成人している女性達の大学祭準備生活~続~
「そして私は、優君と肉体的に繋がる事が出来、幸せに過ごしていくのでした。めでたしめでたし・・・。」
「そんな出来事は起こっていませんよね?過去を捏造しないでください。」
「何を言っているの、優君?過去じゃなくて、未来の私達を予言しているのよ!」
「であれば、そのような未来は永遠に訪れないので安心してください。」
「安心出来ないのだけど!!??」
私は、峰田さん達と菊池先輩の出会いを聞いてよかったと思います。
(それにしても、)
菊地先輩って昔、清掃のお仕事をなされていたのですね。菊地先輩とは長い付き合いですのにまったく知りませんでした。
「あの時は本当に色々謎だったよね。」
「突然いなくなったし。」
「そして、急に姿が見えたと思ったら・・・。」
三人は菊池先輩を見てきます。
「「「こんな変態になっているなんて・・・。」」」
そして、がっかりしました。
(私も気持ちは分かります。)
知り合いがいつの間にかこんな変態になっていたらがっかりもしますよね。ましてや菊池先輩は私にとって大切な方です。大切な方がいつの間にか変態になっていく様を見るのはとてもがっかりしました。ですがまぁ、この変態も菊池先輩の個性として、出来るだけ暖かく見守ろうと決意しました。
(決意、したのですが・・・。)
たまに、菊地先輩の変態行為に何度も呆れてしまう時がありました。少しは慣れてきましたが、慣れないこともあります。
「さて、長く話もしてしまったことだし、作業をさいか・・・い?」
「ん?どうかしましたか?」
「ここにあった布が無いのだけど、どこにいったのかしら?」
「ああ。それでしたら既に縫い終わっていますよ?」
「・・・え?」
「え?縫ってはいけませんでしたか?」
「縫っちゃいけないわけじゃあないけど、自分の分は終わったの?」
「ええ。私の分は縫い終わりましたので、他の人の分も縫わせていただいたのですが、何か問題がありましたか?」
問題ないと判断して縫ったのですが、勝手でしたでしょうか?・・・いえ、勝手だったのでしょう。勝手に判断して、勝手に行動したのですから。私は気遣いのつもりで行ったのですが、別の視点からすれば勝手、としか言えないのかもしれません。
「勝手に縫ってしまい申しわけありません。不服ならすぐに全て糸を抜きますので、再度縫ってください。」
「「「いやいやいや!!!そうじゃないから!!!」」」
「?ではどういうことですか??」
私が勝手なことをしたから怒るのではないでしょうか?
「だって、自分の分はどうしたの?」
「そんなの、話の序盤で終わりましたが?」
ですから、他の人の分も縫ってしまおうと考え、行動に移しました。
「「「・・・。」」」
私の言葉を聞いてかどうかは分かりませんが、何故か唖然としています。
「さすがは優君、仕事が早くてびっくりだわ~♪」
「そう言いながら菊地先輩も、下田さんの分をやっているではありませんか?」
「そう言う優君も、何気なく二人の分もやってあげて、優君自身の分を含めたら三人分やっているじゃない♪」
「いえいえ。これもお三方が進ませてくれたおかげです。私一人では終わらせることが出来ませんでした。」
私と菊池先輩がこのような話をしていると、
「「「・・・。」」」
さらに呆然としている三人と視線が合いました。
「色々凄いと思っていたけど・・・、」
「優君も十分凄かったのね。」
「本当、この二人には驚かされっぱなしよ・・・。」
なんか色々言っていましたが、とにかく私がやっておいても問題なさそうですね。問題なくて良かったです。
「それではもっと頑張って、出来るだけ早く終わらせましょうか?」
「え、ええ。」
「ほとんど、この二人のおかげだけどね。」
「私も頑張らないと。」
こうして、私達は協力して作業することになりました。
(昔話も聞かせてくれましたし、そのお礼の意味を込めて頑張りましょう。)
そのためにも、しっかり腕や指を動かしていきましょう。
作業してからそれなりに時間が経過しました。
「や、やっと・・・、」
「か、か、か、」
「かんせ~い。」
下田さん、峰田さん、川島さんはとても疲れているご様子です。無理もありません。さきほどまでずっと集中し続けていましたからね。疲れるのも無理ありません。
「まぁ、私と優君がほぼやったようなものだったけどね。」
「菊地先輩、そんなことはありませんよ。峰田さん方が協力してくださったおかげで、予定上に早く終わらせることが出来ました。」
さて、これで終わりましたし、完成したこの服はどうするのでしょうか?この家に住んでいる下田さんに聞くとしますか。
