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現実世界で2週目始めます  作者: 柳翠
第二章 一学期
6/9

【恩寵】

なんとか課題が終わった俺。あの後習字もあるのだと気づき急いでやった。


俺は制服に着替え、準備してあったカバンを持ち家を出た。


少し早めの登校。まぁ早いに越したことはないから良いんだけど。


いつもの下り坂を下っていく。


四葉と歩いた時とはまた少し違う風景。さくらが咲くにはまだ寒いのか小さなつぼみ程度のピンクしかなかった。


「まだ寒いな」


その独り言に答えるかのようにまた冷たい風が俺を背中から押してくる。


そう言えばあれから四葉に会ってないな。やはり天使は忙しいのやかな?


そう思っているといつの間にか何年ぶりかの中学校につく。


少しばかりボロかったりするがこれでも20年前に建て直したと聞いた。


俺は昇降口に着くなり学校の掲示板の案内を見た。


そこには自分のクラスが書かれているのだが――おかしい。


俺は前世3組だったのに今回は2組らしい。


「俺が生き返ったことで少し変わったりするのかな?」


俺が入口で?マークを浮かべていると、聞きなれた声が聞こえた。


「こんな所に突っ立って何してるんですかー」


久しぶりに聞く声に少し戸惑ってしまう。


そこに居たのは、同じ制服に白い髪の毛をなびかせて、クリックりの蒼い目でこちらを見つめる四葉がいたのだ。


「おまえっ、そのカッコてかなんで?」

「見ればわかるじゃないですかぁ。私もここに通うんです」

「……まじで」

「まじまじの大まじです」


しかし、制服姿も可愛いな。


つい見入ってしまった俺に気づいたのか、四葉は「ヘンタイだー」と言いながらきゃきゃと騒いでいる。


――ひさしぶりに心を読まれた気がする。


「とりあえず寒いし中入ろっか」


そう言って俺達は教室へ向かった。


四葉も2組らしい。


黒板にはられている席順を見たところ、一番後ろの廊下側だった。

良かった。席は変わってなくて。


後ろって安心するよね。端っこ最高!心のなかでガッツポーズ。


「あっ通路挟んで隣ですね」

「あっほんとだ」


席が近くて何よりだ。


席に着くなり取り留めのない会話をしていると、周りからの視線が痛い。


なんだろう?


すると1人の男子『吉川』だったけ?(小学校の頃は違うクラスだった気がする)が近ずいてきてそわそわしながら尋ねてきた。


しかしこいつの口からこんな言葉を聞くとは思いもしなかった。


「お前らって付き合ってるの」


初対面であろう四葉にもなんでもないかのように言う。コミュ力すごいな。


「えっ。なんでそう思ったんですか?違いますよ」


答えたのは四葉「ないですね」と言って一瞬こっちを見て嘲笑したのは気のせいですかね。


「いやなんか春休みに2人を見たって人がいたから。宇都にも彼女が出来たってあそこの女子達が騒いでるよ」


あぁーなるほど。髪の毛を切りに行った時誰かに見られていたのか。


喋り方からしてこいつは女子にいいように使われていたようだ。



しかし男女が一緒に出かけたってだけで何でくっつけようと思っちゃうのか不思議である。


「いやっ、俺たち従兄弟(いとこ)でさ。その時もたまたま会って、流れで一緒にいたって言うか……なんというか」


「あっ、そう言うことね。了解」


そう言うと吉川は、こっちを見てた女子たちのところへ行き、俺の説明を話し始めた。


話し終わると女子は一斉にこっちに来た。


「なぁーんだそう言うことかぁー」

「びっくりした。ついに宇都に春が来たかと思ったよ」


またそれか。みんな春好きだな。


彼女彼氏の状態がリア充ってのは間違ってると思うけど――実際俺リアル充実してるし。


なんて非リアの言い訳ですかね。


すると女子は俺に興味をなくしたのか四葉の方に向き直った。


「ごめんねぇーかんちがいでぇー」

「大丈夫ですぅーあっ、わたしー四葉って言います。よろしくぅ」


なんでそんな話し方ギャルぽいの君たち。中学生みんなそんな感じだと思ってるのかな?


