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会社員達の花見堪能生活

 仕事をしている中、学校から電話が来ました。電話内容は、いつ学校に来られるか、というものでした。今週は・・・難しそうですね。金曜日に仕事がひと段落するよう調整しているのですが、月曜日から金曜日までフル出勤することが前提ですので、今週は一日でも会社を休むことが出来ないです。となると、学校に来られるのは来週、と言いたいところですが、来週から大型連休に入ります。なので、それが終わってから学校に行くことになりそうです。私はそのことを先生に伝えました。その後、桜井さんも同じようなことを聞いてきたので、同じことを言っておきました。だが、桜井さんの言葉はそれだけで終わりませんでした。

(同好会?)

 それは、同好会の設立でした。何でも、桜井さん、風間さん、神田さん、太田さん、そして私の計5人で料理同好会を設立したのだとか。私、その料理同好会に入るなんて一言も言っていないのですが?まぁ、名前を悪用していなければよしとしましょう。それで、初めての同好会はオムライスを作るみたいです。オムライス、ですか。オムライスなら何回も作った事がありますので大丈夫ですが、他の方は作ることが出来るのでしょうか?もしかしたら、この同好会で作れない料理を作れるようにするのかもしれません。となると、他の方にオムライスの作り方を教える先生的立場の人がいることになります。家庭科を担当している先生なら、オムライスを作ることが出来るかもしれません。であれば、家庭科を担当している方が講師として招かれている事でしょう。多分ですけど。

(そういえば。)

 料理同好会の顧問にあの保健室の先生が就任することになった、と話していたような気がします。となると、オムライスを教えるのは、あの保健室の先生、ということになるのでしょうか?

(・・・まぁいいや。)

 このことは5月の事なので、5月になってから考えるとしましょう。そんなことより今は今週末に行われるお花見について準備を進めるとしましょう。

 私は勤務時間内に仕事をすることは当然として、勤務時間外はお花見の準備をして、今週を乗り切りました。今月の最終出社日、

「かぁー!これで今月も終わりだー!」

「ねぇねぇ?今週末のお花見、どうする?」

「もちろん出るわよ!」

「なんて言ったって、優ちゃんの美味しい料理が大量に食べられるんだもの!」

「これを見逃す手はないわね!」

「俺、この花見が終わったら結婚するんだ!」

「花見で死亡フラグ立てんなよ。」

 今週末の花見を楽しみにしているのか、花見に関する話題を耳にしました。なかには何を言っているのかよく分からない事もありますが、楽しみにしているようでよかったです。私もみなさんの期待に応えられるよう、精いっぱい料理を頑張るつもりです!

「精いっぱい頑張ろうとしている優君、素敵♪」

「おまえってほんと、優ならなんでもありだな。」

 さて、頑張りますか!


 仕事が終わり、大型連休初日。

「・・・こんなところでしょうか?」

 私は料理を仕上げていました。

 今日はお花見、ですからね。箸で食べられる料理はもちろんありますが、おにぎりやパン等、箸を使わずに食べられる料理も数多く作ってあります。

「・・・なんだか、炭水化物ばかり並べてしまいました。」

 おにぎり、いなりずし、ちらしずし、パンを作りました。もしかしたらパンはいらなかったかもしれません。

「桜の花の塩漬けも出しましょう。」

 この塩漬けはあまり試してみたことがなかったのですが、上手く出来たでしょうか。自分の舌を信じるのであれば、不味いことはないと思います。念のため、複数個試食してみて、味の確認を複数回行っておきましょう。・・・やはり問題ないように思います。これならみなさんに出しても問題ないはずです。デザートに桜餅を出し、より春を感じられるようにしましょう。

 目で春を感じて、食べて春を感じる。これならみなさんも満足してもらえると思います。

 ちなみにですが、私がお出しする料理は炭水化物だけではありませんよ?

 桜の花びらの形をしたハンバーグ・・・は出来ませんでしたので、星形のハンバーグを作りました。ハンバーグにも、肉だけを使って作ったハンバーグと、肉と豆腐を混合させて作った豆腐ハンバーグの2種類作りました。それらのハンバーグを作る時、いつもよりサイズを一口サイズにまで小さくすることで、食べやすくしました。こういった工夫を他の品々にも施していき、今回花見でお出しする料理の数々が完成しました。

「重箱に詰めて、と。」

 これで私がお出しする料理が完成したわけですが、他の方々はどんな料理を出すのでしょうか?ちょっと楽しみです。

「会場の見学に行きますか。」

 誰か来ていますかね。

 私は会場に行きました。会場と言っても、私が住んでいる社員寮の庭なのですけどね。ちなみに、この社員寮には数多くのセキュリティだけでなく、庭もあります。庭の管理として、私がときどき清掃しているのですが、ほとんど清掃しなくてもお手入れが行き届いているんですよね。時折、ここの住人全員でお手入れしているのですが、他の方も手入れをしているような気がします。誰なのかは分かりませんが。

「ふぅー。」

 どうやら、この社員寮の庭に誰かいるようです。私は、その誰かが一目で分かったので声をかけました。

「おはようございます、菊地先輩。」

 この庭で何かしている張本人、菊地先輩は私の声に反応し、こちらを向いてきました。

「おはよう、優君♪」

 菊池先輩は私に笑顔を向けながら挨拶を返してくれました。

「さっそく花見の準備ですか?」

「ええ。優君にとびっきりの花見を見せたいからね。そのための努力は惜しまないわ。」

 そう言いながら、何か準備していました。花見の準備とは思いますが・・・あれ?

