結ばれた2人
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
翌日目がさめるとアリエルが俺を見つめている。
「……おはようアリエル」
「おはよう、あ、な、た」
俺の妻となり、満面の笑みで俺をあなたと呼ぶその顔はとんでもなく可愛い、だけど俺の脳裏にアダーラが水晶の様に透け、砕けたあの時の光景がアリエルと重なり目に涙が浮かんでしまう。
「お願いしたでしょあなた、最後の時まであたしと笑顔で暮らしてって」
「そう、そうだったな、ごめん……ごめん」
辛いのはアリエルの方なのに気を使われてしまう。
スーッと大きく深呼吸をして落ち着かせる。
「よしっ! もう大丈夫だ」
「じゃあ教室にいこ」
教室に入ると早速モリスとエアロ王女がおはよーと言いながら近寄ってくる。モリスが俺に抱きつこうとしてきたため、避けようとしたらアリエルが間に入って阻止する。
「アリエルさんどいて、サハラさんに抱きつけない」
「モリス君! 今後は勝手にあたしの旦那様に手を出したら許さないわよ!」
アリエルの一喝でクラスがシーンと静まり返った。
「あのーアリエルさん、今なんて言いましたか?」
金髪美少女のアルナイルの顔が目を見開いたまま聞いてきた。ちょっと怖い。
「あたしの旦那様に手を出したら許さないわよ?」
「旦那、様……?」
アリエルがコクコク頷く。
「サハラさんが?」
満面の笑みを浮かべてコクコク頷くアリエル。
「昨晩、俺がアリエルにプロポーズした」
「うんうん」
アリエルがしなだれてくる。
「「「な、なんだってーーー!!」」」
「「「な、なんですってーーー!!」」」
「……そう」
ベネトナシュ以外の全員が驚きの声を上げる。エアロ王女に至っては泡を吹いて気を失って倒れてしまう。
「って事はお前ら結婚したのか!」
「やっとですね」
「サハラ先輩良かったっすね!」
「う〜、いいな、いいなぁ、羨ましいな」
「……ミラも私もまだ無理」
「何でよ!」
「私達……まだ、子供」
「やっぱりかないませんね。お似合いですよね、あの2人」
「嫌だ! 俺は、俺は認めないぞぉ! サハラさんは、俺の物だぁぁ!」
モリスが俺の方に向かってこようとした瞬間、デノンが手を捕まえて止める。
「おい見ろよモリス、2人のあの姿を見てお前はまだ邪魔出来るってのかよ?」
「……グゥ」
俺とアリエルは向かい合い見つめ合って微笑んでいたーー
昼になって昼食を食べに食堂に向かう。
「あれ、皆んながいない」
「おかしいな、まぁすぐ来るんじゃないか?」
食堂に行き席に着くが誰もくる気配がない。それどころか……
「なんか、人少なくない?」
「ん、ああ」
『と言うか監視されている様な気がする』
いつもなら賑わっている食堂がガラガラだ。アリエルと結婚してうつつを抜かしていたせいで全く気がつかなかった。
『一体何が……』
『まさか悪魔の仕業か!』
俺とアリエルは食事をやめて警戒する。鞄に手を突っ込み杖の確認して騎士魔法の感知を使った。
『食堂にいる人数以外は、いなさそうね』
『いや、訓練場の方に集まって……いる?』
頷き合って立ち上がり、訓練場に向かおうとする。
すると食堂にいる生徒達が出入り口に集まりだし、通れない様に邪魔をする。
「すいません、ここ通りたいんですが……」
俺とアリエルをチラッとだけ見ると無視してその場で話し合いを続けはじめた。
『どういう事!?』
『分からない。アリエルどうする? 無理やり抜けるか?』
『それしかなさそうね』
俺が無理やり抜けようと生徒達を押し退けようとすると、必死になって邪魔をしてくる。
何か絶対にある。そう確信した俺は力を込めて押し退ける。
うわぁと声が上がってバタバタ転倒するのを確認するとアリエルと走り抜ける。
訓練場に向かおうとすると、倒れた生徒達が声を張り上げて走る俺たちの先にいる生徒達に声を上げる。
「失敗した! そっちに行くぞ!」
何だ? 何が失敗したというんだ?
俺達が向かう先にいる生徒達が今度は邪魔をしてきた。
何だ? 本当に何が起こっているんだ?
「アリエル抜けるぞ!」
「うん!」
通せんぼするようにいる前方の生徒に向かって走り、騎士魔法の跳躍で一気に飛び越えた。
「「「なっ!」」」
驚く生徒達を尻目に訓練場まで走りぬけた。
そこで俺達を待ち受けていたのはーー




