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社長達の会議生活

 少し時間が経過し、いよいよ社長達の会議が始まった。私達はそれぞれの役割を持って、会議の行く末を見守っている。

 工藤先輩が司会進行役として話を進める。

 工藤先輩の補佐役として、橘先輩と菊池先輩。

 桐谷先輩は議事録のまとめ役を担っている。

 そして私は、ちょっとした機械を使い、会議室の光景、会話内容を入手し、別室で視聴している。もちろんある社長を除き、この会議の視聴の許可を得ています。

「あの、本当に私がここにいてよろしいのでしょうか?」

「ええ。ぜひ、聞いていてください。後々あなたの、そしてあなた方の発言が必要になりますので。」

 私以外の女性の方も在中している。この女性の方は・・・と、今はそれどころではなさそうです。間もなく会議が始まるみたいですからね。

「それではこれから会議を始めます。」

 そして、工藤先輩が指揮をとる会議が始まる。


 最初は、いつもどおりの会議の進み、だと思います。いつもの会議風景を見たことが無いので分からないのですが、穏やかに進んでいます。資料を見ながら話しているのでしょう。あそこには、いつもの定例会議で使うと言われている会議の資料ですからね。

 会議は順調に進み、もう話し終えたのか、社長方の口数が少なくなってきました。

「それでは今後、先ほど話したように取引を継続すると。これでよろしいでしょうか?」

 その後、無言が広まった。社長方が頷いていたので、肯定という意味を体現してくれたのでしょう。

「「「・・・。」」」

 私の近くで見ていた女性方は、無言のまま見てくれています。きっと内心、怒りの感情で押しつぶされそうなはずですのに、忍耐力が高い方々で良かったです。

「これからです。これから、あの社長の鼻をへし折るので、しっかり見ていてください。」

「「「・・・はい。」」」

 私は女性の方々にまだ留まるよう言い、絶好の機会を待つ。あの方を最高のタイミングで地獄以上の地獄に突き落とすために!

「私は一部反対です。」

「「「!!!???」」」

 工藤先輩の発言により、社長方は目を見開く。中には、工藤先輩が勤める会社の社長、森社長を見る社長もいましたが、森社長はどこふく風、という風に気にしていません。

「それは何故かね?」

 森社長はこの場にいる全員の疑問を代弁する。

「はい。何故かと言いますと、この中に私の大切な後輩を自身の婚約者だと言い張り、脅迫まがいなことをした人間がいるからです。」

「「「!!!???」」」

 この工藤先輩の言葉に、社長の皆様はものすごく驚いていた。無理もないでしょう。何せ、このような場で非道徳的行為を及んでいる者がいる、と公言したのですから。

(工藤先輩、頑張ってください。)

 さて、これからは私達の番です。今まで散々後手に回ってしまい、桐谷先輩を危険に晒してしまいましたが、そうはいきません!


 工藤先輩の発言に社長の方々はみな驚愕し、言葉を失っていた。だが唯一、言葉を増やした人物がいた。

「う、嘘だ!そんな人間、この部屋にいないはずだ!」

 最近社長になった石井亮太社長である。

「それがいるんです。」

 そう工藤先輩が断言しても、

「嘘だ!絶対に嘘だ!!」

 石井社長は断固拒否する。

「話は最後まで聞いてください。話の最中に証拠を見せながら話しますので。」

 そう言うと、他の社長の方々も納得したのか、「まぁ、証拠があるなら。」や、「どうやら空想話を聞かされないのであれば聞きましょう。」と、話を聞く流れが出来始めていた。このような話に付き合っていただきありがとうございます。社長の方々の耳には届かないと思うので、想うだけに留めておきましょう。

「ではこれから、私達が取引継続を一部反対した理由についてお話しします。」

 工藤先輩、頑張ってください。

 それから、橘先輩と菊池先輩が協力し、社長方に資料を配布していた。その資料とは、定例会議で使う資料とは別の資料で、私達が独自に作成した資料である。その資料を使い、工藤先輩は社長方に説明していく。その説明内容は、桐谷先輩を脅し、結婚関係を築こうとした音声データである。被害者である桐谷先輩の音声に加工を施していますが、言った張本人である石井社長の声に加工は施していません。その音声データは、工藤先輩が説明しながら流された。その音声データの内容に、社長方は驚きを隠せずにいた。そして、石井社長は大粒の汗を顔面全体から流し始めていた。

 何せ、自身が女性を脅している音声データを流されているのだから。

「・・・このように、この会議に出席している方の中に、社長という地位を利用し、結婚を強制しようとしたした輩が存在している、というわけです。」

 工藤先輩の説明を聞き、社長方は驚き、ある方に視線を集中させていた。何せさきほど脅迫していた人の声が、ここにいる社長、石井社長の声と同じだったのだから。

「この会話を聞いてどう思いますか、石井社長?」

「う、うるさい!こんな音声、捏造だ!捏造に違いない!!!」

 石井社長は先ほど流れた音声データを捏造と言い張る。なかなか自身の罪を認めませんね。悪あがきすると、どんどん自身の罪を同業者に晒してしまう事になるということが分からないのでしょうか。分からないから足掻いているのでしょうね。