「下田さん、この服はどうしますか?」
「そうねぇ・・・。」
下田さんは少し考え、
「家で預かるのも怖いし、大学祭までセキュリティ万全の貸倉庫を借りて、そこに入れようかしら?多少お金がかかっても、完成品を汚したり、盗まれたりするよりましだと思うけど、どう?」
「いいと思います。なんなら、貸し倉庫のレンタル料をお出ししましょうか?」
私が鞄から財布を取り出し、お金を出そうとすると、
「!?貸倉庫のレンタル料くらい私が払うわよ!?だから優君はその財布をしまって!」
「そうですか?」
「そうそう!」
「子供にお金をださせるわけにはいかないわ!だからここは、大人達に花を持たせると思って、ね?」
「・・・分かりました。」
そうおっしゃるならと、私が大人しく引き下がるとしますか。私は財布を鞄にしまいました。
「それにしても、予定よりずいぶん早く終わったとはいえ、お昼の時間が過ぎちゃったわね。」
「お昼、どうする?」
そんな峰田さんと川島さんの話に、私は携帯で周辺のお店を検索していた時、
「ちょっと遅くなったけど、周辺に良いお店があるの。ここなんだけど・・・、」
と、下田さんが私達に携帯の画面を見せてくれました。
(確かに美味しそうですね。)
下田さんが見せてくれたのは、美味しそうなパスタの画像が掲載されていた店でした。
「この店、前から行ってみたかったのよ。」
「でもこの店、かなりの人気でなかなか入れなかった気がするんだけど?」
「ふふ~ん♪これを見て。」
下田さんは機嫌をよくしながら、別の画面を見せてくれました。
「レディースデー、ですか?」
「ええ。今日はレディースデーという事で、女性だけ入店出来るようになっているみたいなの。だから比較的入りやすいはずよ。それに、」
下田さんは時計を指差します。
「幸い、忙しいお昼時を過ぎているからきっと入れるわよ。」
確かに一理あります。
(ん?)
私はさきほどの話を聴き、気になることがあったので下田さんにあることを聴くことにしました。
「下田さん、少しよろしいですか?」
「何かしら?」
「今日がレディースデーだから、女性しか入店出来ない、ということですよね?」
「ええ。」
「女性しか入店出来ないということは、男性は入店出来ない、ということですよね?」
「そうね。」
「私、その入店出来ない男性なのですが?」
「・・・あ。」
どうやら下田さんは、私の性別を考慮していなかったらしいです。確かに、私は会社で勤務している時は菊池先輩お手製のメイド服を着ていますし、去年お会いした時もメイド服でしたからね。私の性別を勘違いしてしまうのも無理ないかもです。
(私個人としては、知り合いの性別を間違える事ある?と、聞きたくはなるのですが。)
まぁ、人によっては覚え辛い事柄なのかもしれないので、黙っておきましょう。
「大丈夫よ!」
私が個人的なことを考えていると、菊地先輩が何か断言してきました。菊池先輩の発言を不安に感じるのは気のせいでしょうか?
「何が大丈夫なのですか?」
私がそう聞くと、菊地先輩はどこから取り出したのか、女性服を取り出しました。
「その服、どこから取り出したのですか?」
「優君、そんなことよりこの服を見てどう思う?」
どう思う、とはどういう事でしょう?とりあえず、菊地先輩が持っている女性服の第一印象でも答えておきますか。私個人が抱いた第一印象ですけど、問題ないですよね?
「菊地先輩が着たら、とても素敵だと思いますよ?」
「あら褒めてくれてありがとう♪でもね、これ、私には着られないの。理由は分かる?」
「サイズが小さ過ぎるから、ですかね。」
「正解♪」
・・・もう嫌な予感しかしません。
「じゃあこの服は、誰のために用意したと思う?」
「・・・。」
サイズ的には、私に合いそうです。ですが、私が着る服ではないと信じましょう。
(となると、誰に着させるために用意したのでしょう?)
・・・駄目です。どの方にも小さ過ぎます。
(やはり、私のために用意、したのでしょうね。)
現実逃避を諦めた私は、
「私のため、ですかね。」
力なく返事をしました。
「正解♪」
どうやら菊池先輩が手にしている服は、私のために用意してくれたみたいです。
(嫌だなー。着たくないなー・・・あ。)
私は体のいい言い訳が思いついたので、その言い訳を言う事にしました。
「私は別の店で食事しますので、四人はそのお店でお食事してください。」
これならきっと、他の四人も気持ちよく食事が出来るでしょう。私はそう考えていたのですが、
「「「「え????」」」」
何故かとても驚いていました。何故でしょう?
