小さな会社員から新人女性社員への奨励食事会生活~招待編~
あれから私は、土日の休日全てを使い、桐谷先輩を喜ばせる案を実行するため、準備を進めました。そのおかげで、看板、椅子、テーブル、メニュー表の準備が出来ました。
看板は、使わなくなった段ボールを再利用し、絵や文字を描いて再現。
椅子、テーブルもラノベアルカディアに記載されている内容から推測し、色を塗り替えていきました。
メニュー表は、とりあえずラノベアルカディアに記載されてある料理名を記しておきました。
ですが、まだ服と料理が出来ていません。
服はおおよそ完成しているのですが、細部にまで手がいっていないためか、何年も着続けたかのような年季を感じます。
料理に関しては、調理手順は覚えたのですが、本当にこれでいいのかが不安で何度も試行錯誤している最中、といったところです。
初めての試みなので、これで本当に良いのか何度も考えてしまいますが、それでも頑張っていくしかありません。
今週末に…て、今週末でもう1月が終わりますね。まったく気づきませんでした。だから何だ、と言われてしまったらそれまでなのですが。今月先月と比べて、仕事を疎かにしている気がします。年末のあの仕事が例外なんですけど、どうしても先月と比べて仕事が楽と感じてしまいます。自身の気が緩んでいるせいなのでしょうか。だとすれば、まずは自身の・・・、
(いえ。まずは自分の事より桐谷先輩です。)
桐谷先輩の元気を取り戻すこと最優先で行動していきましょう。そうすればきっと、私もスッキリとした気持ちで仕事に臨めますしね。
「桐谷先輩、今週末空いていますか?」
私は1月第4週の始めに聞く。これで予定が空いていなければ来月、ですかね。こればかりは桐谷先輩の予定次第です。
「今週末、ですか?空いていますけど、何かするのですか?」
よかった。桐谷先輩は今週末予定が空いているようです。
「はい。今週末、私の自室に来てくれませんか?」
「いいですけど、何をするのですか?」
「一緒にご飯を食べます。一応お昼ご飯を予定しているのですが、それでも予定は空いていますか?」
私は再度、予定の確認をします。くどいかも知れませんが、お互いに誤認しないように気をつけませんとね。
「は、はい。大丈夫です。」
「良かったです。それは今週の金曜日になりましたら再度声をかけるので、その時はよろしくお願いします。」
「よ、よろしくお願いします。」
さて、これでもう引き返せなくなりました。ですが、今週末に向けて、着々と準備を進めていくだけです。
「え?優君、今週末お食事会を開くの!?」
ここでタイミング悪く、菊地先輩が聞いていたようです。しかも、私が今週末行うお食事の事をお食事会って・・・。いえ、菊地先輩の捉え方は正しいと思いますが、まだ口で言っていない部分があるんですよね。しかも、口頭で言っていないコスプレやラノベアルカディアの一部を再現した部分が重要ですし。
今週末のお食事は桐谷先輩に元気になってもらうため、私と桐谷先輩の二人だけで行いたいので、
「私も行きた~い!ね、いいでしょう!?」
・・・誘われたら断ろうと考えていた矢先にこれですか。普通の食事会であれば断る気は無かったのですが、今回は断りましょう。
「ダメです。」
「え~?ちょっと、ちょっとだけ、ね?」
「ちょっとでもわずかでも駄目なものは駄目です。菊池先輩、諦めて下さい。」
「え~?でも~?」
はぁ~。私が断っているのにどうしてここまでしつこいのでしょうか?きちんと断っているのに。仕方がありません。
「来週、菊地先輩に用事があるのであれば付き合いますので我慢してください。」
「え、いいの!!??」
いいも何も、こう言わないと菊池先輩が引き下がってくれないじゃないですか。あ、追加で言っておくことがありますね。
「もちろん、可能な範囲で、ですよ?」
私に不可能な事を強要されても無理な上、困ってしまいますので、これは言っておく必要がありますね。
「分かったわ♪あ~あ、早く来週末来ないかしら~♪♪」
菊池先輩、急にご機嫌ですね。何かよからぬことを企んでいそうで少し怖いです。
と、菊地先輩という邪魔がはいってしまいましたが、これで私と桐谷先輩の食事会は守られました。
「あ、他の人は誘いませんので安心してくださいね?」
「は、はぁ。」
あれ?何故か桐谷先輩の表情が芳しくない気がしますが、気のせい、ですかね。気のせいとしましょう。
「それではお互い、仕事を始めますか?」
「は、はい・・・。」
さて、まずは今週の仕事に専念し、仕事が終わった後は今週末の準備です。少し忙しくなるかもしれないですが、頑張りますか!
