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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第4章 学院生活とアリエル
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ビクターの望み

31日〜3日まではお休みします。

 翌日教室に向かい、何食わぬ顔で席に着く。覚悟は決めてきていた。

 そして早速昨日一緒にいたデノンとビクターとアリオト、ミラにモリスが寄ってきて囲んでくる。


「サハラ! お前っ!」

「サハラさん!」

「サハラ先輩……」

「サハラさん……」

「サハラさん!」


 スーッと息を吸い、アラスカとのキスした事を言われるのを覚悟をし、机に肘をついて手を組み、俯いてその時を待つ。



「「「「「腕大丈夫か(ですか)!?」」」」」




 あれ? 腕?


「あ、ああ、腕? 腕ですか、腕ならあの後アリエルに治療してもらいましたので、この通り治っていますよ」


 おおぉさすがだ、とかそうでしたか、などの声が上がる中……


「サハラさん、俺、俺、スゲー心配したんだよ!」


 そんな事を言いながらグワバァッ! とモリスが抱きついてきた。


「うお! 馬鹿、くっつくな!」

「嫌だー!」


 誰かヘルプと見回したが、2日目にして皆んなもう見慣れてしまったのか、笑いながら見ているだけになっていた。


 アリエル、アリエルはどうした!?

 そう思い抱きつき絡みついてこようとするモリスを手で押さえながら探す。




「アリエルさん、いくら恋人だからってここまで見せつけなくても良いんじゃないかと思いますよ?」

「そうです! 非常に羨まし……いえ、不謹慎です!」

「それはさすがに私も風紀的にどうかと思う」

「ち、違うの! これは朝、目が覚めたら勝手についてて!」


 アルナイル、エアロ王女、ドゥーぺに俺が昨晩つけまくっておいた首のキスマークを言われ、気がついていなかったアリエルが大慌てしていた。


 それを見て心の中でガッツポーズをして気を抜いた瞬間、モリスが俺にキスをしてきた……


「や、やめ! んぷっ! ンンンーー!!」


 俺を囲っていた皆んなもさすがに口を開けて唖然とする。


 こ、コイツ! キスどころか……事もあろうか舌まで入れてきやがったーー!!




「さすがに……そこまでは人前でするものじゃない……」


 ベネトナシュがモリスを引き剥がしてくれた。


「た、助かりましたベネトナシュさん」

「いい……サハラさん、いつものお礼だから……」


 いつものって何だ?


「べ、ベネトナシュが男の人の名前を呼んで助けた!?」

「サハラさんは……フェンリルちゃんの飼い主だから……」

「そ、そ、そうだよね。うんうん、そうだと思ってたよぉ〜」


 そういう事か。とりあえず助かったな。


「そうだ……サハラさん後で少し……いい?」

「お、俺も!」

「ダメ……サハラさんいい?」


 すげぇ、一声一睨みでモリスの奴が黙った!


「別に構いませんよ」

「そう……よかった。それじゃあ……お昼休みに……」



 そのやり取りを一部始終固まって見ていたクラスメイト達が一斉にざわつき出した。


『ちょっとサハラさん?』

『なんだねアリエルさん?』

『何を考えているのかしら?』

『ベネトナシュの事だから普通に考えてフェンリルの事だろ?』

『あー、そっか。

じゃなくてこれ何よ! 目立つ首の場所に5箇所もキスマークつけないでよね!』

『嫌だったか……』

『……嫌じゃない』


 ふっ、ちょろいもんだぜ。



 しばらくすると学長(キャス)が姿を見せ、午前の授業が始まり思い思いの魔法を習っていく。

 俺は今は防系統を習っているのだが、どうにも上手くなれないでいる。


「サハラさんは魔法をなぜ習得しようとしてるのですか?」


 悪戦苦闘している俺にビクターが話しかけてくる。

 得意系統が召系統のビクターにとって防系統は必須で当然既に扱える。


「そうですねぇ、なんでかあまり深く考えたことは無いかもしれないです」

「ははは、その答えはサハラさんらしい。

昨晩見たあれだけの接近戦技術にドルイド魔法があれば、魔法はあまり必要じゃなさそうに思いますが……アリエルさんの為ですか」


 なかなかにして鋭い指摘をしてきた。俺もそれを聞いて「そうかもしれないですね」と返事をした。


「それにしてもドルイドとは武器も習熟しているんですね」

「いえ、これはたぶん俺だけ……だと思います」

「おっとこれは失礼、詮索するつもりはないですよ」


 ビクターは礼儀正しいいい奴だ。言いにくいこととかは無理に聞き出そうとしたりは決してしない。

 ちなみに俺の習得しているドルイドというクラスは非常に稀で、通常まず見かけることは無くあまりその内情を知られていない。それはたいていのドルイドは何処か森や山などの自然と共に暮らす事が多いからだ。


「私もいずれは召喚を専門とした召喚術士を目指しているんですよ」

「そうなんですね、じゃあ将来は魔物や精霊を呼び出して?」

「そんなとこですが……悪魔と言われる奴を送り返す召還を出来るようになって、私も悪魔退治をして回っているという噂の冒険者のようになりたいのですよ」

「そうだったんですか」


 どうやらビクターの目的は俺の真似事の様だ。そして同時に良い情報を貰った。


 召喚ではなく召還か……試してみる価値はありそうだな。



 昼の鐘が鳴り響いて授業が終わった。




本日分の更新です。

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