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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第4章 学院生活とアリエル
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マナの結晶と絆

今年最後の更新です。

今年1年ありがとうございました。

 部屋の中が死んだように静まり返っている。


「レグルスもきっと近いうちにこの事を知るはずです。

サハラ様、麻薬の事は今後も研究していきますが……期待はしないで下さい」


 ふらりと立ち上がって俺はグランド女王に向かって聞いてみた。


「一度でも使えばマナの暴走を引き起こさせるのを知ったら、レグルスも使いやしないんじゃないですか?」


 するとキャスが砕け散ったアダーラの辺りから何かを拾い上げて俺に渡してきた。


「これは?」

「高純度マナ結晶。サハラにわかりやすく言えば、アダーラの魂みたいなものだよ」

「アダーラの……魂」


 それが何を意味するかは分からなかった俺は、ただ魂と言われたアダーラの残した結晶を見つめる。


「これがどうしたっていうんだ?」

「マナの結晶は……一時的に擬似ソーサラーのように魔法が使えるようになるんだ」


 つまりこの結晶がソーサラーの溢れ出るマナの代わりとなって、詠唱も記憶も必要なく魔法が扱える。空っぽになれば結晶は砕けて粉々になるらしい。

 つまり他人の魂で魔法を使う。レグルスが知ればあいつなら絶対に利用するだろう。しないはずがない。


「こんな、こんなことってあるかよ……」



 誰1人口を開くことなくただ悔しさでいっぱいのようだった。


「サハラ……アリエルさんに言うか言わないかはサハラに委ねるよ。僕らは絶対に言わないから……」


 俺はどうしたらいい、言ったほうがいいのか、それとも言わないほうがいいのか……





 教室に戻った俺を見つけるやアリエルが寄ってきて顔を覗き込む。


「サハラさんどしたの?」

「ん、ああ、なんでも……ないよ」

「ふ〜ん?」


 俺がいない間にアラスカが明後日からの話をしたようで、明後日の朝に訓練場に10日分の宿泊準備をしてくるようにということで終わったそうだ。


 昼になり昼食の時いつもの様に俺の隣の席の争奪戦があったが、誰が座ったのかすら覚えていない。

 休憩時間の時もそれは変わらなかった。ただ俺は無言で知らず知らずのうちにあぐらの上に座るアリエルをずっと抱きしめていた。


 午後は授業もなく生徒達に旅行先でどうするかを話し合わせる場を設けて、自由行動となっていた。


「学長に呼ばれて戻ってからサハラ変だぞ? なんかあったのか?」

「いや……なんでも、ないよ……」

「ならいいけどよ……」


 ただ黙り込んでいる俺を心配しつつも、皆んなで明後日からの話をしていた。





 夕食も済ませた俺は寮に戻る。部屋に入っても変わらない俺をアリエルが心配そうにみつめてくる。


「サハラさん、キャスさんに呼ばれて一体何があったの?」


 ねぇねぇと俺に抱きつきながらアリエルが言ってくる。フェンリルはと言うとピアスに入り込んだまま出てこようとしなかった。


「やめてくれ!」


 ウリウリと身体を押し付けてくるアリエルに俺は声を上げて怒鳴った。


「ねぇサハラさん話してよ。サハラさんとは長い付き合いになるから分かるよ。

あたしの、事でしょう?」


 アリエルはなんとなく気がついていたそうだ。あの普段からおどけて見せているが冷静なキャスが、あれだけ慌てながら学長の立場を忘れて呼び出した事。戻ってからの俺の顔と態度と何も話さない事。

 そんな俺の姿は、アリエルが知っている限り数回しか見た事がないそうで、そういう時は大抵親しい友人の死が分かった時に見せるそうだ。



「あたし……死ぬんでしょ?」


 その言葉で俺の我慢の限界がきてしまい、ツーっと涙が流れ落ちた。

 口を開いたら止まらなくなりかねない。そのためグッと堪える。そんな俺にアリエルが抱きしめながら言ってきた。



「あたしね、幸せだったよ。幸せだったはまだ早いか、あはは。

憧れていたサハラさんと出会えて、そんな憧れの人の恋人にしてもらえて……本来ならとっくの昔に死んでるはずなのに、ゴッドハンドになってとっても長く一緒にいられた。

それだけで十分満足してーー」


 俺はアリエルを押し倒し顔を覗き見る。





「アリエル!」


 


「な、何? サハラさん」


 俺の真剣な表情に焦るアリエルが聞き返してくる。俺がアリエルにしてあげられる事は全てやってあげたいしそうしたい。

 だから……



「結婚しよう……いや、俺と、結婚してください」


 アリエルの目が見開き、目から一筋の涙が流れていく。

 そして目を閉じて答えた。



「はい……よろしく、お願いします」



1年の締めくくりに少し悲しめの展開にしてしまって済みません。

凡人の異世界転移物語から始まって、今まで読んでくれている方の期待を裏切るような展開もあったと思います。

特に今回のアリエルの洗脳時は、感想でやめてと書かれたにもかかわらず、下書き変更しないでそのまま突き進ませてしまいました。

ですがすいません。今後も突っ走ると思います。サハラの物語はまだ始まったばかりなので。

この先、始原の魔術師の物語が伝説となって神話になるまでまだまだ続きます。

私が書くのを止めない限りですが……

こんな自分勝手な物書きですが、読んでくれる方がいる限り頑張っていきます。


来年もよろしくお願いします。

良いお年を!

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