小さな会社員の舞踏生活
中間考査が終わった週末。
「ふんふ~ん♪優君と二人っきりのデート、楽しいわ~♪♪」
「今回はデートでなく単なるお出かけですよ?」
「単なるお出かけ?優君、それは違うわ!今日は、優君の輝かしい未来に更なる光を手に入れるための第一歩よ!」
「・・・本当に菊池先輩は何を言っているのですか?」
菊池先輩が発した言葉はともかく、確かに今日は単なるお出かけではないかもしれません。それは、今日のお出かけ先に理由があると思います。
「はぁ。これで優君の可愛さが全世界に拡散していくのね。優君の魅力を知ってもらうのは嬉しいけど、私が優君を独占出来なくて残念だわ♪」
「・・・もしかして、私の可愛さが全世界に拡散というのは、私がテレビ出演するからですか?」
「そうよ!世界もようやく優君の素晴らしさを理解し始めたのね。・・・そういえば、優君は既に雑誌デビューをしていたから、優君の可愛さは全世界に拡散していたわね。」
「!?今すぐ発売された雑誌全てを燃やしましょう!そうすれば、これ以上私の痴態が晒されずに済みます!」
「優君、それは無理なんじゃないかなぁ・・・。」
「ぐっ!?わ、分かっているんですけどぉ・・・。」
既に売られた雑誌はもう取り返すことが出来ないくらい、分かっています。ですが、他にどうすればいいのでしょうか?
「優君、時には諦めも肝心よ。諦めて、自身が可愛いという事を認めなさいな。」
「それでは菊地先輩は、私に求愛行動を辞めてくれるのですか?」
「それは辞めないわ。私、優君が私に惚れてくれるまで諦めない!」
「・・・。」
さきほど諦めが肝心と言っていた菊池先輩は何処に・・・?
そんなことを思いながら、私は菊池先輩と共に目的地へ向かいました。
今日私と菊池先輩が向かった先はテレビ局です。何故テレビ局に向かったのかと言うと、ある番組の撮影に向けて会議に参加するためです。
「おはよう、早乙女君。今日はよろしくね。」
「久しぶりね、優。」
「峰田さんも潮田さんもおはようございます。」
「優君にあいさつするとは、やるわね。」
「あなたは一体どの目線でものを言っているのよ・・・。」
相変わらず、菊地先輩と峰田さんとの仲は良くないようです。いつになったら仲良く出来るのでしょうか?もう諦めた方がいいのかもしれません。
「それじゃあ行くわよ。」
「はい。」
「分かったわ。」
「仕方がないわね。」
「だからなんであなただけ・・・もういいわ。」
・・・本当、菊地先輩に関して、峰田さんには迷惑をかけてしまっています。
「なんかすみません。菊池先輩が迷惑をかけてしまって。」
「もうあいつのことはいいわ。それより、早乙女君のフォローの介入が嬉しいの。」
「峰田さん、そのようなことを言って下さりありがとうございます。今後、菊地先輩に関してご不満があるようでしたら、漏れなく私にお申し付けください。私がきちんと言い聞かせておきますので。」
「ふふ。なんか早乙女君の方が大人みたいね。どこかのガキみたいな女社員と違って。」
と、峰田さんは菊池先輩を恨みの目で見ました。
「・・・?」
「こ、こいつ、気づいていない、ですって!?」
「・・・優君、こいつ、私を見ているのだけど、何かあったの?馬鹿なの?」
「馬鹿なのは峰田さんではなく菊地先輩かと。」
「優君ひどい!?けど、優君に罵られるとなんだか気持ちいいわ♪もっと罵ってほしいかも♪♪」
「「「・・・。」」」
何度も思ってきていたことですが、やはり菊池先輩はおかしいです。菊池先輩の異常さを肌で感じながら、私達はテレビ局の中に入っていきました。
テレビ局内に入り、会議室に向かい、中に入りました。
(女性の方が多くいますね。)
二、三十代の女性方が多いです。中には十代の女性もいますね。もしかして、同じ番組に出演するモデルでしょうか?
「ねぇねぇ、あの子よ?」
「へぇ?あの子が・・・、」
私達に直接話かけず、ヒソヒソ話を始めました。
「さぁ、これから打ち合わせを始めるので、席についてねー。」
ここで、私の後ろから声が聞こえてきました。多分ですけど、この番組のディレクター、でしょうか?あくまで推測なので断定出来ませんが。
「君達も席に着いてね、詩織ちゃんに優ちゃん?」
「分かりました。」
「わ、分かりました。」
私は潮田さんの返事の後に続いて返事をし、空いている席に座りました。
そして話を聞くことにしました。
話の内容は、ここにいる全員で行うプログラムに関する事項でした。なんでも、同じ曲を全員で歌い、少し踊るそうです。なので、どんな歌を歌うか、どんな踊りを踊るか、ということについて決めていくそうです。
「そこで、君達が知っている曲を教えて欲しい。」
と言われました。
・・・。
(こ、困りました。)
私、知っている曲なんてないのですが。それにしても、みなさんはどうしてスラスラと出てくるのでしょうか?どこで曲に関する情報を仕入れているのでしょう?
