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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第6章 アロンミット武闘大会
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初戦!

 第2ブロックのデュエルが始まり、アラスカの番も近づく。7つ星の騎士団はアラスカだけではない。だが、アラスカの話では参加希望する7つ星の騎士は騎士魔法無しによる戦いの為、恥をかかない程度の腕前がある者だけにされたそうだ。そしてアラスカの話では選考を通過した7つ星の騎士はアラスカを入れて僅か3名で、しかも第2第3第4ブロックにちょうど分かれているという。

 つまり俺も当たる可能性があるという事だ。とは言え騎士魔法のない7つ星の騎士であれば、そこまで脅威では無いと思っている。



 そしてアラスカの番になり、デュエル場に先に姿を見せる。対戦相手は同じく剣を持った獣人戦士だ。

 実はこの武闘大会、魔法は禁止されているが、種族とクラス特性は許されている。その為、バーバリアンであれば憤怒(レイジ)の使用は許可される。もっとも相手を殺しかねない為使う事も無いだろうが。

 そしてアラスカの対戦相手の場合、ネズミ獣人の様に見えるところから、敏捷性に優れているはずだ。



 アラスカはどう戦うかな?


 開始の合図が出されるとアラスカは姿勢を低く構え、まるで獲物を狙う獅子の様に動きを止め……目を閉じた。

 ネズミの獣人はそんなアラスカを気にせずに非常に早い動きで真正面から切りかかる。しかしそれはフェイントで、切り掛かると見せて横っ飛びして切りかかった。


 降参したのはネズミ獣人の方だった。アラスカはフェイントに引っかかる事なく首に剣をピッタリと止めていた。


 その口元を見ると何かを口にしていた様だった。


 構えを解いて一礼をするとアラスカがデュエル場を去っていった。

 観客が湧く中その後もデュエルは続いていき、しばらくすると俺の元にアラスカが戻ってきた。


「勝負がついたとき何か口にしてようだが……何を言っていたんだ?」


 顔を赤らめ顔を背けながら口にする。


「守りに入った私に負けは無い、です」

「セッターから聞いたのか?」

「え、何がでしょうか?」

「君の今のそのセリフ、君の父親のセッターも似た様な事を言った事があるんだ。血なのかな」

「そうでしたか。父もそう言ったのですね」

「正確には、予測(プレディクション)を使って守りに入った私は負けはしない。だったかな?」


 嬉しそうな顔をしながら拳を握り締めていた。やはり父を超えたいという思いがあるのだろう。



 そして第3ブロックに入り、俺の番が近づいた為控え室に向かおうとすると、アラスカが声をかけてきた。


「マスターの戦い、見させてもらいます!」

「大したもんでもないさ」



 そして控え室に入り、デュエル場に向かおうとすると、係りの者が魔法を使って違反がないかチェックしてきた。


 咄嗟にピアスと指輪の事を思い出したが、外せる物じゃない事に気がつく。これって不戦敗じゃんと思ったが、係りの者がどうぞと許可が下りた。


 不思議に思いながら指環を見ると鈍い光を発していた。どうやら創造神がくれた指環が何らかの力を貸してくれたようだ。



 フードを深くかぶり、杖を手にしてデュエル場に姿を出すと歓声が湧く。そしてかなり近い距離にヴォーグとベネトナシュが見ていた。


中央あたりまで行って待っていると対戦相手が姿を見せーー



「時が近づいていんす。お待ちしていんしたサハラ様」


 俺の対戦相手は未来から来た変な言葉使いをするブリーズ=アルジャントリーだった。


「聞きたい事などもあるとは思いんすが、それは後ほど。今はせっかくなんでサハラ様と手合わせをお願い致しんす」


 そう言って穂先を潰した矢を番えて構えを取った。それと同時に開始の合図が出される。


 一射目が俺を狙って放たれる。穂先を潰したとは言え、命中すれば深くはなくとも刺さりはするだろうその矢を修道士(モンク)の特性である身躱しで避ける。しかしそれはフェイントで、直後に恐ろしい速度で走り回りながら正確に連射撃をしてきた。


 予測(プレディクション)を使っていれば、軽々杖で叩き落とせるだろうが、今はそれも使えないとなると避けるのが1番確実だ。


「さすがでありんすね、こなたの攻撃でみな 避けられたのは初めてでありんす」


 そう言ってくるアルに対して、俺は怒りを覚えていた。なぜ今なんだと。あと少し、あと少しだけ早く現れてくれたならば、アリエルは助かったかもしれないのだから。


 直後俺は高速移動でアルの首目掛けて杖を殴りつける寸前で止めていた。いや、止まっていた。振るった杖を持つ手についた指環がまたしても鈍い光を放っていた。どうやら指環が俺を止めたようだった。



 アルはと言うと涙目になりながら弓を手放して両手を上げて必死に降参ですと叫んでいた。




 会場がざわつき俺の今の一撃が魔法ではないかと騒ぎ立てられる。高速移動は常人の目にはテレポートでもしたように見えるほど早い。だがーー



「ただいまの攻撃ですが、審査員全員が魔法的な力を感知されなかった事から、クラス特性と判断いたしました。よって、勝者はサハラとします!」


 大声で叫んで係りの者が解説すると、会場が一際大きな声が上がった。

 そしてヴォーグが近づいてきてデュエル場に上がると俺の手を持って天高く持ち上げる。その行動で更に会場が沸いていた。


「俺ん時は随分手加減されてたんだな……っておいどうした?」

「……なんでも、ない」


 ヴォーグの手を振り払うようにして俺はデュエル場を後にした。控え室に戻ったあとすぐに俺はアルの元に走った。




 アルは俺が怒りに任せて怒鳴りつけられ、完全に怯えきって目を閉じて縮こまっているが、俺はやめることができなかった。


「なんでだ? なんで今なんだよ! なぁ、なんでもう少し早くじゃなかったんだ! おい、聞いてるのかよ!」



 俺の異常に気がついたヴォーグとベネトナシュ、それとアラスカもアルの控え室に来て、俺の豹変した姿に驚いているようだった。


「サハラ、次の奴が待ってる。場所を変えて話せよ。あんたもそれでいいな?」



 アルが頷き、ベネトナシュに支えられながら移動した。




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