「・・・なるほど、分かりました。それでは次に、この映像をご覧ください。」

 石井社長以外の社長方は石井社長を見ていたのですが、工藤先輩の一言で顔を向き直し、工藤先輩が示すものを閲覧する。

「な!?なぁ!!??」

 その映像は、石井社長とある女性があるホテルに入っていく映像であった。それだけなら別におかしくないのだが、似たような写真が複数あり、いずれの写真には同じ男性が映っているのですが、女性の方は違っていた。写真毎に写っている女性が異なっていることが目に見えて分かった。プライバシー保護のため、女性の全身には加工を施しているのだが、それでも髪色や髪の長さ、体型の違いから判別出来た。

「私が入手した情報によりますと、あなたには婚約者がいたと記憶しています。婚約者がいるのにあなたは、別の女性とラブホテルに行くのですか?」

 その工藤先輩の発言に、社長方は絶句していた。石井社長の椅子が不自然に湿気を帯び始める。

「・・・ぷ、プライバシーの侵害だ!!」

 石井社長は工藤先輩に向けて指を指して反論する。確かに、工藤先輩がこの写真を撮ったのであれば、プライバシーの侵害なのかもしれません。ですが、これは工藤先輩が撮った写真ではないんですよ。

「ちなみにこの写真はある探偵に頼んで取ってもらった写真ですので、私はあなたのプライバシーを侵害していません。」

 この写真は、橘先輩の知り合いの探偵に依頼して撮ってもらった写真なのです。なので工藤先輩が石井社長のプライバシーを侵害していないんですよね。それにしても橘先輩が探偵の知り合いがいるとは驚きでした。私は潮田さん達を通し、興信所にお願いするつもりでしたが、橘先輩のおかげで手間を減らすことが出来ました。

「大体、なんで俺にだけこんなことをするんだよ!?俺に一体何の恨みがあるんだ!?」

 恨み、ですか。そんなもの、あるに決まっているじゃないですか。

「恨み、か。」

 工藤先輩もさきほどの石井社長の言葉に少しばかり空白の時間を設けています。きっと、感情的に言葉を発しないよう心を落ち着けているのでしょうね。私も少し落ち着けないと、公の場に相応しくない言葉を発してしまいそうになりますからね。

「お前が脅した女性は俺の大事な後輩なんだ。先輩が後輩を助けるのは当たり前だろう?それにその後輩は仕事に誠実で将来有望なんだ。ここで潰されないためにも、俺達先輩が動かないと、だろう?」

 出来るだけ冷静を装っているように見えますが、完全に落ち着いてはいないようです。目上の方に対してお前、だなんて。普段の工藤先輩はこのような発言をしないですからね。

「・・・ふ。」

 工藤先輩が一息ついていると、石井社長から笑い声が聞こえました。大笑いの声ではなく、どこか人を小馬鹿にするような、含みの笑みが聞こえてきます。

「・・・どうなさいましたか、石井社長?」

「なんだかバカバカしくなってしまいましたね。」

「バカバカしい?どうしてですか?」

「さきほど見せられたものはいずれも作ることが出来る。よって証拠能力はないと見える。そんなもので私が脅迫まがいな事をしたと言えるわけがない!非常に不愉快だ!!」

 そんなことはないと思うのですが・・・。

「・・・つまり、映像や音声データだけでは証拠にならないと?」

「ああ。証人でも呼ばない限り話にならないな。まぁ、呼べるわけがないだろうがな。」

 なるほど。被害に遭った方々を連れてこい、ということですか。

「・・・。」

 なんか、機械越しに菊池先輩が頷きましたね。この合図は確か、私がこの方々を連れてくる、だったはずです。いよいよこの方々の出番、というわけですか。

「みなさん、少し移動したいのですがよろしいでしょうか?」

 私は今も会議内容を遠隔で聞いているみなさんに質問する。

「「「はい。」」」

 どうやらみなさんは動いてくれるようです。さて、川田先輩に連絡して、あの方も読んでもらうとしましょう。

 ・・・これでよしっと。

(さ、行きますか。)