「・・・?」
ここで何かに当たっているような感触があります。その感触がある箇所に目線を送ると、菊地先輩です。菊池先輩が私に何か渡そうとしているみたいです。
(これは、紙?)
私は他の方々にばれないよう、菊地先輩から紙を受け取りました。紙に記載していた内容は、
「優君はきっと、曲のことを知らないだろうから、この曲名を言っておけば大丈夫よ♪」
と、記載されていました。一体いつ記載していたのかは謎ですが、菊地先輩の気遣いには感謝です。
「それで、優ちゃんはどのような曲を知っているかな?」
と聞かれたので、私は、菊地先輩から受け取ったメモに記されていた曲名らしき言葉を言ってみました。
「「「・・・。」」」
あれ?なんかみなさんの視線がおかしいような気がするのですが、私の気のせいでしょうか?
「ま、まぁ、無難な曲ではあるよね。」
「子供の頃、よく授業で歌っていたよね。」
なんか反応がおかしい気もしますが、気のせいでしょう。その後、私がまったく知らない曲名がどんどん列挙されていきました。本当、みなさんは様々な曲を知っているのですね。曲名を聞いただけでいちいち反応出来るなんて、博識な方達ばかりです。
そして、全員で歌う曲が決まりました。
「この曲ならみんな知っているだろうし、歌いやすいからね。」
という言葉に、他の方々も納得しているご様子でした。もしかしたら、私もどこかで聞いたことがある曲なのかもしれません。ですが、覚えていないのものは覚えていません。正直に言う事が出来ればいいのですが、今は言うべきではないでしょう。それに、この番組の収録までに覚えておけばいいことです。頑張って歌を覚えるとしますか。
「それじゃあ次は踊りについて話し合ってみようか。」
どうやら次はどんな踊りを踊るかについて話し合うそうです。
「まず、この場にいる人達の中で、自身の踊りに関する能力を正確に把握している人はいるかな?」
という質問の後、女性方は互いを見ていましたが、それだけで手をあげませんでした。ということは、自身の踊りに関する能力を誰一人正確に把握していないという事になります。かくいう私も、自身の踊りに関する能力なんて把握していないのですが。そもそも、踊りを必要とする仕事なんてしたことないので踊りのことはほとんど分かりません。
「それじゃあ別室で、それぞれの能力を見ていこうか?まずは運動しやすい服装に着替えてからだね。」
・・・え?運動しやすい服装、ですか?そんなこと言われていないような気がするのですが、私の気のせいでしょうか?
「ふふふ♪安心してね。ちゃんと着替えは持ってきているからね、優ちゃん♪♪」
・・・菊池先輩、もしかして運動着が必要だという事をわざと私に伝えなかったのでしょうか?峰田さんも私に一言言ってくださればよかったのに。
(待てよ?)
もしかしたら、菊地先輩が口止めしていたのかもしれません。菊池先輩の事ですから、それくらいしてきそうです。確証はないですけどね。
「それでは菊地先輩、」
「うふふ♪分かっているわ。私が持ってきた優ちゃんに似合う素敵な運動着を・・・、」
「運動着を買える店がどこにあるか教えてもらいますか?」
「・・・優ちゃん、もしかしなくても買う気?」
「ええ。」
「そんな!?優ちゃんに似合う運動着をせっかく持ってきたのに・・・、」
と、菊地先輩は悲しそうにしていました。
私としましては、菊地先輩が用意するから怖くて着られないのですが。ですがまぁ、菊地先輩の親切心を無駄にするのは愚行なのかもしれません。
(はぁ。)
まったく。私は菊池先輩に甘いですね。
「分かりました。菊地先輩が持ってきた服を私に渡してください。」
「優ちゃんが、私に渡してください、だって♪」
「・・・さて、近くに運動着を売っているお店でも検索しますか。」
「!?じょ、冗談よ!冗談だから携帯を取り出さないで~。」
「はぁ。」
まったく。このような場で私をからかわないでほしいものです。
私は菊池先輩から受け取った運動着に着替えました。
(やはりというかなんというか、スカートですね。)
上は半袖なのですが、下が短いスカートです。これだと下着が見えるのでは?なんて考えてしまいましたが、放棄しました。そんなことを考え始めてしまったら、私は動けなくなってしまいますからね。
(さて、みなさんのダンスを見てみますか。)
私を含め、全員着替えが終わり、それぞれ踊り始めました。
「それじゃあ、出来る範囲でいいから、自由に踊ってみてくれ。」
という言葉で、順番に踊っていきました。
・・・。
私は数多くの人の踊りを見てきたのですが、どれがよくてどれが悪いのかよく分かりません。
(よく考えたら私、踊りというものをほとんど知りませんね。)
どのような種類の踊りがあるのか、どれくらい難しいのか、まったく把握していません。なので、他の人が踊っていても、凄いのか凄くないのか判断出来ません。
「凄いわ。流石はトップモデル候補なだけあるわね。」
そんな言葉が聞こえてきました。
「菊地先輩、さきほどの踊りは凄かったのですか?」
私はこっそり菊地先輩に聞きました。
「う~ん・・・。凄いとは思うけど、優ちゃんが凄くないと思ったらそれでいいんじゃないかしら。でも口にだしちゃ駄目よ?」
「分かりました。」
もとより口に出すつもりはありません。ですが、菊地先輩は念押し、という意味を込めて言ったのでしょう。私のことを気遣って下さりありがとうございます。
(さて、改めてみなさんの踊りを見ますか。)
ゆったり踊っている時もありますが、激しく踊っている時もあります。このように緩急をつけることが、踊りを上手に見せる秘訣なのでしょうか。それにしても、このような踊りの技術をどこで身につけているのでしょう?普段から練習していた、ということなのでしょうか?それともどこかで習っていたのでしょうか?
