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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第4章 学院生活とアリエル
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霊峰チャレンジ

 離れに戻るとアリエルが出迎える。そして俺と腕を組んでいるリリスの姿を見て、俺にどういうことかしらとでも言わんばかりに目を細め眼力を込めて訴えてきた。



「初めまして、私は亡きマルスの妹のリリス=ボーロと申します。そして知っての通りヴァンパイアですわ」



 それを聞いたアリエルはアッと思い出したようだ。マルスが亡くなった日、アリエルも世話になった人を失って何となくしか覚えていなかったようだ。そして合点がいったのかリリスから引き剥がしアリエルがリリスがやっていた様に腕を組むと挨拶を返した。



「初めましてサハラの妻のアリエルです」


 あー、どことなく今、サハラの妻を強調していった気がするぞ。

 それはさておきエアロ達はとっくに戻ったようで、安心して話せる状況のようだった。



「一応なリリスに聞いてみたんだ。残念だがわからないそうだ」

「……仕方がないわあなた。今を十分に堪能できればあたしはそれで本当に満足だから」

「はいはい、そんなに見せつけなくても貴女のサハラはせいぜい取って血を吸う程度ですから心配しなくても良いですわよ」

「あら、知らなかったのかしら。あたしってば【自然均衡の神スネイヴィルス】の神官でスネイヴィルス様の寵愛を頂いているのよ?」


 アリエルの張り合いはリリス相手でも発揮し、最終的に呆れたのか諦めたのか、リリスが挨拶程度のつもりなのでと涙目になりながら言って早々に帰っていった。



「ちょっとやり過ぎじゃないか?」

「いいの! あなたはあたしのものだもん!

それとあまり無理をしないでよね」

「残念だけどするさ。例えそれがアリエルじゃなかったとしても、俺の目の前にいる限り救える人は救いたい」

「そこは、あたし限定にして欲しかったなぁ?」


 当然だろと言いたいとは思ったが、アリエルに余計な気遣いをさせたくはなかったため、笑ってごまかした。



「それで明日はどうする?」

「それなんだけど、明日はアルナイル達がコッソリ霊峰に入るつもりみたいなのよ」

「アリエルも一緒に行くのか?」

「うううん、あたしは新婚なんだからって断られちゃった」

「メンバーによるな。ウィザードだけでもデプス1なら大丈夫だとは思うが、あそこは以前ダンジョン内で弱者を狙って狩りをする連中もいたんだよな。今もいるかわからないけどな」

「なら、明日は霊峰のダンジョンでデートね?」



 明日は一応コッソリついて行く事に決めると、アリエルをお姫様抱っこをしてベッドに連れて行こうとする。


「サハラさん温泉入ってないでしょ? あたしが背中を流してあげる」

「それは嬉しいな。もちろんアリエルも背中を流すだけじゃなくて一緒に入るんだろ?」

「うん!」


 ーーッカ、ポーン




 翌日俺とアリエルはそれぞれ冒険者の時の装備に変えてフードを深くかぶり、霊峰の洞窟の入り口で待ち構えていた。

 しばらく待っていると、デノン、ビクターを連れた、アリオト、アルナイル、ミラ、ベネトナシュが姿を見せる。



『見事なまでのウィザードパーティだな』

『魔法が尽きたら危険すぎるわね』

『デノンとビクターがいるからそこまで心配しなくても大丈夫だとは思うけどな』



 6人が中に入っていく。その後をつけるように俺とアリエルも中に続いた。フェンリルがいるとバレバレな為今日はピアスで待機させている。


 前衛のいない彼らがどうするつもりか見ていると、ビクターが召喚魔法を使って狼を5匹召喚していた。どうやら狼達に前衛を任せる作戦のようだ。


『あれならばデプス1なら心配はなさそうだ』

『そうなの? ここのデプス1の魔物の主力は分かる?』

『大半がコボルトで、後はゴブリンってとこだな』

『なら楽勝ね』



 デノン達の前にコボルト達やゴブリン達が現れるが、デノンが指示を出して上手く倒しているようだった。

 そして当然俺とアリエルの所にも時折ゴブリンが現れたりしたが、呆気なく俺が杖で倒しながら後をつけていく。


『ねぇ』

『あぁ、つけられているな』


 当然俺たちではなくデノン達で、感知(センス)でずっと後をつける連中がいるのに気がつく。


『何ですぐに襲わないんだ?』

『たぶん魔法のカウントしているんだわ』


 アリエルの言う通り、つけている連中は奥へ奥へと向かうデノン達をゆっくりと進んで追跡していた。



『襲うのなら、戻り出してしばらくしたらかしらね』

『何でだ?』

『決まってるじゃない。戻るってことはそろそろ弾切れですって教えているようなものでしょ?』

『なるほどね』




 アリエルの言った通りで、デノン達が引き返し初めてしばらくすると、後をつけていた連中が姿を見せ、何か言い合いが始まったようだ。


『助けに入るか?』

『待って。仮にもデノンさんとビクターさんは冒険者経験あるんだから、何とかするかもしれないわ』


 だが、アリエルの期待は見事なまでに裏切られ、デノン達が押されていっているようにしか見えなかった。

 アリエルは呆れた表情でジェスチャーし、助けに向かう事にした。




 俺とアリエルが姿を見せるとミラとアルナイルが俺に泣きついてくる。


「仲間が増えたか、おら! 命が惜しけりゃ出すもの出せ! そうしたら、女だけは生かしてやるぞっ!」


 そう言うなり、容赦することなく1人がデノンを突き刺した。


 デノンが激痛のあまり叫び声をあげる。


「チッ! 回復を頼む!」

「任せて」


 俺はデノンの元に行き、痛みで苦しむデノンと突き刺したゴロツキの間に割って入った。


「次はお前か?」


 無言で俺が杖を構える。一瞬焦ったように見えたが、武器が杖だと確認すると顔をニヤつかせた。


「ウィザードが戦士様に白兵戦で適うと思ってんのか、オラァ!」


 ゴロツキが振った剣を素早く杖で捌くと、慌ててすぐに距離を取りゴロツキ全員が武器を構えた。



「驚いたぜ。そんな武器を持って前衛か? だがな、こっちにはこういうときのために頼んである人がいるんだよ!」

「どうした? 前衛1人いるとわかっただけでビビったか?」

「こういうことやってるからには、念には念をって奴だ。わかったら死んでから後悔しろ!」



 ゴロツキは全員で6人いて、そのうち1人は確かに腕が立ちそうだ。と言っても大したことはないだろう。

 後ろを見るとアリオト、ミラ、アルナイルは完全に怯えきっていて、ビクターとベネトナシュはアリエルのデノンの手当てを手伝いながらこちらの様子を心配そうに伺っている。



「援軍を呼べ。そいつは俺1人じゃ苦戦する」


 腕の立ちそうな男がそう言うと、慣れた感じに1人が走り去っていった。つまり仲間はかなりいるのだろう。


 俺を囲うようにして剣を抜き、身構えるが下手に襲ってはこない。きっと仲間が来るのを待っているんだろう。


 仲間が増えても面倒だ。どうするかな?





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