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国民達の大型連休生活~暖かい家庭~

「・・・以上が俺・・・じゃねぇや。馬鹿な男に関する話だ。」

「・・・そう、ですか。」

 工藤先輩、その馬鹿な男に関する情報を把握していますね。まるで自分のことのように話をしていました。その上、登場してきた小さな子供、でしたか?その小さな子供、なんだか私の境遇と似ているような気がします。私の気のせい、でしょうか?

「それで優、お前はそんな馬鹿な男をどう思う?」

「どう思う、とは?」

「こんな馬鹿な男、もう一緒に住みたくないとか幻滅したとか、あるだろう?」

「・・・。」

 工藤先輩は悲しそうに言ってきました。それにしても何か思う事、ですか。

 ・・・。

「一つ、いいですか?」

「お、おう。なんだ?」

「確認ですが、工藤先輩が言う馬鹿な男と小さな子供についてです。」

「ああ。」

「まさかと思いますが、馬鹿な男が工藤先輩で、小さな子供が私、なんてことはありせんよね?」

 私は工藤先輩の話を聞いて気になった事を質問します。本当は他にも聞きたいことはあるのですが、ひとまずこれを聞きましょう。そして、質問を質問で返すような形になってしまって申し訳ありません。こればかりはどうしても聞きたかったことですので。

「そ、そんなことはないぞ!?だが、そうだと仮定して俺の質問に答えて欲しい。いいか?」

「分かりました。」

 どうやら私の他にも、幼い頃から会社で仕事している人がいるらしいです。その人に一度会って話を聞いてみたいものです。工藤先輩が言う仮定内容については理解しました。私はあらためてこれまで聞いてきたことを脳内にまとめ、話すことを考え直す。

「では、工藤先輩の質問に答えさせていただきます。」

「ああ。」

「その馬鹿な男、工藤先輩は一つのことに固執し過ぎて、周りが見えていない上、小さな子供、私を甘く見過ぎかと。」

「・・・どういうことだ?」

 工藤先輩の質問に、私は工藤先輩の話を聞き、思ってきたことを話し始める。

「さきほどから工藤先輩は不妊症に関して強いマイナスイメージを抱いていることが窺えます。イメージに関して特に言いません。個人の考えやイメージに対して異を唱えたところで本人の気持ち、イメージはそう簡単に変えられませんからね。」

 イメージや印象は、本人が今まで培い、経験してきたことが基になっていると思います。なので、イメージや印象を変えるには当人が今まで蓄積してきた経験等に別の情報をインプットする必要があると思います。簡単にインプット出来、良い方向に変わっていけばいいのですが、年月を重ねれば重ねるほどイメージや印象を変えることが難しくなります。年を重ねるほど、これまで培い、経験したことが多くなりますからね。ほんの少し変えるだけならどんなに経験を積み重ねても可能なのかもしれませんが、大幅に変えるのはかなり難しいでしょう。自分のこれまでを否定する様なものですからね。誰だって、自分の全てを否定されたくないでしょうし。

「ですが、工藤先輩は不妊症という点でしか見ていません。それだけで工藤先輩という人間を説明する事は出来ません。」

「・・・。」

 工藤先輩は静かに私の話を聞いてくれています。途中で質問せず、話を聞いてくれていること、感謝します。

「工藤先輩という人間は、不妊症である以外にも特徴があるはずです。その特徴が何なのか分かりますか?」

「・・・さぁ?その特徴ってなんなんだ?」

「そうですね。まず、お酒好きであることです。お酒同様、お酒に合うおつまみも好きであること。料理が出来ないこと。家事が苦手なこと。他にも様々な特徴がありますが、今はこれくらいにしておきますね。」

 後、仕事において、強い責任感を持って行っている事や面倒見が良い事等がありますね。これらは言いませんけど。

「それらの特徴が工藤先輩という人間を作っているのです。それは分かりますか?」

 私は一応工藤先輩に質問する。ここまでの話で分からないことがあれば、この後話したところで意味がありませんからね。

「あ、ああ。大丈夫だ。」

「分かりました。それでは話を続けさせていただきます。」

 どうやら今のところ、私の話についていっているようです。ならこのまま話を続けるとしましょう。

「ですから、工藤先輩が不妊症であっても、それはあくまで工藤先輩を構成している特徴の一つでしかありません。その特徴が例えマイナスであっても、工藤先輩を蔑み、非難する理由には繋がりません。」

 まぁ、マイナスの程度にもよると思いますが。例えば、罪を犯し、前科がついてしまった、とかなら少し考えるかもしれませんが、言わないでおきましょう。少なくとも私は、工藤先輩が不妊症だとしても蔑んだり非難したりするつもりはありません。