「せっかくのお食事なのに・・・。」
「みんなで食べるから美味しいのに・・・。」
「本当に一人で食べに行くつもりなの?」
「優君、私とは遊びだったの!?」
・・・なんか一人、変な事を言っているような気がしないでもないですが、心の中にしまっておきますか。
「だって、せっかくのレディースデーですし、女性方だけでお楽しみください。男の私は近くで牛丼をいただきますので。」
「牛丼が食べたいなら後で私が世界一美味しい牛丼を作るから、ね?」
「いや、ね、と言われましても・・・。」
別に私、今すぐ牛丼が食べたいわけではありませんよ?単なる一例として牛丼を挙げただけです。
「・・・それじゃあ優君は、私と一緒にご飯、食べたくないの?」
「性別的に無理ですので、諦めて四人で行って下さい。」
私がそう促すと、
「「「「・・・。」」」」
何故か四人は落ち込んでいるご様子を見せました。せっかくこれから美味しいと定評のあるお店に行くというのに、空気が重いのは何故でしょうね。私には分かりません。
「それでは私は別のお店に行きますので。」
私は一礼し、部屋を出ていこうとすると、
「・・・仕方がないわね。優君、これを見て。」
「?はい。」
菊池先輩が渡そうとしてきたのは、菊地先輩の携帯でした。その携帯には映っていたのは、
「・・・これって、アイス、ですか?」
アイスでした。ですが、画面の下に記載していあった漢字四文字に目がいきました。
「期間限定って、このアイスはただのアイスではないのですか?」
「ええ。なんでも、パスタの味を再現したアイスになっているらしいわ。」
「パスタの味を再現、ですか?」
パスタと聞くと、ミートソースとかカルボナーラとかを彷彿とするのですが、その認識で合っているのでしょうか?
「ええ。カルボナーラとかジェノベーゼとかね。これはジェノベーゼらしいわよ。」
「つまりこの画像に載っているアイスは、ジェノベーゼ味のアイス、ということですか!?」
「ええ。優君、ジェノベーゼ味のアイスとか食べたことないでしょう?」
「はい!」
ジェノベーゼ味のアイスですか。一度、食べてみたいです。
(ですが、)
今日店に入ることが出来ません。何せ、今日はレディースデーらしいですからね。
(どうしましょう?)
・・・そうだ。
「であれば菊池先輩、テイクアウトでこのアイスを買ってきてください。お代はもちろん、私が持ちますので。」
これであれば、私がお店に入らなくてもこの期間限定であるジェノベーゼ味のアイスを手に入れる事が出来るでしょう。
「優君、このアイスはテイクアウト出来ないらしいわよ?」
「!!??」
ぐ!!??こ、これでは、直接店に行って実食するしか・・・、
(まだです!)
「デリバリーならどうですか!?」
私は半分投げやりに聞いてみました。
「優君、非常に残念だけど、この店、デリバリーをやっていないみたいなの。」
「・・・。」
菊池先輩が嘘を言っている可能性も完全否定出来ないので、私の携帯でも調べてみる事にしてみました。
(・・・テイクアウトやデリバリーはやっていないようです。)
ですが、どうしてもジェノベーゼ味のアイスを食べたいです。どうすれば・・・。
「・・・分かったわ。」
「何が、ですか?」
「私、優君の分まで、このジェノベーゼ味のアイスを堪能してくるわ♪」
「!!!???そ、そうですか・・・。」
食べたい、食べたい、食べたい!!!
(ですが・・・!)
自分の欲求のために自らの性別を偽るなんて・・・!
(でも、食べたい!!!)
どうすれば・・・!?
(ああ!?)
菊池先輩が、行ってしまいます!!!???
(自身の意見を変更するなら、今しかありません!)
私は意を決し、現状の自分が好奇心に負けたことを言葉に示しました。
「・・・します。」
「え?優君、なんだって?」
(!?)
菊池先輩、分かっていて聞いていますね!?