(なるほど。そういうことですか。)
どこかでスペシャリストに習っているのであれば、踊りの技術を身につけていることも納得です。
(あれぐらいの踊りをすればいいのでしょうか?)
どの程度の踊りをすればいいのか分からないので、とりあえず今踊っている方々を参考にしましょう。
・・・。
(なるほど。)
このレベルの踊りをすればいいのですか。この踊りをするには・・・。
早乙女優が今回踊る踊りについて考えている間、
(((あの子、何をぶつぶつ言っているのだろう)))
周囲から視線を向けられていることに気付いていない。
(優君・・・。)
菊池美奈も、早乙女優の様子を見て、少し心配していた。
(おおよそ動きが掴めました。)
自分の体でも問題なく再現可能だと思いますので、後は実行するだけです。脳内でイメージトレーニングを反復し、より確実なものにしましょう。
「ねぇ?」
「・・・はい?」
私が何度も脳内で反復していると、誰かが私に声をかけてきました。その声の主は、
「あなたもそろそろ踊ったらどうなの?私、楽しみにしているのだけど?」
「そう、ですね。後もう少しで準備が出来ますので、後もう少しお待ちください。」
潮田詩織さんでした。潮田さんは、どうやら私の踊りを楽しみにしているらしいです。そんな期待を抱かれても困るのですが。私、今まで踊ったことありませんので。もしかしたら私の記憶違いで、本当は踊った経験があるのかもしれませんが、忘れました。
(・・・よし。)
このイメージ通りに踊ることが出来たら問題ないでしょう。私はそう判断し、座っていた椅子から立ち上がります。
「踊る気になった?」
「ええ。皆様のお目汚しになるかもしれませんが、今の自分に出来る事をさせていただくだけです。」
さて、踊らせていただきますか。
その後、私は脳内のイメージ通りに体を動かし、踊りを踊ることが出来ました。体が無事に動いてよかったです。
(・・・ん?)
なんか、私に視線が集中していませんか?気のせい、でしょうか?自意識過剰かもしれないので気にしないでおきましょう。
「・・・。」
「あの、どうかしましたか?」
「あ、ああ。優ちゃん、だっけ?」
「はい。」
出来れば、ちゃん、という呼び方は辞めて欲しいところですが、その事には触れないでおきましょう。
「凄いね。見ていて惚れ惚れするよ。」
「えと・・・ありがとうございます。」
私としては、ただ周囲の評判がよかった人の踊りを見て、その踊りを再現しただけに過ぎません。なので、私を褒められている気がしません。私は猿真似をしただけですし。クオリティとしましては、猿真似以下ですからね。
「優。あなた、ダンスも出来たのね。流石ね。」
「いえ。これくらいならみなさんも余裕で出来るかと。」
私のこの一言で、
「「「え???」」」
何故か潮田さんだけでなく、周囲の方々も驚いていました。私には、どうしてみなさんが驚いているのか分かりません。
「?どうかなさったのですか?」
「・・・あなた、想像以上に自分の事を下に見ているのね。」
「そう、ですかね。」
私は視線を菊池先輩に移し、菊地先輩の反応を窺います。唇の動きからして、
“流石優ちゃん。とても上手だったわ♪”
なんて言っていた気がします。・・・今回の件と関係ないですが、私、知らぬ間に読唇術が上達していますね。菊池先輩とだから、唇の動きを読むことが出来たのかもしれません。あくまで一つの可能性ですし、そもそも私の推測が正解だと限らないのですが。
「そうよ。あなた、私が思っていた以上に出来ていたわ。私、妬けちゃうわ。」
「そうですか。」
きっと潮田さんの気の迷いでしょうね。私程度の技術で嫉妬するなんて。この世界には、私以上に踊りが上手い人は無数にいることでしょう。
「これで全員踊ったね。」
その後、会議が再開しました。
会議の内容は、なんでも、番組終了間近に踊るのですが、トップモデルになった方は、センターで踊るそうです。まぁ私はトップモデルになることはないので、関係ない話ですね。ちなみに、今回全員能力を見る目的で全員踊ったのですが、誰が最も上手に踊ることが出来たのか、教えてくれませんでした。私個人としては教えて欲しかったのですが、私の我が儘に過ぎないので、この我が儘に近い気持ちは私の胸の内に秘めておきましょう。
会議の後、菊地先輩が私に近づき、
「優ちゃん、お疲れ様。踊り、とてもとても上手だったわ。いつの間に練習していたの?」
なんて聞いてきたので、
「いえ。あの場で踊っていた方々の踊りをそのまま猿真似しただけの低クオリティな踊りですよ。」