「だが、その馬鹿な男はずっと不妊症なんだぞ!?つまり、その馬鹿な男と小さな子供は本当の家族じゃない!本当にそれでいいのか!?」

「本当の家族だとか、血縁関係だとか、少なくとも私にはその繋がりは求めていません。」

「じゃあ何を求めているんだ!?」

「大切な人達の繋がりです。」

「それって家族のことだろうが!」

「それは違います。私にとって大切な人とは、橘先輩や桐谷先輩、菊地先輩や工藤先輩みたいな、私が恩を感じている人達の事です。」

「恩を感じている、だと?」

「ええ。私が大切にしたい人達は、私が恩を感じている人達の事です。ですが、その方達とは血の繋がりなんてありません。」

 私はこれまでの生活で恩を感じている方々を思い浮かべます。

「血の繋がりがなくても大切にしたいこの気持ちは、蔑まれたり、非難されたりするものなのですか?」

「・・・。」

 工藤先輩は私の言葉に何も言わなくなってしまいました。

「もちろん、工藤先輩の価値観を全て否定するわけではありません。長い間培ってきた価値観を、私の言葉一つで大幅に変える事は出来ないと思います。」

 私の価値観は十数年培ってきたものです。それに対し、工藤先輩の価値観は三十年以上培ってきたものです。きっと、私がこれまで経験してきたことのない何かを踏まえて得た価値観なのです。私がその価値観を全て否定するのは納得出来ないでしょう。

「ですが、こういう価値観、言葉、ものの見方があるのだと、覚えていてください。」

「優・・・。」

 工藤先輩は私の頭に手を置き、撫でてきました。なんだか恥ずかしくなってきました。

「と、とにかく!工藤先輩が不妊症だからと言って、その一点だけを見て蔑んだり非難したりするつもりはありません!」

 工藤先輩の手をどかし、私は宣言する。

「このこと、馬鹿な男に伝えてもらえませんか?」

「ああ。確実に、一言一句違わずに伝えるさ。」

「分かりました。」

 きちんと伝えるみたいでよかったです。

「それじゃああがるか。」

「そうですね。」

 体も洗いましたし、湯船にも十分浸かったことですしね。私と工藤先輩はお風呂からあがり、体に付着している水分を綺麗にぬぐい取り、朝食を召し上がることにした。

「さて、ご飯でも食べるか。」

「・・・え?」

 工藤先輩は朝食を食べようと宣言した。私は工藤先輩の言葉に思わず素で言葉を発してしまいました。何せ、入浴前に朝食を食べたのですから。また朝ご飯を食べるつもりなのでしょうか?詳しく話を聞いてみると、

「色々話してみたらスッキリした。そのおかげでお腹の中もスッキリしたんだ♪」

 と、工藤先輩はお腹を見せながら、空腹アピールしてきました。お腹を見せられてもどう反応すればいいのか困るのですけど。私は許可をもらい、工藤先輩宅の冷蔵庫の中身を拝見し、どのような料理が作れるか考える事にした。

(うわ~。)

 これ、生活風景が容易に想像出来ますね。冷蔵庫の中身がお酒の缶ばかりなのですが。申し訳程度に野菜が入っていますね。後、簡単に食べられるインスタント食品のストックもかなりあります。酒のつまみは・・・あった。冷蔵庫の横に常備されているみたいです。つまみの量が野菜よりも多いです。工藤先輩はきっと、毎日お酒を飲みながら、ストックされている大量のつまみを食しているのでしょうね。ほんと、日頃の食生活が心配です。もう少し食の改善をお願いしたいところです。今は言いませんが。さて、こうなると私の部屋から食材を持ってきた方がよろしいですね。私は自室から必要な食料を持ってきて、調理を始めました。

「はい。」

「おお♪」

 作った料理は煮込みうどんです。入浴前にもご飯を食べたので、出来るだけ消化に良さそうな料理にしてみました。野菜も出来るだけ柔らかくし、多く入れました。

「相変わらず優の料理は美味いな。」

「お褒めにあずかり光栄です。」

「ところで優は食べないのか?」

「入浴前に食べた分で十分です。」

「そうか。」

 工藤先輩は私の事を気にせず食事を再開しました。それにしてもなかなかいい食べっぷりです。これで2度目の朝食なのに、です。工藤先輩って実は大食いなのではないでしょうか?もしかしたら、成人男性はこれくらい食べて当然なのかも?・・・分からないので考えるのはやめるとしますか。

 食事を終えた工藤先輩は、今日は私と一日過ごしたいとの要望でしたので、私は今日一日出来るだけ工藤先輩と一緒にいることにしました。

 一緒に食器を洗ったり、洗濯したり、掃除したり、休憩したり、昼食のための買い出しにでかけたり、昼食を作ったり、また食器を洗ったり、おしゃべりしたり、本当に色々しました。私からすれば、何気ない生活の一部だったかと思います。工藤先輩もきっとそう思っていると思います。何せ、工藤先輩と一緒にいるだけで特別なことは何もしていないのですから。

 こうして一日をのんびりゆったり過ごし、時刻は夕刻。陽が沈み始め、空が青から変色し始めている頃です。私と工藤先輩は工藤先輩の部屋で夕飯の準備でも始めようかと動こうとした時です。

「「??」」

 突如、玄関のチャイムが鳴りました。もしかして工藤先輩、何かデリバリーでも頼んだのでしょうか?今日の夕飯用なのでしょうか?だとすればありがたいです。それがあれば、夕飯を作る必要がなくなりますからね。

「俺が出るわ。」

「よろしくお願いします。」

 工藤先輩が対応することになりました。工藤先輩は一体、何を頼んだのでしょうか?ピザですかね。それとも、寿司?