 私は多くの方々を連れ、工藤先輩達が集っている会議室に向かう。


 会議室前に着き、私は扉を数回叩く。

「どうぞ。」

 少しの間の後、工藤先輩だと思われる声が聞こえる。私は先ほど聞こえた声を肯定と捉え、扉を開ける。

「失礼します。」

 私に注目が集中する。これくらいの視線は浴び慣れているのでなんとも思いませんが、ジロジロ見られるのはあまり好ましく思えません。

「何用かね?」

 森社長が私に要件を聞いてくる。おそらく、他の社長方の意見を代弁して下さったのでしょう。わざわざ言葉にして私に聞いていただき、ありがとございます。

「さきほど、石井社長は映像も音声データも証拠として不十分ということでしたので、最も確実な証人をお連れしました。」

 私が小さくどうぞと言い、連れてきた女性を案内する。その女性は私の案内に従い、社長方が集合している部屋に入室する。

「失礼します。」

 その女性は声量が小さいものの、はっきりと言葉を述べる。

「その者は?」

 またも森社長が私に、この女性の詳細について聞こうとする。

「・・・。」

 その一方、石井社長の顔色が悪化しているのは目に見えました。まぁ無理もないでしょうね。この方、石井社長の知り合いですからね。私は女性を一目見て、女性に関する情報を私から話していいのか確認する。すると、女性は私の視線に気づき、私を見る。私の視線の意図に気付いたのか、女性は無言で頷いた。なら、私の口から話させていただきましょう。

「この方はそこに座っている石井社長と婚約関係になっていました。ですが急に婚約破棄され、社長という地位を盾にされ、泣き寝入りされました。そうですよね?」

「…はい。」

「「「!!!???」」」

 この女性の肯定に、ほとんどの社長方が驚いた。石井社長も驚いているのだが、驚き方が明らかに異なっていた。

 それもそのはず。

 さきほど呼べるはずがないだろうと高を括っていたはずなのに、証人が今ここにいるのだから。ここまで用意して被害に遭われた方を連れてくる、なんて考えはなかったのでしょうか。

「ちなみに、同様の被害に遭われた方はこの方一人だけではありません。どうぞ。」

 私が一声かけると、続々と部屋に女性が入室し、密度が高まる。

「「「!!!???」」」

 入室する女性の数に社長方は驚く。何せ、入室してきた女性は5人。よって、私が連れてきた女性は6人。この6人こそ、石井社長のストーカー被害に遭われた方々なのです。まぁ、本当は桐谷先輩を含めると7人なんですけどね。いずれの方も、石井社著の社長という肩書き、社会的地位により、今まで泣き寝入りするしかなかったらしいです。そんな時、私達が石井社長の被害に遭われた方々を招集し、今回の作戦を提案したのです。

「な、な、な・・・!?」

 石井社長は発音をはっきりすることが出来ず、何を言いたいのかまったく意図が分かりません。

「ちなみに、この6人の他にもう一人、自身の社会的地位を利用し、結婚を迫った方がいますよね?」

「「「!!!???」」」

 この6人の他にもストーキングしていたことに、石井社長以外の社長方は驚き、石井社長を見る。

「私です。」

 石井社長に集中していた視線がさきほど声をあげた女性、桐谷先輩へと切り替わる。そして桐谷先輩は6人の女性に並ぶように移動する。

「これほどの証人がいても、ストーキングして、結婚を強制していたことを認めませんか?」

 私は石井社長に問う。

「・・・だよ。」

「え?」

「一体、複数の女性と結婚を迫って何が悪いんだ?」

「「「・・・。」」」

 一体この人は何を言っているのでしょうか?

「俺は社長でそこらの人間より金を持っているんだ。そういう俺みたいな優秀な遺伝子は後世に残すため、多くの子供を作る必要がある。そのために、多くの女を作って何が悪い?」

 石井社長は何か…開き直ったような気がします。それにしても、優秀な遺伝子って、どのように判別したのでしょうか。生物学で優性遺伝や劣性遺伝という言葉があるのは把握しているのですが、そのことを示しているのでしょうか?その言葉の意味をさしちがえているのではないでしょうか?

「あくまで謝罪はしない、ということですか?」

「ああ。俺は社長という身の丈に合った行動をした。それのどこが悪い?」

「・・・。」

 なるほど。謝罪の意志は零、ですか。

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

 私はもうこの人は救えないと断定し、川田先輩にメッセージを送る。あの人を連れてきてもらうために。

 ・・・さて、話しますか。

「ところでみなさん、刑法第二編第三十八章の252条から255条。これがなんなのか分かりますか?」

 私の突然の発言に、多くの者が頭を悩ませていた。だが一人、顔を青ざめていた者がいた。

「森社長、何かご存知なのですか?」

 私は顔を青くした方、森社長に声をかける。

「まさか、でも、そんなこと・・・。」

 ですが、なかなか知っていることを話してくれなかった。他の社長方が森社長を急かしたことでようやく話し始めてくれました。まぁ、私から申してもよかったんですけどね。

「確か、横領罪、に関する事が記されていたと思うが、どうかね?」

「流石は森社長です。博識でいらっしゃいます。」

 どうやら私が訂正する必要はなかったみたいです。

「ああ。昔、法学部で学んでいたからな。微かながらに覚えていたんだ。」

「さきほど森社長がお答えした通り、私が言った刑法第二編三十八章の252条から255条までは横領罪に関する記載がされています。では何故このタイミングでこの事を申したか。」

