何でも出来るOLのかつての生活~峰田不二子、下田光代、川島優香との出会い~
時は、峰田不二子、下田光代、川島優香が大学生だった時まで遡る。三人は同じ大学出身で、同じ法学部に所属し、同じ服飾サークルに所属していた。大学で一緒にいる時間が多くなったため、話す機会が多くなり、仲良くなっていった。
そして試験前、
「「「う~ん・・・。」」」
三人は唸っていた。試験対策のために勉強しているのだが、四苦八苦しているのである。三人寄れば文殊の知恵と言うが、文殊の知恵でも全ての問題が簡単に解けるわけではないらしい。
「法律の暗記、なかなかきついわよね~。」
「「きついきつい~。」」
泣き言を言いながらも、三人は法律を覚えようと、参考書に目を通したり、ひたすら書いたり、ひたすら声にだしたりしていた。また、暗記以外にも、演習問題を解くこともあった。
「こういうケースの場合、どの法律が適用されるの?」
「え~っと・・・。」
「う~んと・・・。」
法学部だからと言って、法律に最初から強いわけではない。みんな、勉強して法律の事を知り、詳しくなっていくのである。法律の事を知る手段として、自身が勉強する以外にも別の手段がある。それは、法律を知っている人から教えてもらう事である。具体的な例として、離婚する際、慰謝料を請求する時に弁護士の力を借りて請求する、という行動が挙げられる、かもしれない。
三人が悩んでいても、周囲の時間が止まることはない。それは、とある清掃員が証明していた。清掃員は、大学生が勉強している中、黙々と掃除していく。そして、峰田達に近づいていく。
「もう~。これ、どう書いたら正解になるのよ~。」
「まぁまぁ。私達も考えるから。」
「そうね。これが解けないと、今期の単位、落としちゃうかもしれないからね。」
川島が匙を投げようと自棄を起こしそうになる。その行為を、峰田と下田がなだめ、落ち着かせる。
そんな時、清掃員が三人に近づいていく。周囲の大学生にとって何でもない光景の一種だった。
「・・・。」
清掃員がボソッと、何かを言った。
「!?」
その声を聞いた峰田は、清掃員の方を向き、驚く。何せ、峰田達三人が今も悩んでいる問題の解答をつらつらと発言したのだ。最初、何を言っているか分からなかったのだが、清掃員の言葉の意味が、徐々に分かってきたのだ。
(この回答、さっき聞いた言葉と同じだ・・・。)
長時間相談した結果、さきほど清掃員が発していた言葉とほとんど同じような回答になった。
(まさか・・・?)
もしかするとあの清掃員は、私達の問題を聞いてすぐに答えが分かったのかもしれない。
(いや、そんなまさか、ね?)
法学部の私達でも解けない問題なのに、それを一清掃員が聞いただけで解けるわけがない。
(そう、よね?きっとそうよ!)
峰田はすぐに思考を切り替えようとした。
(それじゃあさっき聞いたのは?・・・きっと空耳ね。)
自分に体のいい言い訳を思いつき、そのまま問題を解くことにした。そして、問題を解いていくうちに、清掃員の存在はその日のうちに忘れていた。
後日。
峰田不二子、川島優香、下田光代の三人は再び集まり、試験対策を行っていく。試験で好成績を残し、単位を取得しようと勉強していく。
その度、勉強で苦戦していく。勉強で分からずに困っていると、ある清掃員が清掃しながら近づいていき、
「・・・。」
何かを発して去っていく。発した言葉をしっかり聞いた峰田不二子は、清掃員が発したことが正解かどうか調べ、確認していく。
(う、嘘!?合っている!!??)
そして、清掃員が発した言葉は、全て解答であると気づく。
(まさか、まさかまさかまさか!!??)
