新中学生達の料理同好会初活動相談生活
早乙女優が会社で勤務している頃。桜井綾達は学校に通い、授業を受けたり同級生達と談議したりと、中学生生活を満喫していた。
そして、早乙女優も通っている宝鳥中学校では、新たな同好会が誕生しようとしていた。
「・・・はい。これで、料理同好会が認められました。」
「ありがとうございます。」
それは、料理同好会、という同好会である。
この同好会の活動目的は、日常生活に密接な食の文化を研究し、生活を豊かにすることである。簡単にまとめると、日々料理について勉強し、料理していこうということである。その同好会のメンバーは5名。
桜井綾。
風間洋子。
神田真紀。
太田清志。
そして、早乙女優である。
だが、この場にいるのはその内の4人で、1人いないことは明白であった。その人物の名は早乙女優。今会社で仕事をしている人物である。1人欠如していたものの、同好会は無事認められた。
「それで綾、今日からこの同好会の活動はどうするの?」
風間洋子が桜井綾に聞いてくる。
「う~ん・・・。早乙女君次第なんだよね。早乙女君抜きで活動出来るとは思うけど、私はやっぱり早乙女君と料理したいな。」
桜井綾の願望に、
「いいんじゃない?」
風間洋子は桜井綾の言葉を肯定する。
「だって、この同好会は綾が創ったわけだし。ね?」
風間洋子は残りの同好会メンバー、神田真紀と太田清志に質問を振る。
「いいんじゃないかしら?綾ちゃん、早乙女君にゾッコンなんだし♪」
「俺はその間、中学生生活を謳歌することにするわ。」
神田真紀は桜井綾を茶化すように肯定し、太田清志は今後の中学生生活を想像し、ワクワクしながら肯定した。
「ありがとう、みんな。」
その肯定の意志に、桜井綾は感謝する。
「それで綾。記念すべき初料理は何にする?」
風間洋子は今後の同好会の活動に向けて、どのような料理を作っていくのかを聞く。
「う~ん。最初に作る料理かぁ。やっぱり、みんなが食べたい料理にしたいな。みんな、何食べたい?」
桜井綾の突然の振りに、
「「「う~ん・・・。」」」
全員、頭を悩ます状態となった。
「ねぇ?太田君なら何か食べたい料理があるんじゃない?」
沈黙の後、神田真紀が太田清志に質問した。神田真紀は、この場にいる唯一の男である太田清志なら、何か食べたい物があるんじゃないかと考え、質問したのである。
「う~ん・・・。」
太田清志はさきほど悩んでいて、神田真紀の質問を無視する形になってしまう。
「・・・オムライス、とかどうだ?」
太田清志は、ひねり出してある料理名を言葉にする。
「オムライスかぁ。」
「去年、早乙女君とオムレツを作った時を思い出すわね。」
「うん!」
「・・・なぁ?どうしてオムライスの話からオムレツの話になったんだ?」
「オムライスとオムレツの違いが、ご飯が入っているか入っていないかだからじゃないかな?」
「へぇ。オムレツってオムライスに似ているんだぁ。」
「・・・もしかして太田君、オムレツを食べたことや見たことが無いの?」
「そういえばないな。家で出ているのはいつもオムライスの方だったからな。オムレツは見たことないな。」
「それじゃあ初めて作る料理は、オムライスにしようよ!」
桜井綾はそれでいい?と聞きたそうな目を他の3人に向ける。
「ええ。いいわよ。」
「賛成!」
「文句なし。」
桜井綾は3人の返事を聞き、満足する。
「それじゃあ予定は早乙女君に聞いてから合わせるから、これでひとまず解散にしようと思うんだけど、いいかな?」
桜井綾は今後の予定に関して提案する。桜井綾の提案に、3人は再び肯定の意を示す。
「それじゃあまた近いうちに私から伝えるから。それじゃあね♪」
桜井綾は、3人の元から足早に去っていった。
「桜井の奴、あんなに急いでどこに行くんだろうな。」
「ん~。多分、あそこでしょうね。」
「あそこ?あそこってどこだ?」
「綾は多分、早乙女君がいつ学校に来られるのかを知ろうとしているわ。そして、早乙女君の事に関して、この学校で一番知っているのは・・・、」
「保健室、あの先生か。」
「でしょうね。私は綾の事が気になるから後を追いかけるわ。それじゃあまた。」
そう言い、風間洋子は桜井綾の後を追いかける形でこの場を後にしていった。
「「・・・。」」
そうなると、この場に残ったのは神田真紀と太田清志の2人になる。
「太田君はこれからどうする?」
「俺か?俺はそうだな~・・・。」
太田清志は少し考え、
「今日はもう帰って家でゲームでもするわ。」