 私は周囲にいる人物を一通り見る。

「この中に、会社のお金を横領している者がいるからです。」

「「「!!!???」」」

 この私の発言に誰もが驚いていた。ただ一人、別の驚き方をしているようですが、もう関係ありません。

「それで石井社長、横領している方をどう思いますか?」

 私は石井社長に話を振る。

「そ、それは・・・横領してしまった人にも事情があったんじゃ、ないか?」

「それは横領してしまった自身を守る言い訳ですか?」

 私はここで、石井社長が横領していることを明言する。

「「「!!!???」」」

 そして、私のこの言葉に、ほとんどの者が驚く。ちなみに、菊地先輩達は事前に知っています。何せ、一緒に調べたのですからね。

「しょ、証拠はあるのか!?」

「証拠、ですか?」

「そうだ!根拠もなしに人を罪人扱い。これはもう名誉棄損で訴えてやるからな!覚悟しておけよ!!」

 と、石井社長は私を睨みつけてきました。まったく、この方は爪が甘いですね。

「ここまで言って、証拠を何も用意していないと思っているのですか?」

「・・・なんだと?」

 私は工藤先輩に目配せする。

「それではみなさん、お手元の資料を5枚ほどめくってください。」

「「「???」」」

 社長方は一斉に、手元にある資料を5枚めくる。その資料の6枚目には、

「な、なんだこれは!!??」

「その資料には石井社長が飲みや買い物に使用した日にち、金額を記しています。そしてどういうわけか、同日同額のお金が会社からなくなっていたんです。その証拠も一緒に記載しています。すごい偶然ですね、石井社長?」

 そう工藤先輩が石井社長に問う。

「そうだな、確かにすごい偶然だ。だが偶然に過ぎない。何故なら俺はその時、自身の貯金を使用した。何せ俺はお前ら平社員とは違い、社長だからな!」

「いいえ。あなたの口座にはもう貯金はなかったはずです。それはもう借金しないと生活できないくらいに、ね?」

「!!??」

 図星を突かれたのか、石井社長は目を見開く。

「貴様ら、俺の通帳を見たのか!?住居侵入罪で訴えてやる!!」

「いいえ。あなたの住居に私達は侵入しておりません。別の方が入り、あなたの口座を拝見したのです。」

「そんなやつ、いるわけない!」

「いるではありませんか、二人も。」

「二人、だと?」

 おや、ここで川田先輩から連絡が来ました。どうやら到着したみたいです。タイミングはバッチリです。

「ええ。一人はここに来たみたいですので呼びますね。」

 私が声をかけると、再び扉が開く。扉が開くと、川田先輩ともう一人の成人男性がいた。私より社長方の方が面識はあるでしょう。

「みなさん、この度は愚息が大変、大変迷惑をおかけしてしまいました!!」

「お、親父!!??どうしてここに!?」

 それは石井亮太社長の父親であり、先代の社長である。この方なら石井亮太社長の住居に入るための合い鍵を持っていますし、会社の事もよく把握しています。そしてなにより、今回の横領に関する調査の協力者です。

「お前が横領していると密告を受けてな。色々伝手を使って調べたんだよ。そしたら案の定だ。お前が子供の時から優秀だったから早期に任せたのに。俺の育て方が間違っていたようだな。」

 石井社長の父親は明らかに落胆していた。

「う、嘘だろ。全部、全部ばれたっていうのか。」

 どうやら、親には色々隠しながらこれまで過ごしてきたようです。それがこんな形でばれるとは微塵も思っていなかったようですけどね。

「・・・お前のせいだ。」

「え?」

 石井亮太社長は突然、桐谷先輩に視線を向ける。その目線には負の感情が込められているように見えます。

「お前が俺の目の前に現れたから、こうなったんだ!!お前のせいで!!」

 突然、石井亮太社長が握りこぶしを作り、桐谷先輩に向けて走り出しました。

(危ない!)

 私は咄嗟に桐谷先輩と石井亮太社長の間に割ってはいったのですが、止まる様子がありません。

「「「!!???」」」

 全員が目を背け、叫び声をあげる女性の声が聞こえてきます。

「優君!?」

「優!?」

 菊池先輩、工藤先輩の声が聞こえたような気がしますが、後悔はしません。これで桐谷先輩を守れるのですから。

「いってぇ。」

 ですが、殴られたのは私ではありませんでした。私は桐谷先輩の前に出たのですが、私の前に出た人物がいました。

「お前、この拳を女性にぶつけるつもりだったのかよ。男の風上にもおけねぇな。」

 その人は、橘先輩でした。

「お前!なんてことを!」

 石井亮太社長の行動に石井社長の父は激怒しているが、既に遅かった。何せ、石井社長の拳は橘先輩に当てられてしまったのだから。

「これで暴行罪も追加だな。」

 橘先輩は呟き、殴った本人である石井社長に近づく。

「おい。」

 橘先輩の顔を見てみると、サングラスが床に転がっていました。ということは今、橘先輩は・・・?

