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会社員達の大型連休検討生活

「優さん。さっきの発表はどうでしたか?」

「流石は桐谷先輩です。綿密に調べられていたと思います。ここで同期の方々と差をつけるために、もっと深く掘り下げてみるのもいいと思いますが、どうしますか?」

「私、もっと頑張ります!」

「その意気です。素敵な発表にしていきましょうね。」

「はい!」

 学校での宿泊行事を終えて日をまたぎ、今は会社にいます。そして、桐谷先輩の発表を聞いていました。何故桐谷先輩の発表を聞いていたのかと言うと、ある行事の準備をしていたからです。

「お、優か。お疲れ様。」

「お疲れ様です、工藤先輩。」

「それで、進捗状況はどうだ?」

「ばっちりです。今でもかなりの出来だと思います。」

「そうか。流石、優が監修しただけはあるな。これなら2年目研修も問題なさそうだな。」

「いえいえ、そんなことありませんよ。桐谷先輩が優秀なだけです。」

 ある行事の準備というのは、2年目研修のことです。桐谷先輩は今年で入社2年目。そのため、2年目研修を受けなくてはならないのです。そして、2年目研修には、自分が今まで行った仕事に関する事を発表しなくてはならないのです。私と桐谷先輩はさきほどまで、この2年目研修に向けての準備をしていたのです。ですが、もう準備はそこまで必要ないみたいです。資料はほとんど出来ましたし、発表も問題ありませんでした。流石は桐谷先輩です。たった1年の勤務でここまで成長するとは。呑み込む速度が速くて助かります。

「なら、俺らも聞いてみて、どのくらい仕上がっているのか確認してみたいが、いいか?」

 と、工藤先輩が提案してきました。

「まぁ、仕事に余裕があるならいいと思いますよ?」

 仕事が厳しいのであれば、桐谷先輩の発表を聞く余裕はないでしょう。

「そういえば菊池、今日は少し詰めなきゃ終わらないとか言っていた気がするな。」

「なるほど。橘先輩はどうですか?」

「俺は大丈夫だ。」

「分かりました。ちなみに工藤先輩は大丈夫ですか?」

「ん?ああ、大丈夫だ。俺は普段からちょくちょく仕事しているし、急な仕事もない。だから問題ないぞ。」

「そうですか。」

 菊池先輩は忙しいらしいので、私、橘先輩、工藤先輩の3人で、桐谷先輩の発表を聞くとしますか。

「少し待っていてください・・・はい。今、会議室がとれましたので、その会議室に向かいましょう。」

 私はさきほど予約した会議室に向けて歩み始めた。

 会議室に到着した私達はさっそく桐谷先輩の発表を聞こうとしたのですが、何故かこの場には5人の人間がいます。さきほど、私、橘先輩、工藤先輩で桐谷先輩の発表を聞くつもりでした。それなのにどうして1人多いのでしょうか?私はその1人に向けて視線を送る。

「それで、どうしてこの場にいるのですか、菊池先輩?」

 それは、呼んでいないはずの先輩、菊池美奈先輩がこの会議室にいるのだ。おかしい。呼んでいないはずですのにどうしてここにいるのでしょう?