「そういえば、肝心の桜はどこにあるのですか?」

 お花見というのに、肝心の桜が見えません。まぁお花見というので、近所のお花を見ながら食事をしてもお花見と言えるので間違いではないと思います。ですが、なんだか肩透かし感を覚えてしまいます。

「ふふふ♪後もう少ししたら分かるわ♪」

 そう言いながら、菊地先輩の気分が高揚したみたいで、どこか浮足立って移動し始めました。後もう少ししたら分かる、ですか。なら、私がこれ以上口を出す必要はないでしょう。菊池先輩の事ですから、何か考えているでしょうし、桜の件は菊池先輩に一任するとして、私はこのまま料理の支度を・・・あ。さきほど終えたんでしたっけ?となると後は・・・寮内を簡単に清掃でもしますか。

 その後、続々と花見をするために人々が集まってきました。色んな料理や食材を持ってきた人がいます。

「私はポテトサラダを持ってきました。」

 今年入社二年目の女性社員、桐谷先輩はポテトサラダを持ってきてくれました。

「俺は生姜焼きだ。この香りがまたいいと思うぞ?」

 目つきが鋭過ぎる男性社員、橘先輩は豚肉の生姜焼きを持ってきてくれました。

「俺は枝豆だ。え?塩茹でじゃないのかって?茹でた方がいいのか?」

 お酒が好き過ぎる男性社員、工藤先輩は枝豆を大量に持ってきてくれたのですが、調理は一切していないみたいです。塩茹でにしないのでしょうか?まぁ私が茹でればいいので問題ないでしょう。それより、大量の枝豆を持ってきてくれた工藤先輩に感謝です。そしてどんどん人が集まってきます。そんな中、やはり桜の不在が気になってきました。まさか本当に、近辺に生えている花を見て花見、なんて言う気ではないですよね?菊池先輩は一体、どんな仕掛けを用意しているのでしょうか?楽しみにしているのですが、不安でもあります。

「ふっふっふ。ようやく時間ね。」

「「「???」」」

 ほとんどの人が集まり終え、そろそろ花見を始める時刻となる中、菊地先輩がそんな独り言を言っていました。一体どういう意味なのでしょうか?

(ん?)

 すると、何かの音がだんだん近づいてきました。この音は・・・車、でしょうか?

「「「あ!!!???」」」

 ある人は、声を出してある方向を見ていました。私もその方々にならい、その方向を見てみると、そこにはトラックがあった。ただのトラックではなく、トラックには桃色に咲く花が見えました。もちろん、桃色に咲く花とは桜のことです。

「菊地の奴、なかなか趣あることをするじゃないか。」

 まったく、工藤先輩の言う通りです。

「さぁて。お花見、始めるわよ!」

 この一言で、私達のお花見が始まりました。持ち寄った品々を褒め合ったり、近況を話し合ったり、副業に関して情報提供したり、お酒を注ぎ合ったりと、非常に楽しい花見となりました。花見をしながらの食事はいつも以上に美味しく感じましたし、副業に関する情報はとてもためになりました。

 それに、

「やっぱり優ちゃんの料理、美味しいー!」

「レパートリーも多いし、最高♪」

 どの人も、私が作った料理を褒めてくれました。褒められると恥ずかしいですが、なんだか嬉しいです。頑張りがいがあったというものです。


 花見の最中、近辺の住人達が挨拶がてら、こちらの様子を窺っていることが度々ありました。私はお花見に参加している方々に許可をとってから、ご近所の方々をお花見に招待しました。招待されたご近所の方々も、大量の料理を差し入れしてくれ、みなさんのお酒がより一層進んでいました。空の色が紅く染まり始めても花見を続けていましたが、用事があるのか、退席する人が現れ始めました。黒くなり始めたら退席する人が続出し、時間も時間なので花見を終え、残っている人達で片づけを行いました。

「はぁー!今日は優君の女装姿が見られて最高に良かったわー♪」

「・・・そのことは記憶から抹消してください。」

「嫌よ!私の思い出フォルダーに永久保存物よ!」

 花見の途中で菊池先輩の策略で女装してしまいました。菊池先輩は何故あんな巧妙な手段を使ってまで私に女装させたがるのでしょう?

「やっぱり優君は、アイスで釣るのが得策ね♪」

 ・・・やはり、菊地先輩はずるいです。

 え?アイスで釣るのが巧妙な手段なのかって?ええ。非常に巧妙ですよ。何せ、私がアイス好きな事を分かっていて、私の目の前で地域限定アイスを食そうとするんですもの。そのアイスを私にも食べさせてくださいとお願いしたら、

“なら優君、これ、着てくれるわよね?”

 と、女性物の服の着用を勧めてくるのです。これはもう巧妙以外に例えようがありません。本当に菊池先輩ってずるいです。

「ふぅ。」

 花見を終え、私は自室へ戻りました。他の方々も自室に戻っている事でしょう。自室で何をしているのかまでは分かりませんが。

「さて。」

 今年の大型連休は、副業を率先して行い、お金を出来るだけ稼ぐようにしましょう。副業を行う際、集中力に欠けてきた時は・・・料理の研究でもするとしましょう。学校では料理に関する同好会に入った事ですしね。

 会社が無いからと言って怠けた日々を送らないよう注意するとしましょう。


 菊池美奈の持ってきた桜が散り始め、4月が終わり始める。4月が終わると、次は5月になる。5月の初めは大型連休である。その大型連休に、それぞれが動き始める。

(同窓会には何着ていくか。)

 社員寮に住んでいる1人、工藤直紀も動き始めようとしていた。

次回予告

『国民達の大型連休生活~酒好き会社員の同窓会~』

 酒好き会社員、工藤直紀は大型連休中に、同窓会に出席する。

 そんな中、去年早乙女優に助けられたピアニスト、毛利蓮華と出会い、話をする。

 周囲から聞こえてくるある話に、工藤は同窓会の場から早々に離脱する。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

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