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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第2章 特Aクラスの学院生活
32/212

住処

 アリエルと繋がり口裏を合わせながら、聞かれた事に返答する。

 そうして選んだ場所が、まばらに木々が立ち並ぶ林だったのだが……



「ね、ねぇデノさん、こっちの方が不気味に感じるのは、き、気のせいよね?」


 怯えながらミラが言うのをベネトナシュが今は支えるようにして歩いている。10歳の女の子が、初めて国の外に出たのだからこうなるのも当然と言えば当然だろう。

 そして今いる場所は墓所から離れ、国からも少し離れた場所になってしまっていた。



「大丈夫だ。もし出てきてもアンデッドの集団を相手にするよりはマシな奴しかいないはずだぜ」


 言い切りやがった。俺は感知(センス)で辺りを調べると……10匹ぐらい……いや、もっとだろうか? 生物が確認できた。


「デノンさん、ここはやめた方が良いかもしれない」

「何でだ? 林なら逃げやすいだろ」

「この林が安全か確認が取れていないのと、墓所よりも国からずっと離れた場所になる」

「確かにそうですね。まだ日も出ているし先に調べておきますか?」


 王女がそう言うとミラとベネトナシュが反対してきた。


「王女様、林には……生命が宿れます。魔物じゃなくても……動物なんかは住み着いている……と思います」

「そ、そうよ。毒を持った蛇とか蜘蛛がいるかもしれないわ!」


 王女もそれを聞くと頷くしかなかったようだ。


「そんじゃあ俺とサハラで調べてくるってのでどうだ?」

「その間にあたし達が襲われたらどうすんのよ!」


 ミラが少しパニックを起こしてきているように見える。そして今までの大声での会話に気づいてしまったのか、10匹ほどの集団がこちらに向かって近づいて向かってきている。


 俺がフェンリルを見て小さく「唸れ」と言うと、直ぐに理解したのか林の奥に向かって唸り声をあげた。


「どうしたフェンリル」


 ワザとらしくならないようにフェンリルに言い、唸る先を見てから皆んなに伝える。


「何かがこっちに向かってきているようです」

「ど、どうすんのよ!」

「シッ! 黙って落ち着け。 ウィザードしか居ないんだ。相手によっちゃ……魔法で一気に叩かないとマズい!」


 そして最初の1匹が姿を見せた。



 それはコボルトだった。次々と姿を見せ、手には木の棒を持っている奴から、槍のようにした棒を持つものまで姿を見せてくる。


 バラけて広がって向かってくるため、範囲魔法を使ったとしても数匹倒せれば良いところだろう。

 そして王女とベネトナシュとミラは初めて見る魔物の姿に、恐怖からか身体を強張らせて身動きしなくなってしまった。



「フェンリル! 行け!」


 走れば十分逃げれる相手だが、この状況では無理そうだと判断してフェンリルをけしかけ、俺は3人の身を護るように杖を構えて立ち塞がる。

 その間にフェンリルは先頭の1匹のコボルトに飛びかかり、首に噛み付いて喉笛を引き裂き鮮血が噴き出す。


 それを見た3人が一斉に悲鳴を上げる。



「デノンさん!」

「おうよ!

魔法の矢よ敵を打て!魔法矢(マジックアロー)!」


 デノンが輝く魔法の光弾を放ち、視認できる中の5匹にそれぞれ飛んでいき撃ち貫いていった。


 感知(センス)で確認できる残りの数がまだたくさんいるのが確認できる。どうやらこの林はコボルト達の住処のようだった。



「おらぁ!」


 間近に迫ったコボルトを殴り飛ばし、コボルトの持っていた木の棒を振り回しているデノンを見て、数が多すぎて詠唱の余裕すらないのが分かる。


 俺の側まで来たコボルトを杖で殴り飛ばすとデノンがやってくる。


「俺が引き受ける。サハラは3人を引っ張って逃げてくれ」

「俺じゃ3人引っ張るのは無理です! デノンさんお願いします」

「俺の責任だ。俺が……」

「良いから早く!」

「分かった……できるだけ直ぐ戻る。死なないでくれよ」

「ドルイドは、ウィザードよりは遥かに接近戦に長けてるんですよ! ハッ!」


 近寄ってきたコボルトを杖で横薙ぎに払い、ゴシャッと殴り倒す。


「さぁ! 今のうちに!」

「よっしゃ分かった、行くぞぉぁぁぁぁ!」


 デノンが浮遊盤(フローティングディスク)の魔法を使い、3人の中で最も軽そうな王女を無理矢理乗せ、残った2人を肩に担ぐ……ぱっと見人攫いですか? のような姿で走り出した。

 浮遊盤(フローティングディスク)は力系統の魔法で浮遊する円盤を作り出す。術者に付き従い荷物を運んでくれるが、50キロぐらいまでの物に限られる。

 軽い子供であったため出来る事だろうが、今は役に立ってくれたようだ。



 デノンが離れるまで俺が食い止め、フェンリルが誘導してデノン達の方へいかないようにさせる。



「そろそろ良いか。 フェンリル! もう良いぞ!」

“わかったー”


 間の抜けるような声が聞こえたのと同時にコボルト達の悲鳴が聞こえ始め、俺も一気に高速移動しながら次々とコボルトを殴り飛ばした。

 恐れをなしたコボルト達が逃げ出したのを確認すると攻撃の手を緩めフェンリルを呼び戻す。


“サハラどうした?”

「逃げ出したのならそれ以上は殺らなくてもいいだろ。 ここはこいつらの住処で、オレ達は侵入者なんだから」

“そか”


 しばらく待ってもデノン達が戻る気配がない、逃げた方角を見るとどうやら国から更に離れる方角のようだ。


「フェンリル急ごう、嫌な胸騒ぎがする」

“わかった”


 フェンリルの鼻と俺の感知(センス)を駆使して4人を探しに後を追った。


明日更新予定のあと1話でちょっと中途半端な形に見えますが第2章が終わります。


一応予定は未定なのですが……この今いる特Aクラスの1人が、その後サハラ達と旅立つメンバーの1人に加えようかなぁとか思っていたり思っていなかったり。


まだまだ先の話になる予定ではありますが、希望があればその人を連れて行こうかなとか思っています。

・デノン

・ビクター

・アリオト

・ドゥーぺ

・ミラ

・ベネトナシュ

・アルナイル

王女は当然抜きで、まだまだ本当に先のことなので、コロコロ変わっても構いません。特にそれまでに希望が無いようであれば、参加無しのままになると思います。

それでは今日はここまでです。

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