「どうしてって、仕事に余裕が出来たたから来たのよ。」

「菊地先輩は今日、仕事で手一杯なのかと思い、声をかけなかったのですが。」

 工藤先輩によると、菊地先輩は今日忙しいはずです。

「優君と一緒にいたくて、頑張っちゃった♪」

「そ、そうですか・・・。」

「はぁ。」

 頑張ったくらいで仕事、簡単に終わらないと思うのですが。まぁ、菊地先輩に関して深く考える事はやめましょう。菊池先輩は気分次第でこなせる仕事量が違う。それだけです。

「あ、あの。私、4人分しか資料を印刷していないので、菊地先輩の分の資料がないんですけど、どうしたらいいですか?」

 そうですね。菊池先輩が来たせいで、資料が不足しますね。

「私のことは気にしないでちょうだい。私は優君と一緒に見るから♪」

 そう言いながら菊池先輩は、私に近づき、私が持っている資料を見る。まぁ私はいいですけど、近過ぎる気がします。

「は、はい。」

 私は桐谷先輩を手伝い、2年目研修の発表の準備を行う。

「優君がやるなら私も手伝うわ♪」

 不純な動機な気がしますが、手伝ってくれてありがたいので、何も言わないでおきましょう。

「はい、桐谷先輩。用意が出来ましたので、発表をお願いします。」

「は、はい!」

 そして、桐谷先輩は2年目研修の発表をしました。


「・・・俺、2年目研修でここまで高クオリティの物、作っていなかったぞ?」

 発表を終え、工藤先輩は私にこんな感想をぶつけてきました。

「それはきっと、桐谷先輩が頑張ったからこそ、ここまでの物が出来たんですよ。」

「い、いえ!私なんて全然で、その・・・。」

「この発表が本番でも出来れば問題ないと思うのですが、どうでしょう?」

 私は桐谷先輩以外の先輩達に質問します。

「問題ないと思うぞ?」

「工藤先輩と同じ意見です。」

「まぁ、資料の出来と発表姿勢を見ても、問題なかったわ。優君の指導を見事に吸収出来ていることが分かるわ。」

 どうやら、今の出来で問題ないみたいです。

「それでは、この発表が本番でも出来るようにしていきましょう。後、自分の資料を見直し、どんな質問が来るか想定していきましょうか。」

「分かりました。」

 その後、他に足りないところ、指摘されそうなところを教えてもらいながら、資料をよりよくしていきました。といっても、誤字脱字は無かったので、資料に使用している図に関することでした。位置を気持ち中央に寄せたり、文字と文字との隙間を気持ち確保したりと、細かいことでした。重箱の隅をつつくような指摘を何回も受けているにも関わらず、「分かりました。ご指摘ありがとうございます。」と、真摯に受け止めていました。桐谷先輩は器の大きい方です。修正してもしなくてもいいような指摘を真摯に受け止める器の大きさに、私も見習うところがあります。

「優君の頬、どうしてこんなに柔らかいの?」

 私も桐谷先輩に器が大きければ、こんな菊池先輩の奇行を軽くあしらうことが出来るかもしれません。

 先輩方からの指摘を元に修正を加え、資料は課長に提出した。

「・・・ふむ。軽く通してみたが、誤字脱字は無いし、図に関しても言う事はないな。流石は早乙女君だな。」

「いえ。これほどの仕上がりになったのは、桐谷先輩の頑張りに他なりません。」

「そうか。それじゃあ上に提出してくる。2年目研修、楽しみにしているからな。」

「は、はい!」

 課長は桐谷先輩の返事を聞いた後、自身のデスクを離れていきました。さきほど受け取った桐谷先輩の資料を提出しに行ったのでしょう。

「さて優君、もうそろそろ始まる大型連休はどうする気なの?」

 と、菊地先輩が聞いてきました。そういえば4月下旬ですし、そろそろ大型連休が始まりますね。

「どうするも何もまだ詳細に決めていませんね。」

 次にどんな資格を取るか考え、その資格取得に向けて勉強するのもいいですね。それか、先輩方に提供する料理のレパートリーを増やすため、料理研究するのもいいですね。

「そういえば俺も決めていないな。」

「俺もです。」

「私もです。」

 私と菊池先輩の話に、工藤先輩、橘先輩、桐谷先輩も参加します。

「なら大型連休の初めにお花見、してみない?」

「お花見、ですか?」

「そう!お花見!」

「私の記憶が正しければ、4月下旬にこの地域で桜が咲いている、なんてことはあまり見たことが無いのですが?」

 今の時期でもほとんど桜が咲いているところなんてみたことありませんのに。菊池先輩は何を企んでいるのでしょう?

