会社員達の新年会後生活
あのお店でのお食事、もとい新年会は無事に行われました。何故新年会と称したのかというと、工藤先輩が、
「それじゃあ、今日は新年会代わりに、かんぱ~い!」
と言ったからです。その後は、前回も注文した食べ放題をお願いし、私、いえ。私達は満足してご飯を食べました。アイス、とっても美味しかったです♪それにしても、私がアイスを食べる度、先輩方が何やら、複雑な表情で私を見ていました。一体、何をそんなに悩んでいたのでしょうかね。私はただ、普通にアイスを食べていただけだというのに。
ちなみに、あの店のアイスのレパートリーは、前来た時と少し異なっていました。野菜ゾーンの野菜達が少し変わっていましたね。なので、新作のアイスはもちろんのこと、前来た時にもあった味のアイス全て完食させていただきました。誠に美味しく、本当に来られてよかったと、私は幸せなのだと実感しました。
そんな幸せな夕飯を食べ終え、初出社日を終え、私達は仕事に本腰を入れ始めました。あ、別に初出社日は不真面目に仕事に取り組んでいた、ということではありませんよ?単なる言葉の綾ですので、気にしないでください。て、私は誰に言い訳しているのでしょうね。
そして、日にちは過ぎ、金曜日。
「ふ~。今日も仕事終わったー。今日はどこか飲みに行くか。橘、一緒に行くか?」
「俺なんかで良ければ。」
「お♪それじゃあ男2人で飲みに繰り出すか!」
どうやら工藤先輩と橘先輩は男2人で飲みに出かけるそうです。私もいつか、先輩方のように飲みに出かける日が来るのでしょうか。そんな日がいつか来るとは思っていますが、出来るだけ早く来て欲しいものです。そうすれば、先輩方と飲んで、一生に語り合いたいです。何について語るかは・・・その時に考えるとしますか。
それにしても、やはり社会人、というだけはあります。先輩方、数日前まで休みだったのに、数日経過しただけですっかり仕事が出来る人間、という凛々しい顔立ちや市政に変化しました。それくらいメリハリをつけられる、ということなのですね。
・・・ん?何でしょう?携帯が突然なりだしましたね。この携帯は・・・私事用の携帯からのようです。一体誰がかけてきたのでしょうか?
「もしもし、早乙女です。」
私は自分の仕事場から少し離れ、携帯を手に取り、会話可能な状態にする。電話の相手は、
「もしもし、私よ。」
・・・?
「どちら様ですか?」
声を聞いても分かりませんでした。確かに聞いたことが、あるような、ないような?ですが、日常を過ごしているだけで数多くの人の声を聞いていますから、誰が誰だかわかりません。本当に誰なのでしょう?
「私、保健室の先生をしているの。これで分かる?」
「なるほど。そう言ってもらえると助かります。」
これでようやく通話相手の顔が見えてきました。なるほど、学校関連の人でしたか。
「日頃お世話になっております。それで、どのようなご用件で電話をくださったのですか?」
私は出来るだけ周囲の迷惑ならない様な声量で話しかける。
「あのね。今週から学校が始まったの、知っている?」
「?はい、知っていますが?」
知っていた上で休んだのですが、それが何か問題だったのでしょうか?
「知っていたのね。ならいいわ。いや、よくないけど。」
結局、いいのかよくないのか分かりません。何が言いたいのでしょう。
「それでね、来週は1日でもいいから学校に来て欲しいの。来週は学校に来られる?」
私が少し考えていると、保健室の先生が私に尋ねてきました。おっと、考え事をして人の話を聞かないのは良くないことですよね。で、先生は私の来週の予定を聞いていたのですね。来週の予定は・・・。
「水曜日であれば比較的空いているので、その日でどうですか?」
私は先生に提案する。
「水曜日ね。それじゃあ学校で待っているわね。」
・・・あれ?これで先生の要件は済んだはずです。済んだのであれば、先生から電話を切るのではないのでしょうか?いえ、自身の勝手な思い込みで下ね。
「それでは用件は済んだようなので、これで電話を切りますね。来週、お待ちしていて・・・、」
私が電話を切ることを口にすると、
「ふふ♪」
急に笑い声が通話状態の相手から聞こえた。
「…どうかなさいましたか?」
私は気になり、通話状態を解除することを放棄する。
「あ、ごめんね。今回も水曜日なんだなって♪」
「?何の話ですか?」
何故水曜日に通学することを笑うのでしょうか?