家でゲームすることに決め、帰宅準備を始めようとする。
「なら、私も帰ろうかな。太田君、一緒に帰ってもいい?」
「んあ?別にいいぞ?」
「ありがと。」
太田清志と神田真紀は。それぞれの自宅に帰るまで、途中までの帰路を共にすることになった。
「こんにちはー。」
「あら?いらっしゃい。」
保健室に向かっていた桜井綾は保健室に到着し、そのまま扉を開ける。すると、保健室の中にある先生が椅子に座っていた。その先生とは寺田静香のことである。
「早乙女君がいつ学校に来るのか知っていますか?」
桜井綾は今回の目的を話そうと、世間話もせずに単刀直入に聞く。
「あの子、ねぇ~。」
桜井綾が早乙女優に関する話題を振ると、寺田静香は後味悪そうな顔を見せる。
「もしかしてマズイことを聞いてしまいましたか?」
寺田静香の顔色の変化に、桜井綾は不安になる。
「!?い、いや!別にマズイことはないのよ!?ただ、」
「ただ?」
寺田静香のただ、という言葉に桜井綾は復唱する。
「早乙女君、もう今月は来ないと思うわ。来るとしたら、大型連休明け、かしらね。定かではないけどね。」
「そ、そうですか。」
桜井綾は分かりやすいように落ち込む。
「その様子だと、同好会の活動に、早乙女君の出席が必須みたいね。」
「は、はい!この機会に早乙女君と色々な料理を作りたいので。」
「ふ~ん・・・、」
寺田静香は、桜井綾の顔を覗き込むように見る。
「なるほど、ね。」
寺田静香は独り、納得する。
「な、なんですか?」
寺田静香の言動に、桜井綾は質問する。
「別に?何でもないわ。」
寺田静香は何でもない体で桜井綾の質問を答える。
「それより早乙女君ね?ちょっと電話してみるから、ちょっと待ってて。」
寺田静香は、以前もらっていた小さな会社員の電話にかけ始める。
「早乙女君?今ちょっといいかしら?」
どうやら電話は繋がったらしく、寺田静香は通話し始める。
「いつ学校に来られるのか教えてもらっていいかしら?・・・え?・・・そう。なるほど。分かったわ。それじゃあ・・・、」
「あ。」
寺田静香が電話を切ろうとすると、桜井綾が声を漏らす。
「・・・。」
漏れた声に寺田静香は反応する。桜井綾は、“しまった!?”と言わんばかりに口を塞ぐ。寺田静香は桜井綾の様子に笑顔を向け、
「ちょっと待って。今、桜井さんに変わるから。」
「え?」
寺田静香の言葉に桜井綾は驚きながらも、寺田静香から差し出された携帯を受け取る。
「もしもし?桜井綾、ですけど?」
語尾が上がりながらも、桜井綾は小さな会社員と電話越しに話し始める。
「それであの・・・。うん。それでね・・・。」
「・・・。」
寺田静香は、桜井綾と小さな会社員との通話姿を眺め続ける。その様子はまるで、娘の恋バナを見る母親のようである。
「ありがとう。それじゃあ先生に・・・、」
「あ、私はもういいわ。電話、切っちゃっていいから。」
「先生は変わんなくていいって。それじゃあ今日はありがとう。またね、早乙女君。」
桜井綾は電話を切る。
「先生、ありがとうございました。」
そして、携帯の持ち主である寺田静香に携帯電話を渡す。
「別にいいわ。それで、どうだった?」
「はい。早乙女君、来月の大型連休明けに来るかもしれないって言っていました。」
「それは私にも言っていたわね。」
「それと、料理のこともお願いしました。」
「料理・・・同好会のことね?」
「はい!オムライスを作ろうと思っています!」
「そう。お互いに同好会活動、頑張ろうね。」
「はい!失礼しました!」
そう言い、桜井綾は保健室を出る。
「同好会活動、早乙女君にとっていい刺激になるといいわね。」
そう言いながら寺田静香は独り、机に広がっている資料を整理し始めた。
「あ!いた!」
「この声・・・洋子!」
保健室を出た桜井綾は、風間洋子と合流した。
「どうしたの、洋子?」
「ちょっと綾が心配でね。後、早乙女君のことが聞きたくて。」
「心配してくれてありがとう。それで、早乙女君の事なんだけど、帰りながらでいいかな?」
「もちろんいいわよ。」
こうして桜井綾と風間洋子は、学校から家までの間、ずっとこれからの同好会活動や、小さな会社員に関する話をし続けた。
次回予告
『会社員達の花見堪能生活』
社会人達は大型連休前に仕事を終わらせ、大型連休を迎える。
その社会人の一人、早乙女優は花見に向けて準備を始める。
他の社会人も、花見の準備を行っていく。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?
 