「ええ。普通はね。」

「・・・。」

「何その目?別におかしなことはしないわよ?今も開花している桜を借りるだけよ。」

「桜を借りる、ですか?」

 桜って確か木、ですよね?木って借りたり貸したり出来ましたっけ?

「ええ。桜を借りて、私達が今住んでいる社員寮まで運んでもらって、桜を見ながら食事をするの。きっと風情があって楽しいわよ~♪」

「まぁいいですけど。」

 お花見で一体何を企んでいるのかは不明ですが、みなさんで食べる食事はきっと美味しいでしょう。

「やった♪」

 菊池先輩は、私が了承したことをとても喜んでくれました。

「それで菊池先輩、何を企んでいるのですか?」

「・・・もしかしてだけど優君、私が何か悪巧みしていると思っているの?」

「ええ。」

「ひどい!?私はただ、優君に花見の素晴らしさを伝えようと思っただけなのに!?まぁちょっと、お花見用の衣服に着替えてもらうけど。」

 今菊池先輩、さらりと何を言ったのですか?

「・・・ちなみにそのお花見用の衣服っていうのは何だ?」

 私が疑問に思っていたことを、工藤先輩が代わりに聞いてくれました。

「最初はマイクロな水着を・・・普通の服よ。何でもないただの、そこいらの店で売っている普通の服よ。」

「「「「・・・。」」」」

 今、菊地先輩から聞いてはならない単語を聞いてしまった気がします。

「よし!その花見、俺も参加するぞ。」

「ええ!?」

「なんでそんなに嫌そうなんだよ!?」

「だって、せっかく優君と二人っきりでイチャラブして、くんずほぐれず愛を、」

「育ませねぇからな!?」

 この話し合いの結果、社員寮に住んでいる方の希望者で今週末、お花見をすることになりました。

「優君とのお花見、お花見が・・・。」

 菊池先輩はなにやらガッカリしていたようでしたが、私は安心しています。何せ、お花見をするのにマイクロな水着、という単語は使いませんからね。私の勘違いかもしれませんが、おそらく菊池先輩はお花見中、私にマイクロな水着を着せるつもりだったのでしょう。そのことに感づいた工藤先輩は、菊地先輩の悪巧みに気付き、阻止しようと花見に参加するのでしょう。

 それにしても菊池先輩、どうやって桜を社員寮に運ぶのでしょうか?土地ごと・・・なわけはないか。ということは、周囲の土ごと持ってくるのでしょうか?どうやって?手で?それとも、何かに乗せて運ぶ、とか?

(ま、いいです。)

 菊池先輩がお花見をしようと言いだしたのです。であれば、桜を社員寮に持ってくる手段を既に確立し、手配している事でしょう。

 ちなみに、お花見をする際にもう一つ決めごとがあります。

 それは、必ず持ち寄りの品を一品以上持ってくること、だそうです。

 こういう風に決めないと、タダ飯しようとする輩が現れるかもしれないから、だそうです。私個人としては、そんな考えを持っている人は社員寮に住んでいないと思うのですが、菊地先輩には菊池先輩の考えがあるのでしょう。主催は菊地先輩ですし、私がそこまで口を挟むことではないかもしれません。ここは大人しく菊池先輩の決定に従いましょう。

「せっかくの大型連休で時間はあるから、俺も参加してみようかな?」

「橘先輩が参加するなら、私も参加します。」

 どうやら工藤先輩だけでなく、橘先輩や桐谷先輩も参加決定のようです。今からお花見が楽しみです。

(さて、どんな料理を作りましょうか。)

 私は仕事中にも関わらず、大型連休の初めに行われるお花見に出す料理の事を考えていました。

次回予告

『新中学生達の料理同好会初活動相談生活』

 中学1年生に進級して1月ほど経ち、桜井綾達は料理同好会を創立する。

 そして、料理同好会で作る初めての料理について相談する。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

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