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現実世界で2週目始めます  作者: 柳翠
第一章 リスタート
2/9

【説明】

ジリリンジリリンと懐かしい少し壊れた目覚まし時計の音がする。


目を開けるとそこには懐かしい木の天井が広がっていた。



「ここは、俺の部屋?」


たしか俺は自殺して――思い出した。たしかやり直すんだっけ、学生時代を。


「髪の毛?」


額にある髪の毛の違和感。自殺をしたときおれは恥ずかしながら就活をしていたので髪の毛はチャラく見えないよう短くしていたのだ。


手のひらを見てみるがシワが少ないスベスベの手。そして張りのある肌。


重たいからだを起こし鏡を見ることに。


「…………やっぱり、若返ってる。やり直すというのは本当だったんだな」


正直信じがたいことが起こっていると今さら思う。俺は本当に今13歳、中学一年ということを疑惑から確信に変えるためにカレンダーを見ることにした。


「たしか、ここの引き出しのなかに――あったあったこれだ」


ボロっちい木でできた勉強机の引き出しを開け、出てきたカレンダーは、2019年、3月の暦が表紙として出てきた。


となるとやはりあの出来事は本当らしいな。まぁ若返っているという事実があったのだがどうにも信じがたい。


「しかし、状況が全くわからない。俺はこれから普通に過ごせば良いのか?」


うーんうーんと悩んでいると。携帯の着信音が鳴り出した。


「あっ、携帯があったな。……だれだ、友達なんかいないし、親?」


カレンダーを見なくても携帯を見ればすぐだったことに今気づく。


携帯の画面には『母』と表示されていたのでお母さんのようだ。


「もしもし」

「もしもし。いま家にいるの?」

「うん」

「悪いんだけどさ、ご飯炊いといてくれない。少し仕事遅くなりそうだからあんた適当につくっといてくれない」

「わかった」

「なんか元気ないね。機嫌が悪いの?体調が悪いの?」

「強いて言えば体調かな」

「そ。最近寒いし気を付けなよ。じゃあとよろしく」

「わかった」


プツッと切れた携帯は少しばかりの沈痛を(かも)し出していた。


すると今度は頭のなかにテレパシーのような感じで声が聞こえた。

多少頭がいたい。しかしその声の主は洗礼された流麗な声をしていた。


(もしもし、いまからあなたの家にうかがわせてもらいます)


それだけを言い残し声は聞こえなくなった。


テレパシーでも「もしもし」って使うのかはじめて知った。


何て思っていると、ベットの下から何やら音がするではないかと、(ねずみ)だとやだな、さらにG(ごきちゃん)だともっとやだなと思いながら好奇心に負け覗くことにした。


「お邪魔しまーす」


ゴツン


ベットののしたから勢いよく出てきた天使と頭がぶつかった。


――石頭


「石頭とは失礼な。あなたこそ石頭ですよ」


心を読んだのか。しかし流れ出る言葉は考えないようにすると、かえって考えてしまうものだ。


――かわいい


「あっ。アポ取ったんで来ても良かったですよね?それでこちらに来た理由は」


真顔で無視ですかそうですか。まぁ今のは聞き流してくれて構わない。

ていうかテレパシーでアポ取りってはじめて聞いたぞ。


何て思っていると、天使は話を進めた。


「この後の私たちの行動などをお知らせしようと思って」


そういうと天使は「どこに座ろうかなー」「床は汚いなー」とか言いながら部屋を右往左往し、若干の嫌みを発露(はつろ)しながらベットに座った。


「この後っていっても学生をやり直すだけなんだろ?」


単純にそれだけじゃないの?と思い尋ねてみると天使は「あーそこからかですかー」と鼻で笑った。


なんだこいつ、天使のわりに以外と可愛くないな。――外見はかわいいのに。


「ま、外見をかわいいと思ってくれているだけでも良いですよ」


また心読みやがった。


てか、早く内容を教えてくれよ。と心で会話することにした。

以外と便利。


「まぁ、さくっと終わるよう善所してくださいね。まず――その姿で学校行くのですか?」


おれの姿と言うと、一言で言えばパジャマだ。二言目をいれるとしたら、それはアニメグッズで、正面には大好きな女キャラが卑猥な姿でプリントされていた。


しかし、パジャマで学校行くなんてはじめて聞いたよ。


なので、多少の微笑を含み、優しくこう答えたのだ。


「いや。常識的に考えてちゃんと制服着るよ」


すると天使は何を言ってんだこいつは?というようにはぁとため息混じりにこう言った。


「そうじゃなくて――はぁ、そろそろ話を汲んでくれないかな?はぁ」


ものすごいめんどくさそうに声のトーン落とすのにキラキラ笑顔で話すところが怖い。


ため息多いな。


俺はごめんと謝るばかりにポリポリと頬をかいて正確な答えを導き出した。


「あぁ、悪い悪い。――えぇーと、髪の毛長いから?」


そう。俺は中学男子のほとんどがこじらせる中学二年生に起こりうる病気を発祥させていたので、アニメの世界に憧れ髪の毛を長くしていたのだ。ちなみに長さは肩まである。


このときのクラスは多少俺に引きぎみに接していた。


「そうですよ。学校にそんな頭で行くんですか?」


そんな頭と言われても、カッコいいと思っちゃったらカッコいいじゃん。


「まぁ、近いうちに髪切りに行くよ」


「絶対ですよ」


プンプンと人差し指を立ててそういった姿は、すこし…いやかなりかわいかった。


天使は、「それからー」と言ってから。続いての問題を俺に出題した。


「能力について覚えてますか?」


キラーンとガリレオポーズ、人差し指と中指と親指で顔を覆いフッと微笑を浮かべそう言った。


こいつも中二病こじらせてんじゃん。


「あぁ。そんなこと言ってたね。たしか――一日を二回繰り返すんだっけ?」

「そうですよ。その説明を今からしますね」


これが俺が天国にいかなかった最大の理由である。


一日が二回ということはつまり回りの人たちの行動パターンが一日目でわかるのだ。二日目は失敗した部分を改善すれば良いので、ほとんど自分専用の青春(ストーリー)が出来上がるに違いない。


「なんだちゃんとわかってるじゃないですか。つまりそういうことですよ。やっとわかりました?」


正解したにも関わらず、どこまでも上から目線だ。


天使はふぅーと一息ついてからさらに説明を加えた。


「ちなみに、現実(ここ)にいる時間は4月の1日から丁度6年間だから6年後の4月2日は天国いきです。いくら後悔しても戻れはしないんだから、しっかりあなたの青春(ストーリー)を謳歌してくださいね」


そう言うと「じゃ。後は頑張って」といってベットのしたにガサゴソと入っていった。


「…………なんか、天使っぽくない」


最後らへんだんだん説明が雑になっていったけど、やはり天使は忙しいのかな?


そう思っていると、ドッと疲れが押し寄せてきて急な眠気にさらされた。


特にすることもないのでベットで休むことにした。

やはり、ぐちゃぐちゃの布団は最高だ。


「うはぁー」


太陽の臭いと言うのか気持ちのよい臭いだ。ポカポカ。

豆知識として、太陽の臭いはダニが死んだ臭いらしい。どうでもいいな!ポカポカ。


そんなどうでもいい豆知識を思い出した頃には、ほとんど夢の世界にいたのであった。


――あっ、ご飯炊くの忘れてた。

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