成人している女性達の大学祭準備生活
先輩方がくれた時間を勉強にあて、今まで覚えた知識を復習出来て満足しました。これも、先輩方、本当にありがとうございます。翌日、私はこの恩を先輩方に返す為、懸命に仕事をしていきました。
「優さん、仕事のチェック、ありがとうございます。」
「優、この会社に関する資料、どのフォルダーにあるか知っているか?」
「優、のどが乾いたからお酒・・・あ、冗談です、課長。冗談ですから許してください、課長!」
「あいつ馬鹿ね。優君、私の膝の上に座って一緒に仕事しよう?」
どの方もこんな私を頼ってくれて嬉しいです。後半の2人は、私を頼ったのかどうかは分かりませんが。その内の一人は課長に怒られていますし。
「冗談の、つもりだったんだ・・・。」
(まぁ、無類のお酒好きな工藤先輩なら、勤務時間中にも関わらず飲酒しそうですからね。一応注意した、ということなのでしょう。)
社内でお酒の話をするな、なんてことはないと思いますが、冗談でも勤務時間中に飲酒しようなんて発言はよくないと思います。なので今回は工藤先輩の自業自得ですね。課長、お仕事ご苦労様です。
「菊地君、工藤君が戻ってきたら私のところに来なさい。」
「なんでです?・・・は!?まさか、私と優君の素敵な関係に嫉妬して・・・!?」
「そんなことは一生無いから。」
この後、菊地先輩本人から聞いたのですが、菊地先輩は課長に説教されたそうです。なんでも、社内で私とベタベタし過ぎということで説教されたみたいです。これを機に少しは真面目に仕事をしてもらいたいものです。
「橘先輩、この資料なら確かこのフォルダーに・・・ありましたよ。」
「おお、ありがとう、桐谷。それにしてもこの資料、いつの間に見つけたんだ?」
「これですか?これは、ちょっと日課の作業をしている時に間違えて開いてしまったフォルダーでして・・・、」
少しは桐谷先輩や橘先輩を見習ってほしいものです。
そんなことを考えながらも仕事をこなしていき、日にちは土曜日。今週分の仕事の疲れを癒す為、様々な人が静養したり、休みを謳歌したりしている中、
「先週に続き、今週も優君とデートだなんて、私、とっても嬉しくて嬉しくて・・・。」
「そうですか。それはよかったですね。」
そんな中、私と菊池先輩はある場所に向かっていました。その場所というのは、ある一軒家です。一軒家の前に着き、中に入ろうとチャイムを鳴らすかと思いきや、
「・・・ねぇ、優君?とても素晴らしいアイデアがあるんだけど、聞いてくれるかしら?」
「今から別の場所に行こう、なんて類の話は無しですよ?」
「なんで優君、私の考えが分かったの!!??もしかして優君、私の全てを知り尽くしているというの!!??私、嬉しいわ!!!」
「そんなことは絶対ないので安心してください。」
そんなこんなで、玄関前でやりとりをしていると、家の中から音がしてきました。これは、玄関で騒ぎ過ぎましたかね。
「あの、玄関で話すなら中に入ったらどう?」
私は家からある女性が出てきたことを確認すると、
「玄関で騒いでしまい、申し訳ございません。つまらないものですが、どうぞ。」
持ってきたつまらないものを差し出しました。
「ありがとう、早乙女君。」
玄関から出てきた女性、下田さんは優しく返事してくれました。
「やぁ。私に会うのは久しぶりかな?」
「はい。お久しぶりです、下田先輩。」
そして、下田先輩も玄関から顔を覗かせてきました。
そうです。今日は下田さんの一軒家に来ています。もちろん、用があってきているのであって、遊びに来たわけではありません。
「それじゃあ私は外に出るとするよ。一応言っておくが、私の部屋に入らないように。いいね?」
「ええ。プライバシーは遵守します。」
「でも、覗きたかったらいつでも言ってね?私がなんとかするから♪」
「・・・私の職業、忘れていないよな?」
「下田先輩、大丈夫です。絶対に犯罪行為はさせませんので。」
「早乙女君が言ってくれるなら安心だ。それでは。」
こうして、下田先輩は家を出ていきました。どこに出かけたのかは不明ですが、平日の疲れを癒せるといいですね。
「外にいつまでもいさせるわけにもいかないから、さぁ中に入って。既にみんな待っているから。」
「お邪魔します。」
「優君の未来に、乾杯♪」
私は下田さんの言葉に従い、上がらせてもらう事にしました。後菊池先輩、分かっていると思いますが、言葉のチョイスがおかしいですよ。
中に入ると、
「やっと来たわね。」
「おはよう。今日はよろしく、優君。」
峰田さんと川島さんもいました。どうやら私と菊池先輩が最後だったみたいです。
「それじゃあ、やりましょうか。」
この下田さんの言葉に、
「ええ。」
「今日中に終わらせるわよ!」
峰田さんと川島さんはやる気になっていました。
今日、下田さん、峰田さん、川島さん、菊地先輩、私が下田さんの一件家に集まった事には理由があります。それは、来週行われる大学祭に出店する衣服を作製するためにこうして集まっています。何故下田さんの家で行われるのかと言いますと、今回服を作製する環境が整っているから、らしいです。私は下田さんの家に来たことが無いので分かりません。
「それなら私の家で作るのはどう?私の家ならそろそろ揃っているから。」
と、言っていたらしいです。
「さ、この部屋なら色々作れるから。」
下田さんに連れられてきたのは、とある衣裳部屋。どうやら、服を作製するのに必要な道具や生地が色々と揃っているようです。自分で言っただけの事はありますね。それにしても、どうしてここまで洋裁に関する道具が揃っているのでしょう?確か下田さんって弁護士の妻、ですよね?