毎日の仕事と桐谷先輩とのお食事に関する準備で瞬く間に日にちが過ぎていき、曜日は既に金曜日。いよいよ明日が決行日となりました。準備は正直、万全とは言えません。ラノベアルカディアを何度も読みなおし、出来るだけ作品のイメージに沿うような小物達を用意したつもりですが、これはあくまで私個人の見解です。桐谷先輩は私の見解と異なる見解をしていることだって大いにあり得ます。なので、絶対にこれが正しい、なんて言えず、日夜考えています。ですが、、考えるばかりでも仕方がないので、現段階のイメージを形にしていったつもりです。桐谷先輩、あのようなクオリティーで満足し、元気になってくれるでしょうか。
「桐谷先輩、今日は金曜日ですが、明日は大丈夫ですか?急な予定とか入っていませんか?」
もし入ってしまったのであれば仕方がありません。来週は無理でも再来週に伸ばすしかないでしょう。来週再来週はもう2月ですけど。出来れば今月中に桐谷先輩を元気にさせたいところです。て、これは私の我が儘ですね。出来るだけ早く桐谷先輩を元気にさせたいところですが、もしかしたら桐谷先輩は余計なお節介を焼かれていると、私のことを思っているのかも?いえ、それでもやるつもりです。例え余計なことでも、桐谷先輩が元気になってくれればそれで構いません。
「い、いえ、大丈夫です。」
よ、良かった。どうやら明日、無事に決行出来そうです。
「それで明日、私は何か持っていくべき物とかありますか?」
「いえ。桐谷先輩は身一つで来てもらって構いません。もちろん、ここに来るまでの交通費も私が負担するつもりです。」
そういえば、普段桐谷先輩がどれほど交通費をかけて出勤しているのか把握していませんでしたね。把握する必要はなくても、今聞いておけば大乗でしょう。
「なので、先に交通費を先払いしておきますね。桐谷先輩の家からここまで来るのにかかる交通費はいくらですか?」
「い、いいです!それくらい自分で払いますよ!?」
「そ、そうですか?」
ですが、私事で呼ぶわけですし、やっぱり私が金銭的負担をするのは当然のことではないでしょうか?・・・いえ、今回は桐谷先輩を元気にさせるための行動です。ここで桐谷先輩に、無駄に気を遣わせてしまったら元気になれないのかもしれません。ここは桐谷先輩が食事を純粋に楽しめるよう最善の選択をするべきです。よって、
「分かりました。それでは桐谷先輩、明日のお昼前に、私の部屋に来て下さいね。お待ちしておりますので。」
私は軽めに頭を下げ、明日の事をお願いする。
「こ、こちらこそご飯、楽しみにします!」
と、桐谷先輩は慌てて頭を下げてきました。桐谷先輩は頭を下げなくてよろしいのに。
「はい。それではこれからお互い、今週最後の仕事をしましょうか?」
「はい!」
なんだか、前みたいに落ち込んでいる様子は見られません。ですが、まだ少し落ち込んでいるように思えます。私の気のせいかもしれませんが、やはり元気になってもらわないと気持ちよく仕事が出来ませんからね。
(明日は気合いを入れて臨みましょう。)
ですがその前に目の前の仕事です。
「優く~ん♪私がこの前お願いした資料、できているか~しら~?」
「はい。こんなものでよろしかったでしょうか?」
「・・・うん、うん♪さっすが私の優君!要点をおさえてくれてくれて本当に助かるわ!」
「…菊池先輩、過度な接触はしないでください。私に抱きつかなくてもモニターを見ることは出来るはずですが?」
「そ、そんな!?ただでさえ優君に抱きついていないと仕事出来ないというのに、これ以上優君と離れ離れになるなんて・・・!」
「「はぁ~~・・・。」」
まったく。菊池先輩はどうしてこう、私が絡むとダメ人間になってしまうのでしょうか。本来、菊地先輩は仕事が出来る魅力的な先輩なのに。そう思いながらも、私は自身に任された仕事をこなしていく。
次回予告
『小さな会社員から新人女性社員への奨励食事会生活~食事編~』
早乙女優は桐谷杏奈を元気づける為、桐谷杏奈と二人っきりで食事会を行う。最初、桐谷杏奈は楽しそうな雰囲気をだしていたのだが、早乙女優のある振りで、一気に表情を曇らせてしまう。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?