「ひぃ!?な、なんだその目は!!??」

「目?あぁ、サングラスがとれたのか。」

 橘先輩は自身の顔を触り、サングラスの有無を確認した。そういえば、橘先輩の目はとても怖いとかなんとか言っていた記憶があります。何故橘先輩をそんな風に言われているのか分かりませんが。ですが橘先輩はそんなこと気にもせずに石井社長に近づく。

「おい。」

「な、なんだよ、おまえぇ!」

「俺か?俺はな、」

 橘先輩は一度、桐谷先輩の目を見る。その後すぐに石井社長の目を睨み直す。

「桐谷の先輩だよ。後輩が危険な目に遭っていたら、先輩が助けるのは当たり前だろう?」

「!?」

 橘先輩は石井社長の顔に自身の顔を近づける。

「俺はお前みたいな男にはならない。そして、」

 橘先輩はさらに顔を近づけ、声を低くする。

「お前のような男がいるから、桐谷のような被害者が生まれるんだ。」

「!?」

 橘先輩は一歩、石井社長に歩みを進める。

「お前のような男がいるから、女は生活に不安を感じる。」

「!?や、やめろ!」

 再び歩みを進める。

「お前のような男がいるから、地位で罪がもみ消される。」

「そ、それ以上近づくなぁ!!??」

 石井亮太社長はもう下がれない。

「お前のような男がいるから・・・!!」

「わ、悪かった!もう杏奈に近づかない!だから許してくれぇ!!」

 石井亮太社長は顔を見まいと自身の顔を橘先輩の視界から隠す。

「近づかない?そんな言葉だけで信じると思うか?」

「分かった!金か?金ならいくらでも・・・!?」

 石井亮太社長の手が橘先輩の手によってはがされ、石井亮太社長と橘先輩が見つめ合う。その直後、石井亮太社長の震えが止まらなくなる。

「てめぇにはまず、被害者に慰謝料を払い、牢屋行きなんだよ。」

「てめぇ、後で・・・、」

 泣きながら石井亮太社長は橘先輩に反抗しようと言葉を並べようとした。だが、橘先輩はそれを許さなかった。

「これ以上桐谷達に何かするつもりなら覚悟しておけよ?」

 橘先輩は石井社長の眼だけを睨むように集中する。

「・・・。」

 そのまま橘先輩は何も言わなかったが、何を考えたのか、石井亮太社長は泡を吹き、意識を落とした。

「・・・。」

 その後、しばらく静かだったが、警察が来た。私達が一通り事情を話し、この会議の内容をかいつまんで説明しながら、今も録音している音声データを聞かせた。すると警察は気絶している石井亮太社長を連れて行った。後日、事情聴取を受ける事になり、会議はこのまま終了するのかと思っていたのですが、突然先代の石井社長が土下座をした。

「本当に、本当に申し訳ない!!!」

 どうやら、会議はまだまだ終わらないようです。


「我が愚息が本当に取り返しの事をしてしまってこの石井翔(しょう)、重ね重ね申し訳ない!」

 私がどうこう言っても被害者ではないのでどうしようか悩んでいたところ、桐谷先輩が石井亮太社長の父親、石井翔元社長に近づいていきます。

「あなたはあの人の育て方を間違えたのかもしれませんが、あなただけが責任を感じる必要はありませんよ。」

 その桐谷先輩の言葉を皮切りに、「確かに、この人に怒鳴るのは筋違いかも。」や、「どうやったらこの父親からあの子供が誕生するのかしら?」等言い始める。

「つきましては、必ずあの愚息には慰謝料をあなた達に支払わせたい、問いいたところだが、それでは時間がかかりすぎてしまう。なので私が慰謝料を立て替えたいのだが、よろしいでしょうか?」

 と、石井翔社長・・・いえ、社長ではありませんでしたね。石井翔さんは女性達に頭を下げながら懇願する。

「それはまぁいいけど・・・お金、足りるのですか?」

 ちなみに、慰謝料は一人三百万支払うとして、かける七で二千万越えです。そのお金をこの場でだすのは容易ではないはずです。それに、損害賠償金も支払わなくてはならないと思うと・・・金額を数えたくなくなります。まぁ、慰謝料が必ずしも三百万円とは限らないのですが、それでもかなりの額を請求するでしょう。それだけのことをあの石井亮太社長はしたのですから。

「資産を現金に換算して必ず払う。不足分は借金してでも必ず払う。もちろん、これであの愚息を許してくれ、なんていうつもりは一切ない。ひとまず、あなた達へ出来る事は最大限させてほしい。」

 重ね重ね申し訳ない、と最後に言葉を付け足し、頭を下げ続ける。この方がここまでする必要がないと思うのですが、何故この人はここまで・・・?

