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定番ですね

第3章突入です。

 俺がアリエルと特Aクラスの皆んなで訓練場の一角で話していると、いかにもガラの悪そうな生徒が絡んできた。



「別に調子に乗った覚えは無いし、俺は普段通り過ごしているだけですよ」


 とは言うものに俺の周りには特Aクラス以外の女子生徒も多く見られる。しかし俺の横には常にアリエルとエアロ王女がピッタリとくっついていて話しかけにくい様子で、その辺はエアロ王女に少し感謝だ。



 俺に突っかかってきた男子生徒に1人の女子生徒が声をかけてくる。


「みっともない事するのやめてくれない? サハラさんが困ってるじゃない」

「お、お前……くそっ!

お前! 俺と勝負だ!」


『サハラさん、この人たぶんあの子の事好きなんじゃない?』

『そういう事か。で、俺が勝っちゃうとマズい展開だよな?』

『そうねぇ、一応手段はあるにはあるんだけど、サハラさんも嫌だろうし、あたしもそんなサハラさんは見たくないのよね』

『一応聞いておきたい』

『完膚なきまでに叩きのめすのよ。そうするとサハラさんの噂は悪い方に広まる代わりに……』


 アリエルが途中で話をやめる。騒ぎを聞きつけたアラスカが姿を見せたからのようだ。



「なんの騒ぎだ!」

「アラスカ先生! 俺とコイツで勝負をさせてください!」

「ん? なぜ君がサハラさ……サハラ君と勝負をしたがる」

「そ、それは……

プライドの問題です!」


 アラスカが考え込み俺を見てくる。少ししてアラスカが口を開くが、迷いのある風だった。


「勝負と言っても魔法による勝負は……」

「武器で構いません!」

「……ならばよかろう。ただし! 勝っても負けても遺恨を残さない事を約束する事」


 武器ならいいのかよというツッコミをしたかった。


「……はい」

「声が小さい!」

「はい!」


 そしてアラスカが俺に振り返る。


「という事で引き受けなければ負けとみなすが、どうするか答えてもらう」


 そういう事か、なるほどね。


「勝負は受けませんよ。別に俺の負けで構わないんで」

「なっ! フザケンナよテメー!」

「決まりだ。君はサハラ君に勝負で正々堂々と挑み勝利した。そこにいるエアロ王女も立ち会った事になる。それでも不服か?」



 その男子生徒は歯噛みしながら俺を睨みつけると、その場から立ち去っていった。


「アラスカ先生助かりました」

「助けたつもりはないで……ない」


 アラスカも騒ぎが収まったのを確認すると去っていった。



「サハラ様、少しお耳をよろしいですか?」

「なんでしょう王女様?」


 はむっ!


「うひゃおわぁぁ! な、なにするんですか!」

「すいません、つい……」

「ついじゃないですよ、ついじゃ。って、アリエルも対抗意識出さなくていいから!」


 グイグイとアリエルも引っ張り、同じ様に耳を狙っている。



「ええっと、ボソボソ……」

「はぁ、わかりました」


『王女はなに言ったのよ!』

『いや、マジな話でいまさっきの奴は気をつけろってさ』

『そ、そうなんだ』


 アリエルはさっきの少年が去って行った方を見つめながらそう言った。




 授業が終わり、夕食を食べに食堂に向かうと昼間の奴がさっそく突っかかってくる。


「お前俺に負けたんだから、俺の言う事聞けよな!」

「そういう約束は交わしてませんよね?」

「言わなくたってそれが当たり前の事だ!」



 馬鹿馬鹿しいと無視して行こうとすると、進路に立って邪魔をする。それを避けて通ろうとしても邪魔をしてくる。


「ボスの命令だ。まずその狼を俺に寄越せ!」

「それは無理ですね」

「貴方いい加減になさい。私も立ち会ったのでサハラ様に勝ったのは認めますが、命令権だのという約束は聞いてません!」


 黙って聞いていた王女がついに怒鳴った。だが、そいつはヘラヘラしながら王女を見るだけだ。


「ここはよぉ〜、身分とかそういうの無しなんだよな? 王女だかなんだかしらねぇけど、ここの生徒である今のあんたにその権限はないっしょ? それとも私は別って言うのか?」


 そう言われてしまうとエアロ王女も黙りこんでしまい、言い返す事もできなくなってしまった。


「おいお前さっきから聞いてりゃいくら何でもそりゃ言い過ぎだぞ!」


 デノンがキレそうな勢いで喰ってかかり、今にも掴みかかりそうな勢いだ。


「なに言ってんだオッサン、俺はこの学院のルールを言っただけだろ?

もしルールが関係ねぇって言うんなら、俺はウィンストン公国の侯爵家の子息っていう身分の相手に喧嘩を売るという事になるぞ?」

「侯爵家の子息……」


 その言葉だけでデノンは先ほどの勢いがなくなっていくのが見て取れた。

 デノンが大人しくなるとケッとばかり見下した表情をした後、また俺に向かって命令してきた。


「これでわかっただろ。お前を助けてくれる奴は誰もいないんだ。さっさとその狼を俺に寄越せ」

「だから無理な相談だと言っている」

「そうかよ、コボルト程度を追っ払った英雄さんは、その程度だったんだな」

「ご自由に行ってくれて構わないさ。行こうアリエル、皆んな。王女も昼食の時間がなくなりますよ」


 俺がそう言って通り過ぎようとした瞬間の事だ。


「テメー! おい!」


 侯爵の子息のおぼっちゃんが、俺の胸ぐらを掴んできた。



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