「私、女装して、みなさんと食事して、アイスを食べます!」
私が言葉を発し終えると、菊地先輩はニヤニヤしていました。
「それじゃあ、着ようね♪♪♪」
「・・・はい。」
私は、菊地先輩から女性服を受け取り、着替える事にしました。
「お、お待たせしました。」
私は、菊地先輩が持ってきた女性服に着替えました。
「「「・・・。」」」
すると、私の姿を見た三人は固まっていました。何か言いたいことがあるのなら言って欲しいです。
「笑うなら笑ってください。」
どうせ、男の私が女性の恰好をするなんておかしいでしょう?笑うなら早く笑ってほしいです。
「「「かわいい。」」」
「え?」
ですが峰田さん達は、私が想像していた反応と異なる反応を示しました。
「優君、普段から女装しているようなものだから、女装していても違和感ないわね。」
「確かに。」
「メイド服姿も似合っていたけど、私服姿も似合っているわよ。」
「・・・お褒めいただき、ありがとう、ございます・・・。」
私は心に思っていない感謝の言葉を峰田さん方に伝え、色々消費しながらお店に向かいました。
その後私達は、私の女装がばれることなく入店し、美味しいパスタをいただきました。入店後も女装がばれないよう、必死に私が女性であることを演じました。
(それにしても、このジェノベーゼ味のアイス、美味しい~♪)
やはり、このアイスを食べに入店して良かったと思います。入店するまでに色々失った気がしますが、それ以上に得たものが大きいのでよしとしましょう。
食事をした後、みんなでコーヒーを追加オーダーし、駄弁りました。衣装も完成しましたし、この店で多少駄弁っていても問題ないでしょう。駄弁る前、人気店なのでみなさんの迷惑になるのではないかと聞いたのですが、
「注文しているから大丈夫よ。優君も追加でアイスをオーダーする?」
菊池先輩の素敵な提案を即座に承認し、私は再びアイスを注文しました。
「・・・ねぇ?このミートソース味のアイスって美味しいの?」
「ナポリタン味のアイスまであるわ。このアイスは・・・あ、注文するのね。」
「流石にボンゴレ味のアイスは食べない・・・あ、食べるのね。」
何故か峰田さん、川島さん、下田さんは私の事を不思議そうな目で見ていた気がします私はただアイスを食べているだけなのに、どうしてそんな不思議そうに私を見ているのでしょう?もしかしたら、私の気のせいかもしれません。そういうことにしておきましょう。
(それにしても、何故この店には、パスタの味を再現したアイスを販売しているのでしょうか?)
どの会社から仕入れているのでしょうか?それともお手製?詳細は分かりませんが、美味しいので深く考えなくていいでしょう。
美味しい昼食と美味しいアイスを堪能した後、貸し倉庫をレンタルし、そこに一週間だけ服を保管することになりました。
「それじゃあ優君、またね。」
「今度は旅館で会いましょう。」
「困った時があったらいつでも来ていいわよ。相談に乗るわ。」
その言葉に一つ一つ感謝しながらお礼の会釈を行い、私と菊池先輩は三人と別れました。
(これでまた、返さなくてはならない恩が増えましたね。)
峰田さん、川島さん、下田さんにはこれからも生きていてもらいたいです。何せ、これから私がもらってきた恩を返すのですから。
(それまで、元気で。)
と思っても、来週会うんですけどね。来週、美味しい差し入れでも持っていこうかな。
一方、
「本当にあいつは変わったわね。」
「そうね。」
「ええ。」
峰田の言葉に、川島と下田は肯定する。
「大学で会った時は、私達に感情どころか、表情すら一切変えなかったのにね。」
「私も再開した時は驚いたわよ。あの子を連れてきて、今まで見せたことのないくらい素敵な笑顔をあの子に見せていたわね。」
「それに、初めて優君を連れてきた時も驚いたわ。ついに結婚して子供が出来たのかと思ったわ。」
下田の結婚と言う言葉に、
「「結婚・・・。」」
峰田と川島は下田を見る。
「・・・?な、何かしら?」
二人から異様な視線を感じた下田は、異様な視線を送っていた張本人達に質問する。
「いいよねぇ、光代は。」
「そうねぇ。さりげなく私達より一足先に結婚して、いいよねぇ。」
二人の口撃に下田は一時期たじろぐものの、反論し始める。
「そ、それを言うなら、二人には既にいい人がいるんじゃないのかしら?」
「え?そんなのいないわよ?私、ずっと仕事漬けだもの。」
下田の口撃に、峰田はあっさり返す。
「・・・。」
一方、川島は少し俯き、モジモジし始める。その様子を見た峰田は何かを察する。
「優香、あなたまさか・・・?」
「えと・・・ごめんね。いい感じの人ならいる、かな?」
川島のこの言葉で、
「・・・嘘よ。嘘よ―――!!」
峰田は心の叫びを言葉へ変化させる。
「ええ!?誰よ、誰?ちょっと私に教えてくれる?」
「家の旅館に勤めている人なんだけどね・・・、」
「私帰る。リア充ども、全員爆発しろー!」
「お疲れー。」
「来週にまた会いましょうね。」
峰田は二人の惚け始めた空気に耐えられず、逃げ帰るようにその場を去っていった。
「それじゃあ私も帰るわ。」
「ええ。近いうち、みんなで旅館に行くわ。」
「その時は、全力で私がおもてなしするわ。」
「確約するわ。」
こうして、川島もその場を去る。
「さて、私も帰ろうかしら。」
最後に、下田がその場を去る。
大学祭まで後一週間。もうすぐ始まる大学の祭りとは別に、町の祭りを始めようと、町民が動き始める。
次回予告
『町の住民から小さな会社員への屋台出店懇願生活』
大学祭を間近に控えたある日、商店街の人が早乙女優に向けてあるお願いをする。
そのお願いは、屋台を出展してほしいというお願いである。
そのお願いのきっかけになったのは、一昨年の夏祭りの出来事だった。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?




