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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第4章 学院生活とアリエル
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危ない手合わせ

 昼休憩が終わり、午後も授業がないまま時間が過ぎていき終業になり夕飯を食べに向かう。

 俺がテーブルにつこうとすると何故かエアロ王女やモリス、ミラが座らないで待っている。


「座らないでどうしたんですか?」


 そう言って俺が座り、隣にフェンリルがプルプルしながら座った瞬間……まるでゾンビが俺に襲いかかろうとする勢いで3人が一斉に隣の空いているイス目掛けて近づき奪い合い始めた。


「は、や、い、も、の、が、ちぃぃ!」


 どうやら席の争奪戦だった様で、勝ったのはミラの最後のヒッププッシュのパワー勝ちだった様だ。


「あ、あはは。サハラさん隣同士になったねぇ」

「……そ、そうですね」


 それを尻目に俺の真正面にアリエルが座り、その横にアルナイルがゆっくりと腰掛けていた。

 負けたエアロ王女とモリスは次はあそこと言わんばかりに空いているアリエルの横を目指していた。結局そこはモリスが取れそうになった瞬間にアリエルのわざとらしい妨害でエアロ王女が座れた。


「ア、アリエルさんずりぃ!」

「なにがぁ?」

「アリエルさん……ありがとうございます」

「あたし何かした?」


 策士である。



「よぉサハラ、後でちょっといいか?」


 食事が終わりそうになったところでデノンが声をかけてきた。寝るには早いし了承する。



「どうしたんですか?」

「実はよ、頼みがあんだ。これから毎日少しの時間でいいから俺とビクターとアリオトに武器の稽古をしてほしいんだ」



 理由を聞くと、以前のコボルトの事を話してきて、魔法が使えないときのために少しでも武器が扱えればと思ったんだそうだ。

 そこで俺が多少接近戦出来るから、教わりたいと。


「いや、俺は……」


 ヤバい。俺の杖術はこの世界には無いものであり、一応俺が自然均衡の神になったときのオリジナルの戦闘術という事で創造神に認められた事になっている。その事は以前アリエルにも教えてほしいと言われた事があったが説明して断っていた。



「良い心がけだ! それならサハラ君ではなく、(わたくし)が稽古してあげよう!」


 まるで見計らった様にアラスカが姿を見せた。助かったと思いアラスカを見てウインクをすると、何故かアラスカが照れ出した。


「マジか! 7つ星の騎士直々に手ほどきして貰えるなんて最高だ!」

「でもアラスカ先生だとかなり厳しそうではありますね……」

「やったね! これで魔法戦士になれますよ! デノ先輩! ビクタ先輩!」



 一応俺もついて行き、夜の誰もいなくなった訓練場に行く。

 どういう訳か、俺とアリエルとフェンリル、それとデノンとビクター、アリオトの他に、モリスとミラまで一緒についてきていた。


「先ずは木剣で重さに慣れてもらう! 素振りをそうだな……とりあえず100回だ!」

「オッシャー!」


 デノンとビクターとアリオトの3人が最初は嬉々として振っていたが、30を数える頃にはへばり始め、振り方も雑になっていく。

 それを横目にアラスカが俺に一手お相手して貰えないか聞いてきた。



「アラスカ……先生、それはちょっと……」


 稽古をしている3人を見て、アラスカにも火がついてしまった様だ。


「お! 良いねぇ。やってみろよサハラ!」

「サハラ先輩! 冒険者の強さ見せてください!」


 いや、だからそれが不味いんだって……


 かと言ってアラスカを見ると引く気配が見られない。仕方が無いので思い切り手加減して相手をする事にした。



「参ります!」


 そう言ってアラスカが剣を構えてくる。俺も杖を逆手に構え出方を待った。もちろん俺は予測(プレディクション)は使わない。アラスカはわからないが、これだけで相当手加減になるだろう。


 アラスカが試しの一振りしてくる。それを杖で絡め取り、手をスライドさせて振りかぶる動作なく振り下ろした。

 一瞬アラスカがその攻撃の早さに慌てた表情を見せたが、即座に反応を示して後ろに下がって離れた。


「さすが、ですね! 試しのつもりが危うく一本取られるところでした!」


 あれ? なんか完全に火がついてない?


 その次の攻撃からはアラスカの猛攻撃が始まり、俺は下手に一本取らない様にするので必死に攻撃を捌いていく。


「す、すげぇ……アラスカ先生も凄いが、それを捌ききるサハラも凄いぜ!」

「サハラさんはドルイドだったはず、ですよね……」

「サハラ先輩カッコ良いぜ!」


 アリエルも全力で攻撃してくるアラスカにどうしたら良いか困っている様で、ミラとモリスは「ほえぇ」とか言いながら見とれている様だ。



「ちょ、ちょっとアラスカ、あんまり本気出すな。バレるだろ」


 杖の折れる危険はあったが、鍔迫り合いに持ち込んでそっと小声で言ってアラスカを見る。

 するとフーッフーッと荒い息を上げながらお目々が逝ってらっしゃるご様子……





 セッター、お前の娘な……狂戦士(バーサーカー)だったよ……



 じゃない! 鍔迫り合いもすぐに押し込まれるがなんとか踏ん張り、攻撃に備えて杖を構える。


「おいあれ、サハラの奴なんかヤバいんじゃねーか?」

「どう見てもサハラさんが必死に攻撃を捌いている様に見えますよね」

「サハラ先輩頑張れー!」


 アリエルも止めたくても接近戦相手に同じ土俵に立つのは無理で、そうなると魔法しかない。しかし7つ星の騎士のアラスカ相手に、魔法は攻撃魔法ではなくても危険なため、下手に使う事が出来ない様だ。



「「サハラさん!」」


 ミラとモリスもアラスカの様子がおかしいのに気がつきだす。



 一発貰って終わらせるか……木剣なら大丈夫だろ。


 出来れば変な場所は避けたいと予測(プレディクション)を使い、腕辺りに来た攻撃を受けて杖を手放し転がり込んだ。


「グッ! ま、参りました!」


 そう言って終わらせたつもりだったが……アラスカの追撃が来るのが分かり、慌てて転がって躱す。


「ちょ、ちょ、ちょーー!!」


 止まることのない攻撃に仕方がなくフェンリルに指示を出す。


「フェンリル! 動きを止めてくれ!」


 俺の指示に従ってフェンリルがフファッと白い息をアラスカにかける。するとアラスカの動きが止まる。やったかと思ったが、アラスカはフェンリルの息をすんでの所で木剣で払い、影響を受けない程度まで風圧で避けるというとんでもない事をしでかす。

 そしてアラスカの標的がフェンリルに変わった事が分かった。




更新が1日1話になっていますが、今同時進行で読み切り小説を書いている為なのでご了承ください。

一応時の旅人サハラシリーズに関わる話です。

主役が誰かは内緒です。

年始早々をと考えていますが、厳しいかも……


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