ゼロの中
明日、最終話になります。
明後日にエピローグで完結です。
ここは……ゼロの中か? 何もないな。
当たり前か……
「先代はこんな中でずっとたった1人、ゼロの封印の為に居続けたのか? 」
独り言を口に出しただけのつもりだったが、驚いたことに返事が帰ってきた。
「それは違う。 封印するために一時的に其方に与えた私の力が必要だっただけだ」
姿がボヤけていてどんな姿をしているかわからない。 それは懐かしい初めて会った時の創造神の姿だ。
「創造神ですか。 なら早いとこここから出してはもらえませんか? たった1人でこんなところにいつまでもいたら気が狂いかねませんよ」
ボヤけているため勘違いかもしれないが、創造神が笑った、様な気がする。
「其方は代用のように扱った私を恨まないのか?」
「恨みませんよ、だってそれが世界の守護者の役割なんじゃないですか?」
なんか創造神が黙っちゃったぞ……
マズイ、もしかしてこれってテストか何かだったんじゃないだろうな。 間に合うのなら次からは注意しながら答えなくちゃいけないな。
「其方の思う世界の守護者とはなんだ?」
やっぱりそうだ。 この返答は重要なのかもしれない。 だがかといって嘘を言うわけにもいかないよな。
「俺は……」
正直なところ、その時に言ったことは思ったことをただ口にしただけだからはっきりと覚えてはいない。 だけどまとめて言えばこんなことを言ったんだと思う。
秩序と責任感、そして相手を思いやる気持ちを大切にして世界を守る者。
まぁ偉そうなことを言ったとは思うけど、世界の守護者としてやっぱり秩序、ルールというものは守らなければならないことだし、自分がこれから成そうとすることに対して責任を持たなくてはダメだ。 そして相手の気持ちも理解しなくては世界の守護者という力の押し付けになりかねない。
もっともそれ全てが俺にできてるかといえば、正直なとこ自信はないが……
でも、少なくともそうでありたいと思う。
俺が自身を騙すことなく言い終えると、創造神は唸るような声を上げた。
「サハラよ、もしもその為に神や精霊、不死王、赤帝竜と敵対することになった場合どうするつもりだ?」
「まぁその場合は……」
俺が答えるとボヤけてよくわからないが、創造神が微笑んだように思う。
「其方は今後も世界の守護者として私の代わりを努めるよう言ったらどうする?」
「今まで通りで良いのでしたら、結構楽しんでいたつもりですよ」
創造神が頷いたように思う。
「ならば戻りなさい。 戻って世界を見守り続けるのが其方の使命です」
「っと? ちょっと待ってください」
「聞きたいことはたくさんあるのだろうが、それは後ほど私の元に来てからにしたほうが良い。
ゼロの中は時の流れが外よりも相当早く流れるからな」
うおおおぃ! そんな大事なこともっと先に言ってくれよ。
創造神が来てからどれぐらい話した?
そうこうしていると俺の意識が一瞬だけ遠のいた。
一つの物語の終わりが近づくたびに思うこの寂しさはなんなんだろう?
もっと続けたい、無駄に話を引き延ばしたいと毎回思います。
それと遅くなりましたが、今日の分短めで申し訳ありません。




