表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
149/222

目つきが鋭すぎる会社員と新人女性社員の転居準備生活

「優さん。ちょっといいですか?」

「?何でしょう?2年目研修に関することですか?」

「それとは別件なんですけど、これです。」

「なるほど。では早速、書類の確認を・・・大丈夫です。問題ありません。このまま課長にお出しして大丈夫ですよ?」

「分かりました。ありがとうございます。」

 そう言い、桐谷先輩は早速書類を課長に提出した。

「…優。ちょっといいか?」

「はい、何でしょう?」

「この書類の確認をお願いしたいんだが、大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。それでは早速、書類の確認をしますね。」

 そう言い、私は橘先輩から書類を受け取り、確認する。

「大丈夫です。これなら課長に提出しても大丈夫なはずです。」

「ありがと。それじゃあ出してくる。」

 そう言い、橘先輩も課長の元に向かった。

「ねぇ、優君?」

「何ですか?」

「この書類のチェック、お願い出来る?」

「分かりました。それでは書類を拝見しますね。」

「はい♪」

「・・・。」

 私は、菊地先輩から受け取った書類を見て思わずため息をついてしまいました。

「どう?記入漏れ、ないわよね?このまま提出しても大丈夫よね?」

「・・・私が記入する箇所以外は、確かになさそうですね。」

「でしょう?なら優君、今すぐ記入して今すぐ出しに行きましょう!」

「役所に、ですか?」

「?どういうことだ、優?」

 私のこの一言で、デスクが近い工藤先輩が質問する。

「この書類は会社でなく、役所に出すべき書類だと思っただけです。私は記入しませんが。」

「そ、そんな!?どうして!!??」

「どうしても何も・・・、」

 私はため息をつき、菊地先輩の質問に答える。

「大の大人が未成年に婚姻届けを記入させるなんて、おかしいと思わないのですか?」

「全然おかしくないと思うわ!とても素敵な事よ!」

 私と菊池先輩の会話に、工藤先輩はさきほど私がついたため息以上に大きなため息をつく。

「なるほど。それで役所、か。」

 どうやら工藤先輩は私の言ったことが理解できたみたいです。

「何よ!?私だって、優君とのつながりを一個でも一億個だって持っていたいのよ!悪い!?」

「悪いわ!小学生に婚姻届け書かせようとしてるんじゃねぇよ!?しかも・・・うわ。この婚姻届け、お前の名前が書いてあるじゃねぇか。」

「そうよ♪優君が結婚可能な年になったら、すぐさま提出するの♪その瞬間、私は市の役員に見せつけるように優君を・・・うふふ♪うふふふ♪♪うふふふふ♪♪♪」

「・・・優。お前、とんでもない奴に好かれたもんだな。」

「工藤先輩。そんなこと今更言わないでください。」

「そうだな。今更だな。」

 菊池先輩はいつもおかしなことを言っているわけですからね。

「ところで優、さっき桐谷と橘が何か見せていたようだが?」

「はい。それはですね。引っ越しに関する書類です。」

「引っ越し、か。いよいよ桐谷、橘が引っ越ししてくるのか。」

「はい。今週末引っ越してくるみたいです。」

「…それにしても遅くないか?」

「仕方がないと思います。何せ急遽決まった引っ越しですからね。きっと二人も大慌てで準備している事でしょう。」

「だな。橘達、大丈夫かね?」

「いざとなれば協力するつもりですし、困った時がくれば助けを呼ぶでしょう。」

「だな。」

「それじゃあ優君は、私が助けてほしいと叫んだら助けてくれる?」

「助けますが、何かお困りごとがあるのですか?」

「そうなの!私、とっても困っているの!」

 菊池先輩が困っている?菊地先輩なら一人でなんでも出来そうな気がするのですが、何に困っているのでしょう?

