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小さな会社員のニ年目研修監修生活

 さらに翌日。

 私はある社員のある案件の面倒を見ていました。

「優さん。さきほどの発表でどうでしょうか?」

「さきほどの発表ですと、ここの箇所に質問がくる恐れがあるので、その対策を講じる必要があると思います。」

「なるほど・・・ありがとうございます、優さん。それじゃあもう一度検討します。」

「いえいえ。先輩社員として当然のことを教えたまでです。」

「だけど、優さんって本当になんでも知っているのですね。小学生なのに。」

「まぁ、この会社に何年も勤めていますからね。」

「それにしても、先輩方はみんな、この道を通ってきているんですね。みんな凄いです。」

「まぁ、通例行事みたいなものですからね。先輩方はみな、四苦八苦しながら乗り越えてきたんですよ。」

「へぇ。流石は先輩です。」

 今私は、桐谷先輩と2年目研修に向けての資料作成をしています。3月は何かと忙しかったですからね。資料作成は同期の方々より遅れてしまっているご様子でしたので、こうして私が協力して、共に資料作成に臨んでいるのです。共に作成しているといっても、桐谷先輩が資料を作って発表し、発表した内容に関して私が指摘する、という形式なので、私はほとんど資料作成に携わっていません。携わっていなくとも、私のアドバイスを受け、桐谷先輩の資料の質はどんどん高まっていますからね。このままいけば、誰が聞いても納得する様な資料になること間違いなしでしょう。

「優君との共同作業だなんて、本当に羨ましい。」

「菊地先輩、そんな睨みつけるような目で桐谷先輩を見ないでください。桐谷先輩、若干怯えているじゃないですか。」

「私だって優君と共同作業したいのに。」

「まずは菊池先輩が担当している仕事を終わらせてからお願いします。そうじゃなくても、今日は複数の方からヘルプの要請がありましたよね?そのヘルプの件は片付いたのですか?」

「うぅ。」

「まずはそれらの件を片付けてからにしてください。」

「ぶぅ。」

「そんな顔をしても駄目なものは駄目です。」

 私がそう言うと、残念そうな顔をしつつも、ヘルプに向かっていきました。あれほど有能な方ですのに、どうして残念な性格なのでしょうか。菊池先輩の将来を考えると頭が痛くなります。

「俺も桐谷の2年研修に協力するぞ?何かあったら俺に言えよ?何かアドバイスできることがあったらアドバイスするからな。」

「口頭で言うのは苦手だから、俺は資料の誤字脱字のチェックは手伝えるはずだ。」

 こんなにも頼もしい先輩方が周囲にいてくださるなんて、桐谷先輩は恵まれています。

「みなさん・・・ありがとうございます。」

「桐谷君、2年目研修の方は順調に進んでいるかな?」

「!?か、課長!!??」

 私達が桐谷先輩の2年目研修に携わっていると、課長が私達に話しかけてきました。桐谷先輩は驚きながらも、課長の質問に答えます。

「は、はい!それもこれも全て、先輩方のアシストあってこそです!本当に頼りになります!」

 工藤先輩、橘先輩、菊地先輩は確かに頼りになりますが、私は当てはまらないでしょう。

「そうか。君ならいい発表が出来ると期待しているからね。」

「はい!」

 課長は桐谷先輩に応援の言葉を贈り、席をたった。

「さて、仕事を再開しますか。仕事の合間に桐谷先輩の資料に不備がないか確認するので、資料のデータを私の分、コピーしてもらっていいですか?」

「はい!優さんこそ、私の資料の確認、よろしくお願いします!」

「あ、俺も確認するよ。優だけでも問題ないだろうが、念のために、な。」

「俺もこれぐらいはやる。」

「工藤先輩に橘先輩・・・よろしくお願いします!」

 さて、桐谷先輩の資料のチェックを行いますか。


 桐谷先輩の資料を改めて読み込みました。もちろん、その間の仕事も怠けることなく進めました。私が2つの仕事を同時進行させていると、「同時に2つの仕事を進行させるとか、流石だよな。」と言ってくれました。お世辞とはいえ、工藤先輩に褒められて嬉しくないことはありません。ですが、私は嬉しくなった気持ちを隠すように、「そんなことありませんよ。仕事に慣れた方であれば、仕事を複数同時進行させることなど朝飯前のはずです。」と言うと、「それは無理なんじゃないか?」という橘先輩の言葉が返ってきました。橘先輩はきっと、私を気遣って発言したのでしょう。

 そしてお昼。

「優君、今日も疲れた~。一緒にお昼食べよう~?」

「そう言いながら、私を菊池先輩の膝の上に無理矢理乗せないでくれませんか?」

「だって~。今日はたくさんヘルプしたから優君と一緒にいられなくて寂しかったんだもん!だから少なくともこのお昼だけは優君を離さないわ!」

 菊地先輩は断固として私を膝の上から解放してくれなさそうでしたので、仕方なくそのまま菊池先輩の膝の上で昼食をいただくことにしました。いただいている途中、私は工藤先輩の手にしているものが気になり、声をかけました。

「工藤先輩、今何を見ているのですか?」

「ん?これか?これは同窓会のお知らせだ。どうしようかなって思ってな。」

「同窓会、ですか。」

 私の認識が間違っていなければ、かつて同じ学び舎で学んだ者達が一個所に集まる場、という事だったと思います。

「何故悩んでいるのですか?」

「ん?同窓会が行われる時期がゴールデンウィークでな。ゴールデンウィークは一日中お酒に浸りまくろうかと思っていてな。かつての友人と旧交を温めるか、お酒に入り浸るかの2択で悩んでいるんだ。」