「早乙女君、学校に来るのって大体水曜日だよね?」
「…そういえばそうですね。」
大体水曜日が比較的予定が空いているんですよね。あくまで比較的なので、まったく仕事がない、というわけではないのですが。
「水曜日にクラブがあるから、早乙女君はクラブを楽しみに学校に来ているのかなって、つい、ね♪」
「・・・。」
いえ、別にそんなことはないのですが。それにしても、保健室の先生はそんな勘違いをなさっていたわけですか。
「別に水曜日が嫌であれば、別の曜日に切り替えることも考慮しますが?」
その場合、少々大変かもしれないですが、まぁ大丈夫でしょう。大丈夫でなくても、大丈夫になるよう仕事を急ピッチで進めるだけです。
「いやいやいや!別に早乙女君を責めている訳じゃないから!それに、あなたがクラブに出ることであの子達が楽しそうにしているしね。」
「・・・そうですか。」
あの子達、という言葉が一体誰を指し示すのか気になりましたが、今は止めておきましょう。
「では来週の水曜日に学校でお会いしましょう。」
「別に、水曜日だけじゃなくて毎日来てもいいのよ?早乙女君、ほとんど学校に来てないみたいだし。」
「ま、家の用事が大変ですからね。」
家の用事と言っても、会社で仕事しているので、家の用事、とは言えなさそうな気がします。私用と言っても深く追求されそうですし、これでいい、ですよね?
「そう・・・。」
なんだか、保健室の先生の声質が変わった気がします。先ほどまで嬉々として話していた気がしたのですが、先ほどの言葉には・・・何か別の感情が含まれているのだと感じました。ですが、それがどのような感情なのかはいまいち掴み切れません。何かこう、怒りや悲しみに近いマイナス方面の感情な気がします。詳細は分からないので、何が正解なのかは分からないのですが。
「それでは、来週の水曜日に学校で。その時はよろしくお願いいたします。」
私は癖で頭を下げつつ、通話状態を解除する準備をする。そういえば、相手は見えないので、頭を下げる必要はありませんでしたね。
「ええ。それではまた来週ね。」
こうして、保健室の先生との電話が切られた。・・・そういえば今更なのですが、あの保健室の先生の性と名前、知らないですね。本当は知っておいた方がいいのでしょうが、別に知らなくてもここまで会話出来、それなりに意志疎通出来ていたわけですし、問題ないでしょう。
「ゆ・う・く~ん♪何しているの~?」
「!?…菊池先輩ですか。どうしたのですか?」
「さっすが優君!後ろを見ずに私だと言い当てるなんてね!」
さすがと言われましても。こんなことをする人は菊池先輩くらいしかいませんからね。
「さ、優くん、私達も一緒に帰りましょう?」
「そうですね。」
私は菊池先輩の意見に賛同し、そのまま菊池先輩の後に続く。
「そういえば、来週の水曜日は学校に行ってもよろしいでしょうか?」
「もちろんよ!優君はまだ小学生だからね!…それで、何かあったの?」
前者は元気よく、後者は前者に比べると、落ち着きのある声質で話しかけてきました。おそらく、菊地先輩は私を心配してくれて、後者のような言葉を発言なさったのでしょう。相変わらず私に対してお優しい先輩です。
「いえ、別に。あまり学校に行くことが出来ていなかったので、来週の水曜日辺りが比較的お暇だと思うので、その間に行こうかと考えていました。」
私は仕事のスケジュールを確認しながら菊池先輩に伝える。
「うんうん♪後で私からも言っておくけど、優くんからもきちんと伝えておくのよ。もちろん承認されるだろうけど、報告は大事だからね?」
「はい。報連相の報、ですからね。」
「うん♪良く出来ました♪」
と、菊地先輩は私の頭を撫でてくる。
「あの。先ほどの会話とこの頭のナデナデにどのような関係があるのでしょうか?」
「ん?特に無いわよ?ただ私が撫でたいだけ♪」
「はぁ…。」
何故菊池先輩はいつも私にこれほどかまってくるのでしょうか?
「ん~♪今日も優君の髪、サラサラで気持ちい~♪」
「それを言うなら、菊地先輩の髪もとても素敵ではありませんか?」
「もう♪優君ったら褒め上手♪」
こんなことを言いながら、私は、
「それでは、お仕事お疲れ様です。」
「お疲れ。」
「あ、お疲れ様です。」
ロビーで鉢合わせになった桐谷先輩に一言かけ、社を後に、社員寮へと戻っていく。
次回予告
『小さな会社員の女子小学生モデル遭遇約束生活』
学校からの電話を切った後、早乙女優は着替え、買い物に出かけた。買い物から社員寮に戻った後、再び早乙女優の携帯が鳴る。表示された番号に心当たりがあり、早乙女優は電話に出る。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?