(どちらも美味しいですからね。)

もしかして両方?それはとても魅力的です。

「ひ!!??」

 デリバリーの魅力について考えていると、工藤先輩からおかしな声が聞こえてきました。まるで何かに怯えているような声です。どうして玄関で応対しているだけなのにあんな声が出るのでしょうか?

(まさか・・・強盗!?)

 宅配に紛争した強盗かもしれません。それなら、工藤先輩があのような声を発したことも納得です。

(すぐに応戦しないと!)

 工藤先輩だけに任せるわけにはいきません!私は出来るだけ冷静に応対出来るよう、心を短時間で落ち着けてから玄関に向かいます。

「ゆ・う・く~ん♪」

「ひ!!??」

 突如聞こえてきた声は、とても聴き慣れた声でした。ですが私はその声に恐怖しました。

「な、何故ここに居るのですか!?」

 声の主は、

「うふふ♪なんだか優君がこっちにいるような気がしたのよ~♪そしたら案の定ここにいたわ~♪」

 菊地先輩でした。本当、私が工藤先輩の部屋にいるって分かったのでしょう?ちょっとした怪談より恐怖を感じてしまいます。さきほど工藤先輩が声をあげた理由も納得です。

「優君、こんばんは♪」

「ひえ!!??」

 これから菊池先輩は何をする気なのでしょう?まさか、工藤先輩を殺す気なんじゃ!?そんなわけないですよね。・・・違いますよね?聞きたくても怖くて聞くことが出来ないです。

「もう~別にとって食おうなんて思っていないから安心してよ~♪」

 そう言いながら、菊地先輩は私に近づき、自然なことのように私の頭に手を置いて撫でてきました。

「優君にお土産があるから渡しに来たのよ。」

「私にお土産、ですか?」

 菊池先輩、今日はどこかに出かけていたのでしょうか?私の記憶では、菊地先輩は今日一日中家にいる予定だったかと思います。まぁ、人に言えない予定もあるでしょうし、私に言っていない予定があったのでしょう。そんなことを考えながら菊池先輩から受け取ったお土産という白い袋を受け取り、中身を見ると、

「これ・・・ピザに寿司、ですよね?」

 私がさきほど欲していたものではありませんか!?どうしてこれを菊池先輩が持っているのでしょう?

「うふ♪優君のお口に合えばいいのだけど、どう?」

 私が菊地先輩を見ると、そんな言葉が返ってきました。菊池先輩、まさか私のさきほどの心を読んで、急に買ってきたのでしょうか?凄いというか怖いというか・・・。

「あ、ありがとうございます。」

 今日の夕飯にするとしますか。

「それで菊池、優に何の用だ?」

 平静を取り戻したのか、工藤先輩は家にあがった菊池先輩に声をかける。

「・・・まことに残念だけど、今日用があるのは優君じゃないの。」

「「え??」」

 菊池先輩が私目的じゃない、ですって?

「う、う、う、嘘だ!!」

「・・・。」

「・・・工藤、なんでそんなに驚いているのよ?優君も何か言ってやって・・・て、優君?」

「・・・。」

「優君!」

「・・・は!?すみません!今聞こえてきた菊池先輩の声が幻聴かと思い、反応出来ませんでした。」

「二人ともその反応はひどくない?」

「「いいえ。」」

 普段の菊地先輩を見ていればこの反応は当然かと思います。菊池先輩は私にしか興味がないと思っていましたから。ちなみに自意識過剰ではありません。菊池先輩を日夜見ている私や、同じ会社に勤めている会社員なら誰でも分かる常識ですからね。

「そうなると、一体誰に・・・。」

 いえ、この場には私の他にもう一人いますね。ですが、

「俺、か?」

 工藤先輩が自身を指差し、菊地先輩に質問しました。

「ええ。あなたよ、工藤直紀。」

「「!!??」」

 まさか菊池先輩が普段毛嫌いしている工藤先輩に用があるとは。よほどのことなのでしょう。

「それじゃあ、ちょっと外に出て話しましょうか?」

「・・・ああ。」

 工藤先輩は少し考えた後、菊地先輩について行きました。

「優君♪これが終わったら、また一緒にイチャラブエロエロしましょうね♪」

「絶対にしないので安心して工藤先輩と用事を済ませて下さい。」

「ぶー。けちー。」

 菊池先輩は大人であるにも関わらず、子供みたいに頬を膨らませながら言ってきました。何だか今の姿、いつもの菊地先輩を見ているようで安心しました。さきほどの言葉が菊池先輩らしからぬ言葉でしたので、動揺していたのかもしれません。

「・・・。」

 そして、菊地先輩と工藤先輩が外に出ていきました。おそらく、用が終わればこの部屋に戻ってくることでしょう。目の前のこのデリバリーピザと寿司。一つくらい食べてもばれない、ですよね?

