表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第4章 学院生活とアリエル
52/212

マナの暴走

 キャスが学長なのを忘れて俺を呼んだ。


「あれ? 学長どうしたんですか?」

「サハラ? 呼び捨て?」


 学長(キャス)は無視して教室を出て行った。


「アリエル、ちょっと行ってくる」

「うん」


 キャスの後を追って教室を出る。俺の姿を見ると後ろを覗き込んでくる。


「アリエルさんは?」

「いや、待ってもらってる。フェンリルはついてきてるけどな」

「フェンリルは別にいいよ。そっか、良かった。それよりすぐについてきて」

「え! な? 授業、いや、明後日の事は?」

「アラスカさんにお願いしておいた」


 よく分からないがかなり切迫した様子だった。キャスが魔導門(ゲート)を開きついていくと王宮の中で、グランド女王が待ち構えていた。


「サハラ様! 急いでくださいませ」


 グランド女王が先を急ぐ。後を俺もついていくと行き止まりの前まで到着する。


「行き止まり?」


 グランド女王が魔法を使って扉を出現させると急いで入るように言ってきた。


 中にはアダーラだけが居て、他には誰もいない。


「他の3人、は?」

“サハラ、マナの暴走だ!”


 フェンリルが突然訳のわからないことを言ってきた。


「サハラさん?……なんでここに? お願い助けて私、私死にたくない。学長助けて! 女王様助けてください!」


 その時だった。

 アダーラの姿が水晶のように透き通り出し始める。アダーラが自分の手を見て悲鳴をあげた。

 アダーラが俺達の方を見つめて涙を流した次の瞬間……アダーラは、砕け散った。



「なんだよ……なんだよ、今の……」

“サハラ、マナの暴走だ”

「さっきも言ってたな、フェンリル、マナの暴走とはなんだ?」

“……マナの暴走とは全ての生物が体内に保有するマナが爆発することだ”


 よく分からず首をひねる。するとグランド女王が説明をしてくれた。

 それによると、全ての生物には生きるためにマナを体内に保有しているんだそうだ。そしてその保有量が多いものが、人であればソーサラー、エルフであればハイエルフになるそうだ。つまり、セーラムはマナの保有量がとんでもなく大きいということになるらしい。


「それでそのマナがどうして暴走するんだ?」

「サハラ、分かったんだよ。麻薬の影響が効果が……」


 キャスが辛い顔をしながら俺に言ってくる。

 あのマナの暴走が麻薬と関わるという事は、マナの暴走を引き起こさせるとでも言うのだろうか?


「サハラァ……」


 キャスが涙をボロボロ流しながら俺を見てくる。グランド女王も顔を下に向けて黙り込んでいる。


「どうしたんだ? 一体何を泣いているんだよキャス」

「アリエルさんが……」


 ゾクッとしたものが俺の中を駆け巡る。


「アリエルさんもいずれ……こうなるんだよ……」


 な、んだと……


 膝から崩れ落ちるとは正にこの事だ。身体中の力が抜け落ち立てなくなる。


「嘘だ!」

「嘘じゃないんだ……」


 あの麻薬には中毒性があって、一度でも使えば体内マナの暴走が始まるらしい。中毒性の度合いによってその速度は早まると言う。更にはマナの保有量が多いソーサラー、ハイエルフはその影響が更に早まるのがわかったようだ。



「アリエルは、アリエルもいずれああなるっていうのかよ!

……なんとかならないのか? そうだ、神に聞いて……」

「ゴメンなさいサハラさん……」


 そこへエラウェラリエルが姿を現して答えてきた。その表情は嘘や偽りではなく、本当に悔しがっているようだった。


「サハラさん、ゴメン、ゴメンなさい。私、神になったのに、神なのに……アリエルさんを助けられない……」


 エラウェラリエルが涙を流しながら、俺を抱きしめて謝ってきた。


「待て……そうだ、アリエルソーサラーじゃない。ソーサラーじゃないんだ」

「え? アリエルさん……ソーサラーじゃないの?」

「ああ、キャスはおかしいと思わなかったのか? なんで俺とアリエルが魔道学院に来たのかを」

「それは……そう言えば……」

「アリエルは半ソーサラーなんだそうだ」


 だとしても早いか遅いかの違いでしかないのは変わりがなかった。


「半ソーサラー……」


 ボソッとキャスが言う。その声はさっきよりも絶望的な声だった。


「サハラさん……半ソーサラーは……」


 エラウェラリエルもさっきよりも辛そうな顔を見せていた。


「なんだよ……2人共どうしたんだよ」

「サハラさん、半ソーサラーが何か知らない……の……?」



 エラウェラリエルが泣きながら半ソーサラーを説明してきた。

 半ソーサラーの事に関してはその昔、魔道王バルロッサに聞かされた通りだった。違ったのはそのマナだ。

 通常、人はマナをコップ一杯分保有しているとする。ソーサラーにはそのコップが無く、常に溢れさせている状態なんだそうだ。では半ソーサラーとはどうなのかというと、コップが一杯ではなく複数所持したようなものらしい。つまり溢れさせてはいないが、マナの保有量は個人差があるものの多く持つ事になるんだそうだ。



「なんだよ……じゃあアリエルは、そんなに長く持たないっていうのかよ!

なぁキャスどれぐらいだ? どれぐらいアリエルは持つんだ? 10年? いや5年ぐらいか?」

「わからない……でも、仮にアリエルさんのマナの保有量が5杯分とすれば5倍になるんだ」

“サハラ……俺がおおよそわかる……”


 フェンリルが自分が精霊であるため、よりマナが見えるそうだ。


「教えてくれフェンリル」

“おおよそ……100倍……”


 フェンリルの答えにグランド女王もキャスも神であるウェラすら驚く。その量は考えられない量らしく、他にフェンリルの知る中で該当する者はセーラムだけらしい。


「キャス……あと、どれぐらいだ……」

「ハッキリとはしないけど、持って1年……」

「フェンリル! お前マナの保有量がわかるんだろ? お前なら何とか出来ないのか? 頼む何とかしてくれ!」

“……済まん”



 全てが終わった。そんな気分だった……


後ほど今年最後の更新をします。


また、活動報告の質問に返事を頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