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期を待つ

 麻薬の元となるらしい植物に近寄った俺は、ドルイドの魔法により話しかける事にする。


「契約に基づきその義務を果たせ、植物会話(スピークウィズプランツ)

質問に答えて欲しい」


 植物会話(スピークウィズプランツ)を使った事で俺はてっきり普通に会話ができるものだと思ったが、風が吹いたのか揺れた程度だった。


「フェンリル、どういう事だこれ?」

“植物は声を発しない。質問にはyes、no程度”

「なるほど、じゃあお前をなんとかすると精神作用する効果があるか?」


 ガサガサと揺れただけでよく分からない。アリエルとグランド女王にダメだこりゃと肩をすくめてみせると、アリエルが魔法を使い始める。


「【自然均衡の神スネイヴィルス】そのものの属性(アライメント)を見破る力を与えたまえ。看破混沌(ディテクトケイオス)(イーヴル)!ーーやっぱり。

サハラさん……その植物、邪悪な属性みたい」

「つまり、属性(アライメント)が俺と違うからバカにしてるのか?」

「植物にそこまでの知恵があるかわからないけど、まぁそんなところかしら」

「契約に基づきその義務を果たせ、植物命令(コマンドプランツ)

さぁ答えてもらうぞ。お前をなんとかすると精神作用を持つのか?」


 俺の脳裏にyesと感じ取れる。


「治す?方法はあるのか?」


 俺の脳裏にyesともnoとも取れる感じがした。

 どうやらこの植物自体もそんな事はあまりわかっていなかったようで、元々食べたりすると幻覚症状が出る程度らしい事だけ知っているようだった。


「つまり治す方法は不明みたいだ」

「まぁ仕方ありませんわ。元々この世界では存在しないものなんですからね。

そうなると人体実験しか無いのよねぇ」


 さらっとグランド女王は恐ろしい事を口にした。

 アリエルに聞いて何処をどうしていたのか聞き、同じ様に植物の液体の様なものを集めた後、外壁の抜け道の場所も確認してから王宮に戻った。




 王宮に戻ると早速アリエルに言われた通り作っていくと黒い塊の様なものが完成した。


「アリエルさん、これで完成なのね?」

「はい……」


 アリエルの目が黒い塊に釘付けになっている。そんな事は御構い無しにグランド女王はアリエルに使い方を聞いてきた。


「グランド女王、アリエルの様子がおかしい。それ以上はもう……」

「この状態だから聞いているのです。今のアリエルさんは麻薬しか見えていないから、間違わずに教えてもらえますわ」


 グランド女王の言う様にアリエルは後は火で炙るだけまでシッカリと教えてくれる。


「アリエルさん、これを火で炙って嗅ぐと初めての時はどうなりました?」


 意識が麻薬にしかなくなっているアリエルは、周りが見えなくなっていて聞かれた事に素直に答え出す。

 全て聞きたい事を聞き終えるとグランド女王は黒い塊をしまってしまうと、アリエルが「ああ」と残念そうな声を上げた。


「たった3回でこれは酷いわね。あの植物は珍しいものでも無いですし、精製方法を秘密にしていれば1度でも使ってしまったら、欲しい人はいくらでも大金を支払うでしょうね」


 グランド女王の話を聞きながら俺はアリエルを抱き締め落ち着かせる。


「なぜアリエルに教えたんでしょうね?」

「あたし、分かる……」

「え?」

「あたし分かる。レグルスが言ってた、精製方法をあたしが知っている事にするねって」


 つまりレグルス自身は仲介人という事にするつもりの様だった。もし何かあった場合、アリエルの名を出してしまえばいい。その間にレグルスはおさらばする気なのだろう。


「とことん汚ねぇ野郎だ!」


 俺が怒りを露わにするとグランド女王が怯えた顔をする。アリエルも俺の顔を見て驚いている様だ。


「もうここまで分かったのなら、今からでもレグルスをとっ捕まえに……」

「サハラ様、もう少しだけ我慢してください」

「一体何を待ってるですか!?」

「捕らえるタイミングです。どうせ捕らえるのであれば、言い逃れのしようが無い最高の状態で行いましょう?」




 そこへドアがノックされる。どうぞと女王がいうと、アラスカが中に入ってきた。


「グランド女王! 7つ星の騎士の行動を制限するとはどういう了見か!」

「アラスカさん、どういう事ですか?」

「これはサハラ様、実は一連の事からレグルスをとり調べようとしたのですが、キャス様に引き止められ、グランド女王の命令だと言われたのです!」


 うん、猪突猛進タイプなのね、アラスカさん。


「アラスカさん良いですか? 今動いては氷山の一角だけになってしまうからダメなんです。これは大きな捕り物になりますわ。ですから後少しだけ待ってもらう事は出来ませんか?」

「芽は小さいうちに積むというのもあります!」


 このままだとグランド女王の策が失敗に終わりかねない。


「アラスカさん、ここはグランド女王に任せて見ていてください。恐らくアラスカさんの後々にきっと役立つはずですよ」

「……さ、サハラ様がそう言うのでしたら、抑えましょう……」


 あら〜なんか素直に聞き入れた?


「あらら、サハラ様は実におモテになります事」


 グランド女王が微笑みながら言う。


「ち、違います! (わたくし)はサハラ様、いえ、マスターが言う事は正しいと思っているから従ったまでです!」


 まぁとりあえず聞き入れてくれたからいいか。しかし懐かしい呼ばれ方だなぁ。なぁセッター。お前に引き続いて、その娘まで俺をマスターって呼んだよ。


タイトル「ワールド・ガーディアン」ですが、後半部分にあたる〜の部分〜が決まりましたので、後ほど変更いたします。

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