四葉も四葉で楽しんでるよね。絶対心の中で小馬鹿にしてる。


そんな事考えていると、担任の先生が来た。


俺はこの先生が初めてだ。前回は筋肉マッチョな体育の先生だったが今回は、国語の先生だった気がする美人な先生だ。


確か名前は『椎名(しいな)』先生だっけ。


そのうちチャイムが鳴りホームルームが始まった。


□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□


13時、校長の長い話を聞き終わり始業式だと言うことですぐに帰ることがてきた。


帰り際に四葉は、まだ女子達と「ですぅー」とか「んねぇー」とか「ふぇー」とかギャル喋りで話していた。


さっさと家に帰るかと思い学校を後にしてさっさと歩き出した。


すると後ろから走る音が聞こえた。振り向くと同時にカバンで背中を叩かれた。


「先行くなしっ」

「一緒に帰ろうとは言われてないだろ」

「たしかにっ。明日から一緒に帰りましょう。宇都くん」


苗字呼び良いな!グッとくる。


そんな感じでダラダラ歩いていたら例の下り坂……今は上り坂の(ふもと)についた。


しんどい。39歳にこの坂はきつくねぇか?

気温が上がってきてるということもあってかすぐに疲れてしまった。


公園……前回待ち合わせた時の公園に着いたので、「一休みしないか?」と聞いてから公園に立ち寄った。


拒否されても行く気満々だが。


実際四葉も疲れたようで息を切らしていた。


水道で軽く汗を流し口の中を潤わせた。


□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□


家に四葉を招き入れて事情聴取する事にした。


と、その前に……


「突然居なくなったから渡せなかったけどこれ」


そう言ってこの前ネットで買った本を渡した。


「あっ、ありがとうございます。買ってくれたんですか?」

「まぁね。この間のお礼だし」


そして俺は本題にはいった。


「でっ?突然連絡なくなったのって、学校の準備するため?」

「あっ、そうです。もしかして私がいなくて寂しかったですか?」


「まぁ、多少寂しかったことも無いこともなかった」

「どっちですかそれ」


そう言いながらベットに腰掛けた四葉の顔は、どこか嬉しそうだった。


「まぁ、気にはなったかな。やっぱり」


俺がどんだけベットの下に潜り込もうとしたかわかる?何回ベットの下ドンドン叩いたと思う?


途中虫の死骸とか沢山いて掃除始めちやったよ。


「すみません、こっちも学校の準備とか沢山ありましたし。ところで聞きたいことってなんですか?」


首をかしげて言う。多分こいつは心の中を見れるからわかると思うんだけどな。


「はいっ。分かってますとも。『能力』についてですよね」


やっぱり分かっていたか。まぁ、喋るのも楽なのでいいのだが。


「それでは詳細について説明しますね」


俺は忘れまいとメモとペンを用意した。


□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□


天使は自分の家を買ったと言って「天界ルートはあまり使わない」と行ったので、途中まで送ってやった。


そして俺は今日聞いた事を全て見返してみた。


1、一日を2回は、そのままの意味で1日を2回繰り返すこと。『リスタート』と呼ばれる能力。


2、天使も『仮日』の記憶は忘れること。


3、天使から授かった能力を『恩寵(おんちょう)』と言う。『恩寵』の力を持つものだけは、その能力の効果を受けない。


4、死んでも次の日は死んではいない。(自分も可)


5、『本番』に死ぬと本当の意味で死んだことに

なる。


6、6年後の4月2日にあなたの『恩寵』を回収。あなたは記憶を失い天国へ行く。


との事らしい。


………しかし3番が気になるな。この言い方だと他にも『恩寵』を貰った人がいるとか?


「まぁ言葉のあやってやつかな」


と考え、明日の準備をすることにした。


あっでも明日は今日なわけだから準備されてるのかな?


まぁ大丈夫だろう。そう思った頃は眠気が襲ってきて布団に潜り込みいそいそと寝てしまった。


□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□


「………へぇー 他にも『恩寵』貰った人いるんだ。明日調べて見よっかな。ねぇ、天使は相手が誰だか教えてくれないの?」


「はい。天使の掟でそれは禁止されています」


「そっか、でもいいや。楽しみが増えるしね」


そう言って()()()()は話し合っていたのだ。

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