(だからなんだって話ですね。)
私が馬鹿でした。少し考えてみたら分かることです。弁護士の妻は洋裁に関する道具を持ってはならない、なんて法律が存在するはずありません。個人の自由なはず。これらはおそらく趣味、だと思います。あくまで私の予想ですが。
「私、スローペースだけど、服を作って売っているの。これが結構いい値段で売れるの。」
「それは素敵な趣味だと思います。」
まぁ、私は人の趣味に口を挟めるほど大層な人間ではないのですが、これくらいの称賛は許してくれるでしょう。
「ありがとうね。それじゃあこの部屋で作りましょうか?」
この下田さんの言葉を始めに、私達は服を作り始めました。
洋裁をするにあたり、どんな服を作るのかについて簡単な説明を受け、役割を決め、洋裁し始める事にしたのですが、
「ねぇ?本当に私達がミシンを使ってもいいの?」
「優君とあなただけ手縫いじゃあかなり負担が大きいと思うのだけど?」
「手、疲れない?」
下田さんの自宅にはミシンが3台しかないそうです。
一つは最新のミシン。
一つは旧式のミシン。
残り一つは壊れかけのミシン。
「壊れかけのミシンは、一番使い慣れている私が使うわ。」
壊れかけのミシンは、家主の下田さんが使う事になったのですが、2つはどうやって決めたかと言いますと、
「じゃ~んけ~ん・・・、」
じゃんけんで決めたらしいです。結果、
「私の勝ちね。」
「あ~あ。最新のミシン、使ってみたかったわ。」
峰田さんが最新式のミシンを使う事になったみたいです。そして私と菊池先輩は、
「私はミシンを使わなくても大丈夫なので。」
「優君が使わないなら私も使わな~い。これで優君とお揃いね♪」
ミシンの使用をお断りしました。ミシンを使わなくても縫う事は出来ますからね。
「でも、ミシンを使った方が確実だし、早いわよ?」
「なんなら交代制でミシンを使ってもいいのよ?」
「ずっと使っていたって、誰も文句言わないわよ?」
三人からこのような言葉をいただいたのですが、
「いえいえ。御三方はそのままミシンをお使いください。私は本当に大丈夫ですので。」
再度お断りしました。
「私、菊地先輩に習い、ミシンと同じ速度且つ正確に縫う事が出来るので問題ありません。」
何故断っているのか理由を話した方がいいと思い、理由を話してみたところ、三人はとても驚いていました。
「ミシンと同じ速度で縫える、ですって?」
「優君?あなた、何を言っているの?」
「冗談・・・ではなさそうね。でも、本当なの?」
どうやら私の腕を疑っているみたいですので、私の腕を見せる事にしました。
「下田さん。申し訳ありませんが裁縫セットと布、ありますか?」
「あるけど・・・使うの?」
「ええ。私が縫うところをお見せしようかと思いまして。」
「それじゃあちょっと待ってて。」
少し待ち、下田さんは裁縫セットと布を持ってきてくれました。
「ありがとうございます。」
私は下田さんから裁縫セットと布を受け取り、縫う準備をしてから縫いました。
「はい。これでいいですか?」
縫う際、玉結びと玉止めは忘れません。忘れると糸が抜けてしまいますからね。
「「「・・・え???」」」
縫い終えたことを報告すると、三人は目をまん丸にしていました。何かミスでもしてしまったのでしょうか?菊池先輩に聞いてみますか。
「菊地先輩、私、なにか間違えてしまいましたか?」
「ううん♪優君は素敵に縫う事が出来ていると思うわよ♪」
「そうですか。ありがとうございます。」
良かった。どうやら私は間違っていなかったようです。となると、3人はどうして驚いているのでしょう?
「え?なんで二人はそんなにも冷静なの?」
「私達がおかしいの?」
「いえ、そんなことないはずよ。普通、あんな速度で縫える人なんていないわ。」
何か3人が相談していますね。取り敢えず、さきほどの光景で私の腕を認めてくれた、という認識で問題ないか聞いてみますか。
「これでミシン要らずの理由が納得出来ましたか?」
私がそう聞くと、私の方を見た後、3人で再び相談し始めました。相談はすぐに終わり、
「う、うん。」
「とりあえず分かったわ。」
「色々聞きたいことが山盛りになったけどね。」
こう答えてくれました。それにしても、私を見た後に菊地先輩を見たのは何なのでしょう?菊地先輩にも何か話したい事が出来たのでしょうか?