「優君が婚姻届けに署名をしてくれないし、ハンコも押してくれないの!だから私、とっても困っているわ!」

「「・・・。」」

 もう、勝手に言わせておけばいいや。私は工藤先輩の方を向く。

「・・・。」

 工藤先輩は無言で頷いてくれたので、私はそのまま着席し、仕事を再開する。というか菊池先輩、仕事をしてください。

「ねぇ?優君、ここにちょっと自分の氏名を書いてくれるだけでいいから、ね?」

「菊地先輩。」

「ん?なぁに?」

「仕事をしてください。」

 私の冷静な言葉に、しぶしぶな感じを全身からだしつつ、仕事を再開してくれた。まったく、この先輩はどうしてここまで・・・。

「よ、よかった~。」

「これで後は今週末の引っ越しだけだ。」

「はい!」

 どうやら書類は無事に提出したみたいです。

「お二人とも、引っ越しの準備は順調ですか?」

 私は二人に引っ越しの進捗状況を聞く。状況によれば、私が色々手を貸す必要がありますからね。

「はい!私は今のところ問題ありません!」

 橘先輩はどうでしょう?

「俺も問題はない。ちょっと断捨離して持っていく荷物をスッキリさせたからな。」

「なるほど。お二人とも順調そうでよかったです。」

 これなら、私が手を貸す必要はなさそうです。

「後、今週末の引っ越しなのですが、本当に手伝ってくれるのですか?引っ越し業者に頼むつもりでしたのに・・・。」

「それは問題ありません。社員寮の先輩方全員でお手伝いしますよ?」

 これは予め決まっている事である。


何故こうなったかというと、私が桐谷先輩、橘先輩の引っ越しを手伝うと自ら志願したところ、

「それじゃあ私も手伝うわ!私も優君と一緒に荷物を運びたいわ!そして、優君に運ばれたい♪」

と言ってきました。後者は何を言っているのかは分かりませんでしたが、きっと引っ越しを手伝ってくれると言ったのでしょう。その言葉に、

「それじゃあ俺は軽トラでも借りてくるか。そうすりゃあ引っ越しも楽になるだろう?」と、工藤先輩も手伝ってくれることを示唆してくれました。そうなると、引っ越しを手伝ってくれる方に昼食を用意しないといけなくなりそうです。その言葉に、

「なら俺もー。」

や、

「私も何か手伝えることある?」

と、何故か志願してくれる人が名乗りをあげてくれました。みなさん、そんなにも二人の引っ越しを手伝いたいのですね。そこまで二人の事を・・・。

「引っ越し手伝ったら美味しい優のご飯が食えるからなー。」

「この機会は逃せないな。」

「「「ねー。」」」

「・・・。」

 先輩方は、私の昼食がお目当てのようです。まぁいいでしょう。私の昼食一つで引っ越しを手伝ってくれるのです。であれば、私は思う存分料理に従事しましょう。みなさんの舌と胃、そして心を満足させるために!


