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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第6章 アロンミット武闘大会
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大会出場者選考

 翌日は朝からベネトナシュをヴォーグに預けて会場に向かう。ヴォーグの言った通り、受け付けのところには選考するから登録した人は来いと書いてあった。


 受け付けで選考を受けに来たことを伝えると別室に通される。中には早速選考を受けに来た人でごった返していた。

 そして新たに入ってきた俺を見て視線が集中する。


「マスター! マスターも参加したのですね!」


 そこでハッと思い出したように静かに俯く。


「もう大丈夫だ。完全とは言わないけどな」

「そう、ですか」

「それでここにアラスカがいるという事は、参加者ってことだよな?」


 そう言うと俺の耳に手を当てて内緒話するように囁いてくる。なんでもここで自分が史上最強と言われるセッターの娘だと明かすつもりらしい。


「やめておいたほうが良いんじゃないか?」

「え? 何故ですかマスター」

「魔法禁止だからだ。本当に己の力量だけになると、有利なのは上位クラスと言われている者たちだと思うぞ?」


 そうここにいる者を見ていても、草原の民と言われている脅威の激怒(レイジ)を扱うバーバリアンや、ルールのある闘技場などで戦う事を生業にするデュエリストらしい者がいて、直感に優れ単身で危険な地帯も渡り歩けると言われるレンジャーらしい姿も見れる。

そして殺人禁止のルールだがクラスを偽った暗殺者(アサシン)もいないとは言えない。



「言っている意味がよくわかりませんが、マスターがそう言うのでしたら控えます」


 少しむくれるようにアラスカは答え、俺の横に腰を下ろした。



 しばらくすると選考を始めますと係りの人がやってきた。


「それでは只今より選考を始めます。ルールはいたって簡単です」


 係りの人がルールを説明しようとすると、あちこちから生唾を飲み込む音が聞こえてくる。


「くじで決めていただきます!」



 この場にいる全員が呆れかえる。中には罵声を浴びせる者や苦言を吐く者もいる。

 まぁ当然といえば当然な事だろう。だが、中には俺と同じ考えの者もいるようで、おとなしくクジ引きを受けようと静かにしている者もいる。

 係りの人も困りながらも上からのメッセージを伝えてきた。


「運も実力のうちだそうです! 従えない場合は大会の参加権利は剥奪となります。また、ひどく抵抗する場合は罪人として対応するとの事です」



 横暴とも言える対応に会場にいる参加者たちが静まり返り、何も言えなくなっていた。


「俺から引かせてもらうぜ」


 1人の男が係りの人に近寄りクジである紐をひったくるように引いた。その紐はなんの変哲もないただの紐で、クジを引いた男は首をひねっている。



「はい、残念でしたー」


 マジ!?


 格好良く1番クジを引いた男はハズレを引いたようで固まったまま紐を握りしめーー


「う……うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 あ、泣きながら走ってどっか行っちゃった……



 今の状況を見た全員が更にクジを引くのを躊躇う。このままではらちがあかないように見え、俺がクジを引きに前に出て紐を1本引き抜く。

 昔からクジ運がなく、ハズレの方が多いはずのクジですらハズレを引き当てるほどだ。

 クジ引きと言われた時点で俺のハズレはほぼ決まりだと思っていた。


「おめでとうございま〜す。 説明があるので奥の部屋へ行ってくださいね」



 うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! と会場が湧き、俺に続くように参加者たちがクジを引きに向かい始めた。

 会場から悲鳴じみた声や歓喜する声が次つごと上がっていく中、アラスカの姿を探しだしその表情を見てハズれたのかと、近寄って慰めるように肩を叩いた。


「そんな顔は似合わないぞ」

「マスター……」

「俺達には先があるんだ。あいつらのように立ち止まってはいられない、違うか?」

「そ……そうですね……」


 当たりを引いた参加者たちは次々と奥の部屋に移動を開始し始めた為、俺もアラスカの肩から手を離して奥の部屋に向かった。


 アラスカの奴落ち込んでいたなぁ。



 奥の部屋に入ると係りの人が再度証明証を確認しながら番号の書かれたタグのような物を渡していく。

 俺も受け取ると、名前と番号の確認をさせられ、それが終わるとこの番号でトーナメントの発表があると説明を受け部屋を後にした。

 知り合い同士らしい者達は、お互いの番号を見せ合っていたりしている。



「マスターは番号はいくつでしたか?」


 戻った俺に新たアラスカが聞いてきて、タグを見せる。その数字を見てホォと安堵の息を吐いていた。


「どうしたんだ?」

「いえ、マスターと数字が離れていたのですぐには当たらないだろうと安心しました」



 はい? コイツまさか他人の当たりクジでもかっぱらったのか?


「アラスカハズれたんじゃないのか?」

「いえ?」

「ならなんでさっきあんな落ち込んだような顔していたんだ?」


 そこでアラスカがあっと声を上げて、慌てながら手をパタパタさせ弁解してきた。


「あれは当たりを引けたからで……」


 つまりあまりの嬉しさからの表情と態度を俺が勝手に勘違いしていたようだった……


 なんていう紛らわしい奴だ。


 アラスカが笑顔で俺を見てくる。


「なんだよ」

「勘違いとはいえ、マスターの優しさが見られたので……嬉しいのです」

「うっせー!

……だけどこれで、アラスカとも戦う事になったな」

「はい! 父の名に恥じない戦いをお見せいたします!」

「それまで負けるなよ」

「はい!」




 その日で参加募集が締め切られ、大会出場できる人数も100名ぐらいまで絞られたそうだ。

 そしてアロンミット武闘大会は明日にはトーナメントの発表が行われ、明後日より開催される事になる。




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