私が菊池先輩にそう言い返したところ、
「・・・優ちゃん。絶対にそんなことはないからね?とっても上手だったわよ。それはもう、あの場で一番と断言出来るくらいには、ね♪」
と、言ってきてくれました。
菊池先輩のお世辞、冗談が過ぎると思います。
私の踊りは、元々他の方の踊りを参考にしていたので、私より他の方の方が、踊りが上手いと思います。なので、私の踊りを上手だと褒めるなら、私が参考にした方の踊りを褒めるべきだと思います。そのことを指摘してみますか。
「私よりあの方の方が上手だと思いますよ。」
私は踊りの参考にした方を視界に移す。菊池先輩は私の視界の先にいる方を見る。
「そりゃああの子も上手だと思うけど、私からすれば、優ちゃんの踊りが世界一だったわ♪」
「そう、ですか。」
きっと菊地先輩は色メガネで見ているから、このような感想を述べたのでしょう。いつの間にか私の事を優ちゃん、と呼んでいますし。私は男なので、ちゃん、なんて敬称をつけないのでほしいのですが。女性の装いをしている私が言えることではないと思いますけど。
そんな感想を抱きながら、会議は続きました。
と言っても、もう会議で話す内容はなく、次の会議で話すことを予告され、この会議は終わりました。
(なんだかみなさん、和やかですね。)
会議が終わった直後、周囲のモデルの方々は世間話を始めました。どうやら、私の周囲にいるモデルの方々は顔見知りのようです。だから話が弾んでいるのでしょう。
(潮田さんの周囲に同業者の方が数多くいますね。)
きっと、潮田さんと話をしたくて集まっているのでしょう。確か潮田さん、かなり人気のモデルだと聞いたことがあります。そんな人気モデルから話を聴きたいと思うのは自然な事かも知れません。
(帰りますか。)
用件が終わった事ですし、ここにはもう用事はありません。帰って副業をするとしますか。仕事は待ってくれないですからね。
(・・・ん?)
なんか、こっちに向かってくる方が2人いますね。私の後ろには潮田さんがいることですし、潮田さん目当てですかね。私は無言で道を空けました。そのまま菊池先輩のところへ向かおうとした時、お2人方は何故か進路を変えました。
(あれ?)
このままだと、私とぶつかってしまいますね。私はさらに道を空けました。
(もしかして・・・?)
すると、私の行動に合わせて、お2人も歩む方向を変えてきました。この2人、もしかして潮田さんではなく私に何か話したい事があるのでしょうか?
「・・・ねぇ?」
「なんでさっきから避けているの?」
私が考えていると、2人が私に話しかけてきました。
「お2人は、潮田さんに用事があるのではないですか?」
と、私は潮田さんに視線を移した。すると2人は首を横にふり、
「ううん。」
「私達はあなたに用があるの。」
「私に、ですか?」
潮田さんではなく私に?もしかして、私と潮田さんを見間違えているのではないでしょうか?有名な潮田さんを見間違えるとは思えませんが、一応聞いてみますか。
「私は潮田さんではありませんよ?」
「もちろんあなたの事は知っているわ。」
「去年急に現れた今注目の優、よね?」
「・・・今注目されているかどうかは分かりませんが、去年から活動している優は私です。」
もしかしたら、去年活動を始めた優という名前のモデルが他にもいるかもしれませんが、私ということにしておきましょう。
「よかったわ。あなたと一度話をしてみたかったのよ。」
「ええ。何せ、あなたを雑誌に載せようと、多くの人が動いているとか。」
「はぁ。」
そんなことないと思うのですが。そんな人、見たことありません。
(もしかして・・・?)
菊池先輩が何かしてくれたのでしょうか?それだとしたらありがとうございます。ですが、具体的に菊池先輩は何をしたのでしょう?変なことをしていなければいいのですが。
「それに、さっきの踊り、見ていたわよ。」
「私達の踊り、パクったでしょ?」
「真似はさせていただきました。」
そういえば、目の前にいる人達の踊りを参考にしていましたね。そのことが気に食わなかったのでしょうか?だとすれば申し訳ないですね。そのことについて謝罪しましょう。
「真似させていただきましたが、その行為が気に食わなかったのであれば申し訳ありません。」
私は頭を下げました。
「!?別に謝ってほしいとかじゃないわ!」
「私達はあなたの腕を見込んで勝負したいの。」
「勝負、ですか?」
「ええ。」
「勝負よ。」
何故?私に真似されて嫌悪感を抱いていると思っているのですが、違うということでしょうか?
