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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第4章 学院生活とアリエル
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ベネトナシュと内緒話

 昼になり食堂に向かう。もちろん俺の横には首に布を巻いたアリエルがいて、反対側にはモリスが俺と手を繋いで離さない……

 これからはモリスに注意しておかないといけないなと思いつつモリスを見ると、満面の笑みを向けてくる。


「へへへっ」



 お盆に食べ物を乗せ席に着くと早速空いている隣の席の争奪戦がはじまり、今日はモリスが奪い取った。


「やったぜ!」


 俺はお前以外が良いんだけどな。




 食事を済ませるとジッとベネトナシュが見つめて待っている。


「ベネトナシュさんお待たせしました」

「うううん、ついてきて……」


 ベネトナシュについて行くとどんどん人気の少ない場所に向かっていき、時折キョロキョロして誰かいないか確認している様だった。





 ーーーそしてここにサハラとベネトナシュの動向が気になるモリス、エアロ王女、ミラがそっと後をこっそりついてきていた。


「ベネトナシュってばこんな人気のないところまでサハラさんを連れてきて一体どういうつもりなのかしら」

「ちょっと見えにくいな」

「あっ!」


 3人の目に頭をさげているベネトナシュの姿が見える。


「まさか、ベネトナシュがサハラさんに告白!?」

「返事、返事は!」


 3人の目に困っているサハラの姿が見え、そしてありえない事が目に映った。

 ベネトナシュの姿が見えなくなる。いや、きっと座り込んだ……


「懇願!?」

「待て! 様子がおかしい」

「もしかしたらさっきの告白じゃなかったんじゃ!」

「じゃあなんだというんですか?」

「あ! あああ!」


 3人の目にサハラがベネトナシュに手を伸ばしガクガク揺れる姿が見える。


「ま、まさか」

「してる!?」

「え! え? してるって何をだよ!」


 そして動きが止まり、サハラが何かを話しかけている。するとベネトナシュが立ち上がってサハラの顔に顔を近づけた。


「ああっ! 今キスした!」

「ヤダ! 嘘!」

「俺のサハラさんがぁぁ!」


 ベネトナシュが立ち去った後、3人は愕然としながら戻っていったーーー





 誰もいないのを確認し終えると俺に向かってお願いをしてきた。


「サハラさん……私を弟子にして……」

「はい?」

「私……ウィザードよりも……ドルイドになりたい」

「困ったな……」

「お願い……」


 ベネトナシュが膝をついて頭を下げてくる。慌てて俺はベネトナシュを立たせようと肩を持って体を揺する。


「そんなことはやめてください。俺は確かにドルイドですが……教えられないんです……」

「……なぜ?」


 言えるわけがない。俺にドルイドとしての知識を教えたのが【自然均衡の神スネイヴィルス】なのだから。

 どうやって断る……俺は体を揺するのをやめ、掴んだまま考える。


「俺にドルイドの師事してくれた方の許可を得なくては……」

「そう……じゃあ許可が貰えたら……その時は教えて……くれる?」


 ベネトナシュが笑顔で聞いてくる。こんな顔もするんだなと思った。


「いつになるか分かりませんよ?」


 ベネトナシュが立ち上がって佇まいを直すと、俺の顔に顔を近づけてきてそっと耳元に囁いてきた。


「待ってる」


 そう言うと俺に手を振り、その後フェンリルにも手を振る。


「フェンリル……バイバイ」


 急なベネトナシュの行動に俺が驚いて固まっていると、ベネトナシュは嬉しそうな顔を浮かべて立ち去っていった。


 残された俺とフェンリルが顔を見合わせる。


“どうする気だ?”

「分からん……」


 いつになるかわからないと言ったんだし、最悪ダメだったとでも言えばいいだろう。



 昼休みも終わり教室に戻るとなんか妙な空気を感じる。特にエアロとミラとモリスはジト目で見ていて、ベネトナシュはヒラヒラと手を振ってきた。


「おやおや〜サハラよぉ、今度は何をしでかしたんだ? また俺を笑い殺そうとでもする気か?」

「いや俺もよくわからないですよ」

「サハラさん少しいいですか?」


 アルナイルが俺の腕を掴み引っ張っていく。教室から一旦出るとアルナイルが噛み付く勢いで聞いてきた。


「サハラさんどういうことですか?」

「何がです?」

「し、シラを切るつもりですか!」

「本当にわけがわかりませんよ」

「じゃあ教えてあげます! 昼休みの時間、ベネトナシュさんとどこで何をしていたんですか!」


 どこで何って、人気のない場所でドルイドの師事を頼まれたのだが……わざわざ人気のない場所で話したということは、ベネトナシュは聞かれたくなかったのかもしれない。


「アルナイルさんに言う必要はないでしょう?」

「うぐっ……た、確かに……」

「なら俺はもう戻りますよ」


 一体何なんだ。アリエルにここはやっぱり聞くべきだろう。

 教室に戻った俺はアリエルをジッと見つめながら繋がる。


『アリエル、これは一体何の騒ぎなんだ?』



 そこで俺はとんでもないことを耳にするわけだ。




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