 なので二人は、引っ越し業者に頼んでいない。頼まなくても、引っ越し当日に複数のレンタルしてきたトラックが来て、荷物を積んでいくのだから。

「大丈夫ですよ。みなさん、お二方のために休み返上で頑張ってくれるそうです。」

「なんだか申し訳ないな。みんなもそうだが、優にも申し訳ない。」

「ですね。引っ越しを手伝ってくれるなんて。しかも、引っ越し費用を負担するのに要らないだなんて。」

「いやいや。ちゃんとガソリン代とかはもらうつもりだぞ?」

「それでも、ガソリン代と車のレンタル代だけで引っ越しできるなんてそうそうないですよ!」

「だな。かなりの好待遇だと思う。」

 確かにそうです。ガソリン代と車のレンタル代は必要経費。それしか要らないということは、労働に対する対価は不要、ということになります。

「いいんだよ。引っ越しでいい運動代わりになるし。」

「休日も優君とイチャイチャ出来るし♪優君、引っ越しした後、私と一緒に新居に引っ越さない?新居はもちろん、東京から北海道や沖縄、海外でもなんでも・・・、」

「私は今の住居で満足しているので結構です。」

「そ、そんな!!!???私と優君の新婚ライフが!!??」

「…そもそも結婚していないことを、菊地は把握しているのだろうか?」

「しているのではないでしょうか?菊池先輩の夢の中で。」

「なるほど。」

 そんな会話をしつつ、仕事に打ち込んでいると、珍しい方がやってきた。

「やっほー工藤君。この時間に会うなんてなかなかないわね。」

「川田か。確かに勤務中に川田からこっちに来るのは滅多にないな。一体どうしたんだ?」

「内緒。」

 そんな話を聞いていると、ふいに川田先輩と視線が合った。なので、

「・・・。」

 私は軽く会釈をする。

「早乙女君もまた後で話そうね。」

 川田先輩は話しかけてくれました。

「分かりました。」

 私は川田先輩に返事を返す。

「・・・。」

 川田先輩は橘先輩、桐谷先輩にも会釈をし、交流を深めた。一方、菊地先輩はというと、

「私の愛しの愛しの優君に色目を使いやがって。この、女狐!!」

 ・・・菊池先輩から川田先輩に喧嘩を吹っかけていた。菊池先輩、いくら顔見知りだからと言って何故そこまで喧嘩腰になっているのでしょう?八つ当たりしすぎな気がします。

「・・・工藤君?いつからこの馬鹿はここまでネジがぶっ飛んでいる仕様になっていたのかしら?」

「さぁ?最初からじゃねぇか?」

「はぁ。私が採用させてしまったばっかりに・・・。」

 なんだか、川田先輩が不憫に思えます。あんな理不尽な八つ当たりをくらうなんてかわいそうです。

「・・・。」

「・・・。」

 川田先輩は工藤先輩と会話した後、課長の元へ向かい、何か話をしていました。何の話かは聞こえませんでした。もっと聴力を上げていれば聞こえていたかもしれませんね。会話が終わったのか、川田先輩は課長に頭を下げ、こちらに向かって歩いてきました。

「みんな、ちょっといい?」

 私は仕事している両手の動きを制止させ、川田先輩に注目する。

「あ。橘君と桐谷さんも聞いてね?」

 私、菊地先輩、工藤先輩は川田先輩の一声に手を止めたが、橘先輩と桐谷先輩は関係ないと思ったのか、仕事をそのまま再開した。なので川田先輩は動き始めたお二方の動きを止める。

「「はい。」」

 その川田先輩の言葉を素直に従い、橘先輩と桐谷先輩は仕事を中断させる。

「みんなには、これから会議室に来てほしい。そこで話があるの。」

(話、ですか。)

 人事部の川田先輩がこうしてわざわざきたのです。よほど大事な話なのでしょう。

「「「「分かりました。」」」」

 私達は川田先輩の言葉に従い、会議室へと向かう。

「分かったわ、女狐。」

「・・・。」

 菊池先輩・・・。もう頭が痛くなりそうです。


 6人で移動し、会議室に入室した。

「さ、席に着いて。」

 私達は席に座り、要件の内容について想像する。

「今回呼んだのは、今月初めの件よ。」

「「「「「!!!!!?????」」」」」

「みんなも知っているかもしれないけど、先週、ある社長が逮捕されたわ。その社長の名前は・・・言わなくても分かるわよね?」

 私達は全員頷く。その名前はきっと、石井亮太元社長でしょう。

「横領の他に、多くの女性から被害届を出され、その他にも今まで隠蔽されてきた罪が露見し、豚箱に投げ込まれたわ。」

 別に、道場なんてするつもりなんてありません。多くの人を理不尽に苦しめておいて、なんの罰もくだらなかった方がおかしいくらいですからね。今後はその罰を受けていけばいいのです。

「まぁ、あの人の事はこれくらいにして、と。入ってきて。」

 川田先輩が扉に向けて声をかける。すると、扉が開き、二人の女性が入ってきた。その二人の女性の顔に見覚えがありました。

(確か・・・桐谷先輩と同じ境遇の方、でしたか。)

 確か、桐谷先輩と同じで、石井亮太元社長にストーキングされ、心に大きな傷を作った女性方。その内の2人ですね。

「さ、話して?」

 どうやら、さきほど入室してきた二人が、私達に話があるみたいです。

「あ、あの!先日はありがとうございました!」

 女性の一人はそう言った後、大きく頭を下げた。もう一人の女性も先の女性の行動に倣い、頭を下げた。

「私、ずっとあのストーカー男に付きまとわれてて・・・。もう死ぬしかない、なんて考えていました。けど、みなさんのおかげで悪夢から解放されました。本当に、本当にありがとうございました!!」

 そう言い、さらに深く頭を下げた。

(なんか・・・いいものです。)

 別に、女性の頭部が素敵だなんて思っていません。自分の行いに対し、このように感謝されることが、本当に嬉しいです。

 自分の行動が絶対に正しいのか、なんてことは分かりません。ですが、私の行動によって救われた方がいるなら、それで十分です。それだけで行動して良かったと思えます。

(そういえば?)

