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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第6章 アロンミット武闘大会
88/212

プラチナム=パーラメント

 大会初日にベネトナシュを預けにヴォーグの元へ向かう。


「それではベネトナシュをよろしくお願いします」

「おう任せておけ」

「……変な事をしない様お願いしますよ」

「おうそれは任されても保証はしかねる」

「……おい」

「冗談だ、冗談」

「お前の場合冗談じゃ済まなそうなんだよ。ベネトナシュ、ヴォーグが手を出してきたら容赦なくぶっ飛ばしてやれ」

「……それは……うん。サハラさんも頑張って……ね」



 不安ではあるが、1人きりにさせるよりはマシだろう。

 俺も準備を済ませて会場に急いだ。



 トーナメントは1ブロックから第4ブロックに分かれていて、それぞれ32名が選考されている。つまり各ブロックを勝ち抜くには5戦する必要がある。

 各ブロックを勝ち抜いた者4名が、最後に優勝を決める形だ。

 そして俺の番号が書かれた場所は第3ブロックだ。それまでの間は武闘大会会場で見学して待つことになる。



 第1ブロックから始まり、会場に見にきた観客達が湧き上がっている。1番見やすい場所にヴォーグと侍女服を着たベネトナシュの姿が見れた。


 なるほど、俺の代わりという事か。あそこからだと見やすくて良いなぁ……ここからじゃ、戦っている細部まではよく分からないぞ。



 デュエルは次々と進められていたが、大半の武器は剣が多かった。そんな中第1ブロックの中で目を引く武器を使うものがいた。


 鞭使いか……



『鞭なんてこんなもんじゃないですか? それともバルロッサ王は鞭の使い手でも見た事でも?』

『ある、一度だけな。あれを見たら小僧のそれは遊びも同然だ』



 まさかなとは思いつつも、その鞭を持った人物をデュエルが始まる直前に公表される掲示板を見ておく。


 プラチナム=パーラメント


 それが名前だった。対する相手が先に現れ、手にしている武器は剣であり、本来刃が潰されていなければ鞭なんて断ち切っただろうなどと思っていた。



 そしてデュエル場に後からパーラメントが姿を見せる。俺と同じ様にローブに身を包み、フードも被っていてどんな姿かわからない。ただ手にしている鞭は長く、今は丸められて持たれていた。



 向かい合いデュエルの開始を出されるが、パーラメントはローブを取ることはなく鞭も丸められたままだった。



 剣を持った対戦者が鞭の間合いに気をつけながら距離を一度取る様に下がった。そこににパーラメントがその長い鞭を一振りする。


 パアァァンッ!!


 牽制と思われたその一振りは空気を叩き割り、音速の壁を超えでもしたのかソニックブームを引き起こしたような衝撃波で対戦者は耳から血を流して倒れた。


 それは本当に一瞬の出来事だった。


 観客達は耳を押さえながら、どうなったのかとシンとなって様子をうかがっている。


 審判らしい人物が倒れた対戦者の脈を取り、気絶しているだけだとわかるとパーラメントを勝者とした。


 会場が湧きパーラメントを呼ぶ声が響き渡るなか、パーラメントは鞭を丸め直すと何事もなかった様にデュエル場から去っていった。


 間違いなくパーラメントはバルロッサ王が言っていた鞭使いなのだろう。だがだとしたらエルフでも無ければ生き続けているわけがない。



 アラスカの番は第2ブロックのため時間には余裕がある。パーラメントに興味を持った俺は接触するべく控え室に向かうか決めかねていた。


「マスター」

「おおアラスカか、今の見てたか?」

「当然です!」

「今から接触してみようと思ってんだけど、アラスカもーー」

「是非、同行させていただきます!」



 アラスカと一緒に会場を抜け控え室に向かう。


「しかしマスター、他の試合は見なくても宜しかったのですか?」

「今から見ていても仕方がないし、第2ブロックはアラスカ、お前が勝ち登ってくるんだろ?」

「当然です!」

「となると、第1ブロックはパーラメントが勝ち登る可能性が高いぞ」

「そうでしょうか?」


 たぶんなと返事をしながら、デュエルを思い出す。あの瞬間に俺も修道士(モンク)としての身躱しのおかげか鞭の動きは見えた。

 ブレスの様に前方に放射状に広がる衝撃波の回避は普通に困難だろう。しかもまだ手の内はアレだけしか見せていない。スタミナも不明だ。



「マスター着きましたよ」


 考え込んでいて危うく通り越すところだった。扉をノックして返事を待つと「どうぞ」と聞こえてきた。


 控え室に入ると祈りを捧げているローブ姿があり、他に誰もいないことからこの人物がパーラメントだとわかる。



「失礼します。初めましてパーラメントさん、私はサハラと言います」

「7つ星の騎士団のアラスカだ」

「僕に何か様ですか?」


 そう言ってフードを後ろに下げた顔立ちは非常に整った金髪の好青年だ。



「先ほどの試合があまりにも見事だったので、どんな人物か知りたくなり来てしまいました」

「ははは、僕はそんなたいそうな人物ではないですよ」


 話をしてみると顔だけでなく性格まで好青年だった。そして驚いたことにパーラメントのクラスは【旅と平和の神ルキャドナハ】の神官戦士だということだ。

 そうなると代行者の可能性はなくなる。なぜならアラスカの父であるセッターに一度代行者を頼んでいるからだ。


 突っ込んだ話はまだよくわからないため、今は世間話だけをして別れた。



「マスターは彼をどう見ましたか?」

「高尚な人物に見えたな。しかしなぜその様な人物が参加したのかは謎だが、まぁそれは勝ち残っていったら聞くとするか」



 会場に戻る頃には第1ブロックが終わり、第2ブロックが始まるところだった。




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