(て、いけない!)

 私一人だけ先に食べるのはいけません!やはりみんなで食べたいですからね。となると、今の私に出来る事は・・・。

「よし。」

 このピザと寿司をより美味しく食べられるようにすることです。確か、昼前に買い物したインスタント食品が複数あったはずです。それらを使わせてもらうとしましょう。


 早乙女優がいる工藤直紀の部屋から出た工藤直紀と菊池美奈は、菊池美奈の部屋に移動した。

(これが女性の部屋か。)

 工藤直紀は滅多に訪れる事のない女性の部屋に少し興奮しながら、菊池美奈から話が振られることを待つ。

「そこに座って。」

「ああ。」

 工藤直紀は菊池美奈の言う通りにし、近くの椅子に座る。

「はい。」

 菊池美奈はキッチンからコップを2つ取り出し、ペットボトルに入っている透明な液体を注ぎ込む。注がれたコップの1つを工藤直紀に差し出す。

「サンキュ。」

 工藤直紀は素直に受け取り、近くのテーブルに置く。

「「・・・。」」

 その後、少しの沈黙が届いた後、菊池美奈から話を切り出した。

「あなた、優君にあのこと、話したそうじゃない?」

「あのこと?あのことってなんだ?」

 工藤直紀は、菊地美奈が言うあのことについて質問する。

「あなたの不妊症のことよ。」

「!?」

 工藤直紀は菊池美奈の発言内容に驚く。何せ、早乙女優に不妊症の事を言ったのは今日が初めてだからである。その上、あくまで自分が不妊症ではなく、工藤直紀とは異なる馬鹿な男が不妊症であると称して話したのだ。それなのに菊池美奈は話を聞き、嘘を見抜いたかのように話し出したのだ。驚かない方が無理だろう。

「お前、どうして・・・!?」

「優君があなたのことを思い、元気無さそうにしていたからよ。」

 工藤直紀は最後まで質問を言おうとしたところに、菊池美奈は言葉を被せる。

「あなたが辛そうにしていると、優君も辛そうにするの。何故か分かる?」

「・・・。」

 菊池美奈の質問に対し、工藤直紀は無言を貫く。

「優君がいつもあなたの事を大切に思っているからよ。優君はいつでも、あなたの力になりたいと思っているからね。」

 菊池美奈は、自分で注いだ透明な液体を自身の体に投入する。

「だから、優君がいつでも幸せな笑顔を浮かべられるように私はしていきたいし、行動していくつもりよ。」

 そして、工藤直紀に近づいていき、ある程度近づくと、工藤直紀の眉間の中央部分に指を指す。

「だから、あなたが笑顔でいられるよう、私も動いてあげるわ。だから、優君の前で辛気臭い顔を晒すことは控えなさい。」

 そして宣告する。菊池美奈の目からふざけやのろけ等の感情はない。真剣かつ本心で言っているのである。

「・・・ちなみに言っておくが、俺は、」

「ああ。そういう作り話はしなくていいから。あの話に出てきた馬鹿な男があなた、工藤直紀だってことはとっくに分かっているから。」

 工藤直紀は、自身が不妊症ではないと宣言しようとしたが、菊池美奈はその話を聞かずに否定し、言葉を並べる。その菊池美奈の言葉は、まるで風呂場での話を聞いていたかのようである。何故菊池美奈が知っているかは別にし、菊池美奈は話を続ける。

「分かった?」

 一通り並べたい言葉を並べ終え、菊池美奈は工藤直紀に質問を投げかける。

「・・・お前は、どう思うんだ?」

「はぁ?」

 工藤直紀は悔しさを隠すように呟く。工藤直紀の呟きに、菊池美奈は聞き返す。

「だからお前はおれ・・・じゃなかった。馬鹿な男が不妊症だったら、その馬鹿な男をお前はどう思うんだ?」

「は?だから何を言って・・・、」

 菊池美奈は真剣な眼差しで、辛そうにしていた。言葉一つで心を砕けそうなくらい脆く、弱弱しい眼差しであった。菊池美奈は工藤直紀の態度で何かを悟り、自分なりに誠実に答えようと少し考え、言葉に変換する。