「私としては、健康面を気にして、かつての友人と旧交を温めた方が助かるのですが。」

 ゴールデンウィーク中、ずっと酒を飲み続けるなんて、そんなの、アルコール中毒になる可能性がぐっと上がってしまうじゃないですか!?工藤先輩のことだから、休肝日なんて設けないでしょうし。

「優君。これは優君が勝手に決めていいものじゃないわよ。」

「う。」

 確かに菊池先輩の言う通りです。人の生活を勝手に決めることはよくないですよね。私は工藤先輩のことを思って言ったつもりなのですが、それは単なる自身の意見の押し付けでしかなかったのかもしれません。菊池先輩は私の愚行を指摘して下さったのですね。

「それは、すみませんでした。」

 私は工藤先輩に謝罪した。今度からは強制ではなく、注意ぐらいにしておきましょう。

「こいつはきっと、学生時代に碌な思い出が無くて同窓会に出たくないだけよ。どうせ学校でクラスメイトに会えないような馬鹿をしでかしたのよ。優君、察してあげなさい。」

「おい。そんなこと勝手に決めるつけるな!?俺は普通の学校生活を送ったわ!!」

「え!!??学校にお酒を持ってきて停学処分もらったんじゃないの?」

「そんなわけないだろうが!お酒にハマったのは成人後だわ!」

「「「「え????」」」」

「・・・え?どうして菊池だけでなく優、菊地、橘も驚いているんだ?もしかして、小さいころから酒に憑りつかれているダメ人間だとでも思っていたのか?なぁ?そっぽ向いていないでこっちみて答えてくれよ!」

 あまり聞かないようにしていたのですが、工藤先輩は子供のころから酒に浸っていたのだと勝手に思っていたのですが違ったのでしょうか。子供のころから飲酒するのはよくないと聞きますが、工藤先輩ならやると思っていたのは心の中にしまっておきましょう。工藤先輩にばれてしまったかもしれませんが。

「まぁ、工藤先輩が同窓会に出ようが出まいが何も言いません。」

 私は静まった空気の中で発言する。

「ですが、ゴールデンウィーク中は絶対、休肝日を設けて下さいね?」

 私は工藤先輩の肝臓を心配し、休肝日設立を提案する。

「え?それはちょっと・・・。」

 何故か工藤先輩は休肝日設立に対し、煮え切らない返事が返ってきました。

「お願いしますね?」

 私はあくまで強制させるのではなく、強く提案します。強制させるのはよくありませんからね。

「はい。休肝日、前向きに検討します・・・。」

 何故か工藤先輩はガックリしていました。そんなに毎日お酒を飲みたいのでしょうか。飲みたいのでしょうね。何せ今でも毎日飲んでいるみたいですしね。

「ならよかったです。同窓会、楽しんでくださいね。」

 出席するかどうかは分かりませんが、出席するかもしれませんので、私は同窓会を楽しむよう言う。

「おう。ちゃんと楽しんで、お土産話をたっぷり聞かせてやるよ。」

「授業中に飲酒して、教師にコッテリ絞られた話とか?」

「そんなことするわけないだろうが!!お前らもそう思うだろう?なぁ?」

「そうですよ、菊地先輩。工藤先輩が授業中に飲酒なんて馬鹿げたことをするわけないじゃないですか。」

「うぅ。まさか優君にまで指摘されるなんて思わなかった。でも、優君に指摘されてなんだか嬉しい♪」

「せいぜい、先生に隠れて学校内で飲酒するくらいだと思います。」

 子供の時の工藤先輩がどのような性格、嗜好なのかは不明ですが、私の想像ではこんなところでしょう。

「・・・優、それ、フォローになってないからな?」

「え?」

 確かに変な事を言ったと思いますが、工藤先輩ならやりかねないと思って言ったのですが、違うのでしょうか。やはり憶測で物事を言うのはよくないですね。

「もういい!菊池や優は当てにならん!桐谷や橘はどう思う!?俺が子供の時、飲酒していたと思うか!?」

 工藤先輩が桐谷先輩、橘先輩に視線を向ける。

「えっと・・・あはは。」

 桐谷先輩は笑ってごまかそうとし、

「・・・今日の弁当、美味いな。流石は優だな。」

 橘先輩は、私が作ってくれたお弁当を褒めてくれました。橘先輩のお口に合ってよかったです。

「・・・おい。まさかお前らも、俺のことをそんな風に思っていたのか?しまいには泣くぞ!?」

 そんな工藤先輩の叫びや私達の笑い声が小さくも聞こえ、私達はお昼を過ごしていった。


 その後、工藤直紀は同窓会に出席することにし、その旨を主催者に伝えた。

「さて、同窓会にはどの服を着ていくかね。」

 工藤直紀は約1月後に控えている同窓会に向けての準備を緩やかに始めていった。

次回予告

『女子新中学生の同好会創設生活』

 中学生となった桜井綾は、早乙女優と共に何かしたいため、早乙女優と同じ部に入部しようとする。だが、風間美和のアドバイスで、自分達で部を作り、そこに早乙女優を入部させようと考える。だが、部を新しく作るには人数が不足していると指摘を受けてしまう。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

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