(これが親の責任、なのかもしれません。)

 子供を育てる責任は時に重く、負担になってしまうのでしょう。私も時に、工藤先輩や菊池先輩に重荷を背負わせているのかもしれません。そう考えると、迷惑をいつもかけてしまっている感じがして申し訳ないです。

「そして、私が社長を務めていた会社は、あの馬鹿の不祥事のせいで、もう倒産の道しか残っていないだろう。つきましては・・・!」

 石井翔さんは頭を下げる対象を女性方から社長方へと変更する。

「わが社に務めている有能な社員を、どうか・・・どうか!!」

「「「・・・。」」」

 石井翔さんは泣いていた。

 おそらく、藁にもすがる思いで懇願しているのでしょう。自身の息子の不始末の生で会社を畳み、社員を失業させずに転職という形で事態を収拾させるため、この場にいる社長方にお願いする。これで断られても、きっと石井さんは他の会社に行き、なんとか雇ってもらえるよう懇願するおつもりでしょうね。それでどんなに自身の恥が他去れようとも気にしない覚悟を持って。

 私がもし不祥事を起こしてしまったら、菊地先輩や工藤先輩にここまでのことをさせてしまうのでしょうか。私、これまで以上に自分を律しましょう。

(なんとか、してあげたいです。)

 出来れば、この石井さんのお願いを聞いてあげたいです。本来石井翔さんは被害者のはずですのに、ここまで頭を下げ、慰謝料を立て替え、社員の転職先を必死にあっせんしてもらおうとする。この姿勢だけでも、どのような人物なのかが想像できます。少なくとも、石井亮太元社長とは別人でしょう。親と子は必ずしも似るとは限らない、ということですね。ですが、私の一存で社員を受け入れる、なんてことは出来ません。ここはやはり、社長方の意見を聞かなくては、ですかね。

「「「・・・。」」」

 社長方は、お互いに向き合っていた。

 きっと、すぐに返事できなかったのでしょう。何せ、石井亮太元社長が勤めていた社員にどのような能力があるのか充分に把握できていませんからね。自身の会社でどのように活かせるのか考えているのでしょう。

「社員達がこれまでどんな仕事を全うし、どんなスキルを持っているのか把握しているのかね?」

 沈黙が続いた後、その沈黙を破ったのは森社長だった。

「そ、それは・・・。」

 沈黙を破った森社長の質問に、石井翔さんは沈黙する。無理もないです。何せ、全社員がこれまでどんな仕事を行い、どんな資格を持っているのか、なんて完全に把握できているはずがありませんからね。

「そうか。それじゃあすぐに返事は出来ないな。」

「そんな・・・。それじゃあ、この事態が収拾してからでもなんとか・・・!?」

「石井君。君なら分かるはずだ。君も引退したとはいえ、社長として社を担ってきたのだからな。社員を雇う事は簡単な事ではないのだぞ?」

「それは・・・。」

 確かに、人を雇用することは簡単ではないです。人を雇用するには人のあらゆる面を見なくてはならないですからね。人を多角的に判断するには時間がかかります。人となりを知るにはまとまった情報も必要になります。少なくともそのまとまった情報、履歴書みたいな書類が無ければ判断のしようがありません。

「それでも、わが社に務めてくれた者達を失業させるわけには・・・!」

「「「・・・。」」」

 きっと、他の社長方は石井翔さんを、石井亮太元社長の会社の社員を何とかしたいのだと思います。助けたくなければ、ここで突き放すはずですから。それでも言葉をかけないのは、自身が社長という立場上、人を雇う、という言葉を口に発するのは容易ではないのでしょう。

(なら。)

 私が社員と社長方を繋げる役になりましょう。

(あの人に嫌悪感を覚えているにしても、この人には関係ないのですから。)

 例え親子関係であっても、石井亮太という人物と石井翔という人物は全く異なる人物。それに、この事態を引き起こしたのは少なくとも私が関係しているので、少なからず責任を感じているんですよね。罪滅ぼし、というわけではないですけど、これで少しでも目の前にいる石井翔さんが、何も悪くないこの人の罪悪感が少しでも拭えればと思います。