 どうして二人しかいないのでしょうか?今月初めの時のお礼を言いたいのであれば、6人全員で来るべきではないでしょうか?それなのに今目の前にいるのは2人。後4人足りません。どうして?

「来月からこの2人はこの会社で働くことになったわ。そのことをあなた達に知らせておきたくてね。」

(なるほど。)

 それであれば納得です。今目の前にいるお二方は来月から私達と共に働く仲間、ということですか。

「他の4人も無事就職先が決まったそうよ。ここまで早く決められたのは、優君の紹介あってこそよ。」

「いえいえ、そんなことありません。今回上手く就職先が決まったのは、きっと6人が複数の資格を有していたからこそです。」

 これだから、何が起きても資格を持つべきだと私は思うのです。まぁ、ストーカーに遭うなんて事態、想定したくないんですけどね。

「そんなことないわ。優君はとても優秀な社員だって名高いんだから。」

「まったく。川田先輩がそんな冗談を言うなんて、今日はなんだか真夏日になりそうです。」

 そう私が言うと、

「「「「「・・・。」」」」」

 何故かは知りませんが、複数の視線が私を見貫こうとしています。

「どうかしましたか?」

 私の問いに、

「優君、それ、本気で言っている?」

「え?本気ですけど?」

 菊池先輩が質問で返してきた。私は菊池先輩の問いに返すと、

「ま、優はいつもこんなだよな。」

「ですね。」

「自分の力を正確に理解していない。」

「えぇ・・・。」

 何故みなさん、私を呆れた目で見てくるのでしょう?私は川田先輩の発言がおかしいと言っただけですのに。私が優秀だなんて、そんなの冗談の類に決まっています。

「あ、あの!」

「ん?俺か?」

 ここで女性の一人が橘先輩に声をかけた。

「はい!あの・・・LEALのID、交換してください!」

 そう言い、女性は携帯を橘先輩に差し出した。

「あ、ずるい!私も交換したかったのに!私もお願いします!」

 と、もう一人の女性も橘先輩に携帯を差し出していた。

「え、えっと・・・。」

 橘先輩は困っているようでした。それにしてもなぜお二人は橘先輩に?

「そして今夜は、私とお食事を・・・、」

 と、女性が言い始めたところで、

「だ、駄目!」

 桐谷先輩が橘先輩と女性の間に割って入っていった。

「この人は私の・・・!?」

 そう言ったところで、桐谷先輩の顔が赤くなった。桐谷先輩、急にどうしたのでしょう?

「ははーん?」

 桐谷先輩の行動を見ていた工藤先輩は、何やらニヤニヤし始めた。

「そういうことだから、この人は諦めた方がいいわよ。分かった?」

 川田先輩はお二人の女性に何か諭していた。

「は、はい!まさか既にこんな可愛い彼女がいるなんて!」

「失礼しました!」

 二人の女性は桐谷先輩に謝り始めた。

「か、かのじょ。私が橘先輩の・・・。」

 その後、桐谷先輩はさらに顔を赤くする。

「・・・。」

 そして、橘先輩はずっと黙ったままだ。

 う~ん。話しが読めません。どういうことでしょう?

 ・・・。

 もしかして・・・?

(そうか。)

 きっと桐谷先輩は今日、橘先輩を食事に誘っていたのでしょう。それなのに、さきほど女性の方が食事の誘いを橘先輩にした。だからあのような行動に出た、ということなのでしょう。

「橘先輩。」

「なんだよ、優?」

「今日の桐谷先輩との食事、楽しんでくださいね?」

「は?優、何を言っているんだ?」

「え?だってさきほどそう言っていたじゃないですか。」

 桐谷先輩は、橘先輩が他の女性の方と食事することを嫌がるのは、既に橘先輩と予定が入っているからではないのでしょうか?

「優、お前・・・。」

「優君、いつから優君はそこまで感性がひねくれてしまったの?」

 何故かみなさん、私を哀れむような視線で見ていた。何か私、おかしなことを言ったのでしょうかね?謎です。

「それじゃあ二人とも、先に戻っていて。私もじきにもどるから。」

「「はい。」」

 私が考えていると、その間に川田先輩がさきほどの女性社員二人を退室させていた。これから入社する際の準備があると思いますが、頑張ってください。

「さて、と。」

 川田先輩は女性社員二人を見送り、こちらを向く。

「これからもう一つの用件を伝えようかしら?」

「もう一つの用件、ですか?」

 川田先輩が言うもう一つの用件とは一体なんでしょう?