「あの踊りを真似するなんて相当なものよ。」
「だから私達は、あなたの腕を見てみたいのよ。」
「腕と言われましても・・・、」
私、あなた達の踊りを参考に踊っただけですので、腕といわれても困ります。そのことを伝えて断りますか。
「私はただ、あなた達の方が素敵な踊りをしていたので、それを見て真似しただけです。なので、腕を見ようにも見せる腕なんてありませんよ?」
これなら伝わるでしょう。
「え!?それってつまり・・・、」
「私達の踊りを、目で見て完全再現したってこと!?」
「完全に再現は出来ませんでしたが、猿真似程度だと思いますよ?」
現に私は、あなた達の踊りを完璧に真似ることは出来ませんでしたし。
「え?あのレベル以上のものを求めるの?」
「私達、都内のダンス大会でベスト8まで上りつめたのに、まさかこんな身近に凄い人がいるなんて驚きだわ。」
「え?都内のダンス大会で、ベスト8、ですか?」
「ええ。」
「プロフィールにもアピールポイントとして載せているんだから。」
「・・・。」
もしかして、私が真似した人達ってものすごくダンスが上手な人達なのではないでしょうか?
「断ってもよろしいですか?」
「この後、何か用事があるなら断ってもいいけど、」
「何か急ぎの仕事があるの?」
これは、嘘をつきましょう。
この後、仕事があるので出来ません。
こう言っておけば、この話は終わるでしょう。私がそう言おうとした時、
「優ちゃんならこの後はフリーのはずよ。だから問題ないわ。」
菊池先輩が本当の事を先に言ってしまいました。もしかして、私が嘘をつこうとしていることを見抜き、先手を打ってきたのでしょうか?だとしたら、やってくれましたね。これじゃあこのまま帰ることが出来ないじゃありませんか。
(どういうことですか!?)
私は菊池先輩を見ました。すると、菊地先輩は私にウィンクをし、
“これで舞台が整ったわ♪”
と、口パクで言っているような気がしました。
(こうなったら、)
何か理由をつけて、この場を去らせていただきますか。
「さきほど私の腕を見たいという言葉から察するに、私に踊ってほしいという事ですよね?」
「ええ。」
「それで間違っていないわ。」
どうやら私の考えは間違っていないようです。
「となると、踊るための場所が必要になってきます。どこで踊ると言うのですか?」
「そりゃあ、」
「ここ、じゃないかしら?」
であれば、大詰めです。
「ここで踊るとしても、これから他に使う人がいるのではありませんか?その人たちのために、私達は今からどくべきではありませんか?」
これでどうでしょう。これならきっと私の考えに乗じ、腕を見せる話がなくなるはずです。
「この場所、まだ使って良いってよ。」
「え?」
声をかけてきたのは、さきほど会議の司会をしていた方です。
「面白い話が聞こえてきたからさ。ちょっと相談してみたら、観客付きでなら良いって話になったんだ。」
「・・・。」
私は周囲を見渡してみると、いつの間にか多くなっていた人の数に気付きます。
「そんな訳で、この後ここを使っても問題ないからな?というか、何か面白いことをするならここ使ってくれよ。ここなら色々と都合がいいからな。」
都合がいいというのはおそらく、この場に撮影機材があるからでしょう。他にも理由があるかもしれませんが、今の私には分かりません。それにしても、まさか私の言い訳が通じないとは思いませんでした。この後も使ってよくなるなんて・・・。てっきりこの後誰かが使うと思っていましたのに。
「私ね、」
私が何か他の言い訳を考えていると、菊地先輩が私の肩を優しくたたき、耳元で囁いてきました。
「優ちゃんが楽しそうに踊っている姿、見てみたいな♪」
菊池先輩は私にそう言ってきました。菊池先輩の言葉を聞いた時、私のある単語を思い出しました。
その単語は、恩。
(そうだ。)
恩という単語を思い出し、私はさらに思い出しました。
思い出したことは、生涯を全て使い、私を助けてくれた人に、恩を感じている人に恩を返し続ける事。
(今が、菊地先輩に恩を返す時じゃないか。)
なら、答えは既に決まっています。
「分かりました。お二方の提案、お受けします。」
今の自分の力を菊池先輩に見せ、喜んでもらうとしますか。
あれから少し話し、これからのことが決まりました。
「30分後、私達が踊った後に何か踊ってね。」
「あなたの踊り、楽しみにしているわ。」
と、言われてしまいました。
そして、
「なんだか面白そう、大変なことになったわね。」
「でも大丈夫!私達がより面白く・・・助けてあげるわ!」
「・・・潮田さんに峰田さん、もしかしなくても楽しんでいますよね?」
何故か私の近くに、潮田さんと峰田さんが集まってきました。最初は私の事を心配しているのかと思ったのですが、発言内容から察して違うようです。自分の自意識過剰でした。
「うふふ♪これで優ちゃんの素敵なダンス姿がこのカメラに収められるのね。うふふー♪♪」
菊池先輩はいつの間にか持っているカメラを入念に磨いていました。
(さて。)
あの二人は、私の踊りの腕を見たいと言っていました。となると、万全の状態で臨むことがベストでしょう。それと、どのような踊りを踊るのがベストなのか考えないとなりません。
「それにしても、まさか【双花】からダンスバトルを申し込まれるなんてね。」
「そうか、ですか?」
なんですか、それ?
