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大切なのは先の事

 長くなったがこれでやっと決闘の話になる。正直決闘なんかはどうでもいいことで、大事なのは俺の素性がばれずに終わらすことだけだ。


(わたくし)が代理人としてマスターの代わりに戦いましょうか?」

「それはさすがにまずいでしょ」

「そうだな。ここは素直に俺が戦うさ」

“場所はどこだ?”

「訓練場だね。おそらく全校生徒も見るだろうし、観客も呼ぶみたい」

「それ断れなかったの?」

「侯爵の力って奴か……」

「まぁそんなとこだねぇ、一応侯爵は公爵の下だから、他国と言えど権力もあるしね」

“じゃあ俺は離れすぎるからサハラのピアスに入ってる”

「そうだな、ドルイド魔法が今回の肝になると思うからそうしてくれ」

“あい”

「何というか……最上位精霊という雰囲気が感じられませんね」

「フェンリルとは契約はしてるけど、友人として契約しているからな」

“な”


 アラスカがクスッとだが笑った、出会ってから初めて見たと思う。


「なんだか友人というよりは……」

“ペットとか言ったら(おこ)だぞ”


 それを聞いたアラスカがすぐにそっぽを向き、俺とアリエルとキャスが笑いあう。

 ひとしきり笑いあった後、今後の話に入っていく。



「キャス、魔道学院は特Aクラスは既にそれぞれの習いたい魔法系統を教えてもらっていってるけど、どれぐらいで卒業になるんだ?」

「特Aクラスの場合は基本的に決まった卒業はないよ。いつでも終わりを決められるんだ」

「そういうもんなのか」


 話を聞いて分かったが、特Aクラス以外の一般の生徒は5年生らしい。その5年で全系統の魔術の勉強をし、2年目から自分の主となる得意系統を習い始め、実際に訓練場で使って習得していく。3年目、4年目は2系統3系統と習い身につけていき、5年目は習った3種系統を駆使して半実践的に訓練をして卒業となるらしい。

 その後はそのまま冒険者ギルドで登録して冒険者になってもいいし、学院に残り更に系統を増やす為に学ぶこともできる。



「じゃあ9年いりゃ全系統の魔法が使えるようになるのか?」

「覚え、られればね」


 5年生の学院生活も最終的に生徒の半数は1〜2系統習得するのが精一杯らしく、最低3系統を習得できていない場合は、落第となって何年でも残る。ただし大半はやめていってしまうそうだ。



「サハラはお金に困ってないからわからないかもしれないけど、すっごくお金かかるんだよ? それも最初の5年までは多少安くしてるけど、それ以降は跳ね上がるからね」



 つまりいつまでも居続けられるのは迷惑なのもあるようだ。完全寮生だから仕方がないのかもしれない。


「衣食住賄われてるんだもんな。そりゃ居座るヤツも出てきかねないか」

「そういう事」

「アリエルは今どれだけ覚えたんだ?」

「あたし!? あたしは……あは、あははは」

「アリエル!?」

「サハラ、まだ入学して100日に満たないんだよ? アリエルさんは完全なのは2系統だけど他はまばらなんだ」

「ゴメンね〜」

「メチャクチャ早いな……俺なんかやっと力系統をしっかり覚えただけだ……」


 キャスの推測では残り260日あればアリエルは大丈夫だと言われて、ホッとする反面アリエルの頭の良さに驚いていた。


 たぶん俺2系統でいっぱいだろうな……



 それはさておき、そうなると残り260日はアリエルの為にいなければならない。


「最悪バレても仕方ないな。その時は……」

「別に良いんじゃない? ただサハラが大変になりそうだし、アリエルさんも気が気じゃなくなるかもね〜」

「なんでだ?」

(わたくし)でもそれはわかります。マスターはおそらく学院中いえ、国中から注目され、すり寄ってくる者が増えてくるでしょう」

「サハラさん現状でも人気者だしね」

「そういう事か、確かにそれは面倒だなぁ」

「モテる男は辛いってね〜」

「できるだけそうならないように済ませたいものだな」






 話し合いも終わりキャスとアラスカが部屋から出て行き、アリエルと2人きりになる。


「ドルイド魔法だけでなんとかなりそうなの?」

「出来ればドルイドと言っている以上それだけで対処したいとは思ってる」


 そう言って改めて頭の中で改めてドルイド魔法を思い浮かべてみる。



「なぁフェンリル、お前の反属性になる炎に関係する魔法はどうなるんだ?」

“俺の場合炎は冷気か氷になる”

「そうだよなぁ。

お、へぇ、こう言うのもあるのか」

「どんなの?」


 そう言いつつアリエルが身体をピッタリくっつけてくる。

 とりあえずアリエルを抱き寄せ説明する。

 それは木の実を一時的に爆発物にさせる事ができるというもので、ドングリなら手榴弾のように、ヒイラギの実なら合言葉で爆発する時限爆弾のようにできるというものだ。

 当然フェンリルの反属性になるため冷気による爆発物になるんだろう。



「もっと早く気がついていればよかった」

「そんなに……使える物、なの?」

「いやぁ……」



 言えない。言えないぞ! 爆発物に変えられるものが限定されるが、まさかガンビットみたいだなんて口が裂けても言えない。まぁ言ったところで分からないだろうが……

 とりあえず決闘までにドングリとヒイラギの実を用意しないとな。


「ドングリとヒイラギの実を用意しておけば、結構良い感じで戦えそうだよ」

「ふ〜ん? ドルイド魔法って神聖魔法とも魔法とも違って神秘的なんだね」

“精霊魔法だからな。あとサハラ、俺と契約を結んだ事から俺オリジナルもあるのは……”

「大丈夫だ。わかっているよ」

「え? なになに?」

「内緒だ」

“だ”

「ケチ〜」

「いずれ教えると言うよりわかるよ」

「ふ〜ん?」

「それよりそろそろ……我慢の限界だ!」

「きゃー」

“棒読みだぞ”

「いいの、嬉しいから」

“あっそ”


 そう言うとフェンリルはピアスに消えていくのを確認すると、アリエルの服を脱がせ抱きあった。

 


 翌日からドングリとヒイラギの実をアラスカに沢山欲しいと頼んで買い集めてもらったのだが……本当にとんでもない量を用意されたのは言うまでもない。




 そして決闘当日の朝が来る。

 どんな相手を連れてくるかわからないが、最悪本気を出せば余裕だろう。



今日はここまでです。

明日から1話ずつになると思います。


また、引き続き今後サハラ達と一緒に冒険させたい特Aクラスメンバーの希望を募集します。


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