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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第4章 学院生活とアリエル
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目と目で通じ合う

 俺がアリエルに繋がって聞いてみると驚くような返事が返ってきた。


『サハラさん、ベネトナシュさんとエッチな事したんだって』

『はい?』

『エアロ王女とミラさんとモリス君が後をつけて行ったらしいんだって。そうしたらベネトナシュさんとエッチしてキスをしたって言うのよ』

『んなわけあるか! どうしてそうなるんだ』

『なんでもミラさんがベネトナシュさんに問いただしても、否定しないし何も話してくれないんだって』

『で、アリエルもその話をま、さ、か、信じているとか言わないよな?』

『信じているわけないでしょ』


 それを聞いてホッとする。しかしなんでアリエルはこうも簡単に答えたんだろう。


『疑わなかったのか?』

『全然? まぁキスだけなら疑ったかもしれないけど、エッチしたってなるとさすがにね』


 意味がわからず首を傾げてみせる。するとアリエルがニヘヘと笑顔を浮かべる。


『サハラさん気がついてないんだ』

『何が?』

『サハラさんって、恋人宣言した人以外と身体の関係には絶対にならないよね?』


 それを聞いて思い返してみる。確かに言われて気がついたが、俺はウェラとアリエル以外を抱いた事はない。

 もちろん男としての話であって女体化した時の俺は俺じゃない。


 アリエルを見れば俺を見つめながらニヘヘと笑顔を浮かべたままだ。



 繋がって会話しているため他の人には見つめあっているようにしか見えていない。



「クソー! 目と目で通じ合うって奴かよ。羨ましいぜ」


 などと言ってくる奴が当然出てくる。


「アリエルさんは全然心配してないんですね」


 ドゥーぺが不思議そうに聞いてきた。アルナイルも頷きながら見ている。


「だって、信じてるもの」


 アリエルのその一言でクラスがシーンとなる。


「ふ、2人が羨ましすぎるぜーー!」

「ここまで見せつけられると確かに……」

「ラブラブなんだなー、サハラ先輩とアリエルさんは!」


 そして噂の根源である3人もまた俺とアリエルを見て溜息をついていた。




 夕食が済み、デノンとビクター、アリオトはアラスカに武器の稽古をしてもらいに訓練場に向かったが、俺とアリエルは寮へとさっさと戻った。



「今日はえらい目にあったな」

「でさ、何があったの? ベネトナシュさんのあの変わり方は少し気になるなぁ?」


 そう言うので、俺はあったことを話し、ついでにどうしたらいいかをアリエルに聞いて見ることにした。

 全て話し終えるとアリエルも困った表情を見せる。


「仮にスネイヴィルス様の許可が下りたとして、あたし達に同行させるのは危険だし、かと言って学院卒業後にベネトナシュさんのドルイド修行に付き合っていられないわよねぇ」


 そう、これが終わればまた俺たちはやるべきことがある。そしてそれは駆け出し程度の者がついてこれるようなものではない。

 溜息をついて考え込んでいるとノックする音が聞こえた。



「やぁサハラ、アリエル」


 暗い表情のキャスが来た。

 キャスが、ここ数日授業が終わると王宮に行き、麻薬にやられたアダーラとサルガス、ウェズンにシャウラの4人をグランド女王となんとか救おうとあれこれやっていたのは知っていた。


「暗い顔をしてどうしたんだ?」


 重い口取りでキャスが状況を説明してくる。それによると魔法の類による治療は一切ダメで、禁断症状が出ると縛っておかないと腕を掻き毟ったりしてしまうらしい。



「はっきり言うと手の施しようがないんだ」


 もはや4人は自分の意思もほとんど見られず、おとなしい時は目は虚ろでただボーッと身動きせず座っているだけで、糞尿も垂れ流し状態だと言う。

 仕方がなく今晩初めて極少量の麻薬を与えてみたらしく、与えると暫くして素に戻り自分達の状況に驚き泣き叫んだそうだ。


「つまり与え続けるしかないというわけか?」

「そうなんだ。そう言えばアリエルさんはもう大丈夫なの?」

「んー、正直に言うと無いから諦めてるって感じかなぁ」


 するとおもむろにキャスがポケットから麻薬を取り出してアリエルに見せる。

 それを見たアリエルは目を見開いて麻薬に釘付けになり、手を伸ばして取ろうとしだす。


「アリエル! キャスお前何してんだ!」


 キャスはさっと麻薬をしまうと俺に謝ってくる。なんでも試してみたかったらしい。まだそこまで麻薬漬けになっていないアリエルの場合、時間が経って欲求が抑えられているのか、それとも無理なのか……答えは無理な様だった。


「ごめん、サハラ、アリエルさん。でもこれでわかったよ。一度中毒になった人は、戻れそうに無いね。となると後は極少量を使っていった場合どうなるかを試すしかなさそうだよ……」


 つまり治せないのであれば、ずっと少量で続けるだけで普段通り暮らせるかを見るしか無いというものだった。

 俺はアリエルをギュッと抱きしめながら大丈夫だ大丈夫だと言うと落ち着きを取り戻してきた。


「キャス、次こういう事やる時は事前に言え。次にアリエルをこんな目に合わせたら、例えお前でも許さない!」

「う……ごめん、なさい」

「悪いが今日は出て行ってくれ」


 キャスがなんども俺に謝りながら部屋を出て行った。少し言いすぎたかもしれないが、それでもやっていい事と悪い事はある。


 2人きりになり、抱きしめているアリエルを覗き見ると、俺を見つめているアリエルと目が合う。


「どうした?」

「か……カッコよかった……」


 その後俺はアリエルに襲われ、夜遅くまで蹂躙されたのは言うまでもない。



第1章の関わる部分が入ってきました。

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