」」」」

 桜井綾、風間洋子、神田真紀、太田清志の4人は疑問の感情を顔に出しつつ、保健室の先生の言葉に耳を傾ける。

「明日の朝。君達の理解度が分かるようなプリントやらノートやらを持ってきて欲しいんだって。その内容で一人一人の勉強方針を決めるらしいの。」

「「「へぇ~。」」」

 桜井綾、風間洋子、神田真紀は保健室の先生の言葉に応える。

「やっぱり早乙女君凄いね!」

「そうね。流石、あの太田君を学年1位にさせただけの事はあるわ。」

「そうだね。あの、太田君が1位だったものね。早乙女君、凄い頑張っていたと思う。」

「・・・なんか俺、ボロクソに言われていないか?」

 太田清志は落ち込むものの、話は進む。

「それじゃあ今日はこれで解散。明日の朝、自分の実力が分かるようなプリントやらなんやらを私に渡してね。」

「「「「はい。」」」」

 こうして桜井綾、風間洋子、神田真紀、太田清志の4人は保健室を去った。

 翌日、4人はそれぞれプリントを複数枚入れたファイルを保健室の先生に渡し、保健室を去る。

その少し後、保健室の扉から規則的に音が鳴る。

「入っていいわよ。」

 その言葉を聞き、扉の外にいた者は、扉を開けて保健室の中に入る。

「失礼します。」

「待っていたわ、早乙女君。」

 入室した者は、早乙女優である。

「それで、昨日言った物は今手元にありますか?」

「はい。これでいい?」

「拝見します。」

 早乙女優はそれぞれのファイルからプリントを取り出し、問題の内容、問題に対する解答を一通り見る。

「・・・なるほど、分かりました。これで十分です。ありがとうございます。」

 早乙女優は保健室の先生にお辞儀をする。

「それでは私はこれで失礼します。」

 早乙女優は、これで用件が終わったので、保健室を去ろうと扉に手をかける。

「どう?」

 早乙女優の背中から質問が飛んでくる。早乙女優は手にかけていた扉から手を離し、保健室の先生に向き直す。

「どう、とは?」

 早乙女優は保健室の先生の質問に対し、質問で返す。

「あの子達の期末の事。問題なさそう?」

 早乙女優は保健室の先生の質問に対し、少し間を開ける。

 そして、質問に答える。

「・・・四人とも、期末まで勉強しなくても平均点はとれそうです。勉強次第で上位、もしくはトップも狙えますね。」

「・・・そう。その言葉が聞けて良かったわ。」

 早乙女優は無言で保健室の先生にお辞儀をし、再び扉に手をかける。

「頑張ってね。」

 保健室の先生のこの言葉に、

「はい。」

 早乙女優は返事をし、保健室を退室する。

次回予告

『新中学生達から小さな会社員への期末考査対策生活』

 早乙女優は桜井綾、風間洋子、神田真紀、太田清志の4人から頼まれて、4人の勉強を見る。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

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