「工藤直紀という人間は、不妊症だと判明した時点で、非難されるべき存在じゃないわ。少なくとも私はそう思っているわ。」

 菊池美奈は工藤直紀の言葉を待たずに連投する。

「不妊症が分かったところで犯罪者みたいな扱いをされるとは思わないし、どんなに優秀、誠実な人でも不妊症なら駄目人間、なんてことはないはずよ。」

 菊池美奈は、何事においてもある小さな子供が最優先される。そんな菊池美奈の価値観と言うのは、ひどく偏見じみている。それは、小さな子供を肯定する人間を好意的に扱う。そして、小さな子供を理不尽に否定する人間に嫌悪感を抱く。まさに小さな子供中心に生きているようである。そして、それ以外はどうでもいいと思っている。そんな価値観だからこそ、菊池美奈は不妊症を患っている工藤直紀を嫌悪せず、何もなかったかのように接する。

「それに、あなたの不妊症はずいぶん昔から知っていたし。」

「・・・は?な、なんで!?どうして!!??どうやって!!!???」

 工藤直紀にとってさきほどの菊池美奈の言葉は、驚きを避けられない場面となった。驚きながらも工藤直紀は菊池美奈に問う。

「なんでって、あの素晴らしき優君に近づく人間はみんな調査するのが私の主義なの。優君には幸せに生きて欲しいからね。だから調べたの。どうやっては・・・まぁ普通に?」

 工藤直紀に対し、菊池美奈は淡々と答える。まるで当然かのように。工藤直紀は菊池美奈の回答に驚き、呆れるような脱力するような、言葉では言い表せない感情に陥る。

「・・・お前は、お前なりの幸せを見つけたんだな。」

 工藤直紀は、やっと出した吐息のように愚痴る。

「俺だって幸せが欲しい。暖かい家庭が欲しいんだ。」

「暖かい家庭?」

 工藤直紀の暖かい家庭という言葉に疑問を抱き、菊池美奈は工藤直紀に繰り返すように発言する。

「ああそうさ。子供を産めない不妊症の人間には、到底叶わない夢なのさ。」

 さきほどまで自身が不妊症であることを隠していた人間とは思えないほど弱い姿勢を見せる。その姿勢には、もう自身が不妊症であることを認めたかのようである。

「はぁ。」

 菊池美奈は工藤直紀の態度を見て、工藤直紀の諦めの姿勢が気に入らなくなった。だから菊池美奈は、見せる事にした。

「ちょっと来なさい。あなたに見せてあげるわ。」

「何をだ?」

 菊池美奈が主語を明確にしなかったので、工藤直紀は主語を明確にしようと問う。

「例え自分で子供を設けることが出来なくても、暖かい家庭が手に入るってことをね。」

「?」

 菊池美奈は自室を出る。工藤直紀は菊池美奈の後をついていく。着いた先は、

「あ、おかえりなさい。もう話は終わったのですか?終わったのならそこに座って待っていてください。工藤先輩のお部屋ですけど。」

 小さな子供の部屋を挟んだ工藤直紀の部屋だった。そこには小さな子供が待っていた。工藤直紀と菊池美奈は小さな子供の言う通りにし、座って待つことにした。

「一体どういうことだ?」

 工藤直紀は菊池美奈を見ながらこの状況について説明を求める。

「まぁまぁ。黙ってみていなさい。」

「?」

 菊池美奈の言葉に工藤直紀は疑問を抱きながらも、菊池美奈に従った。少し待っていると、さきほど菊池美奈が持ってきたデリバリーのピザや寿司が運ばれてくる。だが、それだけではなかった。

「?優、これは?」

「それですか?寿司とピザだけでは栄養が偏ると思いましたので、味噌汁を作っておきました。インスタントでしたけど。」

 そう言い、小さな子供はお椀を二人分出す。そのお椀には、小さな子供がさきほど言っていた味噌汁が入っていた。

「それと、大根等の野菜を棒状に切っておきました。このマヨネーズをつけてお召し上がりください。」

 さらに、複数の野菜を棒状に切断したものをテーブルに出し、マヨネーズを添える。

「それじゃあ・・・、」

「あ。まだ待ってください。」

 工藤直紀が夕飯に手をだそうとしたところに、小さな子供が待ったをかける。台所に戻った小さな子供がグラスを二つ持ってきて、

「はい。」

 菊池美奈と工藤直紀に手渡しする。

「?このグラスは?」

「もう少し待ってください。今飲み物を持ってきますからね。」

 小さな子供は工藤直紀の質問をはぐらかし、再び台所へ戻り、何かを持って工藤直紀達の前に現れる。現れた小さな子供は、何か所有していた。

「お二人は今、ワインを飲めますか?」

 小さな子供が所有している物は、ワインが入っている酒瓶だった。

「優君。それ、どうしたの?」

「これですか?酒屋の方にお願いして、特別に売ってもらったんです。もちろん、用途は料理の味付けです。ワインを使って作ったサバのワイン煮、美味しいんですよ。アルコールを全部飛ばすので、子供が食べても問題ありません。後で作りましょうか?」