「・・・石井翔さん。一つ、お願いがございます。」

 私は石井翔さんに近づき、話かける。

「…何かね?こんな哀れな初老の爺にとどめでもさしにきたのかね?」

 どうやらかなり精神的に参っているようです。

「違います。一つ、許可をいただきたいのです。」

 この一言に、周囲にいる先輩方が一瞬硬直し始める。はい、そろそろ始めるつもりですので、準備をお願いします。

「許可?何のだね?」

「この情報を社長方に見せる許可、です。」

 私はそう言い、ある書類の束を見せる。

「これは・・・!?」

 一通り目を通したのか、石井翔さんの目は皿になっていました。

「これをどうやって!?」

「そんなことよりどうしますか?これをあの方々に見せればきっと、転職できる可能性が増えますよ?」

「・・・。」

 石井翔さんはひとしきり悩んだ後、額を床に当て、

「すまない。こんな子供に任せてしまうのは大人として申し訳ないが、許可するので頼む。社員に転職の機会を与えてほしい。」

「かしこまりました。」

「「「???」」」

 社長方が固まっている中、

「・・・。」

「「「・・・。」」」

 私は先輩方に視線を送り、合図をだす。そして、

「それではみなさん、この状況の中、大変申し訳ないのですが、会議を続けさせていただきます。」

 さて、続けますか。


 最初、会議を続けようかと思っていたのですが、改めて考えました。

 会議を始めてから結婚詐欺や脅迫みたいなことをしていた人を問い詰め、警察に連行していくという場面に遭遇し、そのまま会議なんて続行できるわけなんてないですよね。私は仕切り直しを提案したのですが、社長方はそのまま話を続けてほしいと言ってくださいました。被害に遭われた女性方も追加の椅子を並べ、椅子に座ってもらった状態にしました。本当は、警察の方が石井亮太元社長を連行した時点で女性方も解散してもらった方が良かったのかも知れませんが、女性の方々は何故かこの場に留まることを選択なさいました。もしかしたら、このまま家に直帰することに恐怖の感情を抱いているのかもしれません。今、午前中ですのに・・・。これだから本当、ストーカーの類は許せません。今回の犯罪はストーカーではないのですが。

(・・・。)

 もしかしたら、念のために調べておいたあのことも必要になるかもしれません。用意は・・・してあったようです。良かった。

「それでは、会議の続きを始めます。」

 これから、川田先輩が主体となって会議を始めていった。

 会議の内容はというと、石井翔さんが勤めていた会社にどんな人材がいるのか、ということについてです。どんな仕事をしていたのか、という事に関しては企業秘密案件が絡んでくることもあったので事細かに説明は出来ません。

ですが、どんな資格を持った人が会社に勤めているのか。

 どんな業種の仕事を担当してきたか。

 どういった職場環境だったのか。

 社員を一人一人説明するのはさすがに時間がかかりすぎるので、統計的にデータをまとめてみました。この資料も、優秀な人事部所属の社員、川田先輩が主体となって協力してくれたからこそ作り上げたことが出来たのです。だからこそ私達はあの石井翔太元社長の犯罪行為の調査に尽力出来たというものです。

「「「・・・。」」」

 社長達は驚きながらも話を聞いてくれています。どうやら、本格的に人員の補充を検討してくれているようです。

「えっと・・・君の名前は何というのかな?」

「はい、川田朱夏と申します。」

「ありがとう。それで川田君、この資格を有している者達の詳細な情報が知りたいのだが、どうだろうか?」

 中にはある程度絞り始め、本格的に人員補充に動き始めた社長もいらっしゃいました。

「せっかくですから、あなた達も情報をいくらか提示してみませんか?」

 私は近くに座っている女性方に声をかける。

「!?い、いえ!私達、会社に勤めてすぐ辞めてしまったので・・・。」

「それは石井亮太による行いが原因ですよね?」

「・・・。」

 私の言葉が図星だったのでしょう。黙ってしまいました。

「それらを踏まえ、きっと良い方向で検討してくれると思いますよ?どうでしょうか?」

 私は社長方に意見を望む。

「・・・分かった。早乙女優君の頼みだ。話を聞こうじゃないか。」

「!?あ、ありがとうございます!」

 こうして、石井翔さんが元社長を務めた社員達の引き抜きに関する会議が始まった。社長方は、どの部署の人員が不足しているかを思い出しながら話を進めていました。それに加え、この場にいる7人の女性方の就職先も検討してくれていました。あ。あの石井亮太の被害に遭った女性は7人ですが、うち一人である桐谷先輩は既に就職しているので残り6人でした。そういえばここにいる女性方は全員、失業中でしたね。であればこの話は渡りに船、ということになるのでしょうか。今後、良い生活を送れるようになると嬉しいです。

 そしてさらに時間は経過。おおよそ会議は終わりました。社員の転職もほとんど検討してくれるみたいです。もちろん紹介はしましたが、実際に働けるかは当人次第です。何せ、働くための能力があっても、やる気がなくては意味がないですからね。逆に、例え能力がなくてもやる気があれば働ける場合もあります。新卒を雇う行為も、新卒の方のやる気を見て判断しているでしょうし。