「まさか優、知らないの?」
「知りませんが?」
あの二人、そうか、という名前なのですか?確かに同名なのは珍しいと思いますが、それだけで有名になるのでしょうか?いえ、あの二人はモデル。となると、同名のモデルとして有名なのでしょうね。納得です。納得したところで、私はあの二人を知らないことに変わりありません。誰かに説明してもらいますか。私は説明してもらえそうな人、峰田さんに視線を送りました。すると峰田さんは、私の意図を汲み取って話してくれました。
「双花と言うのは、あの二人のモデルのあだ名よ。二人とも苗字が花田で双子だから双花、と呼ばれているわ。」
「へぇ。」
あの二人、双子だったのですか。どうりで見た目が似ていると思っていたのですが、そのような理由だったのですね。それにしても苗字が花田で双子だから双花。納得です。
「それであの二人の特技は小さな時からダンスを習っていて、都内のダンス大会でベスト8になったんだとか。」
「なるほど。」
都内ということは、東京都のなかということですよね。確か東京都には一千万人以上いたはずです。その中で8位ということはかなり凄い事ではないでしょうか。あの二人が出た大会に都民全員が出場したり、何かしらの制限がかかっていたりしていたかもしれませんが、それでも凄いと思います。きっと、長年続けてきた努力の賜物がベスト8という形になったのでしょう。継続は力なりを体現していますね。
「それで優、あなたはあの双花に対し、どんな踊りをするつもりなの?」
「それなのですが、まったく思いついていません。」
私は、潮田さんの質問に答えます。
「思いついていないだけで、ある程度は形になっているのでしょう?」
「いえ、まったく。」
峰田さんの質問にも答えます。
「え?それじゃあこの後何を踊る気なの?」
「それをこれから相談しようと思っています。」
私には何を踊ればいいのか考えが湧きません。なのでみなさんに頼ろうと思っています。
「別になんでもいいわよ?優ちゃんの可愛い・・・待って。」
菊池先輩が何か思いついたようです。もしかしたら素敵な案かもしれませんので、確実に聞いておくとしましょう。
「優ちゃんの全裸の舞踊、とかどう?優ちゃんの全裸が見られるのであれば、きっとみんな釘付けに・・・は!?ということは、優ちゃんの全裸が有象無象共に晒されちゃうわ!ど、どうしたらいい!?」
「とりあえず黙っておくのが賢明かと思います。」
菊池先輩に期待した私が愚かでした。
「・・・前々から思っていたけど、あの人、なんかおかしくない?」
「気にしなくていいの。詩織はあれを反面教師にして生きていけばいいから。あれはね、生き恥を晒しているのよ。」
「へぇ。」
菊池先輩、潮田さんと峰田さんから反面教師扱いされるみたいですよ。これを機に少しは反省してほしいところですが・・・。
「優ちゃんからのお叱り。これはこれで悪くないわ♪」
「・・・。」
反省、していなさそうです。
(はぁ。)
本当、菊地先輩に尊敬したり呆れたり、私も忙しいです。
「それで峰田さん、何かいい案はありますか?」
私は菊池先輩を無視し、峰田さんに質問します。
「案、ねぇ。」
峰田さんは少し考え、
「いっそ、世界一のダンサーの踊りとか踊ってみたらいいんじゃないかしら?そうすれば、優ちゃんの腕も見せられると思うわよ?」
「世界一のダンサーの踊り、ですか?」
「ええ。」
「それって、どんな踊りですか?」
「え~と・・・ちょっと待ってね。今調べるから。」
と、峰田さんが携帯を取り出そうとしたところで、
「優ちゃ~ん♪これが、世界一のダンスよ♪」
いつの間にか準備していた菊池先輩が私にタブレットを見せてきました。
・・・これが世界一のダンス、ですか。
「もしかしたらこれ、菊地先輩なら踊ることが出来るのではないですか?」
私が菊池先輩に聞くと、
「ええ、踊れるわよ。愛する優ちゃんのためならなんだって出来るわ!」
やはり出来ますか。なら、菊地先輩に教えてもらった方が確実ですかね。さきほど引くような発言をしていたのですが、菊地先輩の技術や能力は凄いですからね。それなのにどうして性格はあれほど残念なのでしょう?私には解読出来ない謎です。
「「・・・。」」
私が菊池先輩について思考していると、潮田さんと峰田さんが驚いたような顔をして見ていました。どうかしたのでしょうか?聞いてみますか。
「どうしましたか?何か驚くような出来事でもありましたか?」
「あったというか優ちゃん、私の聞き間違えでなければ、こいつが、世界一の踊りを踊ることが出来る。そう聞こえたのだけど?」
「そう言いましたし、菊地先輩も認めましたよ?」
「ええ。優ちゃんのことを思えば、あれくらい余裕ね。」
峰田さんの質問に返答すると、
「「・・・。」」
二人は互いを見つめ合っていました。一体何をしているのでしょう?
