小さな会社員と何でも出来るOLの休暇生活~3日目~
今回は短めです。
休暇三日目。
美味しい朝食を堪能し、荷物をまとめ、
「さ、ここで買うお土産も十分に買ったし、さ、行こうか、優君?」
「はい。」
私と菊池先輩は『TOKYOサマンド』を後にした。
「最後ちょっと寄りたい場所があるんだけど、寄ってもいいかしら?」
「別にいいですけど、そこはどこですか?」
「それはね、ここよ!」
と、菊池先輩はとある雑誌を開き、ページのとある部分を指差す。
そこは…!
「ふぅー!やっぱりここは色々あるわね~。」
「そうですね。とても駅内とは思えません。」
今、私達がどこにいるかと言うと、
「ここでお土産でも買っていこうかしら?」
「そういえば、今まであまりお土産は買ってきませんでしたしね。」
東京駅にいる。
ここ、東京駅からだったら、すぐに帰りの電車、新幹線が確保出来るし、たくさんのお店がある。
そのお店で十分過ぎるほどの時間つぶしができ、お土産も買える、という考えかな。
さすが菊池先輩。
「ほらほら優君。早くお店回らないと、帰る時間になっちゃうわよ?」
「ああ!?ちょ、ちょっと待ってくださいよ、菊池せんぱ~い。」
私は先に行った菊池先輩を追いかけ、東京駅構内を散策する。
未知の出会いを期待しながら。
「うんうん。やっぱり優君って何着ても似合うわね~♪」
「そうですか?」
私達は今、スポーツ用品店の服の箇所にいる。
そして、そこにあるジャージを見ていた。
私は部屋にいるとき、いつもジャージを着ているためである。
そしてたまに、ジャージに少し手を加えてポケットを増やしている。
じゃないと菊池先輩が、
「優君!部屋でそんな恰好するくらいなら、これを着て過ごしなさい!」
と、明らかにフリルがたくさんついた女性ものの服を着せようとするのだ。
なので、今年も夏に着るジャージを見て、試着していた。
「どんな色が似合うと思いますか?」
この東京駅の店は駅とは思えないほど品ぞろえが豊富である。
ま、大きなショッピングモールより品揃えが少ないかもしれないけど、そこらの小さな店よりは種類がある。
どれにしようかと今も悩んでいる。
幸せな悩みだな~。
「…そうね。優君にはピンクの…!」
「あ、それ以外でお願いします。」
「…それじゃあ、この蒼いジャージはどう?サイズも少し大きめのものを買えば大丈夫じゃない?」
と、菊池先輩はしぶしぶ答える。
「はい、それにします。」
私は菊池先輩が手に持っている蒼いジャージを受け取り、会計しにレジに行った。
…そういえば、私が会計に行っている間、菊池先輩はどこ行っていたのだろう。
なんか、手に持っている袋の数が増えているし。
ま、いちいち買ったものを私に言う義理もないよね。
そう思い、
「お待たせしました。それじゃあ、帰りましょうか?」
「お昼を食べてからね?」
「え?」
私は左腕につけている時計を見る。
…確かにもう時刻はお昼をとうに過ぎていた。
もう少しで14時になるのか。
「そうですね。それで何を食べますか?」
「優君!」
「…まずはどんな食べ物屋があるのか調べましょうか?」
こうして、私と菊池先輩は遅めのお昼を済ませ、いよいよ東京駅を後にする。
だがこの時、優の携帯が震えていることに優自身、気付かなかった。
お土産を持って電車に乗り、駅に着いた頃にはもう空がオレンジ色に色づいていた。
「ん、ん~♪やっと着いたわね、優君。」
「はい。後は家に帰るだけですね。」
「そうね。」
そして、私と菊池先輩は駅から自分が住んでいるマンションに徒歩で向かう。
こういう時、ほんと駅の近場で良かったと思う。
「…ありがとね、付き合ってくれて。」
「え?」
不意に話しかけてくる菊池先輩。
それは今までのふざけた感じではなく、はっきりと落ち着きのある声で話していた。
私は菊池先輩の発言内容にも驚いたが、
「…私もいつもお世話になっていますから。これくらいは当然です。」
と、私も、自分の今の気持ちを菊池先輩に告白する。
そして、
(えいっ!)
勇気を出して、私は菊池先輩の手を握る。
(あら?優君…。)
菊池は優の行動に気付いたが、
「…それでも、ありがとうね、優君?」
気付かないふりをして、
(これはお返しよ。)
ぎゅっ。
優しく手を握る。
だが、二人の意志疎通をするのに十分だった。
その返しだけで、二人はお互いの気持ちを再確認出来た。
「…ところで優君?スマホに着信来ているか、確認しなくていいの?今朝から見ていないようだけど?」
「う~ん…。多分、大丈夫じゃないですか?会社から緊急の用があれば、菊池先輩にかけてくると思いますし。」
「…そうね。それより、結局三日間も私に着き合わせちゃったわね、ごめんなさい。」
「別にいいですよ。とても楽しく、充実した休暇でしたし。」
「それじゃ、今日も一緒に寝ない?まだ休暇中だし、私もちょっと寂しいというか…。」
「それは謹んでご遠慮させていただきます。」
「ええ~。そんなぁ~。」
二人はそんな雑談を交わしながら、マンションに帰る。
こうして、二人の休暇生活三日目も無事に終わる。
次回予告
『小さな会社員と何でも出来るOLの休暇生活~4日目~』
自宅に戻った優はいつも通りの時間に起床し、家事を行い、料理を作ったり、掃除をしたり、勉強したりと、充実した休日を過ごす。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?
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