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アリエルの逆鱗

 こうして数日が経ち、長期休日の最終日の朝の事だ。魔法の目で監視していたグランド女王が俺の元に来る。


「動き出します。私達も急ぎましょう」



 俺達はグランド女王と魔道兵10名、俺とアリエルにアラスカが加わって移動し始める。


「サハラ様達は最初はフードで顔を見せない様にお願いしますわ」

「分かりました」


 フードを深く下げ、顔を隠す。アリエルも髪の毛が邪魔になりながらもフードを下ろした。



 移動は飛行(フライ)で移動し、アラスカは女王に魔法をかけてもらった。

 俺は縮地法で連続的な瞬間移動で移動する。


 あらかじめ距離のあるところで降り立ち、そこから徒歩で移動していくと、レグルスが1人で森の中へ入っていく姿が見えた。


「まだです!」


 グランド女王が静かに指示を出す。


「なぜですか! 女王!」

「森に逃げられたら追うのが手間でしょう。だから、荷物いっぱいで逃げられなくなったところを取り抑えれば、簡単ですよ」

「な、なるほど!」


 俺でも分かるぞ、それ……ああそうか、騎士魔法がある7つ星の騎士は見失う事が無いからか。




 そしてーー


「そこの少年、止まりなさい!」


 魔道兵が声をかけるとレグルスはビクッとなって立ち止まってこちらを向く。


「どうやって城壁を出た?」


 するとお得意の同情を買う様な喋り口で説明をし出した。


「ご、ごごご、ごめんなさい! ダメなのはわかっていたんですが、体の弱い母親がこの植物の汁を欲しがったので勝手に取りに出てしまいました。城壁を勝手に出たのは謝ります。もう2度としません。だから……」

「女王陛下、いかがいたしましょう。反省している様だし、今回は許しますか?」


 あの魔道兵呆気ないぞおおおお!


「じょ、女王様!?」

「そう、ここまでだとは思いませんでしたわ。例外は認めません! 捕らえなさい!」


 しかし、レグルスが泣きながら謝り出すと魔道兵も躊躇しだし、動こうとしない。

 女王はため息をつくと俺たちの方を向いた。


「アラスカさん、お願いしますわ」

「はっ!」


 アラスカは無情にレグルスに近づくと、アラスカにも同情を誘う声を上げる。だがーー


(わたくし)に同情や情けは通じません!」


 そう言ってさらに近づいた。


「アラスカ先生! どうして?」

「7つ星の騎士が教師になるなどと思いましたか!」


 愕然とした表情を見せながら、レグルスは手を掴まれた。

 女王がレグルスに近づくと必死に謝り出す。


「もう、もう2度と外壁を出ません! だから、今回だけは……」

「今まで何度外に出ましたか?」

「こ、今回が初めてです」

「なるほど……」


 女王がそう言うとレグルスは許されると思ったのか、顔を上げて女王を見つめる。


「では、本当に初めてであったら、許しましょう」

「あ、ありがとうございます!」

「お待ちなさい。初めてであったらと言いましたよね」

「本当に初めてです!」


 そこで女王がアリエルにフードを取る様に指示する。

 アリエルがフードを取った瞬間、レグルスがわめきだした。


「アリエル、俺を裏切ったな! お前だって同罪だお前も俺と外に出ただろ!」


 そして俺もフードを取ると、レグルスは言葉を失った。


「レグルス、お前には本当にしてやられたよ」

「なっ! サハラ!? なんでお前がここに! 女王陛下、そいつは犯罪者ですよ! そんな奴の口車に乗せられたんですか!」


 グランド女王がため息をつき、レグルスに向かってはっきりと言う。


「いいかしら? 貴方は誰に喧嘩を売ったのかを理解なさい。この方は【自然均衡の神スネイヴィルス】様の代行者のサハラ様ですよ。そしてその神の代行者の従者にしてゴッドハンドである、アリエルさんを貶めました。

レグルス、貴方は万死に値します!」


 なっ! とレグルスが口を開いたまま固まる。だがその直後顔をニヤつかせながらアリエルに向かって叫んだ。


「アリエル、君は俺のものだ。俺は君を何度も抱いたし君も俺を好きなんだろう? 助けてくれよアリエル。またあの部屋で一緒に愛し合おう」


 バカが、既にアリエルの洗脳は解けているんだ。


「サハラさん、ごめんなさい……」

「え!?」

「あたし、やっぱりコイツだけは絶対許せない……あたしの手で、今ここで殺してやる!」


 一瞬まさかと焦ったが、思い違いだった。ただ単にレグルスがアリエルの逆鱗に触れてしまった様だった。


「あ、あ、アリエル! やめてくれ! 俺はまだ死にたくない!」


 アリエルがにじり寄っていく。そしてレグルスの前に立つととんでもないことを叫んだ。


「いい! あたしの体はね、頭のてっぺんから、足の先まで全部サハラさんだけのものなのよ!」


 おおう、アリエル照れるよ。そんな可愛いこと言うなんて、後でタップリとお仕置きしないといけないな。


 魔道兵、アラスカがそれを聞いて顔を真っ赤にさせる。魔道兵は想像して股間抑えるな。

 女王に至ってはまぁまぁとか言っている。


 そこで目を細めてアリエルが付け加える様にーー


「それを……抱いていい思い出きたんだから……ありがたく思いながら死にさらせぇぇぇ!!」

「う、うわあぁぁぁぁぁぁ! 死にたくない、死にたくない!!」


 あ、アリエルさん……


 アリエルが得意とする神聖魔法を使い出す。


「【自然均衡の神スネイヴィルス】の名の下に、聖なる炎に焼き尽くされて、浄火されなさい!

業火(フレイムストライク)!」




いよいよ次で第1章ラストです。


TS修道女の方を読んだ方は覚えているかもしれませんが、アリエルは元々巷で有名なじゃじゃ馬アリエルと言われていた人物です。キレたらこうなりますと言った感じですね。

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