「それは作業しながらでよろしいですか?そろそろ作業しないと、今日中に完成出来なくなるかもしれませんよ?」
「ええ。」
「作業しながら根掘り葉掘り聞かせてもらうわね。」
「一体何をどうしたらあんな事が出来るようになるのかしら・・・?」
さて、洋裁を始めるとしますか。
洋裁を始めて無言で作業すること数十分。
「ねぇねぇ?もうそろそろ聞いてもいいかしら?」
川島さんが話しかけてきました。川島さんの言葉を筆頭に、
「そうね。私も聞きたいと思っていたところよ。」
「正直、今聞かないと一生後悔する気がするわ。」
下田さん、峰田さんも話に参加してきました。そんなに私のことが聞きたいのでしょうか?
「聞いても面白くないと思いますよ?」
そう聞くと、
「「「それでも聞きたい。」」」
と、三人は声を揃えて言い返したので、私は話すことにしました。
まず、私は菊地先輩達に恩を返したくて、恩を返す手段の一つとして、裁縫を学んだこと。ある程度学んだところで、菊地先輩から深く教わり、今に至ることを話しました。すると、
「やっぱりこいつか・・・。」
「教わったからって出来るものじゃないと思うけどな~。」
「優君は凄いという事ね。それ以上に謎なのは・・・、」
「?どうしたの、優君?そんな熱心に私を見て・・・は!?まさか、私に欲情してくれたの!?それじゃあ今すぐ服を脱いでここでおっ始めましょう!!」
「いや、しませんからね?」
峰田さん、川島さん、下田さんは菊池先輩を変な視線で見始めました。
(それにしても・・・、)
私は気になっていることを聞くとしました。さきほど私の事を話しましたし、私から聞いてもいいでしょう。
「あの。私、聞きたいことがあるのですが、聞いてもよろしいですか?」
私がこう聞くと、菊地先輩から私に視線を移してきました。
「なにかしら?」
「三人と菊池先輩の初対面時の話を聴きたいのですが、よろしいでしょうか?」
すると、全員困ったような顔をしました。
「私は別にいいけど・・・、」
「私も問題ないわ。」
「私もよ。けど・・・、」
峰田さん、下田さん、川島さんの三人は再び視線を菊池先輩に移しました。視線を向けられた菊池先輩はといいますと、
「えぇ~?私、昔の話はちょっと~。」
と、少し困っているご様子を私に見せてきました。
(無理に聞くの嫌でしょうし、私が引きますか。)
無理矢理話を聴こうとするのはオススメ出来ません。自分が嫌なことは、相手にもしないことが基本ですからね。
「でも~。」
私が一人で納得していたら、菊地先輩が抱きついてきました。
「優君がどうしてもと言うなら、話してもいいわよ?」
と、菊地先輩が言ってきました。
(確かに聞きたいですが、菊地先輩を不快にさせてまで聞こうとは思いません。)
人を不幸にさせてまで、人の過去を暴くつもりはありません。それが必要ならするかもしれませんが、今は完全に単なる好奇心で聞きたいだけですし。
「いえ、菊地先輩が嫌なら私は聞きません。余計なことを聞いてしまい、申し訳ありません。作業を再開しましょう。」
私が作業に集中しようと作業スピードを速めると、
「もう!もう~!」
菊池先輩が私に抱きついてきました。いきなり声を上げるなんて、情緒不安定なのでしょうか?
「菊地先輩、どうしましたか?」
「優君!どうしてもっとグイグイ来てくれないのよ!そんなだから、私がグイグイグイグイ行かなきゃいけなくなるじゃない!!」
「も、申し訳ありません。」
私は一体、何に対して謝っているのでしょう?
「優君が知りたいなら教えてあげるわ!これを聴いたらきっと、優君はもっと私のことを好きになって、抱きたくなるから!あ。もちろん、抱くというのは性的な意味よ?優君、間違えないでね?」
「私の事を思って話してくれることだけは嬉しいので、是非とも聴かせて下さい。」
「ええ!」
この2人のやりとりを聞いていた三人は、菊池美奈に対して同じことを思っていた。
(((こいつ、面倒くさ!!!???)))
「まずはそうね。どこから話し始めようかしら・・・?」
そんな三人の意志を知らずに、菊池美奈は自身のかつての生活について話し始める。
次回予告
『何でも出来るOLのかつての生活~峰田不二子、下田光代、川島優香との出会い~』
菊池美奈と峰田不二子、下田光代、川島優香の3人はある大学で出会う。
3人が大学生だったことに対し、菊池美奈は大学生ではなく、清掃員として姿を現す。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?




