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「魔女の賛美歌(カンポサントの変奏曲集)または異なる作曲技法による墓地と信仰をテーマにした13の歌曲集」第4番 〜ラ・メルディ〜

作者: 黒実 音子

1

かつて舞台は大盛況でした。

派手な衣装、計算された演出・・

だけれど幕が閉じればそれまで。

夢は醒め、みんな帰ってしまう。


グランギニョル劇場、

コメディ・フランセーズ、

今はみんな無くなってしまった。

楽しい活劇は永遠ではなく、

チャップリンは失業した。


昔、共産主義者、学生達は

誰もが主役を夢見て都会へ出たけれど

やがて夢は叶わず

時代と共に彼等の歌は止んだ。


ねぇ、お聞きなさい、お客さん。

それでも人生は舞台なのだ!!

誰もが、悲しみからは逃げられないのなら、

いっその事、そんなショーこそを

演じてしまうのはどう?


さぁ、人生はお気に召すまま!!

監督、演出はもちろんアナタ。

悲しみすら、時には人を惹き付ける。

ハッピーエンドじゃなくても

さぁ、これはあなたのエンターティメント!!


だから、ラ・メルディ!!

==============

さぁさぁ、舞台に上がり歌いなさい!!

愛も、罪も、金も、夢もわがままに!!

悲劇も喜劇もショーの粋な演出。

まばゆいライトの下で踊りましょう。

==============





2

私達、スターを目指していた。

たくさんのトロンボーン、

ステッキとタップ。

だけれどみんな疲れてしまった。

誰もが年老い、敗北する時があるのだ。


バスター・キートン、

フーディーニ、

みんないなくなってしまった。

小賢しい哲学は廃れ、

カルデロンは筆を折った。


学生紛争、シャンソン、芝居小屋・・

追い求めた所で時代は変わるのだ。

年老いた自分と

甘酸っぱい記憶だけを残して・・


ねぇ、お聞きなさい、お客さん。

だからこそ人生は舞台なのだ。

誰もが、喪失への恐れからは逃れられないのなら

いっその事、そんなショーにこそ

拍手を送りましょう。


人生はお気に召すまま!!

全てあなたの器量次第。

失う事すら時には人を惹き付ける。

魔法なんて無くても

それでも、この世は不思議な劇場だから!!


だから、ラ・メルディ!!

==============

さぁさぁ、舞台に上がり歌いなさい!!

愛も、罪も、金も、夢もわがままに!!

悲劇も喜劇もショーの粋な演出。

まばゆいライトの下で踊りましょう。

==============


==============

いつかは、剣も捨て歌うのもいい。

どんな奇跡だってお気に召すままに!!

本当はどんな悪党だって

ハッピーエンドを愛してる!!

==============


==============

いつの日にか、幕は降りるでしょう。

全ては幻想だと悟るのでしょう。

それでも糞ったれで素晴らしい。

それを人は人生と言うのでしょう・・

==============




派手な衣装・・

眩しい照明・・

人生なんて一瞬の夢だけど、

だからこそ美しい。

おお、我が友よ、いつの日か

私はあなたに拍手を送る日が待ち遠しくてたまらない・・

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