「・・・あの人が色々と凄すぎるから、優の感覚が幾分か麻痺しているのね。」
「そうね、詩織。少なくとも、あれはおかしい。」
そう言いながら峰田さんは菊池先輩を指差しました。確かに、菊地先輩は色々おかしいですからね。峰田さんや潮田さんの言い分には納得です。
「その気持ち分かります。確かに菊池先輩は凄いです。凄いのに性格があまりにも残念で・・・、」
「あ~ん♪優ちゃんが私の事を褒めてくれているわ~♪私、とっても嬉しいわ♪♪」
「褒めていません。それと、ダンスを教えてください。」
紆余曲折ありましたが、あまり手を抜くためにはいきませんからね。菊池先輩のためにいいところを見せますか。
「ええ。それじゃあさっそく・・・、」
「「ちょっと待った!!」」
「「え??」」
私が菊池先輩にダンスを教わろうとすると、何故か潮田さんと峰田さんが止めに入ってきました。
「どうかしましたか?」
「何かあった・・・まさか、優ちゃんと私のイチャイチャタイムを妨害する気!?そんなこと、絶対にさせないわ!!!」
「そんな馬鹿な事は考えていないわよ・・・。後、世界一のダンスを踊ることは禁止ね。」
「え?どうしてですか?」
良い案だと思ったのですが、駄目だったのでしょうか?駄目だとしても、何が駄目なのか教えてもらいたいところです。
「それは・・・今後の人生を大きく左右するかもしれないからよ。」
「なる、ほど?」
よく分かりませんが、よく分かりました。
「では、どうします?」
代案を出してもらわないと困ります。
「それじゃあ、さっきみたいに双花のダンスをまた真似したらいいんじゃないかしら?」
潮田さんから代案が出されました。
「それでいいのですか?」
さきほどもしたので、今回は別案でいこうと考えていたのですが。
「え、ええ。同じダンスをしてもらえば、踊っている人の技量によっては、同じダンスでもまったく異なるからね。」
「そのような視点もあるのですか。なるほど。」
であれば、さきほどと同じプランでいかせてもらいますか。
「さて、そろそろ時間だし、踊るわよ。」
「優、準備はいい?」
「問題ありません。」
さて、呼ばれたことだし、行くとしますか。
「ご相談に乗ってくださりありがとうございました。」
私は峰田さんと潮田さんにお礼を言い、双花の2人に向かいました。何せ、あの2人の完全コピーをしますからね。出来るだけ踊りを近くで見なくてはなりません。
「頑張ってね、優。」
「応援しているわ。」
「優ちゃん、今からでも全裸の舞踊にしてみない?ちょっとだけ、ちょっとだけでいいからさ、ね?」
「全裸の舞踊は絶対にしませんので安心してください。」
「そ、そんな~。」
まったく、菊地先輩はどうして、
(はぁ。)
いずれ、菊池先輩にはまともになってもらいたいものです。そんな願いを密かに抱きながら、私は二人の近くへ向かいました。
「ねぇ?もしよ?優が世界一のダンスを完全に真似出来たらさ、」
「ええ。間違いなくダンサーへの道が開き、いずれは・・・ねぇ?」
早乙女優を見送った潮田詩織と峰田不二子は、二人だけにしか聞こえない声量で話し始める。
「そんなに優って凄いの?確かに色々凄いけど、そこまで?」
「私にも詳しいことは分からないわ。けど、」
峰田不二子は早乙女優を見つめている菊池美奈に視線を移す。
「あいつが惚れ込んでいるんだもの。きっと、ただ者じゃあないわ。」
「あいつって・・・?」
潮田詩織は菊池美奈を見る。その視線を察したのか、峰田不二子は話を再開する。
「ええ。昔はあれほど変態じゃなったもの。あいつをあそこまで変えた何かが、優ちゃんにあると思うの。」
二人が見つめる女性は、
「優ちゃん、頑張れー♪」
早乙女優を応援していた。
(一体、あの人は優の何なのかしら?)