「さっすが優君♪もちろん後でいただくわ♪」

「では後日作りますね。それよりグラス、失礼しますね。」

 小さな子供はまず、菊池美奈が持っているグラスにワインを注ぎ込む。

「う~ん♪」

 菊池美奈は、小さな子供が注いでくれたワインにうっとりする。

「工藤先輩も。」

 小さな子供は、工藤直紀にグラスを差し出すよう促す。

「あ、ああ。」

 工藤直紀は少し戸惑いながらも、小さな子供にグラスを傾ける。小さな子供は工藤直紀のグラスにワインを注ぎ込む。

「はい。」

 注ぎ終えたのか、小さな子供は工藤直紀に完了の知らせを告げる。

「それでは全員に飲み物が行き届いたことですし、乾杯しましょうか。」

「あれ?優君の飲み物は?」

 菊池美奈は、小さな子供が飲み物を所有していないことに気付き、指摘する。

「問題ありません。こんなこともあろうかと、今まで長らく冷凍保存していたあれを出してきましたから♪」

 そう言った小さな子供は、テーブルに円柱状の何かを置く。工藤直紀と菊池美奈はパッケージを見てすぐに気づく。

「・・・それ、アイス、だよな?」

 それはコンビニやスーパー等でよくみかけるカップアイスだった。

「優君?いくら優君でもカップアイスは飲み物じゃないのよ?」

「いえいえ。このアイスはワインを8割再現しているアイスなんです。これでみなさんと乾杯しますよ。」

「・・・それ、アルコールが入っているとか未成年は食べられないとか、そんな制限はないのか?」

 工藤直紀は気になった事を質問する。

「問題ありません。このワイン味のアイスは、アルコールや炭酸を再現していないんです。中にはアルコールや炭酸を含め、完全にワインを再現したアイスも販売してますよ。まぁ、そのアイスは未成年に販売してくれないので購入したことはないのですが。」

 小さな子供はがっかりとした表情を見せる。アイスに対する好奇心の大きさに、工藤直紀と菊池美奈は呆れながらも、

「それじゃあ、乾杯です。」

 小さな子供の乾杯の音頭に、

「「乾杯。」」

 乗ることにした。そして、3人の夕食が始まった。

 3人は夕食を堪能した。ご飯はもちろんのこと、食事の合間に行われる雑談も楽しんでいた。

「優君、あ~んして食べさせて?」

「もう。今日だけ、ですからね。はい、あ~ん。」

「あ~ん♪んん~♪優君に食べさせてもらえるなんて最高~~~♪♪♪」

「それは良かったです。」

「それじゃあお返ししないとね。はい優君、あ~ん♪」

「・・・本当に今日ですからね?あ~ん。」

「あ~ん♪もう今日が永遠なら良かったのに~♪優君どう?美味しい?」

「美味しいです。」

「良かった~♪」

 小さな子供と菊池美奈で食べさせ合いっこが始まっていた。2人の様子は付き合いたてのカップルのよう。工藤直紀はそんな2人に出来るだけ関わらず、小さな子供が注いでくれたワインを味わう。

「この際、工藤先輩にもしましょうか?」

「!?お、俺はいいから!」

 突如、小さな子供からあ~んをされたいかの提案を受ける。工藤直紀は照れ臭さを隠すように大きな声で否定する。

「そうですか。分かりました。」

 工藤直紀の言葉に小さな子供は素直に従う。

「それじゃあその分私にあ~んして~♪」

 そして、その隙を突くかのように、菊池美奈は小さな子供に甘える。

「・・・本当に今日だけですからね?」

 小さな子供は、今日が大型連休中ということを理由とし、菊池美奈の甘えを許し、あ~んを再開する。

(もしかしてこれが・・・?)

 工藤直紀は、これまでのやりとりを振り返り始める。そして、心当たりがあった。

 その心当たりは、工藤が今まで考えてきた暖かい家庭そのものだった。普通の家庭には当たり前の光景である。だが工藤直紀は、もう暖かい家庭を手に入れる事が叶わないと思っていた。何せ工藤直紀は子供を設ける事が出来ない。その上、結婚もしていない。だから、暖かい家庭を今すぐ作るのは不可能なのであった。だが、今はこうして見る事が出来た。

(こんな、身近にあったんだな)

 工藤直紀は気づく。工藤直紀が渇望した暖かい家庭は、既に見ることが出来ていたのだと。自分も暖かい家庭に含まれているのだと。そして今、小さな子供が注いでくれたワインを飲んでいる。

(こんな幸せが身近にあることを今まで気付かなかった俺って、本当に馬鹿だ。)

 今までの自分への非難を行い、

(本当、幸せだな・・・。)

