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新入女性会社員から目つきが鋭すぎる会社員への恩返礼生活

 場所は変わり、会議室。

「さきほどはその、ありがとうございました。」

 桐谷杏奈はさきほどの行動に関し、顔を赤くしながら感謝の言葉を橘寛人に贈る。

「いや、あれくらいは先輩として当たり前だ。優も動いていたし。」

「・・・。」

 桐谷は橘に近づき、スーツの一部を手に取る。

「本当に、ありがとうございます。」

 桐谷の声が震え始める。

「桐谷・・・。」

 橘は桐谷の行動を受け入れる。

 何せ、桐谷は今日までずっと石井亮太という存在に恐怖し続けていたのだ。例えもう襲われることがないと分かっているとしても、心のどこかで恐怖が潜んでいた。

 帰宅途中に襲われるかもしれない。

 家でくつろいでいる時に襲われるかもしれない。

 入浴中に襲われるかもしれない。

 就寝中に襲われるかもしれない。

 全て確定事項ではなく、あくまで可能性の話だが、それでも怯えてしまう。何せ、その可能性が現実になれば・・・想像したくないだろう。少なくとも、これまでのような生活は送れなくなること間違いなしである。そんな不安が今日で完全に消え去ったのである。目の前で起きたことなのだがまだ実感はなく、まだ体に染みついた恐怖が完全に拭えていない。

「橘先輩、あの時はとってもかっこよかったです。」

「お、おお。」

 桐谷は橘を称賛する。橘は桐谷の言葉に戸惑う。

「・・・うん。」

「?どうかしたのか?」

 桐谷は何か大きな決意をしたのか、決意を示した言葉を口にする。その言葉は橘に聞こえていた。

 そして桐谷は橘に対し、ある行動をとる。その行動は、今の桐谷にとってとても勇気がいり、覚悟を決める必要があったのである。

「・・・。」

「!?」

 そして桐谷は行動に移した。その桐谷の行動に橘は驚く。

「・・・。」

 桐谷の行動に、橘は硬直し、目を見開いたままにする。

「これが、今の私に出来る精いっぱいのお礼、です。」

 えへへ、と空笑いのような笑みを橘に見せる。

 桐谷はさきほど、橘の頬にキスをしたのである。橘にとって桐谷の行動は突然の出来事で、数分経過しても未だ頭の処理が追い付かない状態に陥っている。

「今は返事とかいいです。さきほどのが私の気持ち、ということで。」

 語尾が極端に弱まる。よほど勇気を使ったのか、さきほどからずっと桐谷の顔が赤くなったままである。

「それじゃ!」

「あ。」

 桐谷は橘の返事を聞かず、そのまま会議室を退室する。桐谷に声をかけようとするも、桐谷がわき目も振らずに会議室を退室したため、橘は桐谷に何も言えなかった。

「・・・。」

 一人になった橘は桐谷に接吻された箇所を撫でるように触れる。その感触は今まで体感してきたことのない気持ちで戸惑う。

(これは一体・・・?)

 橘自身、女性にこのような行為をされたことが一度もない。だが、思い当たる節はいくつかあった。その知識は、ラノベやアニメで得た知識である。

「恋、なのか?」

 その感情の正解はした当人やされた当人ですら自覚は無い。

 だが、確実に桐谷杏奈と橘寛人との関係は大きく進展したことだろう。


 後日、石井亮太は横領の罪で逮捕された。その罪に付け加え、女性を脅迫した罪に関しても事情を問われている。そして、横領した金銭を返還するため、現在石井亮太が持っている資産を押収し、そこから横領した金銭を回収していった。それでも横領した金額に届いていなかったため、出所後は働くこと確定となった。そして、女性達から被害届を出され、ダブルパンチをおみまいされてしまう。その後、女性達から慰謝料を請求され、支払い金額が爆上がりしてしまう。その支払金額を石井亮太は一生かけて払えるのか。仕事を複数掛け持ちするか、どこかの漁船にでも乗って成果を上げない限り不可能だろう。

 いずれにしても、今後の石井亮太の人生は一生、勤労の義務が課せられる。ただの勤労ではない。重労働を強いられるだろうが、誰も石井亮太に同情の感情を向けることはない。今後、石井亮太は孤独で働き続け、金を稼ぎ続けることだろう。その人生に楽しみはなく、ただただ義務を果たすためだけに石井亮太は働いていく。

 こうなった結末は全て、女性の人生をもてあそび、会社のお金を使用に悪用したこと他ならない。この石井亮太の横領事件の後、横領に関することだけでなく、異性に対する扱い方、基本的な道徳に関する情報が放送されたとかされていないとか。その道徳な内容の一つがこうである。

 “大切な人に嘘をついたり、騙したり、恩を仇で返したりしないようにしてください。さもなければ、一生寂しい暮らしをすることになるかもしれません。”

次回予告

『小さな会社員から女子小学生達への菓子贈呈生活』

 社長達との会議が終わった昼頃、早乙女優は昼休憩を利用して学校に向かう。学校に向かった目的は、ある者を探し、ある物を渡す事だった。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

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