潮田詩織はそんなことを考えているものの、そんなことはお構いなしに時間が流れ、
「さぁまずは、」
「私達の踊りを見せてあげるわ!」
双花と呼ばれる双子モデルが踊りだす。
先に双花と呼ばれる双子のモデルに踊ってもらっていますが、この選択は正解でしたね。何せ、双子モデルの踊りを見る事が出来ますからね。
(なるほど。)
そうやって踊っているのですか。足の角度はこれくらいで、腕の振り方は・・・。私は二人の踊りを順々に覚えていきます。そして、頭の中で、私が踊ることを想定し、どのように体を動かせばいいのかイメージしていきます。
(体の大きさが違いますから、その事も考慮して補正しましょう。)
自身が踊るイメージを定着させながら、双子モデルの踊りを見ていきます。
「「・・・。」」
そして、双子のモデルの踊りが終了しました。終了後、とても大きな拍手の音が流れてきました。流石、都内の大会でベスト8です。踊りの実力は相当なものでしょう。私には分かりませんが。
「私達の踊りはどうだった?」
「これで私達は都内の大会でベスト8になったんだから。」
なるほど。これは気合いを入れ直した方がよさそうです。
「そうですか。」
私は、最後に脳内で全体を通してイメージします。・・・よし、問題なさそうですね。
「それであなたは、」
「どんな踊りを見せてくれるのかしら?」
「どんな踊り、ですか。」
一言で言うなら、あなた達の真似、と言えばいいですが、少し言い方を変えるとしましょう。
「見ていれば分かりますよ。」
私はそう言いました。
「そう。」
「それじゃああなたの踊り、楽しみにしているわ。」
私の発言に肯定も否定もしませんでした。
(ありがとうございます。)
私は二人の優しさにお礼の言葉を述べながら、ひらけた場所に向かいました。
「さて、それでは次に、優ちゃんに踊ってもらいましょう。」
ここで、この場を仕切っている男性に声をかけられました。
(さて、踊りますか。)
この場には、私の踊りを楽しみにしている人がいます。その人の中に、峰田さんや潮田さん、そして菊池先輩がいます。より一層頑張り、恥じない踊りを見せるとしましょう。
(いきましょう。)
私は、踊り始めました。
早乙女優の踊りを見た周囲の人々は驚く。
何せ、早乙女優が踊っている踊りは、さきほど踊っていた双花と呼ばれる双子モデルが踊っていた踊りと瓜二つなのだ。
(こいつ!)
(上等よ!買ってやろうじゃない!)
双花の二人は、早乙女優が喧嘩を売っていると思い、買うつもりで早乙女優の踊りを見る。周囲の人々は、さきほど見た双花のモデルの踊りと比べている。
「ねぇ?」
「もしかして・・・?」
そして、周囲の人々は口に出さないが、ある考えが浮かんでしまう。
もしかして、早乙女優の方が上手いのではないか、と。それは、さきほどとまったく同じ踊りをし、比較しやすいからこそ出来る思考であろう。
(あの子、凄い。)
(もしかして、私達以上?)
その思考に、さきほど踊りを踊った双子も辿り着く。
早乙女優が踊りを終えた頃、
(これはもう、)
(私達の負け、ね。)
双子のモデルは、早乙女優の踊りを見て、完全に敗北感に蝕まれていた。どうしようもない敗北感に背を向け、怒りという感情を早乙女優にぶつける事は出来た。だが、双子モデルはそんなことしなかった。
「完敗だわ。」
「私達以上の踊りを見せてくれてありがとう。」
双花と呼ばれている双子モデルは、早乙女優に向けて手を出す。
「いえ。こちらこそよい刺激、経験となりました。ありがとうございます。」
早乙女優は双花の差し出された手をとり、握手する。
その光景に、周囲の人々が自然と拍手した。
私がダンスをお見せした後、周囲の方々が何か色々話したそうにしていましたが、忙しいという理由をつけて、その場を去ることにしました。去り際、
「来週末、また会いましょうね。」
と、峰田さんに言われました。来週末、峰田さんと会う予定なんかないと思ったのですが、私の勘違いの可能性を考慮し、何も言わず、会釈だけしました。
そして私は、菊地先輩と共に帰路に着きました。
「本日、私の踊りはどうでしたか?」
私がそう聞くと、
「もう、最高!今日は本当に素敵なものを見せてもらったわ♪」
と、喜んでくれました。
(その言葉だけが聞けて良かったです。)
それだけで、私が踊った意味があったというものです。
(それにしても、)
帰り際に峰田さんから聞いていた言葉が気になったので、少し調べてみましょう。
さて、来月も似たような事がありそうですので、それなりの覚悟をしておくとしましょう。
次回予告
『新たな中学生達の炒飯作成生活』
テレビ局での一件を終えて中学校に登校したものの、早乙女優の体に疲れが残っていた。
そんな中、同好会の集まりで炒飯を作ることになった。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?