 今の幸せをしみじみと感じていた。そして、その幸せは工藤直紀の体内にとどまらず、

「!?く、工藤先輩!?どうしたのですか!!??」

「え?どうしたって何が?」

「泣いているんですよ?それは気になりますよ!」

「・・・え?」

 体外、目から幸せがこぼれてしまっていた。工藤直紀は目元をこすり、ようやく小さな子供の言い分を信じる。

「そうか。」

「そうかって。ワサビが効き過ぎてしまったのですか?それとも、私が用意した料理が不味過ぎた、という事ですか!?そうだったら申し訳ありません!」

「・・・優君、多分違うと思うわよ?」

「え?」

 何気ない日常の会話でも、工藤直紀は幸せを感じる。ワイン越しに見ても、暖かな家庭が色濃く見えた。そして、残りのワインを一気に飲み干す。

「ふぅー。」

 息が細く漏れる。その息はため息の様な、幸せが逃げたり負の感情から発せられたりするものではない。自身が幸せ過ぎる故に出てしまった吐息である。その吐息にはきっと、幸せ成分が多く含まれている事だろう。工藤直紀の柔らかな表情を見れば一目瞭然である。

「工藤先輩、ワインが無くなっていますね?おかわりいります?」

 小さな子供はワインの瓶を手に取り、注ぐ準備をすぐに終わらせる。

「頼む。」

 工藤直紀は小さな子供の提案を受け入れる。すると小さな子供は工藤直紀のグラスにワインを注ぎ始める。

(やっぱいいな。)

 工藤直紀は、小さな子供にワインを注いでもらう事に喜びを感じていた。まるで、息子に酒を注いでもらう父親の心境だ。

(これで優が俺と一緒に酒を飲んでくれたら最高なんだがな)

 そして工藤直紀は、小さな子供と共に飲酒することを希望していた。今は小さな子供は未成年なので出来ない事なのだが。

 そして、工藤直紀にとって幸せな夕飯時は終わり、

「それでは工藤先輩、長い間、お邪魔しました。」

「それじゃあ優君を家まで送るわ。そして襲うわ♪」

「いや襲うなよ。」

 小さな子供と菊池美奈は工藤直紀の部屋から出る。

(やっぱ二人は帰っちまうのか。)

 工藤直紀は顔に出さないものの、心の中では寂しさを感じていた。さきほどまで幸せだったのが嘘みたいである。

「もう、大丈夫ですか?」

 小さな子供は工藤直紀に向けて問いかける。

(は?何の事・・・?)

 工藤直紀は小さな子供の目を見て気づく。この目は、自身を心配しているのだと。理由もおおよその検討はついていた。だから、

「ああ。大丈夫だ。優の言葉、きちんと馬鹿な男に伝えておくさ。」

 工藤直紀ははっきりとした声で宣言した。

「そうですか。きちんと伝えておいてくださいね。」

 小さな子供は工藤直紀の返答に納得する。

「では、お休みなさい。」

 小さな子供は工藤直紀に頭を下げてから、工藤直紀の部屋を後にした。

(さて、俺も自室に戻るか。)

 小さな子供が工藤直紀から視線を外したところで、工藤直紀も小さな子供同様自室に戻った。部屋に戻って数分。

「?誰だ?」

 チャイムが鳴った。工藤直紀には、チャイムを鳴らす人に心当たりはない。何故なら工藤直紀は、今日荷物が届くよう注文なんてしていないからである。玄関まで行くと、

「・・・何の用だ?」

 そこには、さきほど小さな子供を見送った女性、菊池美奈だった。

「あなたへのせん別を渡し忘れていたわ。」

「せん別?」

 工藤直紀は視線を下に落とすと、菊池美奈の手に白い袋を持っている事が視界に映る。

「それか?」

「ええ。」

 菊池美奈は押し付けるかの如く工藤直紀に渡す。

「それじゃあ。」

「あ、おい。」

 菊池美奈は工藤直紀の言葉を聞かず、自室に戻っていった。

(ありがとう、菊地。)

 工藤直紀は菊池美奈に感謝の言葉を言えなかったので、心の中で言う事にした。再び自室に戻り、白い袋の中身を確認した。

「こ、これは!?」

 工藤直紀は袋の中身を見て、驚きを隠せなかった。

 何せ、白い袋の中身は酒。それも、北海道の某地域でしか買えない酒だったのだから。工藤直紀は酒に関する知識量が多い。だからこそ、目の前に存在する酒の価値を理解し、驚いているのである。