 おおかた会議が終わり、最初に女性方が退室し、次に社長方。退室間際。

「・・・森君。君は実に優秀な社員を社に引き入れたものだ。」

「まったく。わが社にも欲しいくらいだよ。」

「是非とも今後ともよろしくしてもらいたいね。今後のことを見通して、ね?」

 そんなことを私や菊池先輩、川田先輩達を見ながら言って退室しました。社長方に褒められるのは嬉しいです。

「はっはっは。これは実力の差、と言いたいところだが、単なる運だよ。」

 森社長は他の社長方にそう言い返し、社長達はみな退室していった。

「さて、後で社長室に来てくれ。少しだけ話があるからな。」

 再び入室したかと思うと、森社長はそれだけ言い、再び退出していった。後で、ですか。そうですね・・・荷物を片付けてから社長室に向かいますか。

「それにしても優君、今日は本当にお疲れ様♪」

「いえ。みなさま、特に桐谷先輩こそお疲れ様でした。」

「わ、私!?」

「だな。この件の被害者ってこともあるしな。」

「ですね。」

「そうね。桐谷さん、今回は本当によく耐えてくれたね。」

 そう言われた桐谷先輩は、少し体を小さくした後、何故かは分かりませんが私の方を見てきました。

「?どうかなさいましたか、桐谷先輩?」

「あの、さきほどはありがとうございました。」

「?」

 桐谷先輩は一体なんのことに対して感謝の言葉を述べているのでしょうか?

「さきほどとは何の事です?」

「さっき、石井さんから私の事を庇おうとしてくれたじゃないですか。そのお礼、です。」

 なるほど、そのことでしたか。

「ですがあの時助けたのは私ではありませんよ?」

「それはもちろん分かっているのですが、私を守ろうとしてくれた気持ちが嬉しくて…。」

「…その感謝の気持ち、ありがたくちょうだいします。」

 私は桐谷先輩の言葉を心にとめる。

「それでその、橘先輩にも・・・。」

 ん?何故だか分かりませんが、桐谷先輩の顔色がさきほどより赤が色濃く見えるような・・・?もしかして、病気!?

(これはもしかすると・・・?)

 桐谷先輩は精神的ストレスから風邪を発症させてしまったのかもしれません。そうだとすると、すぐに家に帰宅させ、療養させなくては!

「・・・優君、多分優君が考えていることは間違っていると思うわよ?」

「え?」

 何故菊池先輩は私の考えていることが分かるのですか?もしかして桐谷先輩は風邪を発症していないのですか?

「ま、確かに俺達はオジャマムシなのかもな。」

 工藤先輩は桐谷先輩と橘先輩を見てニヤニヤしています。桐谷先輩が風邪を引いているという私の考えはもしかしたら間違えているのかもしれません。でなければ、お二方がここまで呑気にしているはずがありませんからね。

「そうね。私達は一足先に戻りましょうか?」

「そうだな。」

 そう言い、橘先輩と桐谷先輩を除いた私達は会議室を出ようと動き始めました。

「橘、しっかりな。」

「がんばって。」

 なにか、工藤先輩は橘先輩に、川田先輩は桐谷先輩にそれぞれ言っていたようですが、何の事に関して言ったのでしょうか?

「さ、優君。私達は先に出ましょうか?」

「は、はい・・・。」

 あの二人をそのままにしておいて大丈夫なのでしょうか?

 私達4人が少し歩いてから、私は気になったことを質問する。

「あの、ちょっといいですか?」

「な~に、優君?私への愛の告白ならいつでもウェルカムよ♪」

「それは違います。」

「違うの~?がっかり~。それで何?」

「さきほど桐谷先輩の顔色が赤く変色していたのですが、風邪ではないのですか?」

 私のこの一言で、

「「「・・・。」」」

 先輩方が歩みを止めた。そして、

「「「ぷ♪♪♪」」」

 全員が吹いた。

「?」

 私が先輩方の様子に戸惑っていると、

「優君、あの子は別に風邪を引いて赤くなったわけじゃないのよ?」

「え?そうなのですか?」

 風邪で赤くなったのではないとすると・・・?

「それでは、何故桐谷先輩は顔を赤くしたのですか?」

「うふふ♪優君もきっと分かるわ♪」

「だな。あいつらはきっと青春しているだろうな。」

「そうね。あの二人ならきっと上手くいくんじゃないかしら?」

「あら?まるでずっと見てきたかのような発言ね。部署が違うというのに。」

「だって丸わかりじゃない?あの二人の雰囲気、まるで社内恋愛しているかのような甘い雰囲気をだしていたからね。当のお二人は気づいていないようだったけど。」

「少なくとももう一人、気づいていなかったみたいだけどな。」

「そう、だったわね。」

「?」

 青春?社内恋愛?工藤先輩はさきほど青春、川田先輩は社内恋愛と言いましたが、どういうことでしょう?

 私は訳が分からないまま、自身のデスクへと戻っていった。

 それにしても、橘先輩と桐谷先輩はあの会議室で残って一体何をしているのでしょうか?

次回予告

『新入女性会社員から目つきが鋭すぎる会社員への恩返礼生活』

 桐谷杏奈と橘寛人の2二人は、会議室に残る。そして桐谷杏奈はさきほど石井亮太から護ってくれた事に関して、ある方法で恩返しをする。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

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