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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第2章 特Aクラスの学院生活
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有名人

 悪手だ。

 デノンの逃げた方向はキャビン魔道王国から更に離れる方へと進んでいる。俺の感知(センス)には未だ4人は見当たらない。今の頼りはフェンリルの鼻だ。



 しばらく追跡すると正面からアラスカの姿が見える。


「ご無事でしたか!」

「アラスカさん……先生どうしてここに? じゃない、デノン達が!」

「大丈夫です! 4名はこの先で待機してもらっています。それよりも……」

「ああ、相手はコボルトですよ」

「なるほど、コボルトならいくらいようとサハラ様の敵ではありませんね」



 アラスカに連れられデノン達がいる場所まで辿り着くと心配した表情の4人から謝られた。


「サハラ済まん! 俺のミスでこんな目に会わせちまって」


 デノンは本当に申し訳なさそうに謝ってきた。


「サハラさん……ごめんなさい……私パニックになってしまって……」


 ベネトナシュも丁寧に謝ってくる。


「あたし冒険者は向いてないのかな……サハラさん、ありがとうね」


 落ち込むミラがいて……


「サハラ様、私を助ける為にたった1人で立ち向かわれたのですね!」


 そして訳がわからない王女がいた。



 全員無事なのが確認されるとアラスカは引き続き頑張るように言うと去って行ってしまう。



「私達これからどうしましょう」

「ここからはサハラに従うっていうのはどうだ?」

「それは困りますよデノンさん」

「そうよね、リーダーはエアロ王女なんだから、サハラさんに頼るのではなくて、意見を聞くならいいんじゃないかな?」

「なるほど! ではミラさんの言う通りサハラ様に意見を聞きたいと思います!」

「エアロ王女様それ……丸投げで頼ってる……だけです」


 それぞれが意見を言い合うようになってきたのはいい事だと思うが、その中心に俺がいるのが困りものだ。



「そうですね、とりあえずそろそろ一晩明かす場所を決めて、その準備をした方がいいと思います」


 今いる場所は国からも結構離れてしまっている。一応2チーム共魔法の目だかで見ていて、危険であればいつでも助けに行けるようにはなっているのだろう。


 今回の目的はおそらく外の世界を知ってもらう事なんだと思う。そしてあの墓所であればおそらく安全だったのだろうが、墓所から離れてしまったとなると最早危険でしかない。



「デノさんは冒険者でどの程度の経験があるの?」

「そうだなぁ、駆け出しからはさすがに抜け出てると思うが、その程度ってとこだと思ってくれ」

「先ほどみたいにたくさん魔物が現れた場合はどうしているのですか?」

「そりゃ前衛が盾になって攻撃を防いでる間に魔法でサポートが精一杯だ」

「そうなんだぁ、じゃあーー」

「ミラ、そういう会話は……野営地を、見つけてからに……」


 1番冷静なのは案外ベネトナシュのようだ。

 すぐに全員で場所を探し、少し小高い丘のような所で一晩明かす事に決めた。


「ここなら見晴らしも効くし、いきなり襲われるっていう心配は無いだろう」


 デノンはそう言ったが、実際はこういう場所は見つけられやすいからあまり良くは無い。が、俺はあえて口を挟まないで皆んなに任せる事にした。



「あとはここで一晩明かしたら、明日の夕方までに墓地まで戻れば良いだけですね」

「そういうこった」

「5人だと見張りはどうするの?」

「ウィザードだらけだしな、魔法の記憶が必要な奴が普通なら優先で眠るが、ほとんど消耗してないから適当で良いんじゃ無いか?」


 デノン、いいかげんだ。いいかげんすぎる。



 国からあまり離れていないため、そこまで危険な場所でもなくなんとか無事に一晩あかし、夕方になって最初の場所に集合すると学長(キャス)魔導門(ゲート)を使い、で教室まで戻った所で終了となった。


 全員元気なドゥーぺチームに対して、俺以外寝不足で疲れ切った表情を見せるエアロ王女チーム。不思議そうにドゥーぺが俺を見ていたのが印象的だった。



 その日の夜アリエルにあった事を話すと「皆んないい勉強になったんじゃ無いかな」というのと同時に浮かない顔をしていた。

 その理由は翌日になってわかる事になるのだが……



 教室に入るなり、矢継ぎ早に俺に質問をしてくる。

 聞いてくる大半が女子生徒で、俺がコボルトの群れを追い払った時の話を聞きたがる。

 デノンはそれをバツが悪そうにビクターと話していて、アリオトは女子生徒に紛れて目を輝かせながら一緒に話を聞いていた。


 面倒な為大半はフェンリルがやった事にしておいたが、それでも俺の周りでワイワイやられてアリエルは蚊帳の外になってしまっていた。

 エアロ王女も1度は諦めたように思えたが、今回の事で自身の身分すら忘れたように、憧れの眼差しで見つめてくるようになってしまったのは言うまでも無い。



 そしてこの事が学院中に広まるのにもそう時間はかからなかった。

 翌日の昼食時には特Aクラスでは無い女子生徒達からも黄色い声がかかり、俺は一躍時の人となってしまう。


 そうなれば当然ーー


「お前がサハラかよ。特Aクラスでちょっとコボルトを追い払ったぐらいで調子に乗ってんなよ?」


 こういう連中も出てくるわけだ……




半端な感じな終わり方になりましたが、これで第2章終わりになります。

第3章は予想通りの展開になります。

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