「これって確か、数時間並んでようやくゲット出来る数少ない酒だったはず・・・。」

 菊池美奈はこんな滅多に手に入らないような酒をどうやって手に入れたのだろうか。そんなことを少し考えた後、ある結論に至った。

「うん。考えるのは辞めるか。」

 考える事を辞めた。考えたところで答えが出てこないと分かったからである。

「ん?」

 酒の価値に驚いていて気付かなかったが、白い袋の底に手紙のような白い長方形が僅かに存在感を放っていた。手に持ち、書かれている文字を閲覧する。

「・・・ああ。分かった。」

 工藤直紀は手紙に書かれている内容を読み、誰も聞いていないにも関わらず、声に出して返事をする。

「さて、と。」

 工藤直紀は押入れからある食料を持ってくる。

「これだよ、これ。」

 その食料は、小さな子供に作ってもらったつまみ、ビーフジャーキーである。工藤直紀は酒を一飲みした後、ビーフジャーキーを噛む。

「美味♪」

 工藤直紀はベランダに出て、夜空を見ながら酒を飲み、つまみを食す。

(優や菊池に後でお礼をしないとな。心配させたみたいだしな。)

 そんなことを考えながら、目の前の酒を味わいながら飲んでいった。


「まったく。あの男も面倒くさいわね。」

 小さな子供の部屋を挟み、菊池美奈の部屋では、菊池美奈が珍しく酒を飲んでいた。普段はほとんど飲まない菊池美奈なのだが、今夜は冷蔵庫から酒缶を取り出し、胃に送り込んでいた。

「でもあいつの元気がないと、優君が心配しちゃうのよね。そんな優君見たくないし。」

 菊池美奈の原動力は小さな子供である。だから、小さな子供のために行動を起こしたのである。

「あんな三文芝居聞かされたこっちの身にもなってほしいわ。あんな芝居じゃあきっと優君、馬鹿な男が工藤直紀であることに気付いているわ。」

 ふぅ、と、息を吐きながら、パソコンのある画像を眺める。

「でもまぁ、これで優君の心配の種が無くなった事だし、これからは優君のコレクションを増やすとしますか!」

 そう言うと、菊地はある画像を見ながらメモし始める。

「ふむふむ・・・。去年の優君のコレクション、水着の写真が少ないわね。・・・あれ?そういえば今年の年初め、優君は晴れ着を着ていなかったわね。ということは・・・マズイ!!??」

 菊池はあることに気付く。

「優君に急いで晴れ着を着てもらわないと!」

 菊池美奈が先ほど見ていたのは小さな子供の写真である。それも膨大な量の、である。

「優君になんて言って晴れ着を着てもらおうかしら?今回着てもらう優君の晴れ着もチョイスしないと。」

 菊池美奈は小さな子供に晴れ着を着せるために思考を巡らす。全ては、小さな子供の画像コレクションを増やすために。


 自室に戻った小さな子供は、

「まずに毛利さんに連絡しますか。」

 携帯電話を手に取り、毛利蓮華に連絡を試みようとする。

「いえ。今日はもう遅いことですし、明日にしましょう。」

 だが、毛利蓮華に連絡はしなかった。連絡するにも相手の都合を考えなければならない。深夜ではないが、こんな時間に電話をかけられて迷惑だと感じるのではないか。小さな子供はそう考えたのである。そして小さな子供は携帯をしまう。

「工藤先輩、元気になってくれると嬉しいのですが、大丈夫でしょうか?」

 小さな子供は何となく察していた。

 風呂場での会話に登場してきた馬鹿な男。その男は工藤直紀本人ではないかと。

「あの様子なら大丈夫でしょう。元気が無かったらまた励ませばいいだけです。」

 そう納得し、寝る準備を始める。

「そういえば、私と工藤先輩の会話の内容をどうして知っていたのでしょうか?」

 小さな子供はさきほどの違和感を口に出す。だが、その違和感に対する答えを、小さな子供はある程度察していた。

「どうせ、工藤先輩の部屋の会話を盗み聞きでもしていたのでしょうね。」

 証拠の物品やデータなんてない。だが小さな子供は確信しているかのように自身の考えを述べる。

「毎度毎度、盗聴器の仕掛け場所を変えているんですよね。時折、盗聴器もないのに私の話を盗み聞きしているんですよね。一体どこから聞いているのやら。」

 小さな子供は呆れたように愚痴をこぼす。盗聴器を仕掛けられそうな場所は既にサーチし、盗聴器が無い事を確認している。それなのに菊池美奈は時折、自室でしか言っていない話の内容、さきほど小さな子供と工藤直紀が風呂場で話していたような内容も把握しているのだ。

「・・・気にしないでおきますか。」

 寝る準備を終え、小さな子供はそのままベッドに横になり、寝る事にした。明日も休日なのだが、早めに寝た。明日も副業を頑張るために。

次回予告

『国民達の大型連休生活~目つきが鋭過ぎる会社員の聖地巡り~』

 早乙女優、菊池美奈、工藤直紀が社員寮で大型連休を過ごしていく中、橘寛人は聖地巡りの為、社員寮を出て福岡県まで足をのばしていた。その先で、橘寛人が想定していない人物に出会う。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

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