「ええ。」

 そう言うと、川田先輩はポケットにしまっていた紙を菊池先輩に見せつけた。

「なにこれ?」

 菊池先輩は川田先輩から紙を受け取り、その紙に記載されている内容を読み取り始める。

「・・・ねぇ?もしかして、まさかとは思うけど、来月も私と戦う気?」

「もちろんよ!今月はなんだかんだ忙しくて連絡できなかったけど、来月もやるわ!」

 と、川田先輩は当然のように言った。

「で、今回は飲み比べって、どっちがお酒に強いか勝負ってこと?」

「ええ!私だって、男性社員を何人も飲み勝負して勝ってきたわ!今こそ、この強さを活かし、こんどこそあなたを辞めさせるわ!」

 川田先輩は、川田先輩なりの理由を持って、菊地先輩に勝負を挑んできた。きっと、川田先輩はかなりお酒に強いのでしょう。

ですが、

「別にいいけど。私、あんたなんかに負けないし。」

 菊池先輩が川田先輩に負けるとは到底思えないんですよね。理由は単純。川田先輩がお酒に弱いとか強いとかは関係ない。ただ、菊地先輩が敗北する、そんなビジョンが見えないだけです。

「ふん!首を洗車するかのように洗って待っておくことね!それじゃあ!」

 そう言い、川田先輩は退室していった。川田先輩、勤務時は誰にも優しく、真面目なんですけどね。どうにも菊池先輩を敵視しつづけているんですよね。ですがまぁ、憎いとまでは思っていないと思います。何せ、桐谷先輩のストーカー対策に協力してくれたのですから。・・・もしかして、桐谷先輩の事だから協力してくれた、ではないですよね?菊池先輩が大変な目に遭ったら、川田先輩は今回のように助けてくれますよね?

 それにしても、最後の言葉は一体どういう意味なのでしょう?洗車するように、念入りに待っておけ、ということなのでしょうか?

「はぁ。面倒くさ。」

 菊池先輩は心底面倒くさそうにしています。負けたら退職することになっているのですが、大丈夫なのでしょうか?まぁ今回も菊池先輩が勝つことでしょう。川田先輩は毎回、尋常じゃない努力をしてくるのですが、菊地先輩はその努力を嘲笑うかのように無駄にしていきますからね。川田先輩が可哀そうに思えてきます。

「菊地先輩、ほどほどにしておいてくださいね?」

 私は菊池先輩の身を案じる。お酒の飲み過ぎは危険ですからね。

「大丈夫よ、優君♪あんな障害なんて、私にとっては単なる小石と同義だからね♪」

「そ、そうですか。」

 そう言われている川田先輩が本当にかわいそうです。この場に川田先輩がいなくてよかったです。

「さ、優君♪用件が終わったみたいだし、デスクに戻ってイチャイチャをみんなにみせつけてやりましょうね♪」

「仕事しような!?」

 菊池先輩の発言に、工藤先輩はすぐにつっこみを入れる。工藤先輩、私の代わりに突っ込んで下さりありがとうございます。

「さ、俺達も戻るぞ?今週は出来るだけ残業しないようにしないとな?」

「「はい!」」

 工藤先輩の言葉に、桐谷先輩と橘先輩は返事をする。確かにそうですね。今週末に引っ越しが控えています。引っ越しに余計な疲れを残しておきたくありませんからね。

「私も桐谷先輩と橘先輩のお仕事、お手伝いさせていただきます。」

 私は自分の今の意志を言葉に乗せる。

「優さん・・・。ありがとうございます!」

「ありがとうな、優。」

「いえいえ。」

 お二人の引っ越しが、お二人が社員寮に越してくる日が楽しみです。

次回予告

『目つきが鋭すぎる会社員と新人女性社員の転居生活』

 引っ越しの準備を終え、橘寛人と桐谷杏奈はいよいよ引っ越しをする。その際、社員寮に集まっている者達も手伝ってくれることになり、引っ越し作業は進んでいく。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