峰田不二子は、ある推論が脳内に駆け巡る。
それは、あの清掃員は法律にとても詳しく、私達のために教えてくれたのだと。
(あの人、私なんかより頭が良かったんだ。)
峰田不二子は、ある重大な事に気付く。
それは、人間を服装等の表面だけで判断してはならない、ということである。
峰田不二子は、清掃員の恰好をした者の言葉を信じなかった。信じなかった理由として、勉強している私達より法律に詳しい人なんていない、ということを無意識に信じて疑わなかった。もちろん、法律関連を仕事で取り扱っている人達には遠く及ばないだろう。だが、どこかで勘違いしていた。清掃員が私達より法律の事に詳しくないと、勝手に思い込んでしまっていた。
(あの人だってきっと、どこかで法律の勉強をしていたんだ。)
どんな人がいつ、どんな勉強をしてきたかなんて、服装を見たくらいで全てを把握出来るわけがない。
(・・・私、何勝手に決めつけていたんだろう。)
峰田不二子は自己嫌悪しつつ、今後の方針について、川島優香と下田光代と相談した。
「ねぇ?試験前だし、短期間でいいから家庭教師、お願いしてみない?」
峰田不二子のこの発言に、
「「・・・え??」」
川島優香と下田光代は驚く。何せいきなりなんの前触れもなく家庭教師を雇おうと宣言しているのだ。色々聞きたいことがあるだろう。
「お金はどうするの?」
「誰を雇うの?」
「その人、本当に雇って大丈夫なの?」
「その人、家庭教師をやることにOK出したの?」
二人から色々指摘を受けてしまった。つい勢いで言ってしまった峰田不二子は視線を泳がしながら、
「それはほら、まずは本人に聞いてからじゃないと色々決まらないかな~と思って・・・。」
そう答える峰田不二子を見て、
((こいつ、絶対勢いで言ったな・・・。))
そんなことを内心確信しつつ、ひとまず峰田不二子が言う家庭教師候補を探すことにした。
と言っても、今は試験目前。人探しに時間を割くほど余裕はなく、試験勉強と平行で探していった。そして、目的の人物はすぐに見つかる。何せ、大学内で清掃員の恰好は目立つうえ、峰田不二子は何度もその清掃員の姿を見て、おおよその全体像を把握していたのである。
「あ、あの!」
峰田不二子は意を決し、清掃員に話しかける。
「・・・なんでしょうか?」
清掃員は、少し時が経過してから、自分に話しかけているのだと理解し、峰田不二子の質問に答える。
「わ、私達に法律を教えてくれませんか?」
峰田不二子は、女性が告白するようにお願いをする。
「私、清掃のバイトで忙しいので無理です。」
こうして、峰田不二子、川島優香、下田光代と清掃員、菊池美奈は出会い、会話を交わす。
その後、色々話し合いをした結果、峰田不二子、川島優香、下田光代は菊池美奈を家庭教師として雇い、勉強を見てもらった。見てもらった結果、三人の成績は見てもらう前より格段に上昇し、問題なく単位取得が出来た。
(((この人に教えてもらってよかった。)))
三人は、菊池美奈を家庭教師として雇ってよかったと内心喜んだ。試験期間が終わり無事全科目の単位取得を確認したところで、三人は菊池美奈にお礼を言おうと菊池美奈を捜す。
(((あれ???)))
菊池美奈はどこにもいなかった。他の清掃員に聞いてみたところ、
「え?あの子なら辞めたわよ?」
「「「え???」」」
三人は驚く。何せ、家庭教師として給金は払ったが、お礼の言葉はまだ言い切れなかった。給金を払う際、お礼は言ったのだが、別の機会でも言おうとしていた。だが、
「あの子のその後?さぁ?」
他の清掃員に、菊池美奈がどこに行ったのかは分からないという事だった。
「私、あの子に何か奢ろうと思って色々考えていたのに・・・。」
「私もよ。どの店で奢ろうかとある程度絞ってこれから相談する予定だったのに・・・。」
川島、下田はがっくりする。
(私も、今回急なお願いに応じてくれたお礼にと、消耗品をプレゼントしようと用意までしていたのに・・・。)
そして二人同様、峰田不二子もがっかりする。
こうして、三人にとって、色々謎な者、菊池美奈との出会いと別れが突然訪れることとなったのであった。
一方、
「さて、臨時報酬も手に入ったし、これで投資の資金の目標金額達成ね。」
菊池美奈はバイトを辞め、銀行に向かっていた。さきほど得た収入を銀行に預けるためである。
「・・・よし。これでいいわ。」
菊池美奈は、銀行へお金を預け、貯金額を見てみる。
「この額で投資をすれば・・・よし。」
その時、菊池美奈の携帯が鳴り始める。菊池美奈は自身の携帯を手に取る。
「もしもし?」
菊池美奈は電話に出て、用件を聞く。
「・・・分かりました。」
菊池美奈は通話をやめ、どこかに向かう。
「さて、行くか。」
菊池美奈は用件を終わらせ、菊池美奈からどこかに電話をかけ始めました。
「はい・・・はい。それじゃあお願いします。」
用件が終わったのか、菊池美奈は電話を切る。
「さて、これで後は、と・・・。」
菊池美奈は近くのベンチに座り、これからのことを考え始める。
「自宅に戻って、株価のチェックでもするか。」
菊池美奈は自宅に戻り、パソコンの電源を入れ、株価をチェックし始める。
「これとこれは売り時ね。これは・・・買っておくか。」
まるでデイトレーダーのように作業をこなしていく。
「これでやり残したことは・・・ないわね。」
菊池美奈は画面を一通り見、やり残したことがないか確認する。
「さて、今日はもう寝るか。」
そして、菊池美奈は就寝する。
菊池美奈が就寝している間、自身の重さで通帳がテーブルから床に落ちてしまう。落ちた際、通帳が開く。その通帳には、
“10000000”
という記載があった。
次回予告
『成人している女性達の大学祭準備生活~続~』
昔話を終えた早乙女優達は、引き続き大学祭の出し物の準備を進めていく。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?




