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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

死神の呪い

作者: 島国

長編の話を考えていましたが、多分書けないので書きたいところだけ。

攻めの独白。


ここまでだとバットエンドでシリアス。

思い描くのは受け総愛され。


灰瑠 綺羅-独白



俺は魔族の中でも希少種である死神族だ。


生き物の生命力を糧に生きている。

そして生き物の死後、その魂をオクルことが仕事である。


死神は総じて「美しいもの」が好きだ。


例外なく自分もありとあらゆる「美しいもの」を愛で、コレクションと称して自分だけの宝箱の完成に日夜励んでいるわけだが。


その中でも、魂というのは一等美しい。


いや、全てが全て美しいわけではなく、有象無象のゴミの中に時折あるのだ、言葉も失い見惚れてしまうような輝きが。

天使族?馬鹿を言うな、あんなのクソに羽が生えただけの汚らしい種族の魂が美しいわけないだろう。



そんなことはどうでもいい。

生き物の魂の色や形、大きさは千差万別。


そのものの人格や行いによりその色や輝きは異なってくる。

今までの人生で最も美しい魂の持ち主は、愛すべき我が弟の魂だ。


残念ながら愛しの弟は死神族ではなく魔法使いだが、実に素晴らしい魂を持っている。


その輝きは周りの切れかけの蛍光灯のような俗物な発色など掻き消してしまう、夏の昼時に降り注ぐ木漏れ日のような輝きなのだ。


そんな美しい我が弟の周りに、最近蛆虫が一匹うろついている。


稀有な美しい魂を持っている弟とは対極の、この世の汚点を凝縮したような汚らわしい淀みを持つ屑が。


我が愛しの弟と忌まわしきも同じ魔法使いクラスのその屑の名前は、「一ノ宮 上総」。


魔法使いとは自身に宿る魔力を糧に魔法を行使するが、そのほかに精霊と心を通わせて自然の力を借りて精霊術を行使することがある。

精霊に好かれていないと行使できない精霊術は希少なのだ。


弟はもちろん精霊に愛された精霊術師だが、あの屑は精霊に好かれることは愚か存在を認識すらされていない。


魔法もまともに使えず、優秀な弟とは比べるのも烏滸がましいほどで、そのくせ優しい弟が何も言わないことをいいことに側で親友面を晒している。



最近は、弟に飽き足らず俺にも話しかけてくる。











ああ、憎たらしい。



汚い、醜い、見ているだけでムカムカする。


そんな汚い手で美しい僕の弟に触れるな、話しかけているだけでその穢れが弟に侵食しそうで目眩がする。




あんなもの、魂を狩ることは愚か、触るのも近ずくのも皆嫌がる。


死神に送られなかった魂は、ただただその魂が腐りゆくだけ。


そしてやがて魑魅魍魎に食い散らかされてこの世に一片の塵も残さず消えてなくなる。


奴にはそんな最後がお似合いだ。































弟が死にかけた。



よりにもよって、あの一ノ宮を庇って上級生の魔法をもろに食らったらしい。


特別遠征から帰ってきてすぐにその話を聞いて頭に血が上った。






あの醜い男のせいで…、弟が死にかけた!






感情のままに醜いあの男の元に飛び、“死神の呪い”を発動させた。



“死神の呪い”



魂をオクルことが役割である死神ですらその魂を世界に返すことを禁じる呪い。



かけられた者は肉体が生きている間は身を焼かれる苦しみを味わい続ける。

肉体が死んだ後には、魂が腐り魑魅魍魎の餌になり、最後にはこの世から跡形もなく消え去る。



この世に生を受けたものが得ている権利、輪廻転生を剥奪することができるこの世界で死神だけが行使出来る呪い。






この世に“呪い”や“まじない”と呼ばれるものは星の数とあるものの、一貫して反発し合うものを同時にかけることは叶わない。


矛盾した思いはお互いを打ち消してしまう。


呪いをかけた瞬間にあいつの…一ノ宮にかけられていた“もう一つのまじない”が砕けた。





矛盾した“呪い”や“まじない”はお互いを打ち消してしまう。



どんな小さなまじないでも後からかけられる呪いを一度はかき消すのがこの世の現象。


ただ、同じ人物がかけた時は例外に先にかけられた“まじない”は打ち消され、後からかけられた“呪い”が対象に刻まれる。





あの時、確かに一ノ宮から何かのまじないが消えたのを感じた。

それなのに、俺が放った呪いは彼の魂に深く刻まれているのだ。



そして、



















そして、俺は思い出した。



幼い頃に交わした約束とまじない。


それは何千年も生きている死神ですら難しいとされていたもので、俺は家の地下にあった古い本からそのまじないを知った。


天才と持て囃されていた俺は、見よう見まねで“あの子”にそのまじないをかけた。




“永遠の輝き”


不老不死に近いとされる死神が、愛しい者の永遠を願ってかけるまじない。

そして、自分以外の死神が相手を狩ることがないよう自分以外に相手の輝きがわからないように隠してしまう。

永遠に自分だけの宝物であってほしいと願うまじないだ。





それは、幼い俺には難しすぎて…


中途半端にかかってしまった。





あの子の輝きがわからなくなった。

あの子の記憶がぼやけてしまった。


日々、あの子の思い出が消えていった。





それでもあの子を消したくなくて、俺は無意識に弟にあの子の影を重ねて、自分の中からあの子が完全に消えることを拒否したんだ。


弟と同じ“魔法”が使える愛しい子。


とっても綺麗な魂で、精霊に愛されている“愛し子”







僕の…大事な大事な宝物。








“永遠の輝き”が砕けた一ノ宮の魂が本来の美しさを取り戻す。


水の中から見上げる太陽の光のように煌めく優しい光、その光の中に星が瞬くように小さな光が揺蕩っている。



そして、彼の周りには沢山の精霊が涙を流していた。




「ああ、やっと見えるようになったのに」



「この子がやっと帰ってきたのに」



「死神に隠されてしまった、愛しい子」



「ひどい、ひどい、2度も私たちから奪うのか」



「魂が歪になって壊れかけて」



「痛いだろうに、苦しいだろうに」



「忌々しい死神族…許してなるものか」









信じたくなどない。


これはきっと悪い夢なんだと思いたかった。


怖くて、彼のことを見れなくて。


身体中の血管がドクドクと鳴り響く。




「…きら君。ごめんね」

















…ああ、僕は。


永遠を願った人の永遠を奪ってしまったのか。


















































死神は、死にゆくものに感傷を覚えない。


何故なら輪廻転生を知り、魂を見ることができる死神にとっての死とはひとときの休息。


どんな魂もいずれはこの世に戻ってくる。


愛するもの達はしばらく眠った後に再び肉体を得てまた再び出会う。


そのゆえ、死神は本当の意味での“死”を知らない。













ああ、死はこんなにも恐ろしいものなのか…






















死神はこの後かけた呪いを解こうと躍起になります。


後に、溺愛+献身+ヤンデレと少し精神が不安定な攻めになる予定。

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