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自己紹介と親睦

 その日は数十年ぶりに会ったキャスとの会話が弾み、遅くまで話し込んだ。

 当然フェンリルが言った事とアリエルの事も話をしておいた。


“俺も明日大地の精霊に聞いてみる”

「ただリバーシしているだけならいいんだけどね。サハラの場合は転移だから今のままだけど、僕の場合はレグルスと同じく転生者でしょ? 前世でどういう人間だったか外見で判断できない」

「それ重要なのか?」

「そりゃそうだよ。まず外見と人種、次いで年齢、性格、仕事」

「つまりあれだな、この世界に存在しないヤバイものを創造できてしまう奴かもしれないってことか?」

「そういう事。僕も読書が好きだったから色んな知識はあるけど、配分とかまでは知らないっていうのは結構あるからね」

「さらっと言ってのけたな」

「もちろん【魔法の神エラウェラリエル】の代行者として、この世界に反する事はしないよ」

「当たり前だ。だけど食堂で少し話した感じだとそこまで悪い奴には見えなかったと思うけどな」

「とりあえずは様子見だね」


 そこで話を終えキャスは戻っていった。

 俺はフェンリルと独占できているこの部屋でできる事がないかを考えてみる事にした。


 せっかくの1人部屋だ……俺を訪ねてくるのは学長(キャス)ぐらいのはずだから、やろうと思えば夜中に学院の外にだって出れるだろう。

 ただ現状ではそこまでする理由はない。今は大人しくしておくべきか。

 アリエルの視覚で少し覗いてみたが、既に眠っているようだった。



 翌朝、特Aクラス希望の生徒が集まり、合否が通知される。結果は全14名全員合格となった。

 そして本日は親睦を深めるという事で、授業もなく自己紹介から始まった。


「まずは僕から、知っての通りこの魔道学院の学長のキャスパーです。君達特Aクラスの教師でもあるのでなんでも聞いてね」


 軽い……すごく軽い挨拶だ。続いて臨時副教師にアラスカが再度挨拶をする。


「肉体トレーニング担当のアラスカです! ウィザードであっても体力は必須になる! しっかり体力をつけるように! 以上!」


 これまた顔に似合わない脳筋臭さを見せたが、相変わらず男生徒は鼻の下が伸び、女生徒は羨むように見られていた。


 続いて男子生徒の番になる。


「俺はレグルスです。出身はここキャビン魔道王国で1番若輩者になりますが宜しくお願いします」

「私はドゥーぺと言って、同じくキャビン魔道王国出身です。将来はキャビン魔道王国の魔道兵になる事です!」

「僕はアリオトです。出身はここで将来は冒険者を希望してます」

「僕はサルガスです。出身はここ。僕も将来は冒険者です」

「俺、ウェズンっす。出身はここっす。将来はここで魔法の研究するっす」

「シャウラだ。よろしく」

「デノンだ。冒険者やってたが、英雄キャスに憧れて魔法を全系統覚えようと思っている。歳は離れていて多少は魔法使えるが初心に戻って君達と頑張りたいと思う」

「ビクターです。デノンと同じく冒険者をやっていました」


 そして俺の番になる。フェンリルを連れた俺は全員の注目を浴びる。


「サハラです。1番歳上になりますがよろしくお願いします。それとコイツは俺に相棒の氷狼のフェンリルです」


 フェンリルが紹介されて頭をクイっと下げると女生徒から可愛いと声が上がる。

 そして女子生徒の番になった。


「あたしはアダーラです。よろしくお願いします」

「べ、ベネトナシュ……です。皆さん……その、よろしくお願い……します」

「ミラよ。よろしく」

「私はアルナイルです。皆さん仲良くしてください」


 最後がアリエルとなる。


「アリエルです。あたしは【自然均衡の神スネイヴィルス】様の神官ですが、ウィザード魔法の方でもサポート出来るように習いにきました。歳上になるけどよろしく」


 全員の紹介が終わると学長(キャス)が、本日は親睦を深めるようにとアラスカと教室を出て行ってしまった。

 早速思い思いの仲良くなれそうと思った人に話しかけ始める。俺のところには当然アリエルが……


「アリエルさん! よろしくお願いしますね!」

「あ、レグルス君。うん、こちらこそよろしくね」


 俺のところに来ようとしたアリエルを引き留め話をしだした。



「普通、人の女に手を出さんもんだよなぁ? あ、俺デノン。よろしくな……って歳上だった!」

「別に構いませんよ。こちらこそよろしく」

「あ、あの。その、そこのフェンリルちゃん触っても良いですか?」

「えっと、別に構いませんよ」

「あ……有難うございます。私ベネトナシュです」


 そう言いながらベネトナシュはフェンリルの頭を撫でている。気持ちよさそうにフェンリルは目を閉じて大人しくしている。そこへ、


「サハラさんは冒険者のクラスは何なんですか?」


 犬獣人のビクターが声を掛けてきた。俺が犬獣人の耳を見ていると、ビクターが耳を触れながら続けて喋ってきた。


「サハラさんは犬獣人が珍しいんですか?」

「あ、すいません。昔知り合いに犬獣人がいたもので、つい……」

「いた?」

「亡くなりました。犬獣人特有の病気だそうです」

「なるほど……申し訳ないです」

「いえ、それと俺はドルイドですよ」

「これは! また珍しいクラスですね」

「僕も混ぜてもらっても良いですか? 先輩方の話を聞きたいです」


 元気なアリオトが冒険者の俺達の会話に混ざってくる。


 気がつけば何となく2つのグループのようなものが出来上がっている。まだどっちにもつかない雰囲気の人達もいるが、それも次第にどちらかについていくだろう。



「サハラさん、良いんですか?」

「ええとドゥーぺ君でしたっけ。何が?」

「アリエルさん、恋人なんでしょう? レグルスは少し非常識だ」

「まぁまぁ、仲良くするのは大切ですよ」

「しかしっ!」


 声を荒げたためレグルスに聞こえたのだろう。俺の方にレグルスが来た。


「サハラさんゴメン。ついアリエルさんを引き留めてしまいました。俺、そういうの気がつかなくて……」

「いえ、いいですよ。アリエルも嫌なら俺のところにすぐ来るはずですから」

「じゃあ話をしても構わないですか?」

「ええ、もちろん。同じクラスの仲間じゃないですか?」

「有難うございます。それと入学式の時はゴメンなさい!」


 礼儀正しく頭を下げてきた。やっぱり悪いやつではないのかもしれない。


 その日は結局学長(キャス)とアラスカは戻ってくることはなく、終業時間になったため特Aクラス全員で学食を食べに行った。


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