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前の記憶が移り変わる

作者: 咲無月

気づけば何かが変わっていた。


昔は記憶に確実にあった私の好きな曲。


それが作者も絵も見覚えのない物に変わっていた。


とは言っても登場人物が少し違うとか、よく知ってる人がデュエットで作ってたとか些細なこと。


名前を変える前の曲ではなく、変えた後の曲だなんて全く身に覚えがなかった。


本当に変える前の曲だったはずなのだ。


この二年の間に何があった?


それとも私が可笑しいだけだろうか。


ふと、ある考えが頭をよぎった。


前々から私の記憶は可笑しかったのだ。


テレビで見ていた番組が実は違うチャンネルで行われていたとか、死んでニュースになったはずの人がまだ生きていたりとか。


ドッキリとか、夢と現実が混ざったとか、訳が分からないまま家族に聞いてみても意味はなかった。


家族の記憶は出来事に忠実で、正しいからだ。


あの時は一瞬、世界が変わったとか馬鹿なことを考えてしまった。


ネットで調べたりしても、根拠の無い某掲示板くらいしか情報が出てこない。


不安になって病院に行こうとまで思った。


しかしある日、気にしすぎるのも良くないだろうと開き直って忘れることにした。


そもそも私は小さい頃からこの現象が多かったので、たびたび周囲から面白い子扱いされていた。


言われる本人はたまったもんじゃないが、大きくなるにつれて少なくなり、この頃はすっかり忘れていたのだ。


数年ぶりの感覚に厄介な記憶も吹っ飛んで本当に馬鹿になってしまったみたいだ。


私は心が落ち着くまで、少し変わってしまった、けれども曲調は全く変わらない好きな曲を横になりながら聴いた。





いつの間にか寝てしまった。


急激に目が覚めて起きると、違和感はありつつも現実を受け入れられるようになっていた。


毎回、事があったあとに寝ると、違和感は上手く自分の記憶に定着してくれる。


それがどうしてか分からないけど、ちょっとオカルト風に言えば、世界が軌道修正をしてくれているからだと思う。


…寝起きだからか、頭が回らずまた可笑しなこ とを考えてしまった。


私の悪い癖だ。すぐにそっち方面で話そうとする。状況が状況なので致し方ないが…


ノスタルジック的になってしまったのも、ほぼそれのせいだ。


いっそ呪いと言ってもいいんじゃないだろうか。


なんだか泣きそうになってきた。


こんな世界で生きたくない。あわよくば時間が止まってくれれば良いのに。


こんなに精神を消耗するなら昔の記憶なんて要らないんだ。


誰だ、私の記憶海馬に不良品を混ぜ込んだ奴は。


神も仏もいない。当たり前だ。もう疲れてきた。


精神病棟に入る気も起きない。


…もう、いいよね?


















ゴールしちゃっても。

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